カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

花火が消えるとき

2004年08月03日 | ▼ 思い出綴り
花火は、幼い頃への郷愁を誘う。

夕風が時々路地を吹きぬけていく。家々の前に持ち出された縁台に、じいさん、ばあさん、子供たちは、団扇片手に、夕涼みをする風景があった。

子供たちは、そのうち花火に興じる。線香花火だ。

イグサ(?)の先の茜色の雫から、パチパチと弾ける線と点を息を潜めるように眺める。
 「モット、モット。もう少し」
やがて茜色の雫からは、線しか出なくなる。でもまた思い出したように弾ける。線は、皆下向きにしだれる。
ポトン・・赤い雫が、地面の暗闇に吸い込まれるように消える。

線香花火は今も好きだ。華やかに弾けるときもいい。燃え尽きて
消えるときの瞬間はもっといい。

打ち上げ花火の華やかさに酔いしれながら、しだれて闇に消えていく夜空の画面に、幼い頃の、線香花火へと思いを馳せた。
コメント (2)
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