脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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雨中で見せる意地の張り合い -TOJITSU滋賀vs加古川-

2011年07月19日 | 脚で語る地域リーグ
 関西リーグの第11節、Div1の残り試合が18日に行われ、滋賀の野洲川歴史公園サッカー場ビッグレイクBコートでは、7位のTOJITSU滋賀FCと2位・バンディオンセ加古川が雨の中対戦。試合は吉田のゴールを守り切った加古川が辛くも逃げ切り、奈良クラブとの勝点差8ポイントをキープ。この加古川の粘りで、今節での奈良クラブの優勝はなくなった。

 

 徐々に迫る台風の影響もあり、滋賀県に入った途端に猛烈な豪雨に襲われたこの日。ビッグレイクはかろうじて小雨の状態だったが、さすがに天気が変わりやすいとされるビッグレイク。傘を差したり閉じたりさせられる不安定な天候となった。

 今季、そのホームゲームのほとんどをこのビッグレイクで催行できているTOJITSU滋賀FC。ここまで2勝3分5敗と2年ぶりのDiv1の戦いに苦しんでいる。このままでは降格圏内。なんとかホームで連敗脱出、4試合ぶりの勝利といきたいところだったろう。ここまで4得点と1人気を吐くエース・岩田を中心に負けられない。
 対する加古川も前節・三洋洲本戦にスコアレスドローで優勝がかなり厳しくなった。その前の試合もアイン相手に2-1と接戦の末に勝利。なんと今季はここまで挙げている6勝のうち5勝が全て1点差という試合で、なかなか豪快に圧勝という試合はない。とにもかくにも前期の最終戦で奈良に0-4というパンチは効いただろう。だが、直接の優勝争いの相手をこのまま決めさせてたまるかという執念が見えた。

 加古川は、MF池田がケガのためか登録外。また、池田に次いでチームの得点源だった寺本も登録外となかなか苦しい布陣。しかしながら、ケガのためか2試合戦列を離れていたFW吉田が先発に復帰して、また後期から加入したMF西口もベンチに控えるなど、層の厚いチーム力は窺える。試合が始まって14分、速いプレッシャーでTOJITSU滋賀を追い込む加古川が試合を動かす。結果的に決勝点となったゴールを挙げたのは戦列に復帰した吉田だった。加古川の右からの攻撃、安原が中央に折り返すと、ペナルティアーク付近で小山が落ち着いて落とす。これを吉田が右足で射抜いた。シュートは綺麗にカーブを描いてゴール右隅へ決まる。

 先制して、やはり地力の差を見せた加古川は追加点を狙って更に攻め込む。しかしそれほど決定機を作ることはできず、逆にTOJITSU滋賀が宇野と岡野のセントラルMF2人を起点にカウンターで良い形を作る場面も見られた。サイドでは、加古川の速い寄せに苛立ちながらも左MF田中と右MFの石倉が果敢に前のスペースを狙っており、前半こそ0-1で折り返したが、後半何かやってくれる雰囲気は感じられた。

 後半に入って、TOJITSU滋賀が案の定ボールを回せるようになってきた。ところがなかなかシュートにまで漕ぎ着けられない。加古川も徐々にミスが多くなり、両チーム合わせて後半は3本しかシュートがなく、消耗戦の様相を呈した試合は結局加古川が1-0で制した。

 これで、数字上はまだ加古川も優勝の可能性を残した。しかし、残り3節を3連勝して、かつ奈良クラブが3連敗というパターンしかそれはあり得ない。得失点差にも大きく差があるため、次節奈良クラブが負けても、加古川が引き分け以下ならば、優勝は決定となる。それもあってか、2ヶ月のインターバルを前にその前に決めさせるかという意地を見せてもらった気がする。このまま優勝が決まってしまうのも最短とはいえ少し違和感があっただけに、こちらも最後まで気を抜かずしっかりと勝って次節で優勝を決めたいところだ。
 対してTOJITSU滋賀は、降格争いという点で残り3試合厳しい試合を強いられそう。今節終わって、5位アインから最下位・阪南大クラブまでの勝点差は4ポイント。同じボトム4での直接対決をラランジャ京都と阪南大クラブと控えるTOJITSU滋賀。次節、阪南大クラブは、アインとの試合で負けると降格濃厚となるため、次節のラランジャ京都戦は必勝でいかなかれば厳しくなる。