脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

分厚い3,000人の壁

2011年07月16日 | 脚で語るJFL
 ここのところなかなか観戦機会に恵まれず、GWに太陽が丘で行われた佐川印刷-松本山雅しか観戦できていないJFL。今季から讃岐と長野を加えての18チームで、震災の影響で前期日程は不参加だったソニー仙台が復帰し、後期日程へと突入している。順位表を見るとこれがまた例年以上に凄まじい戦いの模様だ。

 Jリーグ参入を目指す準加盟チーム、そしてその準加盟を目指すチーム、また、それらとは一線を画す企業クラブなどのアマチュアチームに大別できるアマチュア最高峰の全国リーグ。現在、Jリーグ準加盟の承認を得ているのは町田ゼルビア、松本山雅FC、V・ファーレン長崎、カマタマーレ讃岐の4チーム(厳密にはJFL以外に関東2部リーグのSC相模原もある)。そして準加盟申請をして継続審議となっているのがツエーゲン金沢とFC琉球の2チームだ。

 今季のJFLは7/16(土)時点で後期第3節を消化中(震災の影響でスタートは前期第7節から)。7/15時点で首位に立っているのは、SAGAWA SHIGA FC。そしてそれを追うのは昇格1年目の讃岐という展開。SAGAWA SHIGAはこの4季で2度の王者に輝くアマチュアきっての名門企業チームだけあってこの戦績は納得。また、讃岐も持ち前の堅守を発揮しているようでリーグ3位タイの12失点と、昨季無失点で全社優勝を果たした実力はJFLでも十分通用しているようだ。この2位・讃岐を勝ち点差1で追うのが松本山雅、金沢、琉球の3チーム、そしてその集団を勝ち点差1で追いかける長野、長崎、ホンダロック、Honda、そこからまた勝ち点差1に町田が控えるという「超」混戦状態だ。1試合ごとに急転直下の順位変動が味わえるという点では当事者としたら堪らないものがあるだろう。全く優勝、J参入争いなど予想が付かない状況だ。

 準加盟チームは目に見える結果として、JFL4位以内と平均観客動員数3,000人という具体的な数字をJ参入条件として求められる。これが多いか少ないかという議論は別にして、しかし、この3,000人という数字は現在のアマチュアリーグでは本当に厳しい数字だ。
 今日、Twitterを覗いていると、JFLは町田と金沢が野津田(町田のホーム)で試合をしており、その話題が昼間のTLを席巻していた。しかし、観客数を見ると3,000人に遥かに満たない2,000人台の数字で、3,000人強は入っているイメージだったので、これは少し意外だった。準加盟の承認を得たクラブながらも、その数字がいかに難しい数字かが伝わってくる。
 これらの数字を随時順位表と共にまとめてくれているここJ.netを見てみると、7/15までの平均観客動員のトップは松本山雅の6,876人。これは最早J2レベルの数字で、あのアルウィンの雰囲気をご存知の方なら容易に想像がつくだろう。2位は4,300人ほどの差がついて町田の2,551人。3位がAC長野パルセイロの2,307人という数字。昇格1年目の長野にしては十分健闘している数字だろう。準加盟クラブに限定すれば、長崎が1,317人、金沢が1,495人、讃岐が1,897人といずれも2,000人台に乗らず苦しい戦いを強いられている。これを準加盟以外に目を移せば、関西で将来のJ入りを目指して活動するMIOびわこ草津が582人という数字だ。同じSAGAWA SHIGAが1,550人を集めていることを考えれば少しこの差にも衝撃は感じずにはいられない。決して観客動員が全てではないが、やはり平均3,000人動員というのは至極大きな壁だということを感じざるを得ない。

 大事なのは永続的な活動である。しかし、企業を母体に持たないクラブチームにとっては、有料入場者収入は貴重な資金源でもあり、おざなりにはできない。JFLへ上がることで有料試合が基本となり、観客は基本的に入場料を払うことになる。無料試合が主戦場である現在、奈良クラブがJFLへ昇格したとなると、お金を払って観に来てくれる人は一体どれぐらいいるだろうか。