グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

イネは正直。

2015-08-27 18:50:59 | Weblog
イネは正直。G

収穫期をまじかに控えた時期における台風の来襲。もっとも避けなければ
ならないイネの倒伏についてのおはなしとなります。

倒伏1 倒伏3 倒伏2
こうなってしまうと↑ イネを刈ることも大仕事になってしまいますし、
その前に茎が折れていますので、このまま腐ってしまったり、腐らなかっ
たとしてもなかなか実が熟れないことにもなってしまいますから。


 ↓

『イネは正直。』

水田の栄養状態は 一枚一枚ちがいます。

肥えている田・やせている田・日当たりの良い田・水はけのよい田・粘土
質の土の田・野菜あとの田、大きい田・せまい棚田も、すべては 田んぼ
とよばれます。

そんな田んぼを

新規就農された方・おばあちゃん・ベテラン農家・農業公社・有機農家や、
サラリーマン・兼業農家のおかあさんたちなどなど、いろいろな方がつく
られる。日照りの年や、台風の多い年や、天候が順調な年、そして不順な
年にも つくられる。

そういう意味では、同じ田で同じ人が作るからとはいっても、田んぼでの
イネつくりって、じつに千差万別の世界なんです。

しかし、そんな多種多様な田んぼ と 多種多様な作り手、そしていろい
ろな気象のなかにあっても、作られるイネは正直です。だれがどう作ろう
と、育てられるイネの姿には土の栄養状態がはっきりとでる

イネは正直者なのです。

その栄養状態による診断と対策ですが、イネの姿をみたときにやせた栄養
状態のときはとり立てて心配いりません。栄養が足りないときには、生育
に合わせてすこしづつ肥料をやっていきさえすればよい
のですから。

むしろ心配しなければならないのは、植えつけたイネが肥満してきたとき。
そう、田んぼの土が肥えすぎている場合なのです。

よくありがちな]田んぼが肥える原因となるのは、たとえば

 ■ 裏作にキャベツやハクサイなどが作られている田んぼ
 ■ 家畜ふん尿に由来するたい肥が必要以上にいれられた田んぼ
 ■ 田に作っていた牧草などをすきこんだ直後に田植えしたとき
 ■ 田に作られていた作物が安値から生産調整され、すきこまれたとき
 ■ 田植え直前に生の有機物〔ワラ・米ヌカなど〕を大量に入れたとき

などといったケースがありますが、こういった場合に注意が必要になるの
です。

なぜ注意が必要になるのかですが・・・イネが、田んぼ全体の養分が過剰
となった田や、チッソやカリなどの一部の養分だけが異常に蓄積している
田んぼに植えつけられると、

 ■ 稲がイモチ病などの病害にかかりやすくなる
 ■ イネの背丈がずんずん高くなり、収穫前に倒れてしまいがちになる
 ■ 穂が成熟する前に倒れると、穂が熟れない
 ■ 収穫の時期が遅れる
 ■ 未熟な栄養分がおおければ多いほど、食味も悪くなってしまう

といった不都合が、稲の生育しているうちに起こりやすくなるからなのです。

そういった不都合を解消し、おいしいお米をたくさん同時に収穫するために、
いれる肥料の種類を調整したり、田植えするイネの絶対[本]数を減らした
り、生育中の水の管理を徹底したり、イネに当たる日光の量を増やすといっ
た、イネの生育のお手伝いをしていく[栽培する]わけですが・・・育って
いくイネの姿には、そういった努力の効果もきちんきちんと反映されていく
のですから、

 イネというのはほんとに正直者だなぁ

と、つくづく思わされるんです、イネつくりの現場に携わっていると。

ということで今回は、田の土の状態や作り手の努力は、育てられるイネの姿
に反映される[イネは正直もの]というおはなしでした。


◎ イネには節があります。その節の長さなどからでも、その時のイネ
  の生育状態がわかったりもします。そういった意味では、イナ株と
  いうのは、ある種のタイムレコーダーみたいなものだともいえるで
  しょう。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜