あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

朗読漫画『花もて語れ』を読んで

2012-02-10 09:09:01 | インポート

『 声には色や、匂いや、重さがある。そして力がある 』  漫画の帯封の言葉です。

作者である<片山ユキヲさん>の話を聞いて、是非読んでみたいと思ったのが、『花もて語れ』でした。朗読の世界のすばらしさを漫画で伝えようとした力作です。読んでいて、心が躍るような感動を覚えました。

主人公は、佐倉ハナ という名前の女の子。両親が亡くなり、おばさんの家に引き取られた 引っ込み思案の この女の子が、朗読と出会い 朗読を通して成長していく物語です。朗読の持つ力が、主人公だけでなく、聞いた人々の心まで変えていくというストーリーになっています。

朗読する作品のイメージが具体的な映像として描かれ、その読み方まで視覚的に理解できるようになっている漫画世界です。作品を深く読み取り、確かな朗読理論に裏付けられて描かれているので、確かな説得力ももっています。

悲しい過去をもち、人前では小さな声でしかしゃべれない ハナが、小学生の時に 朗読の師と出会い、学芸会で『ブレーメンの音楽隊』のナレーションをみごとに演じます。ハナのナレーションは、これまでの劇のイメージを変え、役を演じる子どもたちの心を変え、観客を魅了します。やがてハナは成長し、社会人として都会へ出て働き始めることになります。そこで、ひょんなことから朗読教室に通うようになり、朗読のもつ世界のすばらしさに改めて気づかされます。朗読はハナの生きる支えとなり、朗読を通して心からの友人も得ます。

既刊は、3巻までで、春には4巻が発刊されるとのこと、次号が楽しみです。

これまでに取り上げられた、朗読作品は 宮沢賢治作『やまなし』・詩『春と修羅』、高村光太郎作・詩『ぼろぼろな駝鳥』、斎藤隆介作『花咲き山』です。

特に、『やまなし』については、かなりのページをさき、ハナの朗読の様子と朗読によって生まれるイメージ(映像)、朗読のポイント(だれの視点で読むのか、どんなイメージで読むのか)が、一体となって描かれています。これだけでも、朗読の魅力にふれることができるのですが、さらにこの朗読の聞き手が、どんなイメージを抱いているかについても描かれています。聞き手は自分の人生と重ね合わせて聞くことで、自分を見つめなおし、新たな生きる力を見出していくというストーリーになっているのです。作者と私で『やまなし』の解釈については、異なる点もあるのですが、2枚の幻灯が『死と生』『哀しみと希望』といった対照的な世界を描いているといったとらえ方は納得できました。

漫画のもつ新たな可能性と朗読の楽しさ・すばらしさを実感できる、傑作漫画だと思います。

改めて、取り上げられた作品を私だったらどう朗読するかという視点で、読み直してみたいと思いました。

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給湯器とストーブの故障

2012-02-09 08:42:42 | インポート

厳しい寒さの影響で、我が家の給湯器も異常状態となり、先週の金曜日からお風呂に入れない状態が続いていました。また、ストーブが一台使用不能となり、暖房面でも不都合が生じてしまいました。給湯器については、住宅メーカーを通して修理を依頼し、ストーブについてはメーカーの方に送って修理を依頼することになりました。

給湯器については、想定外の低温が続いたため、凍結防止のヒーターをつけていたものの、排水経路で凍結が生じて異常状態になったようです。業者の方の話だと、今年の寒さで給湯器にもさまざまなトラブルが生じ、修理の依頼が殺到する状況だったとのこと。修理が完了し、久しぶりに入浴という小さな幸せを味わうことができました。

3.11の時は、断水と停電が続き、水の確保はもちろんのこと、オール電化住宅のため、暖房や煮炊きに苦労した日々を思い出しました。水道が使え、電気が使えるようになった時の感動、そして久しぶりにお風呂に入るできた時の開放感に満ちた喜びも思い出しました。

ストーブについては、群馬県のメーカーが迅速に修理をし、依頼をした4日後にストーブが届きました。修理代も無償で、作り手の温かい思いが伝わってくるような 速やかな対応振りでした。『夢暖望』という名前のついた遠赤外線ストーブだったのですが、まさに名前通りの対応だったと思いました。

一方では、仮設住宅を含めさまざまなところで水道の凍結等の問題が生じているようです。また世界的にも異常寒波のため、東ヨーロッパ<ポーランド、チェコ、ルーマニアなど>を中心に、凍死する人が数多く出ているようです。

立春を過ぎても、寒い日は当分続く気配です。日本海側や雪の多いところでは、雪害に苦しむ日々が続き、亡くなった方々もたくさんいます。

春の訪れを待ち遠しく感じるこのごろです。

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演劇を見てきました

2012-02-04 22:08:58 | インポート

今日、仙台で演劇「八百屋のお告げ」を見てきました。かっては、仙台演劇鑑賞会の一員として定期的に見ていたのですが、改めて生の演劇を見たいという思いが高じ、親しい友人の主催するサークルに妻と入会し、観劇の機会を得ることになりました。

会場は、仙台市民会館の大ホールでした。以前仙台市内の小学校に勤務していた頃、演劇クラブをつくり、市民祭りに参加して、市民会館の小ホールで演劇公演をした時のことを思い出しました。リヤカーに大道具や小道具を積んで市民会館まで運んだことや親の方々に子どもたちの衣装や化粧にご協力いただいことなどをなつかしく思い出しました。

「八百屋のお告げ」の主要な出演者は、『グループる・ぱる』というグループを結成した女優3名<松金よね子、岡本麗、田岡美也子>でした。

ストーリは、お告げが当たると大評判の近所の八百屋さんから「今夜、12時にあなたは死にます…」と宣告された主婦(松金)が、親友(岡本、田岡)に過ごし方を相談し、大騒動が起こるというものです。生きる時間が限られたとしたら、どんなことを望むのか、喜劇タッチではあるものの、生きることの意味や本当の幸せとは何かについて、考えさせられる、心に残る劇でした。出演者一人一人の演技のすばらしさだけでなく、生の演劇の良さを改めて体感できました。

劇を見るだけではなく、台本をつくって、演じてみたいという思いもかきたてられました。これを機会に、物語の創作だけではなく劇の台本も創ってみたいと思います。完成の暁には、このブログの中でも内容を紹介していきたいと思います。

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精神科医の先生の話を聞いて

2012-02-04 21:22:25 | インポート

仙台市で定期的に研修を受けているのですが、先日は市内の精神科医の先生の話を聞きました。その中で印象に残ったことをまとめてみます。

精神疾患で治療を受けている人は、全国でおよそ330万人おり、認知症を含めると500万人ぐらいの患者がいる<3~4%の割合、百人のうち3~4人>とのこと。患者を入院と外来で区分すると、1:7の割合になるそうです。

驚いたのは、諸外国と比較した場合、精神科の病院の入院期間は日本が平均300日なのに対し、諸外国では2~3週間で、日本の方が圧倒的に入院日数が長期にわたるということです。その理由は、諸外国の方が病院数が少なく病床となるベッド数も少ないという事情もあるのですが、家族や社会が患者を積極的に受け入れ支援していく体制が整っているとのことでした。日本の方が、病院や施設に預けておけば安心といった傾向が強く、精神疾患に対する理解や社会の中で支援サポートしていくという体制づくりが遅れている面があると、講師の先生も危惧していました。

精神疾患は、人とかかわる中で生まれてくるもので、日常の生活がうまくできず、コミュニケーションや人とのかかわりがスムーズにできない病気である。精神科医ができるのは、患者本人が自分で症状を自覚し、自分で変えようとする動機づけを図り支援していくことである。それは、指導することではなく、説教やアドバイスすることでもなく、あくまでも本人が自分を変えようとする意志を尊重し、患者によりそうことである。

悩みの相談を受けた時の基本姿勢も、カウンセリングの対応と同様に、決してクライエント<相談者>に対して指導的にならず、その心や思いによりそうという姿勢です。それは、悩みを解決するための答えは、相談者の心に内在しているという考え方でもあります。精神科医の先生の患者さんに対する姿勢と共通する考え方なのだということを知りました。

統合失調症、躁うつ病等の症例についても具体例をまじえて説明していただきました。その内容については省略しますが、精神科医としては患者さんから見えている部分を判断し、病名を判断することになるが、その見えている部分は氷山の一角であり、水面下の見えない部分の方がはるかに大きく、そのことを忘れてはいけないという自覚をもって対応している という話が印象に残りました。

大なり小なり、自分の内にも精神疾患にあてはまる要素があるのではないかという思いも感じました。そのことを自覚し、自分でコントロールできるかどうかが心の面での健康を維持するするためのポイントなのかなとも思いました。

特に印象的だったのは、「人は、何かができるということの前に、それができなかった状態があるということを忘れてしまいがちです」という言葉です。

歩くことができるのはあたりまえだ思ってしまうことから、歩けないという状態があったということを忘れてしまうということ。理想化した自分をあたりまえだと考えてしまうが故に、できない自分とのギャップを過大に考えてしまう……できない状態があるからこそ、不完全な自分を許容でき、そこから少しでも向上させようとする意識や意志が生まれてくる。

そこに、生きるということのエネルギーの源があるような気がし、深い感動を覚えました。

不完全である自分であるからこそ、可能性は開かれている……そう意識することが前向きに生きるという姿勢につながっているような気がしました。

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大阪府教育基本条例案について

2012-02-01 09:35:07 | インポート

新聞によれば、大阪府市では知事や市長が教育目標を設定し、教育委員の罷免権をもつなどの条例案が決定されたとのこと。橋下氏が率いる大阪維新の会の原案に沿った内容になったとのことでした。府議会の過半数を維新の会が占めているため、条例案は3月にも可決・成立する運びとなるようです。君が代起立斉唱の条例と合わせ、政治が教育内容にここまで深入りすることに大きな疑問を感じます。

教育委員の罷免条項については、文科省から「教育に関する職務権限の大半は教育委員会にある」ことから、違法性を指摘されていたにもかかわらず、「首長と教育委員会が意見対立した場合、何も動かなくなる」という理由から、法的問題を無視して決定したようです。その根底には、選挙で選ばれた首長の考えは民意であり、<決定できる民主主義>の仕組みづくりの一環であるという考えがあったようです。

こういうトップダウンで物事が決定されることが、果たして民主主義の仕組みと言えるのでしょうか。選挙で選ばれたという責任は、市民の側に立つことで果たされていくものなのではないでしょうか。市民の考えや意見をどう政治に生かしていくのか、その声が反映される政治の仕組みをつくることが、民主主義の仕組みづくりなのではないかと思います。選ばれた首長や議員が主役ではなく、主役はあくまでも市民であるという考えがないと、独断とワンマンで物事が決定され進められていくような気がします。

教育の主役は子どもで、政治家ではありません。子どもたちにとってより良い教育環境をつくるということが、政治家が果たす一番大切なことなのではないかと思います。その論理が、政治家が主役であるという論理にすりかわっているような印象があります。民意ではなく、いかに自分が主役となって教育を方向付けていくか、その考えが強すぎるような気がします。

橋下さんには、目に見える教育しか見えていないのではないかと思える面があります。目に見える学力、目に見える進学率といった 目に見える成果のみを追求する成果主義の考え方にとらわれすぎているのではないかと思います。

教育の営みの中には、目に見えず 点数にも表せないものが いっぱいあります。子どもたちと向き合う時間を共有した人なら、誰でもそのことを実感されているのではないかと思います。学ぶ楽しさやわかる喜び、日々のかかわりの中ではぐくまれる友情や優しさ、思いやり。助け合い高め合いながら、人間として大切なものを学び合う場が 教育の場です。見えるもの以上に、見えないものを通して、子どもたちは人間として豊かに育っていくように思います。

今回の条例では、成果主義に基づいた学校の統廃合についてもふれています。定員割れした高校は、即統廃合される対象学校として見なされてしまうようです。その学校に通う生徒や親の思いを汲み取らず、定員割れという目に見えるものだけで学校の存続問題も判断されてしまいます。

<かんじんなものは 目では見えない> という「星の王子様」の一節が浮かんできます。成果主義や効率主義、競争主義の考え方では、教育の場の中で培われる大切なものまで置き去りにされてしまうような気がします。

一方では迷走する政治に対する不満が、強烈なリーダーシップや実行力を発揮する政治家を求めてしまう現状があります。大胆な政策や改革を断行する維新の会の存在は、既成政党にはない斬新な存在として受けとめられる面があります。ただ、行動力にのみ目を奪われてしまうと、行動の先に在るものや行動の基になる考えまで見失なってしまうのではないかと思います。

条例が可決されると、大阪は厳しい教育環境に置かれることになりますが、どの子も主役となって輝く 学級づくり、学校づくりを目指し、日々奮闘する先生方の熱い取り組みが 大切にされ 尊重される 教育現場であることを 強く願います。

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