歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

リステンパルトとシュタルケル

2010年12月02日 | 音楽について
大学に進学して引っ越しするまで暮らした実家には、バッハのLPが二枚ありました。一枚はリステンパルトの指揮の『ブランデンブルク』5番と『管弦楽組曲』2番をカップリングしたもの。もう一枚はシュタルケルの『無伴奏チェロ組曲』のたしか1,5,6番(だったと思う)。リステンパルトのは廉価盤で出ていたのをわたしがお小遣いで買いました。シュタルケルのほうは分からない。自分で買ったんだっけ。うちのおやじは別にクラシックのファンて雰囲気はなかった人ですが、趣味人で、クラシックのLPを三四枚ばかりは買って持っていたので、その中にあったのかも知れない。

でも、ずっと忘れてたんですよ。大学に進んで、合唱をして、やがて本格的に古楽に目を開くようになって、最初に買ったCDがガーディナーの『メサイア』で、その後しばらくは一本道で古楽オタクだった。時代楽器をもちいたバロックものやルネサンスのア・カペラものばかり聴いていた。リステンパルトもシュタルケルも、長いこと完全に忘れ去ってました。

しかし大したもので、いまだに、リステンパルトやシュタルケルのバッハがどんな音だったか、かすかに思い出せる。いや少なくとも思い出せるつもりでいます。リステンパルトのは冴え冴えとして、かつ端然とした風情の演奏。いっぽうシュタルケルのは、とにかく男性的な、力でバッハをねぢ伏せるようなスピード感のある演奏だった。

リステンパルトもシュタルケルもCDになって今日なお入手可能なようで、ってことはこれだけ時を経てもそれなりに価値を認められているということなんでしょう。そういういい演奏に中高生のころに巡りあえてよかったなあと今にして思いますね。あの頃、もしうちにリヒターのバッハのLPがあって、聴いてたりしたら、今のわたしの音楽観もよほど変わっていたでしょうね。なんか恐ろしいような気もしますけどね。

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