歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

マロン『パーセル/テンペスト』

2008年12月27日 | CD パーセル
Purcell
The Tempest / If ever I more riches did desire
Trumpet Sonata / Trumpet Overture to 'The Indian Queen' / Chacony
Aradia Baroque Ensemble
Kevin Mallon
8.554262

1997年録音。76分14秒。NAXOS。セミ・オペラ《テンペスト》を中心に、パーセルのいろんな曲種の世俗曲を収めています。パーセルの世俗音楽の入門CDとして悪くない。例のブリテンの曲やなんかでパーセルに関心持った人がはじめて買うCDとして、とてもいいと思います。《テンペスト》はいい曲なのに録音が少ないのでその意味でも貴重。歌手は特にソプラノが清新で耳に残ります。ただイギリスのプレイヤーたちによるものと較べるとあっさりしてコクが足りないと思われるかも。

ケビン・マロン&アラディア・アンサンブルはシャルパンティエ同様パーセルでも実にフレッシュです。トラック6で入ってくるトライアングルの音とか、ちょっとしたことなんだけど「おっ」と思わせる小技が効いてる。

トラック7のアリア"Dry those eyes which are o'erflowing"、トラック14のアリア"Halcyon days, now wars are ending"、トラック16の二重唱と合唱"No stars again shall hurt you from above"あたりがとくに聴きもの。パーセル円熟期の優美なメロディーラインを楽しめます。

《チャコニー》Z.730や《トランペットと弦楽のためのソナタ》Z.850も収録。Z.850はNHKの『名曲アルバム』でもやってました。ヘンデルもトランペットの鳴らしかたはかっこいいけど、パーセルはよりかろやかです。

録音はエコーが強め。なおかつ古楽器の音がシャカシャカしていてやや気になります。こういう音色の古楽器録音は昔はときどきありましたけどね。録音場所はトロントの教会だそうです。それからこのアンサンブルは来年の生誕350年を期してのことでしょうが、パーセルの劇音楽の録音を始めました。わたしはホグウッドの6枚組をすでに持っているのであわてて買うのはよしときますが、興味はあります。