あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

大阪府教育基本条例案について

2012-02-01 09:35:07 | インポート

新聞によれば、大阪府市では知事や市長が教育目標を設定し、教育委員の罷免権をもつなどの条例案が決定されたとのこと。橋下氏が率いる大阪維新の会の原案に沿った内容になったとのことでした。府議会の過半数を維新の会が占めているため、条例案は3月にも可決・成立する運びとなるようです。君が代起立斉唱の条例と合わせ、政治が教育内容にここまで深入りすることに大きな疑問を感じます。

教育委員の罷免条項については、文科省から「教育に関する職務権限の大半は教育委員会にある」ことから、違法性を指摘されていたにもかかわらず、「首長と教育委員会が意見対立した場合、何も動かなくなる」という理由から、法的問題を無視して決定したようです。その根底には、選挙で選ばれた首長の考えは民意であり、<決定できる民主主義>の仕組みづくりの一環であるという考えがあったようです。

こういうトップダウンで物事が決定されることが、果たして民主主義の仕組みと言えるのでしょうか。選挙で選ばれたという責任は、市民の側に立つことで果たされていくものなのではないでしょうか。市民の考えや意見をどう政治に生かしていくのか、その声が反映される政治の仕組みをつくることが、民主主義の仕組みづくりなのではないかと思います。選ばれた首長や議員が主役ではなく、主役はあくまでも市民であるという考えがないと、独断とワンマンで物事が決定され進められていくような気がします。

教育の主役は子どもで、政治家ではありません。子どもたちにとってより良い教育環境をつくるということが、政治家が果たす一番大切なことなのではないかと思います。その論理が、政治家が主役であるという論理にすりかわっているような印象があります。民意ではなく、いかに自分が主役となって教育を方向付けていくか、その考えが強すぎるような気がします。

橋下さんには、目に見える教育しか見えていないのではないかと思える面があります。目に見える学力、目に見える進学率といった 目に見える成果のみを追求する成果主義の考え方にとらわれすぎているのではないかと思います。

教育の営みの中には、目に見えず 点数にも表せないものが いっぱいあります。子どもたちと向き合う時間を共有した人なら、誰でもそのことを実感されているのではないかと思います。学ぶ楽しさやわかる喜び、日々のかかわりの中ではぐくまれる友情や優しさ、思いやり。助け合い高め合いながら、人間として大切なものを学び合う場が 教育の場です。見えるもの以上に、見えないものを通して、子どもたちは人間として豊かに育っていくように思います。

今回の条例では、成果主義に基づいた学校の統廃合についてもふれています。定員割れした高校は、即統廃合される対象学校として見なされてしまうようです。その学校に通う生徒や親の思いを汲み取らず、定員割れという目に見えるものだけで学校の存続問題も判断されてしまいます。

<かんじんなものは 目では見えない> という「星の王子様」の一節が浮かんできます。成果主義や効率主義、競争主義の考え方では、教育の場の中で培われる大切なものまで置き去りにされてしまうような気がします。

一方では迷走する政治に対する不満が、強烈なリーダーシップや実行力を発揮する政治家を求めてしまう現状があります。大胆な政策や改革を断行する維新の会の存在は、既成政党にはない斬新な存在として受けとめられる面があります。ただ、行動力にのみ目を奪われてしまうと、行動の先に在るものや行動の基になる考えまで見失なってしまうのではないかと思います。

条例が可決されると、大阪は厳しい教育環境に置かれることになりますが、どの子も主役となって輝く 学級づくり、学校づくりを目指し、日々奮闘する先生方の熱い取り組みが 大切にされ 尊重される 教育現場であることを 強く願います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする