あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

北海道への旅

2015-10-12 09:41:23 | 日記
遠出とパソコン不調のため、ブログ更新ができないでいました。
思い切って新たなバソコンを購入し、ブログを再スタートすることにしました。

遠出は、3泊4日の北海道への旅でした。

9・10日と札幌市で開催されたボランテイア関係の研修会に参加するための旅でした。
前日の8日に札幌に到着する予定だったのですが、台風23号の影響で飛行機が欠航となり、
急遽、陸路で札幌を目指すことにしました。
遅れの出た新幹線を乗り継いで、なんとか夜には函館にたどり着きそこで1泊。
ホテル近くの飲食街で、サバ・マグロの刺身、アツアツの根ホッケ・ジャガバターをつまみに、
北海道限定のクラシックビールを味わいました。特に焼き魚のホッケは格別のおいしさで、食材
王国北海道に来たという実感がわきました。

次の日は、函館発札幌行きの特急に乗り、無事 研修会の開催時刻に間に合うことができました。
研修会は、一日目は午後、二日目は午前の日程で、東日本の各センターで広報活動に関わる方々が
参加する会でした。
長い間広報活動に取り組んできた先輩諸氏の話を聞きながら、各センターの抱える悩みや創意工夫、
ボランティアへの真摯な取り組みや考え方に、多くを学ぶことができました。
井の中の蛙、大海を知らず の思いを新たにしました。

研修を終えた二日目の午後は、乗車する列車まで少し時間的な余裕があったので、北大の植物園を
散策しました。
周りにビルが林立していても、そこだけは太古からの北海道の自然が体感できる空間でした。
一本一本の巨木の立ち姿に、厳しい寒さや風雨を乗り越えて開拓に打ち込んだ先人のたくましさに
ふれるような気がしました。高山植物園やバラ園もあり、花が咲く時期に再度訪れてみたいと思い
ました。

前日の夜は、すすきのに出かけ、『すみれ』という店で味噌ラーメンを味わいました。
店専用のすみれビールも飲んでみました。コクと深みのあるおいしいビールでした。
ラーメンも味噌味がこってりとしながらほどよく、太めの縮れ麺との相性も抜群でした。

帰りは、来た時のルートを戻るように、札幌から函館に向かいました。約3時間30分の列車によ
る移動時間は、来る時より短く感じました。読書には最適な時間でもあったからでしょうか。
旅の始まりに読み始めた葉室麟作の 二つ目の物語を読み終えることができました。

読んだ物語は 文庫本の『この君なくば』と単行本の『草雲雀』。
二作品とも、時代小説ではありますが、身分や立場を超えてお互いに心惹かれ、相手を愛しく慕い
ながら さまざまな困難を乗り越え その愛を成就させるという物語でした。
身分制度や時代状況が大きな壁となりながらも、一人の女性として男性として お互いを思いやる
心遣いが心を打つ作品でした。自らの志をどう果たしていくべきか、その思いを深く理解し温かく
よりそう二人の生き方に、強い共感を覚えます。
そこに、時代を超えた普遍性があり、作者:葉室麟の理想が込められているのかもしれません。

函館で何といっても感動的だったのは、函館山から見た夜景です。文字通り宝石箱からこぼれおち
た宝石の輝きでした。色とりどりの光が湾のゆるやかな曲線の形状に沿って帯となってきらめいて
いるのです。その美しい光景に見とれていると、近くで「何か、いるよ。」という子どもの声。
その声を発した子どもの指先を追うと、見下ろす足元の草むらにキツネの姿がありました。
キタキツネでしょうか。しばらくじっとしていましたが、寄ってくる人間の足音や声に驚いてか、
すばやく逃げていってしまいました。
太いしっぽがシルエットのように目の前を過ぎていきました。

新美南吉の「手ぶくろを買いに」を思い出させるような出来事でした。
町の灯を生まれて初めて見た 子ぎつねはお母さんぎつねにこう語ります。
「母ちゃん、お星様は、あんな低いところにも落ちてるのねえ。」
目の前にした夜景は、まさに無数の星の輝きでした。
子ぎつねがこの景色を見たら、きっと目を丸くして
「母ちゃん、お星さまは あんなに低い所に あんなに たくさん落ちているんだねえ。」 
と 語ることでしょう。

この日は、夜景見学後に夕食を兼ねて海鮮料理店に出かけました。
店内のイケスに生きたカニがたくさんいて、それを調理して食べさせてくれる店でした。
カニ刺し、朝にゆでたという毛ガニ、ホタテ・殻付きカキ、イカの焼き物、サラダ、おにぎり、
サケのハラスのお茶漬け、仕上げにはウニといった形で、新鮮な海鮮をたっぷりと味わいながら、
生ビールもおいしくいただきました。
なんともぜいたくで至福のひとときでした。

翌日は、函館朝市で朝食(海鮮丼)をとり、五稜郭見学に出かけました。
隣接するタワーを通して、高所から全体を見下ろしました。
敵の侵入を防ぐために堀が周囲に五角形の形状を縁取るようにつくられ、その整然とした美しさに
見とれてしまいました。
下に降りて、五稜郭を歩きながら、幕府軍と新政府軍との戦いであった函館戦争の様子を想像して
いました。

『この君なくば』の中にも、幕府軍の隊長であった榎本武揚が登場し、主人公と牢で一緒に過ごす
ことになります。
小説の中では、榎本はその有能さが桁外れで、英語・オランダ語・ドイツ語に精通し、得た知識を
もとに研究し、ものづくりの製法や設計などにもあたる 主人公の敬愛する人物として描かれてい
ます。やがて、榎本は黒田清隆の助命嘆願の訴えが実を結び、牢を出て北海道開拓使として新政府
に仕えることになり、主人公も榎本に誘われ、家族そろって北海道で新たな道を歩むことを決意し
ます。
さまざまな困難も、厳しい北海道の自然も、「この君なくば一日もあらじ」という夫婦の絆で乗り
越えていくことでしょう。

旅はいいものですね。
心身ともにリフレッシュでき、新たなエネルギーを蓄えるひとときとなりました。



 




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