宮崎作品と言えば、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「紅の豚」「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」「もののけ姫」「猫の恩返し」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」、息子の作品ではありますが「ゲド戦記」等、本当に多くの感動作品がありますね。それぞれの作品を、映像と共に観ていきましょう!
1.「風の谷のナウシカ」
「月刊アニメージュ」に連載された宮崎自身による同名漫画の映画化。連載開始と映画化にあたっては、同誌の編集部員であった鈴木敏夫が尽力した。映画は闘争に明け暮れる人間のエゴ、自然の回復力賛美など現代社会を照らした展開が反響を呼び、大ヒットを記録。原作・監督・脚本(絵コンテ)の三役を担った宮崎の名は世に知れ渡った。
構想時の舞台は「デューン 砂の惑星」に似た砂漠であったが、監督はオールディスの「地球の長い午後」、中尾佐助の「栽培植物と農耕の起源」、宮脇明の「植物と人間」、藤森栄一の「縄文の世界」などから得たインスピレーションを複合させ、「腐海」という独創的な森に発展させた。ナウシカはエヴスリンの「ギリシア神話小事典」や「堤中納言物語」の「虫愛ずる姫君」から構想。風の谷は中央アジアの乾燥地帯をイメージして習俗・建物を考案した。
映画後半の展開はパウル・カレルの「バルバロッサ作戦」「焦土作戦」に描かれた独ソ戦が参考になったとのこと。降雪と極寒の気候に阻まれてモスクワを目前にして潰走するナチス軍はトルメキアに重なる。
映像はこちら>>http://jp.youtube.com/watch?v=oi0x7gt6_Tw
2.「天空の城ラピュタ」
宮崎監督は、スウィフトの「ガリバー旅行記」に登場する「ラピュタ帝国」を原点に、学生時代から温めていた少年パズーと少女シータのイメージをふくらませ、現代に通じる冒険ファンタジーを構想。再び原作・監督・脚本(絵コンテ)の三役をこなした。魔法や呪文を扱った「漫画映画の復活」を掲げ、子供たちが憧れるリアルな空想世界を目指した。前半の一部の隙もない活劇展開と、後半の機械や独裁体制の批判という重いテーマの間には大きな変調が感じられるが、これも後々繰り返される特徴的作風である。
浮島とオーニソプター(はばたき型飛行機)は「ニモ」構想時からのモチーフ。古代に機械文明が栄えたという設定はインドの「ラーマヤナ」から、・飛行石・は福島鉄次の絵物語「沙漠の魔王」から、主人公・パズーのイメージは、ウェールズ出身のC・W・ニコルほか著「わが父なる大地」から、親方の娘・チビのマッジは、おそらくジル・ペイトン・ウォルシュ作「夏の終わりに」の主人公の少女から、ドーラ一家の愛機タイガーモス号は実在のイギリス空軍機(ロアルド・ダールも搭乗した)からその名を採っている。
スラッグ渓谷の立体的な構造や人々の生活描写には、イギリス・ウェールズ地方のロケハンが生かされている。「名探偵ホームズ/ソベリン金貨の行方」の発展形とも言える。ロボットは「新ルパン三世/第155話 さらば愛しきルパンよ」に登場した「ラムダ」の流用で、その原形はフライシャー兄弟の「スーパーマン」シリーズに登場したプロペラ付ロボット。フライシャーは長篇「ガリバー旅行記」も制作しており、本作とは縁があるようだ。「ナウシカ」のキツネリスなど、脇に再登場キャラを添えるのも一つの特徴。
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3.「紅の豚」
「魔女の宅急便」の大ヒットにより大作主義に傾きつつあったジブリに、宮崎はあえて娯楽に徹した短篇を提案。当初30分のビデオ用作品として企画されたが、日航機機内上映用の中篇に発展、結局90分を越す長編映画にまで発展した。実在の場所が舞台だが、スタッフのロケハンは行われていない。
原作は宮崎が「月刊モデル・グラフィックス」誌に連載していた短篇連作「雑想ノート」の一エピソード「飛行艇時代」。「おもひでぽろぽろ」で等身大のリアリズムを極めた感のあるジブリについて、宮崎は「新しい表現と内容を模索中」と語っていたが、この作品は「新しさとは無縁のモラトリアム映画」「中年となった自分のための映画」と開き直って公言。
劇中の、カーチスとポルコの雲海の中での一騎撃ちは、ロバート・ウェストールの「ブラッカムの爆撃機」を彷彿とさせる。ラストの賭博に沸く群衆・観客はジョージ・ロイ・ヒル監督の映画「華麗なるヒコーキ野郎」に似ている。印象的な飛行機の墓場は、ロアルド・ダールの「飛行士たちの話」収録の短篇「彼らは年をとらない」の一節を再現したと思われるがこれは最後に加筆されたエピソードだと言う。三人の作者はいずれも、大戦時にホンモノのパイロットだった人物だが、他にも「世界って本当にきれい」などの台詞に敬愛するサン=テグジュベリら多くの冒険飛行家のエッセンスが感じられる。
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4.「魔女の宅急便」
角野栄子原作の児童文学のアニメーション化。ただし、宮崎は原作を尊重せずに独自の解釈で再構成している。
冒頭の出発シーンには台詞まで忠実な箇所があるが、登場人物の性格も外見も全く違う。ほうきが折れてしまう中盤以降の展開は特に違っている。原作では、お正月を知らせる時計塔の部品のお届け、春を知らせる楽器のお届けなどが後半の山場であり、幾多のエピソードが均等に扱われることで、キキが徐々に街に溶け込む淡々とした構成になっている。映画版では、キキは完全に飛べなくなってしまう上、ジジは人語を話さなくなり、飛行船墜落の大スペクタクルまで用意されている。前半と後半に変調が見られるのもよくある趣向で、次々と事件が起こる急激な展開も宮崎式。どんな原作であれ、演出過程でオリジナルに転換されてしまうのも宮崎作品の大きな特徴である。
企画段階では、片渕須直ら若手スタッフ中心の作品としてプロデューサー業に徹していた宮崎だが、進行の遅れなどから監督・脚本を兼任。それまでの作風とは打って変わった等身大の少女の物語に挑戦。宮崎は、期待と不安の中で上京して、初めて社会で働く少女たちにエールを贈る「女性向映画」という位置づけで作品に望んだ。強く清楚な宮崎ヒロイン像を「非現実的」と批判的する風潮もあったため、いかに思春期の頼りない少女を描くかに苦心したと言う。当初、一色伸幸による脚本が書かれたが、中途で降板。「原作よりもシビアに」という一色の発案にヒントを得て、自力でシナリオ(絵コンテ)を完成させた。
映像はこちら>>http://jp.youtube.com/watch?v=05lrfA-GJnQ&mode=related&search=
5.「猫の恩返し」
ごく普通の女子高校生ハル。学校には遅刻するし、ゴミ箱の中身をぶちまける大失態。おまけに、憧れの男の子が別の女の子といい感じで2ショットになっているのを目撃してしまい、すっかり落ち込んでいた。そんなハルは、たまたまトラックにひかれそうになった1匹の猫を助けた。しかし、その猫が実は“猫の国”の王子ルーンだったことから、ハルはお礼として猫の国へと招待される。そこでハルは猫たちから盛大な歓迎を受け、いつしか“つらい現実より、猫になって楽しく生きたい”と願うようになる。と、そこへ猫の男爵バロンが現われるのだった。
映像はこちら>>http://jp.youtube.com/watch?v=H9GDvMCDDhw&feature=related
6.「となりのトトロ」
スタジオジブリが制作した宮崎駿作品の最高級傑作アニメ。物語の舞台は昭和30年代。の所沢(らしいです)。大学で考古学を研究する学者のお父さん、小学6年生のサツキ、4歳のメイの3人が引っ越してきたのは、豊かな自然と美しい四季があふれる田舎の、「お化け屋敷」のような一軒家。しかし本当に出たんです…… トトロが。今やその内容に触れる事自体無駄なような、小学生以下のこどもがいる家庭には必ず置いてあるというファンタジー・アニメ。
映像はこちら>>http://jp.youtube.com/watch?v=Bi24-FtrvRs
7.「千と千尋の神隠し」
両親と共に引越し先の新しい家へ向かう10歳の少女、千尋。しかし彼女はこれから始まる新しい生活に大きな不安を感じていた。やがて千尋たちの乗る車はいつの間にか“不思議の町”へと迷い込んでしまう。その奇妙な町の珍しさにつられ、どんどん足を踏み入れていく両親。が、彼らは“不思議の町”の掟を破ったために豚にされてしまい……。巨匠・宮崎駿監督が前作「もののけ姫」とは対照的に、現代日本を舞台に少女の成長と友愛の物語を描く、“自分探し”の冒険ファンタジー。