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0157などの腸管出血性大腸菌による食中毒について。

2012-02-27 14:47:51 | Weblog
0157などの腸管出血性大腸菌による食中毒について。

清潔にしすぎたことが、O-157の発生を助長している』『
 157は生命力は弱い。が、腸の中に敵となる菌がいないと暴れ
 だす。
』などといった記述をときどきみかけます。幼い子どもさ
んをもたれるご家庭では、こういった間違った風説に惑わされない
ように注意
いたしましょう。



0157による食中毒について

食中毒の集団発生はさまざまな要因が複雑に絡みあって起きるもの
です。そのため、発生後から状況を再現することは、非常に難しい。
なかでも特に大変なのが O157に代表される腸管出血性大腸菌
が原因する場合なのです。

それはこの菌に、

 ■ 感染してから発症までの潜伏期間が4~9日間と長い
 ■ 調理用具や水などを介した二次感染の危険性を常に伴う


といった特徴があるからです。

長い潜伏期間のもとで汚染食品が流通し、その間にも強い感染力
 により、つぎつぎと二次感染による被害を拡大していく
』・・・
これがO157による食中毒事故の恐ろしさです。これでは、感染
源の特定がなかなかすすまないのもうなづける話ですね。

そのO157の強い感染力について説明しましょう。

たとえば サルモネラ菌などは100万個以上が体内に入らないと
感染しないとされています。0157では、わずか100個足らず
で感染
するとされています。
この感染力の強さであれば、食品にごくわずかについている場合で
も感染してしまいますし、タオルの共用や入浴やプールなどでも感
染の危険がつきまとうという話にもおもわず納得してしまいます。

この強力な感染力のために、過去のO157発生時には多種多様な
感染源が指摘されてきた経緯があります。

有名となっ たカイワレ大根はもとより、仕出し弁当・輸入アメリカ
産牛肉・メロン・そば・イクラに製麺所のうどん・和菓子・生レバ
ー・牛ホルモンなどなど。なかには、おかかサラダやかぼちゃサラ
ダの例、なんてこともありました。
この広範囲にわたる感染源というものこそが、潜伏期間の長さと強
い感染力を持つというO157の特徴を端的にあらわした実例だと
いえるでしょう。

この原因究明された感染源の多さをみて、『これはとても防ぎきれ
ない
』・・との感想をもたれた方も多いとおもいます。が、実際に
は、O157が原因の食中毒ってそうそう起こるものではない。

その理由は上記のいろいろな感染源が、じつは二次感染による感染
源であることにほかなりません。そもそもの感染源は、別にある。

そう・・・O157のいる場所は、はじめからわかっているからです。

O157は、「家畜や動物のふん尿を介して生殖・増殖する微生物」
なのです。実際のところ、O157は、牛のふん便中の2-3割に
おいて普通に検出されるという事実もあります。

動物には害がなく人間に害をおよぼすというO157という大腸
菌のもつ性質が、問題となって発生する食中毒というわけですね。

したがって、上記の多岐にわたる感染源としてあげられた食品は 
あくまで「従犯」。「主犯」である動物のふん便中のO157を
おさえこむことで、O157は予防できる
ことになります。


▼ 人間に下痢を引き起こす病原性大腸菌は数種類あり、「0157」
とは、「O抗原」とよばれる分類により約180種に分けられたうち
 の「157番目の病原性大腸菌」の意味。おなじように「0111」
 とは、「111番目の病原性大腸菌」となります。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜