脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

レイクサイドの悲喜 -SAGAWA VS 鳥取-

2009年08月03日 | 脚で語るJFL
 JFLはいよいよ中盤戦もヒートアップ。後期第5節が行われ、佐川守山では首位のSAGAWA SHIGA FCが4位・ガイナーレ鳥取と対戦。壮絶な試合は2-1でSAGAWAが勝利し、揺るぎない首位の強さを見せつけた。

 

 凄い試合だった。フィールドでは両者ともに前半からハイトランジションでスピーディな試合展開、スタンドでははるばる山陰から駆けつけたたくさんの鳥取サポーターが90分間止めることなく大きな声を出し続ける。その光景にピリオドを打ったのは筋書きの分かり得ないサッカーのドラマツルギーだった。
 前半こそ拮抗した試合は、徐々にリズムを掴みだしたSAGAWAが先制し、鳥取が追いつく。それをまたしてもSAGAWAが突き放す。劣勢だった鳥取にとっては、最後の最後で掴んだPKのチャンスを途中出場のハメドが決められず、ドロー目前で勝点がするりと逃げていってしまった。

 
 来季のJ2入りを狙う鳥取は現在4位。
 このまま目標の4位以内でフィニッシュするためにも大事な一戦。

 
 最後尾から大きな声でコーチングを出すのはGKシュナイダー。
 正確なフィードを見せるが、痛恨の2失点。

 
 現在6得点のFW小澤が必死に前線でボールを追いかける。
 鳥取は良い形でFWにボールが集まらず。

 
 前半チャンスを作った鳥取は15分に奥山がシュート。
 これはSAGAWAのGK森田がナイスセーブ。

 
 果敢なチェイシングを見せた鳥取のFW田村。
 決定的な仕事はできず、66分に途中交代。

 
 
 
 互いに決め手を欠いた試合は0-0で後半へ。
 57分、SAGAWAはMF大沢が持ち込んで執念の先制ゴール。

 
 対する鳥取も66分にFWハメドを投入。
 彼の突破から同点ゴールを生み出す。

 
 68分にハメドの突破からの折り返しを決めたのは釜田。
 ハメドとの同時投入で見事に結果を出した。

 
 しかし、その4分後にSAGAWAの中村がスーパーミドルを叩き込む。
 鮮やかな軌道を描いてゴールに吸い込まれた。

 
 1-1で迎えた後半ロスタイム。中村が自陣ゴール前で痛恨のファウル。
 敗色濃厚だった鳥取に願ってもないチャンスが。

 
 
 しかし、まさかまさか・・・
 このPKをハメドが外してしまい、同点にはできず・・・

 
 そのまま2-1でSAGAWAが逃げ切った。
 殊勲の森田に頭の上がらない中村。
 しかし、旗手(右)や山根、大沢らと共に魅力の攻撃陣だ。

 本当にドラマチックな終焉を迎えてしまったこの試合。しかし、総括するならば首位・SAGAWAの強さが改めて強調された試合だったのかもしれない。先制点を挙げた大沢、勝ち越しゴールの中村をはじめ、司令塔の山根、攻撃的なサイドバックの旗手、榎本らで形成されるアタックは魅力に富んでいた。人もボールも連動した彼らのサッカーは幾度となく鳥取守備陣を脅かした。8連勝の後に1分1敗と調子を崩していたSAGAWAにとっては、この勝利は再びチームを加速させる大きなきっかけになりそうだ。
 対する鳥取は受け身に回ってしまいあと一歩及ばず。今季8敗目となった。今節は、一つ下の5位・高崎以下、ジェフR、佐川印刷、Honda、びわこ、町田が揃って足踏み。まだ優位な位置にはいるが、これらのチームとは勝点が切迫する展開だけに、J参入のためにはこれ以上負けられない展開となってきた。先日、元浦和の岡野の加入も発表されたばかり。勝点が団子状態のミドルゾーンを抜け出すべく、今後の奮起が一層楽しみだ。