超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

明恵上人の朗唱と修法

2022-08-28 15:24:01 | 無題
「現代に生きる稀代の高僧 明恵上人」斎藤紀夫著・文芸社1320円読む。
修士論文を書籍化した文で、一般読者向けに書かれていないのは、かなり残念。
でも、読んでわかった点がいくつかあるので、紹介したい。
①仏陀の寂滅を惜しむ涅槃会というのがあり、明恵はこれに思い入れが強く、涅槃講式という声明の朗唱を推奨した。
②光明真言という真言を唱える、空海の「即身成仏羲」の影響を受けた加持祈祷を明恵は行い、その際、砂を播いて呪力を拡散しようとした。これは能や歌舞伎のなかで砂を播くまじないとして、今も伝わっている。
③法然を論難した「摧邪輪」では、自力成仏を仏教の根幹とし、念仏行で成仏できるという説を退けた。
④仏光観という行法は、毘盧遮那仏(大仏)を光に見立てて、その光を観想するという修行法で、華厳宗と真言密教との習合から生まれ、明恵が好んだものだった。

ここで知る限り、明恵上人は、華厳宗と真言密教の融合に心を砕き、修法や加持祈祷を重んじた人物だったと言える。

小説「明恵・栂尾高山寺秘話」のように、明恵その人が眼に浮かぶような本ではなかったが、主に修法を文献から追った、労作であると言える。華厳経の教えと明恵の仏教の関わりに迫る本も読みたい。

真言が響くと光に包まれて明恵自体が仏身と化す

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