脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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万博、失意の夜 -ACL VS川崎-

2009年06月25日 | 脚で語るガンバ大阪
 今季のAFCチャンピオンズリーグはラウンド16に突入。日本勢同士の対戦となった万博では前年度チャンピオンのG大阪が川崎を迎えて激突。前半をリードしながら、後半に立て続けの失点を許したG大阪はまさかの逆転負けを喫した。

 “この試合だけは絶対に負けられない”そんな雰囲気が試合前からスタジアムを包んでいた。G大阪はレアンドロもついに帰還し、久々にベストメンバーを組める状況で連覇を狙うACLのこの大一番。昨年の優勝を思い出せば、誰もが熱を帯びるのは当然だった。

 立ち上がりから拮抗した試合は好ゲームの予感。19分の山口の惜しいヘディングシュートを皮切りにG大阪が徐々にチャンスを作る。26分には裏に抜け出した遠藤がシュートするもわずかにゴールの左。そしてその直後に橋本のスルーパスを右サイドで受けたレアンドロがそのまま持ち込んで先制点を挙げる。ここまでゴールに飢えていた万博を歓喜と熱狂が包む。待ちに待った久々のゴールは頼れるエースの復帰弾だった。

 
 27分、レアンドロが先制ゴールを決める。

 しかし、33分に川崎・中村がエリア手前から技ありのシュートを決めて同点にされる。GK藤ヶ谷がわずかに届かない絶妙なシュートコース。やはり川崎は一筋縄に勝たせてくれない。嫌な時間に追いつかれてしまったが、それをすぐに忘れさせてくれたのもレアンドロだった。
 39分に右サイドでボールを受けた加地が悠々とクロスを上げると、ファーサイドににフリーで走り込んだレアンドロの頭にピタリと合った。しばらく実戦から遠ざかっていたとは思えないこの大会10得点目で、再びリードを奪って後半へ折り返すことになった。

 
 川崎の同点弾は絶妙なコースを辿った中村のシュート。

 
 好クロスでレアンドロの2点目を演出したのは加地。

 久々のリードする試合展開にハーフタイムを挟んでサポーターの意気は揚がった。ところが、いざ後半に入ると試合を決定づける3点目が遠い。それどころか川崎にもチャンスを与える場面も見えてきた。中盤では熾烈さを増す攻防が復帰間もないメンバーを多く有するG大阪の運動量を徐々に削りつつあった。
 ルーカスがごとごとく決定機をフイにしていると、76分に川崎はオフサイドギリギリの位置でボールを受けたレナチーニョにゴールをこじ開けられる。そして85分には明神のパスミスを相手にかっさらわれ、中村のスルーパスを受けた黒津に逆転ゴールを許してしまった。

 
 左SBに戻った安田理だったが、クロスの質と守備面で脆さを見せた。

 
 逆転ゴールを決めた黒津が歓喜の渦巻き起こるゴール裏に駆け寄る。

 G大阪にとっては最悪の展開。前年度の覇者は試合運びの面で全く“覇者”らしからぬ有様だった。試合終了と同時に失望感がスタジアムを覆い、万博ではリーグも含めて3連敗という有様にブーイングが巻き起こった。

 
 ロスタイムに中澤が渾身の折り返しを見せるがファウルを取られる。

 
 負傷から復帰の遠藤も攻撃面で奮闘したが、勝利を導けず。

 延長戦をも見越した要らぬ心配をしたのか、西野監督が交代カードを切るのが遅すぎた感は否めない。81分にようやくチョジェジンが、そしてワンチャンスを期待してか佐々木、播戸をロスタイム直前に投入するなど、大事な一戦で後手後手になってしまった。このメンバーを信じ切ったのだろうか、前半が良かっただけにゲーム修正を図れなかったことがとにかく悔やまれる。

 とにかく、勝敗は別にすれば、両者の執念が中盤の攻防に激しく見られた面白い試合だった。ピッチ上での川崎のストイックさは本当によく伝わってきた。彼らにとってはこれまで再三涙を呑んだ相手だっただけに喜びはひとしおのはず。是非、初タイトルとしてのアジア制覇を目指して欲しい。

 
 10年越しの鬼門・万博を遂に攻略した川崎。
 悲願のアジア制覇に向けて一歩前進。
 G大阪の分もドバイを目指して頑張って欲しい。