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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

痛み分けのグリーンカード -MIOびわこ草津VS松本山雅-

2010年08月07日 | 脚で語るJFL
中断前のJFL後期第6節、皇子山では14位のMIOびわこ草津が8位の松本山雅FCを迎えて対戦。試合は2-2の引き分けに終わった。

 

 後期日程に入り、びわこは1勝2分2敗、松本山雅は3勝1分1敗と対照的な両チーム。特に後期に入って立て直してきた松本山雅は、先日東京Vから弦巻と飯田、岡山ネクストから武田という3選手の加入が発表されたばかり。積極的な補強で現在の順位は苦しいものの、悲願のJリーグ参入へクラブの動きは余念がない。この試合では、早速その新加入選手が結果を出すこととなった。

 前半からハイトランジションの攻防。目立ったのは松本山雅のゴール前でのチャンス逸。度々FW柿本が決定機を派手に外してしまう場面が目立ち、びわこもノーチャンスではなかった。特に前がかりになった松本守備陣の隙を突くMF安里を中心としたびわこの速攻も時折松本ゴールを脅かす。43分には安里の強烈なミドルシュートをGK石川がかろうじてセーブする場面も見られ、直後のCKの局面でもびわこはあと一歩までゴールに迫った。

 
 前半何度も決定機を逃した柿本。
 この数回のチャンスをものにしていれば・・・

 
 びわこもMF安里を起点に攻めたてる。
 左右にボールを散らせる彼の存在はチームにとって大きい。

 
 松本のクラッキといえばMF北村。
 攻守に動き回る彼にびわこMF大久保がチェック。

 0-0で折り返した後半、びわこはFW出口と阪本にチェンジ。すると、これで前線が活性化したびわこが51分にFW坂井が先制点を呼び込む。
 こうして後半序盤に先手を打たれた松本山雅は、58分にボランチの小松に代えて東京Vから期限付き加入したばかりの弦巻を投入。するとこの弦巻が入って3分ほどで活躍を見せる。中盤のルーズボールを落ち着いて胸でトラップ、そして反転した弦巻はすぐさま右サイドを走り込んだ木村にピタリとスルーパス。これを受けた木村がゴールにねじ込み松本山雅が同点に持ち込んだのだった。
スタンドから熱狂の松本サポーターが口々に「つるまきー」と叫ぶ。苦しい展開をそのパス1本で盛り返した救世主の登場にこの日も多く駆けつけたガンズサポーターは大興奮。スタンドは大きく活気づく。

 
 びわこは先制してこのまま試合をリードするかに見えたが。

 
 
 
 
 弦巻のパスを受けた木村が持ち込んでシュートを決める。
 1本のパスで局面を変えた新加入の弦巻と歓喜の抱擁。

 これで勢いづいた松本山雅は、65分に柿本がエリア内で相手のファウルを誘ってPKを獲得。このPKを柿本自身が決めて松本山雅が逆転に成功した。

 
 
 
 続いて柿本が自身で得たPKをねじ込む。
 前半の度重なる決定機逸を挽回する得点で逆転。

 ところが松本山雅はこれでチームに安堵感が出たのか、びわこが徐々にペースを盛り返す。途中交代で出場のMF伊藤が79分に狙い澄ましたシュートを決めて同点として、束の間の「松本の時間」は過ぎ去った。
 この後も両チーム互いに最後までゴールを狙いにいくが試合は2-2のまま終了。勝点1ポイントを分け合うこととなった。

 
 
 途中出場の伊藤が目の覚めるようなシュートを決める。
 これでびわこは試合を振り出しに。

 最後まで拮抗した両チーム。互いに見どころが出た試合だったのではないだろうか。前期日程の前回対戦ではびわこが0-6と大敗を喫した。今季初見となったびわこは司令塔の安里、昨季徳島セカンドの一員として地域決勝の1次ラウンドで活躍した坂井も1得点と活躍。浦島や壽など長らくチームを支える選手たちも良い動きを見せていた。この試合を見る限りそこまで実力差はないと感じられたし、少し現在の順位が物足りないという戦いぶりだった。
松本山雅は、新加入弦巻の活躍は大きかったはず。徐々に順位を上げてチームを建て直しているだけに、守備面のテコ入れという点で新加入の飯田がフィットすればまだまだ上位進出もチャンスがあるのでは。4位以内が現実的にも狙える位置まで順位を押し上げてきた。そういう意味では少しもったいないドローという結果だったが、今後のチームの変化に注目できる試合だった。

 
 途中出場の木島はかつてびわこでもプレー。
 かりゆしを経て松本山雅で戦っている。

 
 鐵戸が残り10分で投入されたが3点目のきっかけになれず。
 負傷でしばし戦列を離れていたようだ。

 これにてJFLはしばし中断。後期第7節は9月11日からリスタートとなる。

後半戦突入、SAGAWA好発進 -SAGAWA VS ホンダロック-

2010年07月05日 | 脚で語るJFL
 関西リーグに1週遅れながら、JFLも後期日程がスタート。昨季のチャンピオンであるSAGAWA SHIGA FCがホーム佐川守山でホンダロックと対戦。前々節(ソニー仙台戦)、前節(横河武蔵野戦)と勝ち切れない試合が続いていたSAGAWAだったが、この日は2-0と快勝。良い滑り出しで後期をスタートさせた。一方のホンダロックは前半チャンスを作りながらもあと一歩ゴールが遠かった。

 

 相変わらず爽快なパスワークを見せるJFL屈指のスカッドは今季も健在だった。主将・山根が深い位置で攻守の切り替えに徹し、大沢、高橋、中村らが素早く前線にボールを運ぶ。前半の早い段階からSAGAWAのパスワークはホンダロックを凌駕してゴールに迫り続けた。

 
 SAGAWAは御給が帰還し、ポストプレーで貢献。
 この日は得点はお預けもじわじわと得点ランク上位に顔を出す。

 
 まさに神出鬼没でSAGAWAの素早い攻撃をリードする中村。
 昨季のリーグMVPはこの日もキレキレだった。

 対するホンダロックも前半から果敢にSAGAWAゴールに迫る。しかし徐々に押し込まれる展開に。守備ではDF上田、GK石井が好プレーでピンチを凌ぐがSAGAWAの攻撃を食い止めることはできない。
 31分、SAGAWAは左CKをショートでリスタート。このボールにエリア付近へ走り込んだ左SBの旗手が豪快なミドルシュートを突き刺して先制点を奪う。緩急のついた彼らの攻撃はこの時間帯ピークを迎えており、39分には大沢がドリブルでホンダロック陣内で攻め込むと、右サイドを走る岡村に絶妙なスルーパス。これを岡村が折り返すと中村がダイレクトで合わせて一気に追加点となるシュートを決めた。

 
 ホンダロックは熊元を軸に攻勢に転じようとする。
 
 
 SAGAWAも先制点は旗手のミドル1発。
 浦和ユース出身の攻撃的なサイドバックが試合を動かす。

 
 その8分後には中村が追加点を奪取。

 後半はSAGAWAも少し運動量が落ち、ホンダロックがチャンスを迎える場面も見られたが、結局2点のリードは揺るがず試合は決した。前日行われた試合で鳥取が勝利したため未だ勝点9ポイント差は変わらないが、ルーキーの奈良輪をサイドに加えて昨季以上にブラッシュアップしたSAGAWA。Jを目指す各クラブにとっては依然強敵となりそうだ。
 一方、負けはしたが、ファイトしたホンダロック。宮崎の口蹄疫被害は彼らの試合にも延期や非公開という形で影響を及ぼしている。この試合も多くのサポーターがメガホンを持ってエールを送る光景が見られた。決してJを目指すクラブという形ではないものの、サッカーを通して宮崎に活力を与えていって欲しい。

 
 最終ラインで奮闘したホンダロックDF上田。
 しかしながら痛恨の2失点。

 
 口蹄疫に苦しむ宮崎でのホームゲームは2試合が延期状態。
 そしてここからホーム2試合も非公開扱いとなる。
 30名ほど応援に駆けつけたサポーターにロックイレブンが挨拶。

上昇の狼煙 -佐川印刷VS松本山雅-

2010年06月21日 | 脚で語るJFL
 W杯における日本代表の熱戦冷めやらぬ翌日、W杯による中断期間とは無縁のJFL前期第16節が行われ、佐川印刷と松本山雅が太陽が丘で対戦。試合は、終始試合のリズムを掴んだ松本山雅が2-0で快勝。3試合ぶりの勝利を手にした。

 

 昨年12月の地域決勝以来となる松本山雅の試合観戦。全国リーグに昇格した彼らの試合をこの関西で観られることにどことなく不思議な感覚を感じながらも、4位の佐川印刷に立ち向かう15位・松本山雅という構図もシーズン前は予想だにしなかったものだ。ここまでなかなか結果の出せない雷鳥軍団、直近6試合では1勝1分4敗という数字を見ると、この印刷戦及び次節のHonda戦は非常に苦しい戦いになることは間違いない。ところが、この日の太陽が丘で見られた松本山雅は少なくとも「イケイケ山雅」だった。

 
 150人は超えるであろうサポーターが結集。
 一戦必勝という感じがひしひしと伝わる。

 試合前に降った大雨の影響もあって、ピッチは水を多く含んだ厳しいコンディション。しかしながら、前半序盤の印刷の猛攻を振り切ると徐々に松本山雅が試合のペースを握っていく。北村、鐡戸が攻撃の起点になり、守備では斉藤がしっかりと印刷のパスワークをシャットダウンした。14分にはその鐡戸が右サイドを突破して上げたクロスに石田がヘッドで合わせて先制する。慌てず自分たちのサッカーをしていくには良い時間帯で先制点が奪えたことはこの日の松本山雅には大きかっただろう。

 
 水しぶきを上げるピッチコンディション。
 松本山雅は斉藤を中心に集中した守備を見せる。

 
 先制点をアシストした鐡戸。
 豊富な運動量でサイドを席巻した。

 
 14分、思いのほか早かった先制点。
 鐡戸のクロスに石田が頭で合わせて奪取。

 佐川印刷は、先制点を取られた後に櫛田が負傷交代でピッチを早々に後にする。エース塩沢が不在で、中野も出場停止だったことは痛かった。スイッチが入った際の彼らの速攻は驚異的だが、この日は松本山雅の守備の前にあと一歩でゴールを割ることができない。司令塔の大槻が中盤で孤軍奮闘するも先制点を献上したあたりから完全に試合のペースを譲ってしまう展開になった。

 1点リードで後半を迎えた松本山雅は、後半開始から再び印刷の攻勢に苦しむ。ゴールを死守する活躍を見せた石川を中心に耐えしのぐ守備陣。そして、柿本と大西が同時投入され、明らかに追加点を狙うメッセージがピッチの選手たちに送られた。75分に相手陣内でFKのチャンスを得た松本山雅、直接狙うには少し遠すぎる距離だったにも関わらず、これをDF阿部が圧巻のシュートでゴールへ。印刷GK川本も弾ききれずにボールは2点目としてゴールネットを揺らした。

 
 ファインセーブを見せた松本山雅・GK石川。
 FC東京で活躍する石川直の弟でもある。

 
 試合を決定づけた超絶FKを決めて阿部はこのガッツポーズ。
 守備でも非常に健闘。

 
 決定機は決められずも途中出場で健闘した柿本。
 ご覧の通り、ユニフォームもドロドロ。

 全く危ない場面が無かった試合ではなかったが、自分たちのサッカーをゴールに直結させたのは松本山雅。松本から多数詰めかけたサポーターの声援に応える試合運びの結果、ホンダロックの敗戦もあって順位を14位に上げることに成功した。対する佐川印刷はメンバーが整わず6位に後退し、天皇杯のJFLシード権の可能性を失う結果となった。前期は残り1試合。まだまだ折り返し地点のJFL、上昇の狼煙を上げた松本山雅の戦いぶりを見ていると、今後も十分順位の変動はありそうだ。

町田、無敗決戦制す -佐川印刷VS町田‐

2010年04月29日 | 脚で語るJFL
 太陽が丘陸上競技場で行われたJFL前期第8節。共に無敗でここまで戦ってきた佐川印刷と町田ゼルビアがマッチアップ。特に来季のJ参入を狙う町田はここまで6連勝で、相馬新監督の下この日も堅実な攻守を披露。佐川印刷を4-1と破って破竹の7連勝を達成し、Jリーグ参入に向けて視界は良好のようだ。

 
 GK吉田やDF藤田、MF星、FW木島などJから確実な補強。
 ここまでの戦績にそれが結実している町田。

 前半こそ佐川印刷が町田のゴール前に攻め込む場面が目立つものの、DF深津を中心とした町田の守備陣が集中を切らさずこれを阻み続ける。徐々に試合のペースを掴み始めた町田は、35分に木島のシュートのこぼれたところを勝又が頭で押し込み先制。その直後にもDF藤田がゴールはならなかったものの強烈なミドルを見舞うなど試合を盛り上げ、前半を1-0で折り返すこととなった。

 
 MF櫛田を軸に攻め入る佐川印刷だったが・・・
 町田の守備を崩せない。

 
 福岡から加入のGK吉田は再三好セーブを披露。
 かつてはJリーグベストイレブンにも選出された守護神。

 
 切り替えの早さが目立つ町田。
 35分に勝又が待望の先制点を挙げる。

 後半に入ると序盤から町田が高い攻撃力を見せつける。47分には木島の得点ランク単独トップとなる7得点目で追加点。54分にはその木島のゴールラインギリギリの折り返しをMF半田が詰めて3点目と効率的に追加点を重ねる町田。佐川印刷はその後に反撃の狼煙を上げるが、塩沢のヘッドがバーに弾かれるなどゴールがわずかに遠い。79分には平井が1点を返すが、町田が直後の81分に川邊のヘッドでダメ押しの4点目を叩き出して試合は決した。

 
 このままではいくまいと後半、佐川印刷も反撃に。
 大槻に代わって攻撃のタクトを振るった中井が厳しいマークに。

 
 54分、町田は木島のクロスに川邊が頭で決めて3点目。
 どこからでも点が取れることを証明。

 
 印象的だった町田の主将・柳崎の姿。
 広い範囲で佐川印刷の攻撃の芽を摘む。

 
 佐川印刷も平井が1点を返したが、塩沢は沈黙。
 4位につけるスタートダッシュにいよいよ土が。

 前節、ホーム野津田で松本山雅を6-1で下し、そして今節も無敗同士の対戦でこの展開。町田の強さを十分に確信できる試合だった。かつては堅守にウエイトのあるイメージだったが、中盤に星、そして木島といったJリーグ経験者を加えて今季の攻撃力は脅威。昨季途中からの勢いそのままに来季のJリーグ参入を一目散に目指す。このチームを止めるチームは出てくるのか、今後のリーグの展開が楽しみだ。

 
 強い町田。今季ここまで21得点5失点と内容も申し分ない。

 
 今季から指揮を執る相馬監督。
 定評のあった解説者時代とは違った熱い一面を披露。

無敗のプリントダイナマイト -佐川印刷VS秋田‐

2010年04月25日 | 脚で語るJFL
 2010年度のJFLは新たに松本山雅FC、栃木ウーヴァFC、ツエーゲン金沢の3クラブを加えた18チームで3月14日から開幕している。既に今週末で7節目を迎えているJFL。京都の太陽が丘陸上競技場では佐川印刷と昨季までのTDK SCからチーム名を改称してJリーグ参入を狙うブラウブリッツ秋田の一戦が行われ、2-1で佐川印刷が勝利。ここまでの7試合で無敗を貫いた。

 

 6節を終えて佐川印刷は3勝3分0敗。5節MIOびわこ戦ではエース塩沢の4得点を含め8得点の猛攻を見せるなど好調さが際立つ。対するアウェイの秋田は2勝2分2敗とまずまずのスタート。前節の町田戦では1点差で勝利を逃しているため、この試合を制して勝ち越しを狙いたいところだ。

 
 昨季から秋田でプレーするFW菅原。
 かつてはグルージャ盛岡で地域決勝にも臨んだ。

 
 今季から1stカラーが赤に変更された佐川印刷。
 ホームの声援を味方に2年目の櫛田がボールをキープ。

 開始早々の4分に高橋の得点で先制した佐川印刷だったが、追加点は立て直した秋田の守備の前に遠い。前線の松田と菅原という長身2トップに合わせてアーリークロスを放り込む秋田の前に徐々に守備に追われる時間も増えていく佐川印刷。32分にはCKから秋田FW菅原に頭でゴールを割られるもののここはキーパーチャージで事なきを得る。しかし、39分にはエリア内で吉木が相手選手を倒しPKを与えてしまい、これを松田に決められ1-1とされ前半を折り返した。

 
 
 FC東京をはじめ7クラブを渡り歩いた松田。
 秋田の前線の起点として貴重な同点PKを決めた。

 
 佐川印刷FW平井がゴール前に迫る。
 それを阻む秋田DF高橋。集中した守備。

 後半序盤から試合のペースを掴んだのは秋田。56分にMF今井が最終ラインからのロングパスを受けそのままにゴール前へ切れ込みシュート。これは惜しくもバーに弾かれる。しかしながらこの直後にDF富永が警告2枚目で退場処分。ここから攻勢を秋田は徐々に失うことになった。

 
 秋田守備陣の中核として君臨していた富永。
 後半の早い時間帯にピッチを去ることに。

 
 貴重な先制点を決めた佐川印刷DF高橋。
 秋田の長身FW陣を空中戦でシャットアウト。

 是が非でも追加点を先に取りたい両チームの戦いはラスト10分からヒートアップ。双方に決定機を作り出すと、それに呼応するように両チームの守護神がビッグセーブを見せて観衆を沸かす。3分が提示されたロスタイムに突入した1分後、佐川印刷はここまで得点ランクトップタイを走るエース塩沢が劇的な勝ち越し弾を頭で決めて試合を制した。

 
 プリントダイナマイト快進撃。
 塩沢のトップタイとなる6得点目のゴールで勝負を決めた。

 無敗を貫く佐川印刷の快進撃。他会場では来季のJ参入を狙う首位・町田ゼルビアをはじめ上位陣が揃って勝利。順位に変動はないものの次節はその首位・町田を迎えての無敗同士の対決が実現することとなった。これは非常に面白い試合になりそう。対して惜しくも勝ち点1ポイントを逃した秋田も今後は上位陣との戦いが続く。北東北初のJ参入を目指す秋田の戦いぶりも今後注目だ。

お手並み拝見

2010年02月16日 | 脚で語るJFL
 今日16日に行われたJリーグ理事会にて、今季からJFLに昇格する松本山雅FCと神奈川県リーグ1部に所属するSC相模原の準加盟申請が承認された。

 Jリーグ以下のカテゴリーにアンテナを張っているファンには既知の通り、松本山雅に関しては今回の準加盟承認は申し分ない結果だろう。昨年12月に行われた地域リーグ決勝大会決勝ラウンドは地元アルウィンで行われ、4部のカテゴリーにも関わらず3日目には1万人を超える観衆がスタジアムに詰めかけた。あの地元の盛り上がりそのままに1年でのJリーグ参入を決めてしまうのではとも思ってしまうぐらいだ。とにかく松本山雅にとっては、Jリーグを目指すための万全の体制が仕上がったというわけだ。

 対して、準加盟承認チームとしては、史上最低カテゴリーでの加盟を果たしたSC相模原。以前もこのブログで書いたように、運営面では政令指定都市化を控える相模原市の全面バックアップも取り付けているようで、2階級特進のチャンスをこの準加盟によって見出したといっても良いだろう。つまり、JFA推薦枠を使った全国地域リーグ決勝大会進出が今季の戦績いかんで認められるだろうということである。その推薦枠の認可自体が「チーム力が群を抜いて強力であると認められること」といういささか曖昧な準拠枠であるために、この点は議論の余地を大きく残す(個人的にもこの枠は不要だと思う)が、とにかく県リーグカテゴリーでJリーグ準加盟を果たすということが驚きとしか言い表せない。これは純然たるクラブ側の何らかの努力の賜物なのだろう。

 ただ、あとはチーム自体が群を抜いて強力だといえるような戦績を残さなくてはいけない。昨年、一昨年の全国クラブチーム選手権大会を制覇しているとはいえ、アマチュアカテゴリー屈指の過酷さである全国地域リーグ決勝大会を戦い抜くレベルに達するかどうかは未知数だろう。それには10月に山口で行われる全国社会人選手権大会が一つの指標となるはずだ。選手たちはある程度のプレッシャーを背負わなければならない。また、3年前のMIOびわこ草津、昨季の松本山雅と金沢がそうであったように、例年ならば全社枠も地域決勝への進出が確保されるため、これは地域リーグで戦績が残せなかったチームへの敗者復活の権利となり得る。JFLへの貴重な切符ともなり得る権利だ。今回のSC相模原は、おそらく最低でもこの全社枠を勝ち取れる戦績を残さなくてはならないだろう。そうでなければ、おそらくこの「全社枠」というものの意味性がJFA推薦枠並みに曖昧にされてしまいそうである。そういう意味でも今季は様々な視点から彼らに注目が集まるだろう。全国の地域リーグファンから、いかにも「お手並み拝見」という声が聞こえてきそうだ。

鳥取、Jへの挑戦は続く

2009年12月01日 | 脚で語るJFL
 JFLは今季の全日程が終了。SAGAWA SHIGA FCが王者に返り咲き、ニューウェーブ北九州(来季よりギラヴァンツ北九州に改称)が4位以内に食い込んでJ参入内定を勝ち取った。そして、この日曜の最終節はやはりガイナーレ鳥取がJ参入条件の4位以内でフィニッシュできるか否かに大きな注目が集まった。

  
  8月2日後期第5節VS SAGAWA SHIGA FCにて

 ちょうど関西学生リーグの最終節を観戦しながら、東山で行われている鳥取の試合経過を気になってしょうがなかった。相手はV・ファーレン長崎、試合は前半の時点で長崎がリードする展開。裏で4位・ソニー仙台が同じく同時刻で試合を行っているため、そこでソニー仙台が勝利すれば鳥取は勝利してもJ参入条件の4位以内を確保できないことになる。結局、鳥取は逆転で長崎を下したものの、ソニー仙台がジェフリザーブズに勝利したため、来季のJ参入は夢に終わってしまった。試合に勝利したとはいえ、決して喜ぶこともままならないスタジアムの雰囲気を考えると、何とも言えない気持ちになる。現地を取材されていた宇都宮徹壱氏のツイッターに試合終了後の主将・吉野による挨拶の動画がアップされていたが、サポーターに声にならない声を絞り出す姿とその言葉を静かに聞くサポーターのやりとりが印象的だった。

 かなり以前のSC鳥取時代から地元の日本海新聞などが積極的にチームのJFLでの戦いぶりを取り上げていた。仕事で山陰地方に行った際にたまに見かけていたものである。そういえば、昨年に鳥取でタクシーを利用した際も運転手がしっかりチームの存在を知っており、「とりぎんバードじゃ米子みたいに人が集まらない」と東西に広い鳥取県ならではの苦悩がうかがえる話も聞いたものだ。Jリーグ参入挑戦を公言して足かけ5年。今季は序盤戦で首位を独走しながら、中盤戦の3ヵ月11試合で4連敗を含む7敗を喫してしまったことが急ブレーキに。リーグ最多得点の攻撃陣を擁し、もうあと少しまで迫ったJリーグへの道だったが、再びスタートラインに引き戻されることになってしまった。

  

 今季、鳥取にお目にかかれたのは佐川守山での1試合だけだったが、思えば1点差で負けていながら最後の最後で得たPKのチャンスをハメドが外してしまった非常に残念な試合であった。この目で観ているだけにあそこであのPKが決まっていれば、また違う流れになったのかもしれないと、この結果を知った際にふと思い出してしまった。

 なかなか大都市圏からのアクセスも不便である山陰地方からJリーグクラブを生み出す。このチャレンジだけでもどれだけ困難が伴うことか。おそらく最も熱くなっていた地元の人々にとっては忘れられない本当に悔しい試合になってしまったはずだ。しかし、ラストチャンスという訳ではないはず。昨年あたりから問題視されている債務超過の運営面もしっかり建て直して、再び県民を熱くさせる戦いを続けて欲しい。これからもずっと、鳥取の戦いは他の地域クラブの大きな励みになっていくはずである。

町田、SAGAWAの胴上げを阻止 -SAGAWA VS 町田ゼルビア-

2009年11月15日 | 脚で語るJFL
 JFLは後期第15節を迎え、いよいよ大詰めの時期。今節勝利すれば文句なしで優勝の決まるSAGAWA SHIGA FCがホーム佐川守山に町田ゼルビアを迎えた一戦。しかし、試合は3-1でアウェイに乗り込んだ町田が快勝する展開となった。

 

 この試合の見所はもちろんSAGAWAの優勝の行方だが、かつてこのSAGAWAでエースとして君臨した町田・FW御給の凱旋試合という面や昨年の全国地域決勝大会1次ラウンドでJFL昇格までの戦いを垣間見た町田の成長ぶりという面からも見所の多い試合だった。

 
 勝ってホームで優勝を決めたいSAGAWA SHIGA FC。
 前節の佐川印刷戦の逆転勝ちで勢いは衰えていない。

 
 目の前で胴上げを阻止したい町田ゼルビア。
 後期ここまでの14試合でまだ1敗しかしておらず、絶好調だ。

 試合は序盤から町田が果敢にボールを回し、10分に石堂、20分には御給が惜しいチャンスを作り出すものの、徐々にSAGAWAが首位チームの実力を見せ盛り返す。35分には右SBの榎本がゴール前まで攻め上がり、GKと1対1のチャンスを迎えるが得点には至らない。試合は好勝負の内容でスコアレスにて後半へ折り返す。

 
 町田は今季より鳥取から加入のGK修行が最後尾から声を張る。

 
 SAGAWAは山根や中村、大沢(写真)を軸にサイドから攻撃。

 
 それを阻む町田の守備は固い。
 ボランチの石堂、大前をはじめ、CB深津らが寄せ付けない。

 
 SAGAWA・中村の突破を町田・斉藤が阻む。

 
 横浜FCへの移籍を経て、懐かしの守山に凱旋した御給。
 かつてのチームメイトからの容赦ないマークを受ける。

 
 先制したいSAGAWAは素早いリスタートからこのチャンス。
 榎本があと一歩で決められない。

 冷たい風が強くなり、冬の訪れともいえる寒さを感じる中で始まった後半戦。サイドの旗手、榎本を効果的に使いながら町田ゴールを脅かすSAGAWAに対して、決して焦らず堅実な守備から入り、前線の御給のポストプレーから好機を作り出す町田。先制点の機会は町田に突然訪れた。70分に飯塚が落としたところに山腰がシュートを狙う。わずかに相手に当たりゴールを逸れたが、その直後のCKをDF森川が合わせて町田が先制に成功。一気にチームとサポーターのボルテージを上げる。
 その7分後には酒井の左サイドからのドリブル突破から折り返したところを山腰が決めて町田が追加点を挙げる。SAGAWAの攻撃を凌ぎ、完全に自分たちのリズムに試合を持っていく。

 
 新潟経営大から今季加入したルーキー・飯塚。
 町田の攻撃を効果的なドリブルとボール捌きで牽引。

 
 70分に森川がCKから先制点を決める。
 これが負けない町田。魂の咆哮にベンチも歓喜の渦に。

 
 78分、酒井の左からの折り返しはフリーで待つ山腰の下に。
 これを決めて町田が試合を決定づける。

 その直後にSAGAWAは緩慢だった町田守備陣の隙を突き、中村が反撃の1点を返す。しかし、町田のペースは全く揺るがず。ここまで交代のカードを全く切っていないながらも大沢が下がり、中盤の構成力を失ったSAGAWAを凌駕していく。
 84分には2点目をお膳立てした酒井が抜け出して3点目となる得点を決めて再び2点差に。このまま試合を決めた町田が後期の戦績を8勝6分1敗としてSAGAWAの優勝を食い止めてしまった。

 
 84分、SAGAWAを砕く3点目を町田・酒井が決める。

 
 試合後に町田サポーターが「俺たちは強い!」と連呼していた。
 その思いは選手たちの中でも共有されているのだろう。

 
 終了間際にはガンバユース出身のブルーノも途中出場。
 まだ若い好プレイヤーは新潟を経て、町田で勝負する。

 
 サポーターの凱歌と勝利を収めた選手たちの雄叫びが舞う。
 町田ゼルビアの大きな成長ぶりを感じた試合だった。

 昨年の地域決勝1次ラウンド時には攻撃よりも守備からしっかり構築していくチームだった印象のある町田。前期の結果だけを見ていると、昇格初年度のJFLで大いに苦戦している印象が色濃かったが、御給という前線の軸の加入と今季から加入した飯塚や修行、深津、斉藤らのニューフェイスがさらにチームの総合力を底上げしている。今季のJ参入は叶わなかったが、来季以降は間違いなくこの調子でJFLの台風の目になりそうである。チーム創立20周年の今季は大きな飛躍のシーズンになったのではないだろうか。
 対するSAGAWAは優勝が次節以降に持ち越しになった。ホームで決められなかったが、次節は勝利で文句なし、引き分けでも2位・横河武蔵野が引き分け以下であれば優勝が決まる。得点ランキング3位に位置している中村は得点王も狙えるだけに、彼を中心に何が何でも次節に2年ぶりの優勝を決めたいところだ。

スコア以上の快勝劇 -MIOびわこ草津VSV・ファーレン長崎-

2009年10月26日 | 脚で語るJFL
 JFLは後期第13節を迎え、今季は残り5試合となった。滋賀・皇子山では上位進出をを窺う9位・MIOびわこ草津が7位のV・ファーレン長崎と対戦。予想以上に連動したサッカーを見せたびわこが3-0と完勝を収め、長崎を抜いて7位に浮上した。

 

 スコア以上の圧勝劇となった。前半から優勢に試合を組み立てるびわこが攻守で長崎を圧倒する展開。特に中盤のプレスが大変機能していたびわこは、高い位置でボールを奪うと、アラン、木下、安里と前線の選手たちが躍動する。前半こそスコアレスで折り返したが、後半に効率良くびわこは得点を重ねた。

 
 自身の得点こそ無かったものの、縦への突破力は脅威。
 びわこはアランがボールを持てばスタンドが沸いた。

 
 びわこはMF浦島を中心に中盤の守備が機能。
 自身も前後半で3度の決定機に絡むなど攻撃でも貢献。

 
 前線にボールを運びたい長崎。
 しかし、DF畑、谷口で固められたびわこの守備を崩せず。

 
 攻め続けるもゴールが遠かったびわこは52分に先制。

 
 MF中濱が中央へ入ったボールに瞬時に食らいついた。
 これで俄然盛り上がるMIOびわこ草津。

 
 64分にはMF安里が一人で持ち込み追加点を決める。
 5ヵ月ぶりの皇子山、スタンドの盛り上がりは最高潮に。

 
 びわこは更にパス能力に長けたMF田中を投入。
 長短織り交ぜたパスで長崎の守備網を混乱させる。

 
 攻撃の止まらないびわこ。
 84分にFW木下が持ち込みシュート。

 
 これに安里が滑り込んで3点目を挙げる。
 まさに試合を決定づける1発だった。

 
 長崎は途中から佐藤を投入して反撃に転じようとするが・・・
 びわこの前にほとんど何もできず、完敗を喫した。

 
 好ゲームを演じて前節から完封勝利の2連勝を果たしたびわこ。
 前回の皇子山開催より遙かにスタンドの観客は多かった。

 中位チーム同士、実力的にはほとんど差はないかと思われたが、びわこが攻守に非常に機能されたサッカーを見せての圧勝であった。現在得点ランキング2位につけるFW木下を中心に、総得点ではリーグでも3位タイの攻撃力はいかんなく発揮されており、守備でも細貝、谷口、畑、桝田のDF陣がボランチとの隙間を埋めるハイラインぶりでチームのプレッシングサッカーに大きな貢献を果たしていた。
 加えて、子供たちから年配の観戦者まで多くの観客で埋まった皇子山のスタンドもホームチームを後押ししたのではないだろうか。物販スペースも充実しており、「滋賀からJリーグへ」という機運は2年目のJFLで健闘を続けるMIOびわこ草津によって徐々に盛り上がりを見せている。

 Jリーグ準会員ではないので、現実的な目標とはならないが、今季びわこが4位以内に食い込む可能性はまだ十分にありそうである。少しでも順位を上げて、県内だけでなく国内全域にその力をアピールできるか。間違いなく総合力を上げつつあるびわこにとってはそれは難しいことでもなさそうだ。

湖国夏の陣 -SAGAWA VS MIOびわこ草津-

2009年08月16日 | 脚で語るJFL
 後期第7節を迎えたJFLは、同じ滋賀県に本拠地を置く首位・SAGAWA SHIGA FCと6位・MIOびわこ草津が佐川守山で激突。両者譲らぬ激しいダービーは、結局0-0で試合を終え、両チーム勝点1を分ける形となった。

 
 直近の12試合でわずか1敗しかしていないSAGAWA SHIGA FC。
 前節Hondaを下し、2年ぶりの優勝に向け視界良好だ。

 
 序盤戦こそつまずいたが、建て直してきたMIOびわこ草津。
 現在6位につけるなかなかの戦いぶり。ダービーを制したい。

 
 序盤から試合のペースを握ったのはびわこ。
 MF安里がSAGAWAの包囲網をかいくぐりチャンスを作る。

 
 SAGAWAの中盤のダイナモ大沢。
 主戦場であるサイドから中央へとドリブルでチャンスメイク。

 
 びわこの攻撃の起点は主将も務めるFW田中大。
 少し引いた位置から自在に長短のパスを繰り出す。

 
 SAGAWAも負けじとMF山根が攻撃を組み立てる。
 しかし、びわこの高いライン設定の前に大苦戦。

 
 24分、びわこはCKからDF浦島が強烈なヘディングシュート。
 惜しくも決まらず。

 
 現在得点ランキング2位タイのびわこ・FW木下。
 彼のポストプレーにSAGAWA守備陣も手を焼いた。

 
 まさに超攻撃的CB。
 43分にもまたしてもびわこは浦島が強烈なシュート。
 びわこは決定機を迎えるが、あと一歩でゴールが遠い。

 
 押し気味のびわこに対してSAGAWAは44分にDF榎本が退場。
 苦しい展開を強いられることになった。

 
 後半戦も互いに譲らぬ好ゲーム。
 びわこは内林、アランと攻撃的なカードを切って1点を狙う。

 
 80分、SAGAWAにビッグチャンス。
 MF岡村がびわこゴールに迫るがGK田中剛がファインセーブ。

 
 結局試合は0-0のスコアレスドローに終わる。
 1人少ない状況でも負けないSAGAWA、勝点を50に増やした。

 同じ滋賀県勢同士の戦いともあって、多くの観客が詰めかけスタンドの雰囲気も上々だったこの試合。前期ではSAGAWAがびわこに苦杯を喫しており、SAGAWAは首位チームとしてのプライドを見せたかったところだ。この日は若手の宇佐美が存在感を発揮。勝てなかったものの、優勝への障害は特になさそうな様子だ。
 びわこも高いDFラインとパスワークを武器に、首位のSAGAWA相手に試合を優勢に進めるなど、チームの好調さを裏づけたのではないだろうか。今節は来週まで未消化試合を残しているため、まだ暫定ではあるが、びわこがこの引き分けで5位に浮上。今季の戦いを上位でフィニッシュすることも現実味を帯びてきた。

 試合前とハーフタイムにはショーやライブが催され、テレビの取材が来ているなど、運営面でも質の高い試合だった湖国ダービー。しっかりと県内でその存在が認識されている様子がスタジアムから伝わってきた。