梶井基次郎の「城のある町にて」を改めて読んでみると、ああ、この人は光と闇と色彩の作家なのだなと思う。国語の教科書にも載っている「檸檬」を始め、「闇の絵巻」にしても闇に切り取られた光の空間がわれわれを楽しませてくれる。というより光を脇役とし、闇を描きたかったのかとも思う。「檸檬」では夜の京都の闇に浮かぶ八百屋で檸檬を発見し、書店丸善の画書コーナーで画集を重ねて色のオブジェを作り、「檸檬」という爆弾を据えて、店を出てくる。「城のある町にて」では妹の死の実感を、光満ち溢れる風景の中に感じ取ってる。そしてタイトルどおりの「闇の絵巻」では、伊豆湯ヶ島での実体験を基にして、光と闇のコントラストから人間存在の無常さを描こうとしている。
光と闇のコントラストに「青」という色彩を添えて、時代劇の一時代を築いたのが「必殺仕事人」である。仕事人たちは一人一殺(いちにんいっさつ)主義で、仕事をこなす。彼らは「暗殺者」ではない。むしろ「テロリスト」に近い。闇から登場し必要な時間だけ「青」の世界に姿を現し、仕事をして再び闇へと去るのが基本だ。この場合の「青」は「黄昏時・逢魔が時」に相当し、標的をあの世とこの世の境界線に引きずり込む役目を担っていたのではないか。
「仕事人」が「青」ならば。宮崎駿は「緑」である。風景を描くのにあれだけの緑を描き分けしようとする作家はほかにいない。そしてその「緑」に光と闇を与える。
僕は以前からジブリ作品の「風」の表現に注目している。「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「紅の豚」「天空の城ラピュタ」宮崎アニメでは「風」を感じる場面が多い、そして実にリアルだ。このリアルさは何処から来るのだろうと思っていた。コミックでは風は擬音と線で描かれる。実写映画では風は自然を待つか、巨大な扇風機で起こすのどちらかである。僕は常々特殊効果としての「風」に違和感を覚えている。理由はうまく説明できない。だけど宮崎アニメの風はリアルだ。「風」は気圧の高低差によって生ずる。そこには雲がある。雲によってさえぎられた光が「風」を作り出すと言ってもいい。そして宮崎アニメでは風は必ず緑や雲を通して表現される。雲と緑と空を素材に光と闇を与えて「風」を起こす。効果音に頼ることはしていない。五分と五部の勝負をしている。結論としてはコト「風」に関しては実写版よりも本物に近い感覚を与えてくれているのではないだろうか。
光と闇のコントラストに「青」という色彩を添えて、時代劇の一時代を築いたのが「必殺仕事人」である。仕事人たちは一人一殺(いちにんいっさつ)主義で、仕事をこなす。彼らは「暗殺者」ではない。むしろ「テロリスト」に近い。闇から登場し必要な時間だけ「青」の世界に姿を現し、仕事をして再び闇へと去るのが基本だ。この場合の「青」は「黄昏時・逢魔が時」に相当し、標的をあの世とこの世の境界線に引きずり込む役目を担っていたのではないか。
「仕事人」が「青」ならば。宮崎駿は「緑」である。風景を描くのにあれだけの緑を描き分けしようとする作家はほかにいない。そしてその「緑」に光と闇を与える。
僕は以前からジブリ作品の「風」の表現に注目している。「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「紅の豚」「天空の城ラピュタ」宮崎アニメでは「風」を感じる場面が多い、そして実にリアルだ。このリアルさは何処から来るのだろうと思っていた。コミックでは風は擬音と線で描かれる。実写映画では風は自然を待つか、巨大な扇風機で起こすのどちらかである。僕は常々特殊効果としての「風」に違和感を覚えている。理由はうまく説明できない。だけど宮崎アニメの風はリアルだ。「風」は気圧の高低差によって生ずる。そこには雲がある。雲によってさえぎられた光が「風」を作り出すと言ってもいい。そして宮崎アニメでは風は必ず緑や雲を通して表現される。雲と緑と空を素材に光と闇を与えて「風」を起こす。効果音に頼ることはしていない。五分と五部の勝負をしている。結論としてはコト「風」に関しては実写版よりも本物に近い感覚を与えてくれているのではないだろうか。
NHKみんなのうたで放送中の”カゼノトオリミチ”ってご存知ですか?
アニメをジブリが作ったらしいのですが、歌、歌詞、絵の調和が素晴らしいです。
大人向けの内容で、まさに”風”の表現は見事というほかにありません。
感動しました。つうか泣きました。
是非お勧めしますよ。といっても放送は今月一杯なんですが。
残りの放映スケジュールです。
■1月30日(日)
22:55-23:00 総合テレビ
http://www.nhk.or.jp/minna/new_song/new_song.html
というか、anikiさんは文学系の大学だったんですねぇ。
梶井は全集本全部で3冊。古本で6000円を「えいや!」と買ってそれだけで済ませました。貧でしたから。卒論は見逃してください。(笑)
堀辰雄にも魅かれていたんですがね。「麦藁帽子」いいですよ。最初の部分は大好きです。