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天下分け目の大決戦『関ヶ原』

2017年08月28日 21時01分25秒 | Weblog

 戦国時代の最大の合戦が、豊臣秀吉の跡目争いである『関ヶ原』の大合戦である。この戦いは、豊臣秀吉の跡目を誰が収めるかを決する、日本の戦国大名を二分する空前絶後の合戦なのである。これを描いたのが、『関ヶ原』(2017年 東宝制作)である。
 石田三成と徳川家康を主人公に、豊臣秀吉の死から天下分け目の関ヶ原の戦いに至るまでの過程を描いた司馬遼太郎原作の歴史小説『関ヶ原』の映画化作品。司馬遼太郎の小説の映画化は、1999年公開の『梟の城』以来18年振りとなる。監督・脚本は原田眞人、出演は岡田准一、役所広司、有村架純らで、有村は時代劇初挑戦となる。。「日本のいちばん長い日」「わが母の記」の原田眞人監督がメガホンをとり、石田三成の義を貫いた生き様を軸に、関ヶ原の戦いを真っ向から描き出す。幼くして豊臣秀吉に才能を認められ、取りたてられた石田三成は、秀吉に忠誠を誓いながらも、正義ではなく利害で天下を治める秀吉の姿勢に疑問も抱いていた。そんな三成の下には、猛将として名高い島左近や伊賀の忍びの初芽らが仕えるようになるが、秀吉の体調が思わしくないなか、天下取りの野望を抱く徳川家康は、言葉巧みに武将たちを自陣に引き込んでいった。そして1598年8月、秀吉が逝去。1600年9月15日、毛利輝元を総大将に立てた三成の西軍と、家康率いる東軍が関ヶ原で天下分け目の決戦に挑むこととなる。
 主演の岡田が不器用で人間味あふれる新たな三成像に挑み、役所が天下取りの野望に燃える家康役を演じる。さらに三成を命がけで守りながら彼に密かに恋心を抱く忍び・初芽役で、有村が本格時代劇に初挑戦した。
 
 この作品は、石田三成の生き様にスポットを当てた大作である。不器用ながら、主君である豊臣秀吉に忠義を尽きす「正義」を標榜する石田三成と豊臣亡き後の天下取りに邁進する「不正義」の徳川家康との戦いの様を映像化している。ただ、関ヶ原の大合戦までの数年を、かなり駆け足で描写しているため、歴史に疎い人には十分に理解できないシーンが多かったのではないかと思われる。
 合戦の勝敗を決める小早川秀秋の去就がキーポイントであるが、西軍に味方して打って出ようとした小早川を家臣が止め、徳川方に味方した動きをするが、これは真実だったのかと疑問符が付く。小早川自身が日和見主義を通していたはずで、家臣の静止で徳川方についたという点に疑問が、、また、石田三成が農民に匿われていた際、自害せずに生きていたことが、伊賀の忍びの初芽(有村架純)に思いがあり、その生死を確認したかったという理由などは、真実とは思いにくい。三成は、処刑される際に喉が渇いたからといって、泥水を飲まなっかたという逸話もあり、実に自身を大切にする生き方の人間であることからであるので、この点にイマイチ感が生じてしまう。
 とはいえ、合戦の様子、多くのエキストラを要した映像に驚きは多かった。戦国合戦の秀作であろうと思う。



宗教とは?神とは?考えさせられる奥の深い映画『PK』

2017年08月20日 22時59分04秒 | Weblog

 これほど考えさせられる映画があるだろうか?宗教とは?神とは?それに関わる人間とは?生きる上での希望とは?その先の「人間は何のために生きているのだろうか?」・・・・。という、とてつもなく重いテーマを扱った映画が『pk』(2014年インド制作)である。
 2009年公開の『きっと、うまくいく』の監督ラージクマール・ヒラーニと主演のアーミル・カーンが再びタッグを組んでいる。地球の調査を目的としてやってきた宇宙人が、女性テレビジャーナリストに出会い、地球における宗教の信条や迷信に関して疑問を投げかけるという物語である。コメディやラブストーリーの要素を持ちながらも、差別や偏見など世界中で巻き起こっている社会問題に切り込んでいる。世界興収は100億円を突破し、インド映画の全世界歴代最高興行収入を記録した。映画批評サイトRotten Tomatoesでは93%の支持率を得ている。

【ストーリー】

人間の見た目をした裸の宇宙人(アーミル・カーン)が調査ミッションとしてインドのラージャスターン州に到着したが、宇宙船のリモコンが盗まれてしまい地球に足止めされてしまう。宇宙人は、泥棒からパナソニックのカセットレコーダーを何とかして奪い取る。同じ日のベルギーのブルッヘでは、ジャグー(アヌーシュカ・シャルマ)という女性が、サルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)に出会い、彼と恋に落ちていた。しかし、ジャグーの父(パリークシト・サーハニー)は熱心なヒンドゥー教信者であり、パキスタン人のムスリムであるサルファラーズとの交際を猛反対していた。父は慌てて導師のタパスヴィー様(サウラブ・シュクラ)に相談に行くが、サルファラーズはジャグーを裏切るだろう、と預言される。ジャグーはその預言が嘘だと証明するために、サルファラーズにプロポーズし成功する。しかし彼女は、文化の違いのために結婚をキャンセルしたいという旨の手紙を受け取り、結婚式のチャペルで悲しみに暮れる。
 ジャグーはインドへ戻り、テレビ記者となるが、街でその宇宙人と遭遇する。宇宙人は「神さまが行方不明」と書かれたチラシを配っていて、ジャグーは興味をそそられる。彼女は、彼が賽銭箱から金を盗んで捕まりそうになっているところを助け、彼の信頼を得る。その宇宙人は彼女に、自分は他の惑星から調査としてやって来た科学者であり、自分の星の人間は服を着ることもなければ、宗教を信じることもない、と語る。彼らは握手をすることで意思の伝達ができるため、会話をすることもないという。彼は、カーセックスをしているカップルから衣服と金を盗み、人間に溶け込む。
 彼はうっかりトラックに轢かれてしまうが、その運転手の楽団長バイロン(サンジャイ・ダット)と仲良くなり、楽団一行と一緒に連れて行かれる。宇宙人は、街ゆく人々の手を握ることで意思疎通を図ろうとするが、変態だと思われて追い払われてしまう。そこで、楽団長は彼を売春宿へ連れて行き、そこで宇宙人は売春婦の手を6時間握り続けることで、ボージュプリー語を習得する。
 会話ができるようになった宇宙人は、楽団長から泥棒はデリーにいるはずだと教えてもらい、デリーへ出発する。その宇宙人の奇怪なふるまいから、人々は彼のことを酔っ払いだと思い込み、「PK」(ヒンディー語で"酔っ払い"の意味)と呼ぶ。さらに彼らは、彼のリモコンを見つけることを手助けできるのは「神」だけだと教える。PKはその言葉を真に受け、「神」を見つけるためにあらゆるインドの宗教的行為を実践するが、役には立たなかった。その後、彼は、導師のタパスヴィーが自分のリモコンを持っているのを発見するが、導師はそれを神からの贈り物であると主張し、リモコンを返すことを拒む。そこで、ジャグーは、彼女がリモコンを取り返し、自分の星へ帰らせてあげようとPKに約束するのであった。
 PKは、タパスヴィーら導師達は神と連絡をするにあたって、電話番号の「かけ間違い」をしていて、それゆえに民衆を無意味な宗教儀式に巻き込んでしまっているのだと推測する。そこでジャグーは、自分の局へ動画を送ることを民衆に促し、導師の不正を暴こうとする。この「かけ間違い」キャンペーンは民衆の間で一気に広がり、タパスヴィーは狼狽する。一方で、楽団長のバイロンは、泥棒を見つけ出してPKに連絡し、彼がリモコンをタパスヴィーに売ったと認めたことを伝える。それによってPKは、タパスヴィーが実はいかさま師であり、「かけ間違い」は存在しなかったことに気づく。楽団長は、泥棒を連れてデリーへ向かうが、PKと再会する直前でテロ攻撃に遭い死亡してしまう。そのテロ攻撃は後に、タパスヴィーの集団が、彼らの神を守るためにしたものだと明かされる。
 逃げ場をなくした導師のタパスヴィーは、PKとの対決を了承し、ついに二人は生放送の公開討論番組で直接対決することとなるのである。

 この映画は、インドの単なるコメディ映画と思っていたが、内容はコメディタッチで映像が流れるが、全く違う深い意味を見事にえぐり出している映画なのである。pk(酔っ払いの意味)は、宇宙船を呼び寄せるリモコンを強盗されたことから、どうしたらリモコンが見つかるかと多くの人に聞くのであるが、それぞれの人は、「神に祈りなさい」と言うのである。そのため、多くの宗教の仕様によって、その宗教が崇める神に祈るのであるが、リモコンは戻らない。そんな中で、pkは「きっと神様に繋がるべく電話(交信)が掛け間違いをしており、神にお願いが通じないし、神からの回答も伝わって来ないのだ」と感じるようになる。実にユニークな発想である、しかも、宇宙人の発想なのであるが・・・。イカサマの導師様とTV討論する最終場面で、pkは言う、「神様には2種類ある。人類を創造した本当の神と、あなた(導師)が勝手に作ったニセ神だ」。
 人類の誰もが見たことのない神という存在を、何故人間は信じるのだろうか?しかも、自分の希望を叶えてもらうべく祈るが、その希望は叶えられることがないのに、それでも神の存在を信じる。導師は言う、「自分の作った神を人々が信じることで、彼らは明日を希望を持って生きていけるのではないか」と。神の存在?、宗教とは何か?非常に深いところで考えさせられる映画であり、重いテーマである!!



奇妙さが妙技のティム映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

2017年08月13日 23時20分28秒 | Weblog

 連休中ということもあって、TUTAYAで面白い映画作品を借りて鑑賞した。その映画は、ティム・バートン監督作品の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(2016年アメリカ制作)である。この作品は、ティム・バートン監督らしく、奇妙にして、ファンタジなーな映像が非常に楽しいのである。
ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(ミス・ペレグリンときみょうなこどもたち、英: Miss Peregrine's Home for Peculiar Children)は2016年にアメリカ合衆国で製作されたダーク・ファンタジー映画。2011年にランサム・リグズが出版した同名小説を原作に、ティム・バートン監督、ジェーン・ゴールドマン脚本で製作された。出演はエヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、クリス・オダウド、アリソン・ジャニー、ルパート・エヴェレット、テレンス・スタンプ、エラ・パーネル、ジュディ・デンチ、サミュエル・L・ジャクソンほか。
 フロリダ州に住むエイブ・ポートマン(演・テレンス・スタンプ)は、子供の頃にはモンスターと戦い、第二次世界大戦の間中ウェールズにある「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」が暮らす家で過ごしていたことを、孫のジェイク(演・エイサ・バターフィールド)に何年間も話し続けていた。その家の女主人であるアルマ・ペルグリン(演・エヴァ・グリーン)は「奇妙なこどもたち」を養っていたが、こどもたちはそれぞれが特殊な能力を持っていたという。その後、16歳となったジェイクは、祖父のエイブから電話を受け、バイト先の薬局の管理者であるシェリー(演・オーラン・ジョーンズ)とともに祖父の家に向かうが、そこで両目が失くなった状態のエイブを発見する。エイブは「ケインホルム島へ行き、1943年9月3日のループへ行け。そうすれば鳥が全てを教えてくれる」とジェイクに言い残し、不可解にも亡くなってしまう。シェリーが銃を持ってジェイクに加わると、祖父の話に出てきたモンスターが彼女の後ろに出現する。ジェイクはシェリーに対して後ろを撃つように伝えるが、彼女にはそのモンスターは見えず、そのままモンスターは消えてしまう。精神科医のゴラン(演・アリソン・ジャニー)からの後押しや、ミス・ペレグリンからエイブの誕生日に送られた手紙の発見で、ジェイクと彼の父であるフランク(演・クリス・オダウド)はケインホルム島へ向かうことにする。しかし2人は、こどもたちの家が1943年9月3日にドイツ空軍の空襲を受けて破壊されていたことを知る。ジェイクは失望して父親とともに泊まっていたパブに戻るが、翌日もう1度行ってみると、森の奥に古めかしい屋敷を発見し、「奇妙な子どもたち」に迎えられるのであった。