日照りに根を張り

昨夜まで降り続いた雨が地面の底にまで浸透している。
大気は未だ霧のように濡れているけれど、
肌に吹き寄せる風にどこかしら乾いたものを感じる。
朝陽に面した土手から朝靄のように、蒸れた水蒸気が立ち上っている。

私はスヌーピーと猫３匹と朝の散歩。田んぼは今中干しの状態。幸いにして昨日一昨日の集中豪雨では何も被害が出なかったみたいだ。台風、大雨、大風・・・百姓はその度に気を田に畑にと飛ばされる。

アスファルトの上をたくさんの小さなカエルがてんでの方向に跳ねている。
おたまじゃくしとほとんど同じ大きさだ。
時折車に踏まれてぺしゃんこになってしまった親ガエルも見かける。
生まれたての子どもたち、彼らはこれからどんな生を歩むのだろうか。

庭の桑の実がいつの間にか二倍の大きさに膨れていた。今まで雨無しで溜まりに溜まっていた成長エネルギーが、大雨を受けて一気に爆発したみたい。
日照りの間、草も木も見かけは伸びていないように見えるけれど、実は地面の下で更に深く、更に深くと根を張っていく。そしてやがて来る雨を余すところ無く吸収して地表の体躯を地下構造に見合うだけに伸張させる。その時植物は、以前よりもずっと強く逞しくなっている。

私たち人間ももしかしたら同じかもしれない。
誰しも一見成長が止まるように見えること、うちに籠って停滞している風に見えることがあるけれど、実はその時は、見えないところで心の根を張り続けているのかもしれない。
生きるものは常に移り変わることを免れない。ひとところに留まり続けること、「今の状態」を維持することはどのような場合においても不可能だろう。
だから今しも変わり続けている自分をいつも信じていたい。
やがて来る雨に、いつかその実を何倍にも膨らませる時があることを。