脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

全国レベルを再び経験できるか

2009年06月05日 | 脚で語る奈良クラブ
 新型インフルエンザの影響で前期第7節が順延になっていた関西リーグ。Div1、Div2共に順延分の7節計8試合が今週末に行われる。リーグ日程の折り返しとなる今節、注目は全国社会人選手権(通称:全社)関西予選への出場権をどのチームが掴むかという点だろう。

 Div1はリーグ前期日程5位以内のチームに全社関西予選出場権が与えられる。6節終了現在、首位に立っているのはA.S.京都ラランジャ。ここまでわずか1敗の勝点15ポイント。上位陣では一歩リードしている。それを4勝2敗の勝点12ポイント同士で追いかけるのがバンディオンセ加古川、三洋電機洲本、アイン食品の3チーム。ここまでの4チームは既に全社関西予選への出場を確定させている。
 注目は5位・滋賀FC(勝点7)、6位・FC京都BAMB(勝点6)、7位BIWAKO S.C.HIRA(勝点6)の3チーム。滋賀FCが次節勝利すればなんとか自力で全社関西予選の切符を掴むことができるが、仮に引き分け以下の場合は、FC京都とBIWAKO S.C.HIRAが勝利することで5位を争う形に、もしくは双方の引き分け以下を望むしかない。今週末の対戦カードは、滋賀FCが3位・三洋電機洲本、そしてFC京都は最下位に沈む阪南大クラブ、BIWAKO S.C.HIRAは首位のラランジャという組み合わせ。首位と戦うHIRAの劣勢は明らかで、現実的には滋賀FCとFC京都の勝負になるだろうと思われる。滋賀FCは勝利で文句なしの出場権を得ることができる。

 前期2位以内が全社関西予選出場の権利を得られるDiv2は首位の京都紫光クラブが既に出場権を獲得。現実的にはその京都紫光と戦う4位・奈良クラブまでが2位以内の可能性を残している。
 しかし、2位・FC堺が勝点11、3位・ルネス学園甲賀が勝点10、4位・奈良クラブが勝点9と奈良クラブが最も苦しい位置に立たされている。今節、FC堺が勝利すれば前期2位以内を決める。つまりルネス学園甲賀は自身の勝利の上にFC堺の敗戦、奈良クラブは勝利してなおFC堺、ルネス学園甲賀両チームの引き分け以下という結果しか望みは生まれないのだ。
 勝利が絶対条件の奈良クラブとしては、堺、ルネスの引き分け以下で勝点及び得失点差で堺と並んでも、総得点にわずかなアドバンテージがある。これ以上ない不利な他力本願の条件下だが、チームの総力が問われる一戦になりそうだ。試合はDiv2唯一の日曜開催。堺とルネスが土曜日に引き分け以下の試合を演じていれば絶対勝利しかない。

 昨年は、奈良県社会人選手権を制し、関西予選ではアイン食品、FC加古川を破って新潟で行われた本大会に初出場を果たした奈良クラブ。初戦の松本山雅FCの前に手も足も出ず敗戦を喫したが、あの全国レベルの戦いは若いチームに大きな経験をもたらした。未だに5日間ぶっ続けで行われる本大会の仕組み自体に“強行日程すぎる”と疑問の声は絶えないが、社会人レベルでの高い経験値を積める貴重な大会。わずかな可能性がある限り、奈良クラブにはチャレンジしてもらいたい。

 日曜日の奈良県選手権では久々の快勝劇でチームのリズムを多少なりとも修正できた奈良クラブ。大黒柱の矢部の復帰はこれ以上ないモチベーションをもたらしているはず。昇格を果たして5ヵ月弱、ここまでのチームの進化を占う重要な戦いを目前にしている。