脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良県、事実上の最下位

2009年06月18日 | 脚で語る奈良のサッカー
 今週号のサッカーダイジェストが実に興味深い特集を敢行していた。その名も「日本列島全47都道府県 サッカーどころランキング」。総務省が発表している都道府県別人口データを参照し、Jリーガーと日本代表の輩出人数、JFAへの選手・チーム登録数、全国大会での実績など、あらゆるジャンルにおいてその現状をポイント化し、格付けしている。
 
 早速、奈良県の現状をチェックしてみることに・・・
 <ランキングは47都道府県中何位かを表す>

 1.Jリーガー輩出ランキング・・・22位(11人)
 2.日本代表輩出率ランキング・・・9位(2人)

 決して多くない数字であるが、県内の人口比で算出すると、Jリーガー輩出では全国でも中位にランクイン。そして現在もGK楢・都築の両選手が活躍している日本代表輩出率は9位という位置につける。GK王国として名高い奈良県、現役Jリーガーも奈良県出身者はGKが多い。

 3.JFA登録率ランキング
  チーム・・・41位(270チーム)
  選手・・・41位(8,735人)
  監督(指導者登録との重複は除く)・・・43位(117人)
  フットサル個人登録・・・35位(814人)
  審判員・・・40位(1,949人)
  審判インストラクター・・・15位(28人)
  指導者・・・46位(350人)
  キッズリーダー・・・4位(23人)
  総合・・・40位(265ポイント)

 各都道府県がJFAに登録している8項目を人口比率で比較したこのランキング。軒並みの40位台に沈む奈良県の現状が浮き彫りに。特に指導者の登録率は最下位手前で、いかに県内の指導者が少ないか良く分かる数字となった。しかし、キッズリーダーの登録率は高い。

 4.アマチュア大会成績ランキング
 <第1種(社会人)>
  全国社会人サッカー選手権・・・28位(5ポイント)
  国民体育大会(成年男子)・・・ランキング外
  全国クラブチームサッカー選手権・・・15位(10ポイント)
  全国自治体職員サッカー選手権・・・20位(5ポイント)
  全国教員サッカー選手権・・・ランキング外
 <第2種(高校世代)>
  インターハイ・・・ランキング外
  全国高校サッカー選手権大会・・・ランキング外
  日本クラブユースサッカー選手権(U-18)・・・ランキング外
  高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権・・・ランキング外
  国民体育大会(少年の部)・・・ランキング外
  全国高等学校定時制通信制サッカー大会・・・ランキング外
 <第3種・4種(中学・小学生年代)>
  全国中学校サッカー大会・・・26位(5ポイント)
  クラブユースサッカー選手権・・・11位(20ポイント)
  JFAプレミアカップ・・・ランキング外
  高円宮杯全日本ユース(U-15)・・・ランキング外
  全日本少年サッカー大会・・・16位(10ポイント)

 過去5年間のアマチュア公式大会の成績を基に、1位からベスト16までをポイント化したこのデータ。ここで目立つのは、やはり高校世代の低迷。なんと誌面のランキングからことごとく圏外になっている。最近は奈良育英、一条など県内の高校が全国レベルの大会で際立った成績を収めていない。これが尾を引き、アマチュア総合ランキングでは65ポイントで42位という成績。関西勢では最下位という結果が出ている。
 ただ、社会人、小中学生年代ではまだ健闘しており、特に3種・4種では良い数字が出ている。ここから推測するに、やはり高校年代で良い環境、高いプレーレベルを求めて県外の高校や有力なクラブユースに人材が流出している事実は否めないようだ。

 5.スタジアム充実度ランキング・・・43位(2ポイント)

 3,000人以上15,000人未満収容のスタジアムを1施設につき1ポイント、15,000人収容のスタジアムを1施設につき5ポイントで換算しているこのランキング。県内最大の鴻ノ池陸上競技場が5,000人収容という認識で換算されているが、奈良市による公式収容人数は30,600人であり、ここは本来ならばもう少し上位にランクインできたはず。しかし、近年サッカー競技にて主力となっているのはもう一つの橿原公苑陸上競技場。どちらもメインスタンド以外が芝生席ということもあって、施設的にはランキングに相応しい位置づけかといえる。更にスタンド全体の改修を進め、積極的にサッカー競技で使えなければ厳しい。

 これらJリーガー輩出率、日本代表輩出率、協会登録数、アマチュア成績、スタジアム充実度をトータルポイントで算出した総合ランキングでは41位という結果が出ている。しかし、このランキングをよく見てみると、Jリーガーと日本代表輩出率を除けば、全ての項目で40位台というのは47都道府県で奈良県だけなのだ。まさに“事実上の最下位”というのが正しい認識だろう。非常に厳しい現実が数字として浮かび上がっている。

 最後に“ボクらの最強ベストイレブン”と題された各都道府県出身選手のベストイレブンが。
 メンバーは・・・
 GK楢正剛 (名古屋グランパス)
 DF中村祥朗 (奈良クラブ)
 DF北本久仁衛 (ヴィッセル神戸)
 DF西野努 (元浦和レッズ)
 DF柳本啓成 (元セレッソ大阪など)
 MF片山奨典 (横浜FC)
 MF矢部次郎 (奈良クラブ)
 MF内藤就行 (元鹿島アントラーズなど)
 MF西嶋弘之 (コンサドーレ札幌)
 FW前田俊介 (大分トリニータ)
 FW林丈統 (京都サンガ)
<SUB>
 GK都築龍太 (浦和レッズ)
 GK松代直樹 (ガンバ大阪)
 MF水越潤 (奈良クラブ)
 FW杉本倫治 (元セレッソ大阪など)

 というような陣容が掲載されている。未だJリーグでも所属クラブではレギュラークラスばかりというところが凄いが、これがいつまで続くのか今回の高校世代の数字を見ると懸念されるポイントだ。実績重視の陣容だが、個人的には元横浜FCの石田雅人(奈良クラブ)、元大分の吉田智尚(町田ゼルビア)、元G大阪の橋垣戸光一(奈良クラブ)、元鳥栖の東幸一(奈良クラブ)らを加えれば、十分現役選手だけでベストイレブンの構成が可能になる。

 非常に面白く、かつ厳しい現実を叩きつけられるこの企画。是非、サッカーダイジェストさんには毎年敢行して頂きたい企画である。