グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

“攻めの農業”も、水がなければはじまらない。

2013-05-21 23:32:41 | Weblog
“攻めの農業”も、水がなければはじまらない。

さいしょに日本の水資源を簡単にみていくことにいたしましょう。

わが国の年間の降水量は、平均で約六千四百億立方メートルです。そのう
ち約36パーセントは蒸発し、残りの約四千一百億立方メートルが利用可
能な水の量で、実際に使われている水の量は2006年の取水量ベースで
そのうちの八百三十一億立方メートル〔ここですでに降水量の12パーセ
ント〕
となっています。
使用されていない水が多いように思えてしまいますが、それらの水の一部
は地下へ、そしてそのほかの大部分の水は海へ流出していきます〔日本は
山国であり、その急峻な地形が影響しているため〕。

さて実際に使用されている八百三十一億立方メートルの水の内訳です。

用途別の使用状況〔2006年〕では、農業用水が使用される水全体の
66パーセントにあたる約五百四十七億立方メートル
、生活用水が19パ
ーセントにあたる約百五十七億立方メートル、工業用水が15パーセント
にあたる約百二十六億立方メートルとなります。

農業生産のために必要な水の量が、いかに大量に必要であるかがわかる
数字ではありませんか。

加えて現在の日本は、もちろん食料輸入国です。食料輸入国であればこそ、
この約五百四十七億立方メートルの農業用水だけで事足りているという
現実
を認識すべきだと思います。

ちなみに輸入されるものの生産に必要とされる水の量についてもお知らせ
しておきましょう。いったいどれくらいの外国の水が使用されているのか。
国土交通省の資料によれば・・・
コメ・麦・豆・肉類に綿製品などだけでも約四百四十億立方メートルにな
るといわれていますよ。

[主な輸入品の生産に必要な水量]

 水資源.gif

ということで、そういった現在の日本の水事情から見た結論からいえば

 現在のところ大量に輸出するための農産物を生産する水資源はない・・・

というか、それに加えて、

 いざというときのための食料を自給できるほどの水資源もあやしい・・・

といってもよい。これが、農業の生産現場にいるものとしての意見で
す〔生産現場で起こる実際の渇水の話しは こちら と こちら 〕。

したがって“攻めの農業”を実現するためには、農作物を生産するた
めに必要不可欠な水、その水の量を確保する必要があるというおはな
しでした。


◎ 水を確保する方策ですが・・・ダムの建設や、作物の見直し・節水
  技術の向上・単位面積あたりの増収に加えて〔これまでは農民を中心
  とする
〕各地の水利組合によって守られてきた日本の用排水路を
  どう管理していくか
が、これからの農業の大きな問題になって
  くると思います。
    
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染