脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

異様な戦績 -G大阪vs磐田-

2011年07月25日 | 脚で語るガンバ大阪
 J1の延期分第6節、G大阪はホーム・万博に磐田を迎えて対戦。前節アウェイで甲府に3-4と撃ち合いに敗れて6試合無敗だったところに水を差された格好となったG大阪だが、何よりもクローズアップされるのはその「失点力」。ホームで初の完封勝利といきたかったところだが、2度のリードを守れず、2-2で引き分けに終わり、これで今季の失点試合は「16」となった。

 

 7試合ぶりの敗戦となった甲府戦、2点を先行しながらの4失点。改めてG大阪の「失点の多さ」を感じさせた。その数は31失点とリーグワースト2位タイ。ここまで失点が多くても相手を撃ち合いの末に振り切るのがG大阪だが、アドリアーノに加えて宇佐美もいよいよバイエルン移籍のため退団。ただでさえ攻撃力は大幅にダウンを強いられるここからの戦い。体調不良と言われながらも2列目で先発を務めた遠藤を軸に、前線は平井とイ・グノがコンビを組む。
 対する磐田は、ここまで2人揃って14得点という前田(8得点)、ルーキー金園(6得点)というリーグ屈指の2トップを揃え、直近5試合で1敗しかしていない好調さが目立つ。G大阪との勝点差は3ポイント。もちろんしっかり勝ってその差を詰めるのは狙いだろう。

 
 少し気になるバックスタンドの空席。

 先制点は7分、G大阪が遠藤のCKから山口がファーで体で押し込む。幸先の良い序盤。しかし、1点のリードでは全く安心できないのがG大阪のゲーム。案の定、磐田に攻め込まれる時には相手DFラインを攪乱する金園の動きにうまく釣られ、山田のドリブルを中心に深い位置ボールを運ばれる。ここまで6得点と大卒ルーキーにしては及第点以上の活躍を見せている金園は、前田に遠慮することなく積極的にゴールを狙っていた。

 
 
 
 
 遠藤-山口のホットラインで先制したG大阪。
 だが、このリードを守ることが肝心。

 33分、磐田が自陣からのFKを一気にG大阪のペナルティエリア手前までフィードすると、前田がこれを競り合いながらも胸で落とし、ボールを受けた山本康のパスを後ろから走り込んだ金園がシュート。ボールはバーを直撃し、あわやという場面だったが、フィードの場面から金園が山口を上手く釣り出しており、その後の彼を全く捕まえられていない場面だった。早くも追いつかれる予兆が見えた場面だった。
 この前半終盤は完全に磐田のペース。すると、37分には磐田陣内での加地と武井のパス交換を奪われて、一気に左サイドでフリーになっていた山田にロングパスを出されると、これを山田が落ち着いて中央へ。GK藤ヶ谷が飛び出すかなと思えた場面だったが、これを金園が易々と走り込んで押し込んだ。G大阪はまたもや無失点ならず。明らかに磐田を調子づかせて前半45分を1-1で終えることになった。

 
 磐田の山田は明大から今季加入のルーキー。
 それにしても伸び伸びとしたプレーで1得点1アシスト。

 
 
 
 金園のこの同点弾。
 10日前には金鳥でのC大阪戦でも得点。
 さすがに大阪には強い!?

 シュートでは磐田を上回っているG大阪だったが、明らかに相手にペースを献上する嫌な展開。それを断ち切るべく早々に平井を諦めて後半開始から川西を投入する。49分に早速左足でミドルシュートの見せ場を作ってくれた。55分、藤ヶ谷のキックに競り合ったところを磐田にボールを取られるが、遠藤の素早いプレッシャーで相手選手が軽率なパスミス。これが一気にイ・グノの下に渡り、相手ラインをそのままでスピードでぶっちぎると、左足でゴール右隅に流し込んだ。古巣との試合ともあって喜びは控えめだったが、アドリアーノ、宇佐美を欠いた今、確実に計算できるFWは彼しかいないことを窺わせた。

 
 
 
 
 イ・グノは相手のミスからきっちり決める。
 彼の活躍が攻撃の拠りどころ。

 ただ、このまま終われない悩ましいG大阪。G大阪が2-1とした後に、磐田は山本康に代えてジウシーニョを入れてくると、完全に流れは磐田に傾く。70分にはそのジウシーニョから右サイドの駒野へとサイドチェンジで揺さぶられると、その駒野から横パスを受けた山田にペナルティアークからミドルシュートを叩き込まれて2-2の同点に追いつかれるのであった。

 
 
 武井のこのプレーに川口が激高する場面も。

 試合はこのまま最後まで磐田のリズムに支配されたまま2-2の引き分けで終了。85分には山田の強烈なシュートがこれまたバーを叩いており、3-2と逆転されていてもおかしくはなかった。後味としては磐田に価値の見出せる試合内容だっただろう。とにかく山田と金園という2人のルーキーを全く捕まえられなかった。2点を返された後に時間は十分あったものの、G大阪はここを絶対的に引き離せるチームではなくなってしまっている。順位こそ5位ながら、38得点33失点という異様な戦績が今季のG大阪の異常ぶりを物語っているだろう。リーグトップの総得点とリーグワースト2位タイの総失点が同居しているのだ。これら絶対的な得点力をフォローしきれない守備面の衰えぶりに加えて、この日はバックスタンドの空席も気になった。この日の入場者数は11,364人。明らかに宇佐美が移籍した影響もあるのか、入場者数は下降気味の予感。それでも今季は万博で未だ無敗と崩れてはいない。夏場には強いG大阪、ここからいかに建て直せるか。もうこの「お決まり」の展開から卒業したい。