橋下大阪府知事が来年1月の大阪市長選に出馬し、同時に行なわれる知事選に知事の腹心が立候補するという。自分は関東に住む人間で普段は縁遠いが、それだけにこれまでの大阪府と大阪市のバトルには第三者的立場でいられる。
その観点ででいえば橋下知事の発想は興味深く、大阪都の構想には賛成である。特に大阪市の特殊性が重要な点である。大阪市は面積がわずかに220K㎡で横浜市の約半分である。人口も横浜は360万人に対して260万人であるが、人口密度は大阪の方が1.3倍ほどだ。
大阪市と横浜市は都市の性格がまるで違うのである。大阪が関西の大都会であるのに対して、横浜は首都圏の最大の衛星都市といってよい。横浜北部郊外に住む人はむしろ東京との結びつきが強いと言ってよい。
政令指定都市は、都道府県に匹敵するほどの行政の権限があると言われる。大阪市のGNP(15兆円)や予算(約1.5兆円)は大阪府の半分ほどにもなる。当然人口が100万人も多い横浜市と比べてもずっと多い。つまり大阪には大阪府と大阪市という二つの大きな自治体が存在し利害関係でも著しくこじれている。
それと言うのも、大阪市が府の中心というだけでなく、周辺の県を含めた一大商圏すなわち生活圏になっているのである。つまり大阪市が京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀を含めたいわば近畿州の州都なのである。大阪は東京都のような都としての性格をもっている。
以前から大阪市の人口が横浜市より少ないことを不思議に思っていた。大阪市は近隣の堺市、東大阪市、豊中市などと合併して500万人の規模にした方が実情に合っていると思う。ただし従来の政令指定都市ではなく、東京都23区のような区が独立性を強めたものにすべきだ。当然区の総体たる都は現在の大阪府全体をも行政わ兼ねるになる。そして文字通り近畿圏の中枢部としての役割を果たす。近畿には首都圏と違い魅力ある都市が多い。歴史と観光の京都、港町で貿易港の神戸、歴史と自然の奈良、城下町の和歌山、琵琶湖のある大津などだ。それらの都市が大阪を基軸にして機能的に結びついていけば首都圏に匹敵する経済圏になりうるだろう。江戸時代から戦前にかけて大阪は江戸・東京をしのぐ経済力をもっていた。すなわち大阪の復権にめざすことになる。経済力の向上は文化の向上につながる。今どちらかというと大阪・京都の文化はマイナーである。近畿圏と首都圏が文化的に対等のなり、相互に競争しあるいは結びつく。その影響は周辺の地域に及んでいく。それが日本そのものも活性化につながると思う。
橋下知事の構想もおそらくそんな日本の姿を念頭にいれているのではないか。