脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

“脇の甘さ”は健在 -G大阪vs新潟-

2011年05月26日 | 脚で語るガンバ大阪
 J1は第12節、G大阪はACLのため2試合未消化ながら4勝1敗の9位。万博で対するのはその一つ上にいる新潟。試合はアドリアーノの試合終了間際の得点でG大阪が2-1で逃げ切った。

 

 G大阪は下平が負傷で離脱後、懸念されている左サイドバックにはなんと武井が務めることになった。対する新潟はブルーノ・ロペスが出場停止から復帰。G大阪は11日のACLグループリーグ最終節を白星で飾り、リーグでも前節・福岡戦に3-2と逆転勝利を収めた。3日後に迫っているACLのラウンド16に備えて。勝って繋げたいところだった。

 先制点は8分、G大阪がアドリアーノのシュートで試合を動かす。最終ラインの加地からボールを受けた遠藤が中央からイ・グノへロングパス。イ・グノがそのままドリブルで左からエリア内へ切れ込んで折り返すと、アドリアーノが左足で体勢を崩しながら決めた。

 
 
 リーグ戦のホームゲームでは3試合連続。
 アドリアーノの先制点。

 先制点のすぐ後、10分には宇佐美が左サイドからドリブルで際どいシュートを狙うが、これはわずかに新潟GK東口のセーブに遭う。序盤から流れは完全にG大阪だった。
 しかし、この直後にアクシデントが。CKのこぼれ球を競り合ったG大阪・二川と新潟・ブルーノ・ロペスが激しく衝突。頭部を切って流血が止まらない二川がプレー続行を不可能と判断され、佐々木が投入された。

 
 まさかのアクシデント。二川がおびただしい流血。

 
 その直後のG大阪の直接FK。
 遠藤のキックは東口の正面に。

 二川のポジションをそのまま引き継いだ佐々木を加え、さらにたたみかけたいG大阪だったが、新潟もミシェウを軸に、この試合で今季初先発の大島にボールを集めようとする。その新潟にほとんどセカンドボールを与えないG大阪。前半は新潟にシュートを1本を打たさずに1-0で折り返した。

 
 この日も明神のハードワークは健在。

 
 加地は攻撃でなく守備で持ち味を披露。

 後半が始まり、10分しないうちに新潟は中盤の小林に代わって小暮、62分に川又と若手を次々と起用。徐々にショートカウンターをメインに反撃を仕掛けていく。
 70分にはG大阪も宇佐美の突破からの折り返しをあとわずかというところでアドリアーノに合わせられず、追加点が奪えない歯がゆい時間帯が続く。
 すると、追加点が奪えない流れは守備面に影響。77分には勢いを盛り返していた新潟がミシェウの得点で同点に。G大阪は中澤のヘディングミスをそのまま詰めていたミシェウにかっさわれた。
 
 
 遠藤とミシェウがマッチアップ。

 
 左サイドバックに入った武井。
 守備だけでなく果敢に攻め上がって得意のミドルも披露。

 この後、G大阪は負傷した山口に代わって、2年目でユース出身の内田を途中起用。ここでチーム屈指の経験を誇る山口の離脱は痛かったが、今季は金正也が開幕スタメンを掴んでいたこともあり、ルーキーを中心に機会があれば積極的に守備面の新陳代謝を意識していることが分かった。
 本音を言えば、西野監督はこの同点に追いつかれたところで佐々木を使いたかったところだが、二川に前半あのアクシデントがあったことで多少プランは狂っただろう。しかし、1-1で迎えた試合終了間際の88分、カウンターで地力の差を見せたのはG大阪だった。交代出場の内田がブルーノ・ロペスからボールを奪うと、一度中澤に繋いだ後で自身で一気に遠藤までパス。新潟が守備陣形に切り替える前に左サイドでフリーになっていた武井がこの遠藤からボールを受け取ると、一気にそのままドリブル。イ・グノと前線で溜めを作ってラインを押し上げた。ここでまた手数をかけてしまうのかと思いきや、中央でボールを受けた宇佐美が強烈なシュートを見舞うと、思わず新潟GK東口が弾いてしまう。眼前にこぼれたそのボールをアドリアーノが押し込んでG大阪が土壇場で勝ち越した。

 
 キック力がハンパない東口。
 しかし、最後はセーブのこぼれ球を押し込まれた。

 
 佐々木も二川の代役を前半早々から務めた。
 十分、その代わりとしてアピール。

 
 アドリアーノが決勝弾。ゴール裏へまっしぐら。

 試合は2-1で決した。G大阪としてはもう少し楽に勝負を決めたかった試合だっただろう。今季はまだここまでリーグ戦5試合で無失点試合はゼロ。ACLの6試合においても最後の天津戦しか無失点に抑えた試合はない。この「脇の甘さ」はどうしても気にかかる。“取られたら取り返す”を地でいくG大阪だが、失点を抑えることはこの日もできずにACLラウンド16を迎えることになった。とりあえず歓喜に沸く万博が、この3日後に劇的なドラマの舞台になるとはこの試合を現地で観ていた誰もが予想しなかっただろう。

 
 この試合内容を西野監督はどう消化するか。
 結果に直結するのは3日後のC大阪戦。

 
 いつでも冷静さを失わない遠藤。
 その脳裏にはいかなるイメージが・・・