「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

蛇蝎のごとくの蛇蝎はへびとさそり

2013年07月18日 16時56分56秒 | 妄想
先ず日本に渡来する前に、仏教が経由した国・中国では、【蠍】は【蝎】の異体字とされ, ふつうは【蝎】のみが「毒虫の蠍」の意味で使われるとのことです。

蝎という漢字についてですが

【蝎】[音訓]カツ・ケツ・さそり
[意味][カツ]サソリ.*「蠍」も使う▼蛇蝎ダカツ・ジャカツ[注記]本来は、木食い虫の意。

とあります。

また、蠍は
【蠍】[音訓]カツ・ケツ・さそり
[意味](1)[カツ]サソリ.*「蝎」も使う。▼蛇蠍ダカツ・ジャカツ
(2)[さそり]毒虫の一。

蠍と蝎で、微妙に意味が異なるようです。
また、【蝎】の本来の意味の【木食虫・木蠧▼虫】は
①キクイムシ科の甲虫の総称。体は一般に黒褐色の円筒形でかたく、体長1~9ミリメートル。幼虫・成虫とも樹木の皮下や材部を食害する。林業の害虫。世界中に約七千種が知られる。
②甲殻綱等脚目の節足動物。体は黄白色の円筒形で,体長3ミリメートル 内外。木造船の船底や海中の木材を食害する。全世界に分布。

また、漢字が伝わる前の日本での【さそり】という音が、【毒虫の蠍】でないことも有り得ると思い調べてみると

【さそり(螺)】
ジガバチの古名(『新撰字鏡』

【ジガバチ(似我蜂)】
①ハチ目ジガバチ科の昆虫の総称。
②ジガバチ科のハチの一種。体長2センチメートル 内外。体は細く,特に腹部の基部は糸状。体色は黒色で腹部第二節は赤色。地面に穴を掘り,シャクトリムシなどの幼虫を捕まえて貯蔵し,横腹に卵を産みつける。幼虫を埋めるときにたてる羽音を,昔の人は「似我似我(じがじが)」と聞き,他の虫をハチに変える呪文(じゆもん)と考えたので,この名があるという。腰細蜂(こしぼそばち)。(すがる)。


整理すると、元々、【蝎】はキクイムシの意味を持った漢字でした。
キクイムシは林業の害虫でもあり、古来の物流の要であった船が木造だったため、廃船にしてしまう虫で、やはり食べ進む際に穴を潜みます。

サソリ(蠍)については、南方系の密林に住む場合もありますが、砂漠に住むサソリは穴を住み処とし、日中はそこに潜んでいます。

元々害虫で船という価値のあるものの敵として嫌われ者だった【蝎(キクイムシ)】が、【毒虫の蠍(カツ)】と穴に潜むことや毒の有無は別として害虫であったことから、中国で重なっていったと考えられます。

【蝎(かつ)】という漢字に、キクイムシとサソリの意味を持ったまま伝わった日本には、【さそり】の音だった虫は、ジガバチやアナバチ、穴から出入りする虫で、何か不思議な力がある虫とも考えられていた訳です。

別の虫をハチに変える能力を持った虫、人間を殺せるくらい毒を持つと言われる虫という、《畏怖すべき不思議な力》といった共通点から、【蝎(カツ)】に「さそり」という読みを当てるようになっていったのではないかと推測します。

その一方で、仏教によって、毒虫の【蝎(かつ)】は、日本に広まっていったかと思われます。

ざっと調べても、
【摩竭宮・摩蝎宮(まかつぐう)】【沙蝎(竭)羅竜王】【天蝎宮(てんかつくう)】といった言葉が蛇蝎以外にも出てきます。

【蝎(カツ)】同様、日本には実在しないものの、一般に広く知られた動物として、【虎】や【象】があげられますが、こちらも、仏教や古典、書画によって広まっていったかと。

その過程が、平安時代に食べられていた【唐菓子(とうがし)】に残っています。

唐菓子(とうがし)は、奈良時代に唐(中国)から伝来した一連の菓子とその技術を言う。からくだものと呼ぶ事もある。 多くは、小麦粉を練り油であげたものです。

その名称に
【かっこ(「かっ」は食に渇のつくりを合わせた字、「こ」は餬)】
小麦粉をこねて蝎虫(サソリないしキクイムシとされる)の形とし、焼くか蒸したもの。かっぺい(「ぺい」は餅)とも呼ばれる。

とありました(Wikipedia『唐菓子』より)。

現代のように【毒虫の蠍】の実態が明治以降、写真や文献によって知られるようになる前に、【蝎】が「カツ」「さそり」として、じわじわ広まっていったのではないでしょうか。

つまり、【蝎】という虫は元々はキクイムシを指したが、サソリにも【蝎】を用いたことから、混在した状態で伝わり、日本では【さそり】の音を当てられ、日本人に受け入れられた仏教などによって、「嫌われる害のある虫」「恐ろしい虫」の代表格として広まり、【蛇蝎】という言葉と共に今に伝わる…のではないでしょうか。

長文を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
ご参考になれば、幸いです。

って出てました。

ちなみに「さそり」の語源は「さすはり」を100回ぐらい言うと納得できるかもしれません。

根拠のない妄想ですけどね。

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