あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

栗駒山の花との出会い

2013-06-28 10:37:38 | インポート

一昨日、友人と栗駒山に出かけ、たくさんの山の花々と出会ってきました。いいですね、山は。今回は、山頂を目指さず、山の花との出会いを目的に、栗駒山の中腹にある竜泉ケ原という湿原を目的地にしました。そこでは、私が学生時代に味わった感動と同様の感動を再度味わうことができました。

岩手県の須川温泉から登山道に沿って登り始め、名残ケ原〈お花畑〉→昭和湖→竜泉ケ原というルートをたどりました。

鮮やかな新緑とナナカマドやノリウツギの白い花々、ウラジロヨウラクの愛らしいピンクの花などをながめながら、名残ケ原というお花畑に出ました。あちこちに白いワタスゲが咲き、風に揺られていました。木道の周りを見ると、小さいながらも凛とした青いタテヤマリンドウ、可憐な白花のヒナザクラ、気品を感じさせるピンクのイワカガミが、咲いていました。これから7月に向かうにつれて、さらにたくさんの花が咲きそろい、山のお花畑にふさわしい景観になるだろうなあと思いました。長く厳しい山の冬を乗り越えて咲き始めた、小さく愛らしい山の花々の姿に、改めて深い感動を覚えました。

名残ケ原を過ぎると、足応えのある上り坂が続きます。左手に硫黄のにおいのする岩だらけの沢、正面にガスに包まれた山頂をながめながら、歩を進めます。息が切れ、日ごろの運動不足を体感しながら、登り続けます。昭和湖にたどりついた時には、たっぷりと汗をかいていました。曇り空だったため、コバルトブルーの湖面に出会うことはできませんでしたが、ゆったりと水をたたえた景観に、疲れが吹き飛ぶような感じがしました。

さて、それからが本番です。登山道を外れ左手に昭和湖を見ながら、今回の目的地である竜泉ケ原に向かいました。途中 斜面に雪渓のあるところに出ると 溶けだした水の流れに沿って、たくさんのミズバショウが群落をなして咲いていました。大小さまざまな 純白な花が 気持ち良さそうに水の中から 顔を出していました。

そこを通りぬけ、ダケカンバの林に分け入り、竜泉ケ原への道のスタート地点となる沢に向かいました。沢であったところはすっかり雪渓で覆われているので、雪を踏みしめながら登って行きました。かなりの勾配があったので、途中で何度となく息が切れ、小休止を繰り返しながら登って行きました。勾配を登りつめると雪渓が消えて沢が見えました。木の枝が沢を覆い、沢に沿って進むことが困難なので、沢を迂回しながら林の中を進んでいくと、やっと視界が開ける湿原に出ることができました。その湿原にも、たくさんのミズバショウが咲いていました。湿原の先にはなだらかな丘があり、そこも雪渓に覆われていました。その左手の山に沿って、コバイケイソウの花が立ち並んでいました。その手前には、小さな池がありその周りに群れをなすように、ミツガシワの白い花が咲いていました。その中に、一輪の赤紫の可憐な花:ハクサンヂドリを見つけました。雪渓を登り切り、ゆるやかに下っていくと、目の前に広大な湿原が広がっていました。

その湿原が視野に入った時には、「サウンドオブミュージック」の最初の場面に登場するジュリー・アンドリュースのように、両手を高く広げて駆け出したくなりました。学生時代に初めてこの地に足を踏み入れて、その景観に感動を覚えた時の気持ちを思い出しました

そこは、ユートピアとも言える 自然の楽園でした。左右に広がる湿原の中央に、小高い丘があり、そこが雪渓に覆われています。湿原をぬうように雪解け水が流れをつくり、その流れに沿って数え切れないほどたくさんのミズバショウが咲いていました。湿原のあちこちに、大小さまざまな池があり、そこにはイモリが生息し優雅に泳いでいました。

雪渓の中のきれいな雪を掘り出しミルクをかけて食べたこと、雪渓のある丘に山小屋を建て住んでみたいと思ったことなど、学生時代の山の仲間の顔と一緒に、その時のことをなつかしく思い出しました。

風の又三郎を思い出させるような、どっどど どどっと 吹き抜ける風が 湿原に咲く花を揺らし、草を揺らし、山々の木々や緑を揺らし通り抜けていきます。雲の間をぬって降り注ぐおだやかな光が、あたり一面を包みます。

無上のひとときが心をときほぐし、賢治が感じたであろう 幸いなる時を体全体で味わうことができました。登り終えた今でも、その時感じた思いが体内に留まっているような印象があります。

なぜ、山に登るのかと 問われたら、 

「そこに 愛らしい 山の花があり、自然があり、幸いを感じるひとときが あるから 」

と 答えるのかもしれません。

次回は、早池峰山に登って、日本のエーデルワイスと呼ばれる「ハヤチネウスユキソウ」に会いたいと思っています。「コマクサ」の咲く 岩手山か秋田駒ケ岳にも登ってみたいと思っています。

◇ウラジロヨウラク

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     ◇イワイチョウ        ◇タテヤマリンドウ ↓                  

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◇ミズバショウ

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◇サンカヨウ

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◇ミズバショウ

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◇ヒナザクラ〈ヒメコザクラ〉

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ミツガシワ

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◇コバイケイソウ

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◇ワタスゲ

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◇竜泉ケ原

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◇ショウジョウバカマ

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◇ミズバショウ

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◇ハクサンチドリ

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◇イワカガミ

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◇モウセンゴケ

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◇ミズバショウ

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◇ワタスゲ

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◇コケモノ

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◇マイヅルソウ

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コメント
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