平和の歌・核兵器絶滅へと戦った英雄の歌

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短編小説    青春の登竜門   6話

2013年04月10日 | Weblog
連載短編小説
      青春の登竜門  中道 進
      6話 俺はわるくない
      1 酒
 中村は桜木町の居酒屋で飲んでいた。この日は日曜日で近くの馬券場は人ごみでいっぱいであった。中村も馬券を買うのだが、遊び程度で買うぐらいなのである。中村は、桜木町から南にある本牧の港で働いている。貿易会社の倉庫でフォークマンである。関東の機械など輸出品を送るために関税などの手続きするための保管所である。ここで手続きが終わると貨物車で船に運び輸出される。
 中村は最近、上司との不仲で悩んでいた。故に、酒を飲みながらもその悩みを消そうと飲んでいた。

2 退職
 翌日、会社で呼び出され辞職の通知を受けた。小さな会社なので組合もないし抗議も聞いてくれない。これは上司のたくらみと感じるも仕方がなかった。  
 その日、桜木町で飲んだ。この先、どうなるのか不安がいっぱいであった。貯金があるわけではない。退職金だって知れたものである。心に残るのは上司の憎き思いであった。中村は21歳である。学歴があるわけではない。フォークは得意であるが港では多数の人が乗れる。故に、職安行っても、再就職はかなり難しかった。

         3 キャバレー
 中村はキャバレーで派手な背広を着ていた。この店は常連であった。君子という女の子が目当てであった。何べんも来ているがなかなか口説けないでお金ばかり使っている。君子(今日の中村さんはかっこいい背広着ているわ) 中村(お金が入ったんだ。バッチリよ。今晩付き合えば豪華な食事いけるけど)君子(今日は用事があるの)中村(またか、たまにはつきあってくれよ)君子(このようにそばにいますわ)中村(おもてでつきあってよ)中村は退職したのに派手な背広にキャバレーとはどうしたのか。何があったのだろうか。
          4 暗闇
 キャバレーの外で警察が中村を逮捕した。何でも銀行強盗で1千万円が奪われた。しかし、銀行に犯人の財布が落ちていた。そこから中村とわかり逮捕されたのだった。取調べで、中村は俺が悪いのではない。世間が冷たい。若い人に無情な世間が悪いと言い張っていた。裁判所でも、中村はその主張を言った。現在、若い人に対し、社会の扱いはどうだろうか、しかし、人間、努力しないで、生活のために犯罪を起こせばどうなるのだろう。中村の完全の失敗人生である。敗北はみじめである。        
                              6話終了


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