歌わない時間

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The King's Singers on TV

2008年09月25日 | 音楽について
YouTubeでJanequinを検索していたらキングズ・シンガーズの《Madrigal History Tour》の映像に行き着きました。これはいまCDの音源が国内盤でも入手可能なものなんですが、BBCでそういう番組を作ったときに制作されたレコードです。これの映像が見られるなんて思いもしなかった。CDは1983年録音というから映像もそのころのもので、キングズ・シンガーズの6人の歌い手が解説を加えながら、ルネサンスの代表的な世俗曲をロケの映像をふんだんに織り込みつつ聴かせていくんです。

この映像の歌いぶりは、まったく古楽専門のアンサンブルと遜色ないです。もちろん彼らのことだから洒落っ気はたっぷりなんですが、雑な感じはぜんぜんないのね。超絶技巧は分かっていたはずですが、こうして映像で見てみるといやまったく非の打ち所がないテクニックで、しかも嫌みがないんですよ。

さらに特筆すべきはコンソート・オブ・ミュージックが器楽ばかりでなく歌でも参加していることです。音盤では、キングズ・シンガーズが歌を歌って、コンソート・オブ・ミュージックは伴奏で加わる、というかたちだったのね。ところがテレビの映像ではコンソート・オブ・ミュージックも歌ってるんです。あくまでもキングズ・シンガーズがメインの番組なのでところどころ出てくるだけではありますが、カークビー、タブ、ニコルズ、コーンウェル、キング、ウィストライクという顔ぶれに、デイビッド・トーマスも1曲歌ってました。

キングズ・シンガーズは当時とはメンバーが全員入れ替わって現在も活動中ですけど、あの《Madrigal History Tour》を見せられてしまうと、やっぱり古楽との相性では当時のほうが数段上かなあと思いますね。当時からレパートリーは広かったですけどね。