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アートネタなど日々のあれこれ

海の上のピアニスト

2020-09-06 17:11:31 | 映画
恵比寿ガーデンシネマで「海の上のピアニスト」を見てきました。

あの「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督とエンニオ・モリコーネの音楽、ということで、公開当時から気になっていた作品ですが、なぜかタイミングを逃したまま、今日に至り・・・そして、モリコーネもつい2か月前に亡くなりました。ひさびさにあの音楽を映画館で堪能したいと思い、行ってきました。ちなみに私が見たのはデジタル4K版です。

まだまだ再上映される機会も多い作品でしょうから、ネタバレになりませんように・・・。大西洋を巡る豪華客船ヴァージニアン号である日、籠に入れられた赤ん坊が見つかりました。両親はいずことも知れず・・・。黒人の機関士に拾われた彼は1900(nineteen-hundred)と名づけられ、荒っぽいながらも大切に育てられました。いつしかピアノの才能に目覚めた彼は船内のハウスバンドのピアニストとして活躍することになるのですが・・・。その半生が彼のバンド仲間だったトランぺッターのマックスによって語られます。

印象深いシーンはいくつもありました。まずは1900とマックスの出会いのシーン。恐ろしく揺れる船の中、床の上をスケートのように滑るピアノで1900が平然と、そして華麗に弾きまくります。最も印象深かったのは、1900とジェリー・ロール・モートンのピアノ対決シーン。1900が千手観音みたいなことになったり、漫画みたいな描写がけっこう笑えるのですが、とにかく熱い。ジェリー・ロール・モートンは実在するにもかかわらず、思いっきり嫌な奴に描かれているのですが、これ、大丈夫なんだろうか、とひとごとながら心配になってしまいます(笑)。そして、1900と魚屋の娘の出会いのシーン。この瞬間に1900の指先から世にも美しいメロディーがこぼれ落ちます。映画のテーマにもなっているあのメロディーです。彼女に出会った1900は生まれて初めて、船を下りる決心をするのですが・・・。

この映画のラスト、1900の下した決断にはおそらく賛否があることでしょう・・・無限の選択肢があるというのは幸せなことなのか、そうじゃないのか、本当のところは誰にも分からないのかもしれません。1900のような生まれ育ちの人間でなければ、あの行動は理解できないのかもと思いつつ、やはり切ない・・・。

そしてこの映画、音楽は言うまでもなく美しいです・・・音楽教育は受けていないと思われる1900の指先から生まれる音楽は、ジャズともクラシックともつかない不思議な音楽。例のテーマ曲はピアノで弾くと雨の雫の音のようにも、トランペットで吹くと大海原の波音のようにも聞こえます。もう、モリコーネの新たな音楽が聴けないと思うと、本当に寂しい限りです・・・。
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