グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

誰も想像できなかった・・・『農産物輸出』。

2016-06-22 12:19:10 | Weblog
誰も想像できなかった・・・『農産物輸出』。

約7500億円に達したとされる2015年度の日本の農林水産物の輸出
の実態が、じつは海外からの輸入農産物を使った加工品の割合が多いとい
う[4月の衆院農林部会で取り上げられ新聞記事にもなった]事実。

 13年輸出実態はこちら 生鮮農産物実態記事

現状では農家の直接の所得向上につながるとはいいがたい、輸出額のうち
のこの5%程度の生鮮農産物の輸出をもって

 「誰も想像しなかった量に拡大した

という言い回しで 21日の与野党9党首による党首討論において安倍首
相が[農業改革の成果であると]発言されたのは・・・
上記の新聞記事に代表される報道を知る者にとっては誰も想像できなかっ
たこと
だろうなと 思わずにはおられません。 

ちなみに参考資料として では 輸入はどうなっているの回は こちら
品質さえ優秀なら輸入がふえても大丈夫の回は こちら。です。


◎ まあ しかし。こないだのサミットにおけるご発言 や
  オリンピック招致のご発言で世界でこんな表現をなされら
  れたとしても平常心なのであらせられれば党首討論会など
  笑止・しょうし?

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜


南方系の生物達の北進は、今年も。

2016-06-22 00:22:47 | Weblog
南方系の生物達の北進は、今年も。H

次回分の資料として、2012年分の再掲載です。

 ↓

3年ほど前からみかけるようになり、変わった虫だなと思った

というコメントとともに、昨年〔公式に〕確認され話題になった生物・・・。
それが、大分県に接する宮崎県北部の延岡市北方町のガソリンスタ
ンドで捕獲された アマミサソリモドキ です。

 モドキとはいえ.jpg

クモ綱サソリモドキ目サソリモドキ科に属し、夜行性で、主として
コオロギなどの昆虫を捕食する生き物。昼間は落ち葉や倒木などの
陰で、土や石の間に潜るようにして過すという生活をおくります。

南方系の虫だけに、暑くなる季節になると動きが活発になるとみえ
て、このガソリンスタンドでは、3年ほどまえからみかけるように
なり今年になってすでに3匹目を捕獲
しているとのことで、〔最近の気温の上昇傾向とともに〕この付近
での生息域を拡大しているとみてよさそうなはなしです。

・・・それにしてもこのルックスです。わたくしが奄美大島で最初
にこの虫に遭遇したときは、暗がりだったこともあり

 頭部分は クワガタ・足は タカアシグモ・腹は タガメ

といったような、あたかも 生物界のヌエ みたいな、そんなイメー
ジをもったものでした〔サソリとは、おもいませんでしたね/笑〕。
まあしかし、体長が10センチ弱の大型の虫で、サソリとは違って無
毒とはいっても、危険を察知するとおしりについた管〔くだ〕から酢
酸をガス状にして噴出するといわれていますので、〔とくに屋内などで
みかけたときは
〕注意したほうがよさそうです。ニュースは こちら 。

それにしても、こういった南方生物の北進ぶりはどうでしょう

今回取り上げた宮崎県だけに限っても、イヌマキを食害するオビキ
エダシャクや、日南市のキノボリトカゲキノボリトカゲ、宮崎市の
フェニックスオサゾウムシの繁殖と枚挙にいとまがないほどです。

生物たちが、変わりつつある環境の変化〔確実な温暖化〕を如実に
あらわす鏡
 であるのだとすれば・・・・日本は確実に亜熱帯化しつつ
あるようです。


◎ 寝ている部屋でなにやら動く気配・・・電気を点けてみると、いまま
  で見たこともないサソリみたいなものが、枕元にいる。。。これって
  ちょっとしたホラーですよね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染






「攻めの農業」の 別の顔。

2016-06-19 03:07:27 | Weblog
「攻めの農業」の 別の顔。

2012年に発足した第二次安倍政権のもとで 推し進められている
「攻めの農業」。その政府の姿勢を象徴するものが “農林水産物の
輸出促進”です。

今回は 2015年に7000億円を超えを果たした、この農林水産
物の輸出の伸びと内容の実態を 2014年の12月に 発表された
2013年の統計を使ってみていくことにいたしましょう。

ののののの攻めの実態5

まずは 為替相場と輸出量の変化が合わさったこのグラフです。

当然のことながら円安は輸出に有利に働きます。おおむね認識され
ているのが

 1円の円安で 輸出量は 約25億円増加する

というもの。ということで、たとえば25円の差がつけば[円の相場
が100円のときと125円のときでは]625億円のちがいがでて
くるということになります。

つぎに注意したいのが、いわゆる “農林水産物” の内訳です。たと
えば このグラフの2013年の農林水産産物の輸出額は5505億
円ではありますが、そこから2216億円の水産物の輸出額と152
億円の林産物の輸出額を引けば、いわゆる農産物の輸出額が3137
億円[農林水産物の55%くらい]ということがわかります。

ののののの攻めの実態4

その輸出される農産物の内訳をあらわしたものが、このグラフです。

まずは半分の金額を占めるのが、加工食品です。味噌や醤油にソース
や お酒にジュースにお菓子など。合わせて1506億円とされてい
ます。さすがに日本製の加工食品は海外で人気があるのだなとおもう
のですが問題があります。

それは加工原料として使われる大豆やおコメなどの約8割が輸入農産
物で製造されていること。これでは国内の農家と農業の利益にはつな
がりません[もちろん加工業者の利益にはなりますけれど]。

次にとりあげるのが、輸出額が70億円となっている穀物類です。

小麦粉やインタントラーメンにうどんやコメなどがこれにあたるので
すが、これらの原料である原料小麦は よく知られているように約9
割が輸入品
ですから、ここでも 国内の農家と農業の利益には直接つ
ながるとはいえない状況にあります[加工業者の利益にはなりますが]。

それから 輸出額が 382億円の畜産物です。

海外で和牛の人気が高いのは周知の事実 ですから、そのほとんどが
和牛の輸出額によるものだと思いたいのですが、実際には

ののののの攻めの実態6

ブタや牛の皮にゼラチンなどの動物由来の副産物が73%ちかくを占
めているのがわかります。またよくよく考えてみれば、これらの家畜
のエサの大部分も輸入
されているわけですから、統計のグラフに踊る
輸入という文字をみるたびになんだか複雑な気持ちにもなってしまい
ます。

攻めの実態1 攻めの実態2 攻めの実態3

ということで 今回説明してきた円安とか原料の問題とか 農産物の
分類とかを かんがみたうえでの結論となるわけですが・・・

ひとくちに農産物輸出が伸びているという事実があったとしても

  実際のところ伸びているのは[輸入原料を使った]加工食品

であり、世間一般的に農産物輸出のイメージがある食肉に果実に野
菜におコメなどの

  生鮮農産物の輸出額は農林水産物の輸出額のうちの1割程度

であることがわかります。

以上、 今回は “大切な農業を守るためにしっかりと改革し攻めて
いかねばならない
” “2020年を1年前倒しして1兆円を達成し
ていく
”というぐあいに、選挙を控えてますます熱気をおびていく
安倍首相の街頭演説における「攻めの農業」の象徴ともいえる“農林
水産物の輸出促進”の実態を、2013年の資料をもとに考察してみ
ました。


◎ 大部分の農家のみなさんが “実感できない”と 口にされる
  ことが多い農産物の輸出増。その感触は、アベノミスが実感
  できないという、あの感覚に似ている
気がします。

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「輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。」

2016-06-18 01:49:01 | Weblog
「輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。」

やり方によっては農業は成長産業になる。だから農産物は開放しても
じつは大丈夫なんですよ・・という話は、じつのところいわゆるホメ
殺しのようにも思えるのです。ということで、 輸出品の花形である
干しシタケの話からみた市場開放の影響についての考察となります。
よろしかったら、前回分 といっしょに ご参考に。

 ↓

「輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。」

優秀な日本産のコメであれば充分に外国で売れるといったような、希
望的観測に満ち満ちた説があります。はたして、本当にそうなのでしょう
か。そんな農産物に関する輸出入についての話を、その高品質さゆえに、
昔から 海外に輸出されていることで有名な干し椎茸 を例にとって
おはなししてみます。

さて、干し椎茸です。

椎茸は、生のものよりも乾燥したほうが風味や香り・旨みが増すために、
日に干して、干し椎茸に加工されます。高品質の日本産の干し椎茸は、
本場ものとして人気があり、日本各地の干し椎茸業者が主として香港や
台湾に、昔から輸出をしている
ことで知られています。
なんといっても『道元が南宋に渡った際に現地の僧から干し椎茸を持って
いないかと何度も問われた』という逸話がある
ほどのものであったといい
ますから、いかに当時から日本産の干し椎茸の価値が高かったのががわ
かる話ではありませんか。

そんな干し椎茸の本場である日本に、外国産の椎茸が輸入されることなど
可能なのだろうか・・・と、前述の逸話を読まれた方は思われるかもしれ
ません。

が、現実は厳しいものです。

全国でも有数の干し椎茸の名産地である宮崎県の干しシイタケの生産量
1984年と2008年の数字を使ってご紹介しますと・・・

1984年度 2237トン

2008年度  646トン


と、いう具合に、四半世紀の間に生産量が 1/3 になってしまいました。
名産地の宮崎県でさえこれです。ちなみに全国の生産量でみれば

1984年度 16000トン

2008年度  3867トン


と、こちらは 1/4 になっています。

この生産量の減少の原因がじつは、それは 安価な中国産シイタケが大量
に日本市場に流入した
ことによるのです・・・・。

そして、コメです。
干しシイタケとちがって、本当に喧伝されているように“優秀であるから外国産
に勝てる
”のでしょうか。

わたくしは、この説をはなはだ疑問に感じます。

関税が自由化された場合、コメもまたシイタケと同じ道をたどるのではない
のか、と、思ってしまうからです。お伝えした 農産物の輸出入の現状
〔 こちら 〕から考えても、まあそう考えるのが、妥当でしょう。

たしかに

 高品質の日本のコメは外国に輸出される。

しかし、同時に

 低価格の外国産米も、同時に日本の国内市場に大量に輸入される。

結果として、日本産のコメの生産量は、

 コメの名産地で 1/3、日本全体では1/4以下

となる。それが、輸出のために関税を撤廃した場合の真実となるの
ではないでしょうか。

日本は山国であり耕地がせますぎること。水資源にも陰りがみえてきてい
ること。農業と農村は、土地利用型農業農業ばかりでなりたっているわけ
ではない
ことから考えると、そう思えてならないのです。


◎ そもそもTPPを農業だけの問題としてとらえることからして、
  常識がある社会人とはいえないんじゃないかとおもえちゃったり。

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農産物輸出は好調、では輸入量は?

2016-06-18 01:24:16 | Weblog
農産物輸出は好調、では輸入量は?


参院選関連のはなしの再掲載となります。輸出が好調という一面の
みしか語られない首相の話を補足するものとして、よろしかったら
ご参考に。

 ↓

2015年にはいって

世界的な和食ブームが続いていることや、海外政府に農産物など
 の輸入規制の緩和を働きかけていることが日本からの農産物・食
 品の輸出が過去最高の6000億円を超えた


などという農水省の発表由来のニュースが相次ぎました。この発表
をもって 日本の農業の未来は約束されていると思われている一般
消費者のみなさまが多いのですが・・・

では、その日本が輸入している農産物の輸入量はご存じでしょうか。

そんな話を一般消費者の方とはなしてみると、「うーん、輸入のほ
うが2倍くらい多いのかな」とか、「いや、ニュースでとりあげる
のだから、最近はかなり均衡してきたのじゃないの」というふうに
おっしゃる方がおおいのです。

そんな農産物の輸出入を グラフにしたものが こちら  。





農産物輸出入.jpg

実際には、日本はは輸入額が一方的に超過している状況が続いてい
るのが現実なのです。

そんな日本の状況を農水省の資料は『日本は輸入額が一方的に増加
する傾向にあり、2010年における農産物輸入額は538億ドル
であるのに対し、農産物輸出額は32億ドルと輸入額を大きく下回
っています。このため、輸入額から輸出額を差し引いた農産物純輸
入額は506億ドルとなっており、1984年以降、世界最大の農
産物純輸入国
となっています』と解説してあります。

このような状況のなかで、さらに農産物の輸入が促進されるのであ
れば、耕地面積のかぎられた山国である日本のこれからの農業経営
を考えたうえで目指すべきのは・・・・農産物の高品質化[量より
も質
]なのでしょうね、やっぱり。



◎ 農産物輸入で衰退してゆく地方経済 の回は
  こちら
  日本と 輸出型国家の韓国の立場の違い の回は こちら

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