脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

チャンピオンズリーグ決勝トーナメントの私的展望

2007年12月22日 | 脚で語る欧州・海外


 カカが文句無しでバロンドールを獲得し、格の違いを見せつけた戦いぶりでクラブワールドカップのタイトルをかっさらったACミラン。FIFAの世界大会で欧州の面目躍如を果たしたそのミランが今季の欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメントで、まず初戦にアーセナルを迎えることになった。

 今季のミランはカルチョではうだつの上がらない戦いぶりをサンシーロのファンたちに晒しているが、欧州一の座を争うこの大会になると目の色を変えてくる。その強さは実証済みだが、やはりいくらカカを擁するとはいえ、今季の欧州覇者となるのはかなりの困難を伴うだろう。
 カルチョの戦績がこのチャンピオンズリーグという大舞台に立つための最低条件だということは言うまでもないが、今季のミランからはいささかその意識の希薄さを感じてならない。老練さを際立たせるインザーギが孤軍奮闘するFW陣は手薄感が否めず、攻撃のタクトを振るうのはその後列でシャドーとしての役割も担うカカとセードルフの2人。コンディションの整わないロナウドの放出も囁かれるここ最近であるが、この今季のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントの組み合わせには彼らも目を覚まさなければいけないだろう。

 今季のアーセナルは強すぎる。カルチョで他を寄せ付けないインテルのそれほどではないが、特にチームを担う選手のほとんどが若くエネルギッシュさに満ち溢れている。フラミニ、セスク、フレブ、ロシツキーの4人で繰り出す天下の宝刀、ポゼッションサッカーは前線のアデバヨールやファンペルシらに余すところなく、そのゴールチャンスを供給しているのだが、かつ中盤の心臓となるセスクが今季はアデバヨールと並ぶゴールゲッターとして強烈な存在感を示しているのは大きい。
 どう考えてもその彼らがミランの欧州覇者への大きな壁、いや、もしくは充分にその高い鼻をへし折ってくれる気がしてならない。今季のチャンピオンズリーグ最大の見せ場となる戦いが繰り広げられそうだ。
 23日に行われるミラノダービーでミランのカルチョにおける今後は左右されるだろう。その結果いかんでは、いかに困難な相手と対峙することになったかというチャンピオンズリーグへの危機感も募らせることになるかもしれない。

 そして、インテルと対峙するレッズことリバプールは完全に終わった。尻に火をつけて何とか勝ち抜いた1次リーグの努力と欧州覇者への再挑戦はこのネラッズーリの猛者たちの前に砕かれることであろう。それほど今季のインテルは昨季以上に抜け目のないチームだ。今振り返れば、今季のインテルに土を付けたのはチャンピオンズリーグの1次リーグで戦ったフェネルバフチェのみ。カルチョでも揺るぎないその盤石の戦いぶりは、かつて“ギャラクティコ=銀河系集団”と称されたレアル・マドリードよりも遙かにギャラクティコさを醸し出している。彼らが欧州覇者の筆頭候補であるのは間違いないだろう。

 対抗馬となるのは、同ブロックならやはりレアル・マドリードか。そして欧州を制するにはおそらくマンチェスター・ユナイテッドとの対戦は避けられないだろう。前述した恐るべきヤングパワーで勝ち続けるアーセナルとライカールトの解任もこのタイトルにかかるバルセロナも同ブロックということで、潰し合いの様相を呈しそうだ。

 まぁこんな展望を語ってもあっさり覆されるのがサッカーの面白いところであり、フットボールマニアにその中毒性を半永久的に享受してくれるのである。本気の欧州サッカーを観ることのできる熱い春に向けて、今から気持ちは昂ぶってくるものだ。

 さて、日付が変わって、今日は国内も天皇杯準々決勝を迎える。欧州覇者を虎視眈々と狙うネラッズーリのように日本屈指の攻撃的フットボールの真髄を見せる我がガンバ大阪も元旦のリベンジのために負けるわけにはいかない。そう、国立には2つ忘れ物をしているのだ。そのためにもまずは今季1勝もできなかった清水を打ち砕かなければならない。
 来年もこれから迎える欧州のシーズンのように熱い元旦を我々に与えてくれ。