ちょっとうっかりしてましたが、わたしが読んだ新潮文庫版『武蔵野夫人』は平成17年10月25日の74刷です。出典のページ付けは同版のもの。今どきの文庫本にしては字が小さめでした。税別400円。今Amazonで同じ本を見ると、カバーが違う。それに値段も高くなっている。たぶん、わたしが買った後で、字を大きくして組み直したんだと思う。だから、最新版ではページ数が違うはずです。念のため申し添えておきます。
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【足踏み】
「仲人に立った秋山の旧師の大学教授も、ほとんど形式的なものであった上に、一種の偏屈者である秋山は普段からあまり足踏みしていなかった。」(大岡昇平『武蔵野夫人』新潮文庫、p.183)
こういう「足踏み」の使い方をわたしは初めて見ました。けど、こういうの、あるんですよ。『日国』は「ある場所や家などに足を踏み入れること。訪問。でいり。」として、16世紀以降、近世までの例を挙げている。でも近代の例はあがってないので、この『武蔵野夫人』のは貴重な用例になるでしょう。なお、『日国』以外の辞書では、『大辞林』も『大辞泉』も、この語義を拾っていません。
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【鏖殺[おうさつ]】
「勉はふとこの取水塔に毒を投げ込めば、東京都民を一挙に鏖殺できるかも知れないと考えて、自分の考えに驚いた。」(『武蔵野夫人』p.212)
「鏖」はこれ一文字で「みなごろし」。このことはなぜか知っていたんですが、これも実際に本を読んでいてこの字にぶつかったのははじめてだったので、記念にメモ取り。
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【足踏み】
「仲人に立った秋山の旧師の大学教授も、ほとんど形式的なものであった上に、一種の偏屈者である秋山は普段からあまり足踏みしていなかった。」(大岡昇平『武蔵野夫人』新潮文庫、p.183)
こういう「足踏み」の使い方をわたしは初めて見ました。けど、こういうの、あるんですよ。『日国』は「ある場所や家などに足を踏み入れること。訪問。でいり。」として、16世紀以降、近世までの例を挙げている。でも近代の例はあがってないので、この『武蔵野夫人』のは貴重な用例になるでしょう。なお、『日国』以外の辞書では、『大辞林』も『大辞泉』も、この語義を拾っていません。
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【鏖殺[おうさつ]】
「勉はふとこの取水塔に毒を投げ込めば、東京都民を一挙に鏖殺できるかも知れないと考えて、自分の考えに驚いた。」(『武蔵野夫人』p.212)
「鏖」はこれ一文字で「みなごろし」。このことはなぜか知っていたんですが、これも実際に本を読んでいてこの字にぶつかったのははじめてだったので、記念にメモ取り。
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