グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

野菜の生育がおもわしくなかったら、ひょっとして。

2013-10-05 16:31:13 | Weblog
野菜の生育がおもわしくなかったら、ひょっとして。

暑い夏もようやく終わって、ガーデニングに最適の季節がやってきました。

しかし、たとえば葉物野菜のホウレンソウです。

芽だったころのホウレンソウの葉が、縮れたり、こぶ状の小突起ができ
たり
といった症状になり、ひどいときには芯どまりになって成長しない
・・そんな経験はありませんか。

じつはこれ、新芽部に寄生する体長約0.6mm前後の小さな虫、ホウレン
ソウケナガコナダニ
の仕業であることが多いんですよ。

この虫がホウレンソウの芯の部分に寄生し食害することにより、商品価
値を低下させ、特に春作と秋作では収量低下の大きな原因となります。
またこの虫が土壌中にもっとたくさんいるときは発芽することさえまま
ならない場合もある
ということなので、注意が必要です。

問題になりはじめたのは2005年以降。

2008年には、2度にわたって日本農業新聞が、このホウレンソウケ
ナガコナダニの被害が全国に広がっていることをトップ記事で報じて
話題になりました。記事の内容はつぎのように。

2008年6月13日分トップ記事。↓

ホウレンソウを食害するホウレンソウケナガコナダニによる被害が、全
 国39都道府県に広がっていることが12日、本紙の調査で分かった。
 環境保全型農業の拡大とともに、同ダニの餌になる未熟堆肥(たいひ)
 や有機質肥料の利用が進んだことが要因。関係者は「国を挙げて試験
 研究に取り組んでもらいたい」と訴える。


と、いうことでした。

・・・これは環境保全型農業、いわゆる有機栽培における〔生の有機物
使用の大量使用よる
〕弊害が出た顕著な例のひとつなんです。

本来土壌中に生息する有機物分解者であったはずのホウレンソウケナガ
コダニが、人為的な環境の変化によって害虫とされてしまった。

 ある意味 ホラーですね。

そして、どれだけたくさんの未熟有機物が全国の耕地で施用されているの
かと、心配
させられる話でもあります〔土壌に保持できなくなった分は
水に乗って環境中に放出されるわけですから、ヒトにとってもホラー
なはなしになるんです
〕。

ということですから・・

有機物の耕地への施用に関する、質と量そして回数の規制がない現状とし
ては、「ホウレンソウケナガコダニの被害がでるほ場では、未熟有機物の
使用を控えてもらえませんか
」と、いまのところは農業者の良心におねが
いするしか方法がないわけです。 

「キュウリ、スイカ、ピーマン、トマト、ネギ、ニンジン、キャベツ、ト
 ウモロコシにも被害がでますので、よろしくおねがいいたします」

とお願いして、人為的に生態が変えられたダニのはなしはおしまいです。


◎ 『現代農業』誌の推奨された農法、「土ごと発酵」が盛んになって
  から被害が増えた気が
するんですよね。
  そしてこちらは われわれの 飲み水と硝酸態チッソ の話です。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染