あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

金子みすずの詩集から

2015-10-18 17:43:23 | 日記
秋から冬へと季節がゆっくりと移り変わっていきます。
旅に出た北海道も、木々の紅葉が進み始めた時期でした。
今頃は、札幌や函館も色とりどりの紅葉に彩られていることでしょう。
旭川では、先週初冠雪があったとのこと。
宮城の初雪は、いつごろになるのでしょうか。

広報誌の扉の詩として、金子みすず詩集から次の詩を選びました。
読者の手元に届く時期(12月)を考え、雪の詩にしました。


   つもった雪
 
          金子 みすず

  上の雪
  さむかろな。
  つめたい月がさしていて。

  下の雪
  重かろな。
  何百人ものせていて。


  中の雪
  さみしかろな。
  空も地面(じべた)も みえないで。


作者の柔らかな感性を感じます。
つもった雪への思いに、人間としての温かさを感じます。

冬の冷たさを一番に受け止める上の雪の寒さ。
つもった雪の重さを 一心に受け止める下の雪の忍耐。
上も下も見えない 中の雪のさみしさ。
それぞれの雪の抱える寒さも、重さも、さみしさも、
人生のさまざまな場面で感じる思いなのかもしれません。
そこに 作者の 限りない人間愛を感じます。

生きていく上で 人々が背負うものを つもった雪を通して 見ているのかもしれません。
その温かいまなざしが、雪の冷たさや重さ、さみしさを 溶かしてくれるような…

見えるものは つもった雪。
そこに 上・下・中の 見えない思いがあり、耐える姿がある。
どこの場所や立場にあっても、それぞれがそれぞれ抱え、背負うものがあるのでしょう。

誰もが そういうものに耐えながら 懸命に生きているのだということを
教えてくれるような 詩だと思います。



 


コメント
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