4年前の「将門」初演のとき、
客席で、ブキミなウワサが飛び交った回があったようです。
もちろん我々は開演前の客席は知らないわけですけど、
来て下さったお客様から聞いた話では、
「このお芝居、恐いらしいよ
」
「前の方に座るの、やめとこうよ
」
といった会話があちこちでささやかれ、
前の方がガラガラだったのだとか。
私のお客様も、
「もしかして、将門の首でも飛んでくるんじゃないかと、ビクビクでした」
と後で教えて下さいました。
まぁ確かにね、将門ですからね
恐い、というイメージはあると思います。
でも、資料を調べたりしていくと、
そんなオソロシイ男ではなかったようです。
時代は、10世紀になったばかりの平安中期。
京の都では、
点眉の平安貴族が「おじゃる~」などと言っていた時代です。
しかし、関係ないけど、
平安貴族って、どうしていつも、
あんなにボロクソに描かれるんでしょうね。
ドラマなんかじゃ必ず、
ズルくて、強欲で、いやらしくて・・・みたいなキャラで。
不思議ですよね。かわいそうに(笑)
ま、それはともかく、関東といえば、まだまだド田舎。
そんな下総の国(今の茨城)をおさめていたのが、
平将門でした。
かれは都にも10年ほどいたんですが、出世レースにはなじめず、
無位無官のまま、故郷に帰りました。
シティボーイにはなりきれなかった、
朴訥、マジメタイプの青年だったんですね。
そんな人だから、
領主として、下総の発展のために自ら先頭に立って働き、
民の幸せのために知恵と力を尽くしたのは、自然の流れ。
その結果、
領民に慕われる、
人気抜群の領主
となったんですね。
しかし、時代が彼を、
平穏な一領主には、させておきませんでした。
<ここからは映画の予告編風に!>
幾重にも重なる権力争い。
親族同士の権謀術策。
下心あって扇動する者たち。
さまざまな黒い渦にまきこまれ、
次第に彼の歯車が狂い始めます。
将門が短い生涯を閉じるまでの、
波乱万丈の大スペクタクル。
将門を巡るさまざまな者たちの人間模様が、
切なくも華やかに描かれます。
・・・なーんちゃって
少々悪ノリでしたが、
ちょっとないほど、ドラマティックな人生を送った人です。
ちょっと単純なところがあったんだろうな、って思いますが、
それも領民を思うが故のことだったんですね。
それから、知らなかったんですが、
「男は黙って」みたいな、いわゆる侍、武士のイメージは、
江戸時代に出来たそうです。
鎌倉以前の武士はよく泣きよく笑い、
もっともっと自由だったんだそうで、
そんな大らかで、ド田舎な風土が、
将門という男を産んだんだなぁと思います。
この将門像にしても、
なんかクマみたいなごつさがありますよね。
まぁ、そんな男だから、都の人間は嫌ったのでしょう。
化け物のように思われていたとも言われます。
だから首が飛んだなんていう伝説もうまれたのかも。
かわいそうになぁ・・・。
あ、でも、お芝居の方は、首、飛びませんから。
お化け屋敷じゃありませんから。
恐くないので、どうぞ前の方に座って下さいね(笑)
<稽古場の風景>
群舞のような殺陣もあります。
全員がピタッときまると、本当にかっこいい!
(やってる方はプレッシャーだろうなぁ)
「将門 ~平将門傀儡徒夢~」
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