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粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

河西昌枝と岡崎朋美

2013-10-06 12:19:20 | スポーツ

昔の東京五輪で東洋の魔女として金メダルを獲得した女子バレーボール。その主将だった河西昌枝(現姓中村)さんが今月3日亡くなった。東京オリンピックの一番のハイライトといえば、当時を知っている人間ならば大方の人がこの女子バレーボールを選ぶだろう。それどころかその後の五輪を含めても最も印象に残る金メダルかもしれない。監督を務めた大松監督の鬼の猛特訓は、その後スポ根ブームを巻き起こし、サインはV、巨人の星、あしたのジョーなどのテレビドラマが圧倒的な人気を博した。

意外なのはこの金メダルチームが、ある一企業が主体となっていることだ。ニチボー貝塚という繊維会社だが、当時の日本の経済を象徴している。五輪当時は繊維業界が日本の産業をリードしていて輸出の代表格であった。ただこうした繊維業界は労働集約特に若い女性労働者主体の産業であった。当時は中卒の集団就職が花盛りで彼女たちは都会近郊の大工場で働いていた。

普段は社員寮から会社を往復する日々であって、その中で唯一ともいえる余暇が会社のサークル活動であった。ニチボー貝塚のバレーボールチームもそんな環境で生まれたサークル活動であろう。したがっていずれ結婚すれば、退社しサークル活動からも離れるのが普通である。結局東京五輪が花道となって多くの選手が引退した。結婚後に楽しむママさんバレーとは完全に個人的なリクレーションの場でしかない。

ところが現在はどうか。最近ある女性選手の動向が目を引いた。岡崎朋美選手、15年前の長野五輪で女子スピードスケート500mで銅メダルをとって忽ち世間の人気を集めた選手だ。その後も連続して五輪に出場し来年のソチ五輪の代表を目指して本格的な練習を始めたという。なんと今年42歳、2歳の女児を持つ母親だ。次のソチで代表になれば長野五輪前のソルトレイクから数えて6回目の五輪出場になる。結婚して引退どころか子どもが出来ても五輪を目指す。東洋の魔女の引き際と比べると隔世の感がある。

岡崎選手の五輪への想いとは一体どんなものなのだろう。今は女性選手でもスポーツ活動に全身で打ち込める環境が出来て来たことはあると思うし、それを受け入れる世間の理解も高まってきたといえる。やはり前々回の冬季五輪で活躍したカーリングの小野寺歩選手(現姓小笠原)も出産を経てソチへ目指し始動している。

同じスケート選手でも橋本聖子選手の場合は何度も五輪に挑戦する姿を「五輪オタク」と、かつて揶揄されたこともあった。しかし今はそんな偏見も少ないようだ。結婚も犠牲にしてスポーツに打ち込むような悲壮感も薄れてママさん選手として堂々自分をアピールできることはそれはそれで結構な話だと思う。ただ夫の理解はいつでも必要だろうが。

と同時にこうした選手を育成する国や社会のバックアップがどうしても必要だ。ニチボーの後進ユニチカがバレーボールチームを廃部して既に久しい。企業が単独でスポーツチームを維持するのも難しくなってきている。アベノミックスでの経済再生の試みがこうしたスポーツ選手育成の起爆剤になって欲しいと思う。

次回の東京五輪は今の高校生以下の有望選手が大活躍するであろうが、意外なママさん選手が頑張るのではないかと期待している。


イチローの「快挙」に辛口の米国論評

2013-08-23 07:19:19 | スポーツ

ニューヨークヤンキースのイチローが日米通算4000本安打達成したことに、アメリカではこの「偉業」に賛辞を送る一方で、辛口な批評も出ているようだ。やはり日本の野球と米国のベースボールは違うスポーツだとアメリカメジャー界の「中華思想」というべきもの根底にあるようだ。

ヤンキースの同僚が「4000本安打がたとえリトル・リーグの記録であれ、今回の記録は“イチ”(イチローのニックネーム)がいかに安定して活躍をしてきたかを物語っている。通常ではとても難しいことなんだ」とコメントした。表向きは賛辞に見えても、どこか優越感を秘めたメジャー側の皮肉が込めらているように思う。日本のプロ野球はアメリカのリトルリーグ並か?

ただ残念ながら、これがメジャーの現実認識といわざるを得ない。イチロー自身、メジャーに移籍した年にアメリカンリーグトップの242安打と首位打者でリーグの新人王になったが、メジャーでは新人扱いは当然のことされて、問題になることはなかった。イチロー本人もこの栄誉にはこの上ない喜びであったようだ。

そしてイチロー自身は本音では、日米合算で成績を云々されることを特別喜んではいないのではないか想像する。所詮日本のプロ野球とアメリカのメジャーを同じ土俵で考えるのは、まだまだ無理があると思う。したがってアメリカのメディアは2015年にこのままいけばメジャー通算3000本安打が達成できることの方に、期待をかけている。

最近のイチローは以前ほどの打撃の勢いがないようだ。果たして順調に到達できるか少し不安だ。やはり3000本安打を達成したときこそ、イチローは名実ともにメジャを代表するプレイアーとなりうるのではないかと思う。

以前、王貞治氏は巨人の現役選手の当時、本塁打世界記録が達成しそうな時に、メジャーのコミッショナーがこの世界記録を認めないと発言して物議をかもしたことがあった。王選手も「器(球場の大きさ)が違うから」とアメリカの難癖にはある面同意するコメントをしていた。これが現実なのかと自分自身、非常に悔しく感じたことを記憶している。

ただ当時でも日本の投手のレベルは米国に匹敵するほど高かったような気がする。金田、稲尾、江夏など最盛期の豪速球は相当な物だ。これら並みいる投手に真正面から勝負してを本塁打を量産する王選手の実力はメジャーでも決して遜色なかったと思う。おまけに王選手は、好調時には敬遠攻勢に悩まされ調子を崩してもおかしくもないのに、それも跳ね返すパワーをもっていた。本塁打世界記録も決して半端じゃないと信じている。

そして、王選手に匹敵するのがイチローだ。年齢を克服するようなイチローの自己改造で、メジャーの更なる高みを目指して欲しい。名実共に揺るぎないメジャーの巨人として。


松山英樹、石川遼、稀勢の里

2013-07-23 12:02:58 | スポーツ

プロゴルファー松山英樹(21)は今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。初めて出場した先週の全英オープンでもいきなり6位につける大健闘だ。今年4月にプロデビューし国内外10試合ですでに獲得賞金が1億円を突破する華々しさだ。国内の試合で2勝し全米オープンでも10位につけている。

それに対して、同学年で一時は若手プロゴルファーのホープとされた石川遼(21)の場合は、もはや「不振」と呼ぶのがおこがましいほどの落ち込みだ。米ツアーに敢えて挑んでいるが、多くが予選落ちを繰り返すばかりで、もはや日本のメディアの話題にすらならない。

一時は数社のスポンサーがあってCMの露出も目立ったが、今は英会話のCMが流れる程度。英会話が上達しても本業のゴルフが駄目では何をか言わん、とその違和感が痛々しく感じられる。

松山英樹と石川遼にみる勢いのコントラストは敢えて例えれば現在の政界を想起させる。参議院選挙に大勝し衆参のねじれも解消、前途洋々の自民党、かたや昨年の衆議院に続いて今回も惨敗に喘ぐ民主党。

石川遼が高校一年生のアマで出場した国内のツアーに勝利した衝撃の2007年は、奇しくも民主党が安部第一次内閣の時に参議院選挙で大勝した年だ。石川はそこから快進撃が続きプロ2年目の2009年にその年の賞金王になった。言うまでもなくその年は民主党が政権を奪取した年だ。

しかし民主党政権は2011年の震災での対応が批判され国民の支持を急激に失っていった。実は石川遼も「震災対応」ではある意味失敗している。詳しいことは自分のブログ(H11年12月6日)でも書いたが、「試合で獲得した賞金を全額寄付する」というものだった。それが彼のプレッシャーになったのか、他の選手が反発したのかわからないが、その年は1勝すらできずその寄付も当てが外れてしまった。

石川の不振はその後も続く。海外進出も不発で落ち込みは留まるところを知らない惨状だ。民主党の凋落もまさに石川のそれと時期を同じくしている。あるいはその存在さえ忘れられているという意味では石川は今の社民党、生活の党、あるいはひっそりと党首が引退を表明したみどりの風に匹敵するかもしれない。

石川遼は21歳と若いし、まだまだこの先希望はある。ただ当時ブログでも書いたように父親から受けた英才教育によるひ弱さが感じられる。温室育ちともいえるだろう。だから、石川自身何かと問題が噂される父親の影響からいかに離れるかが肝心なような気がする。母親から大金の子ども手当を受けていた軽~い元首相のようにならないためにも。

その点、松山英樹はどこか野性的なたくましさがある。テレビでも話していたが、大きな試合でも決して物怖じしないタイプのようだ。大事な試合ほど、闘争心が燃える頼もしさがある。また人に左右されず自分を貫き通す頑固さもある。大試合のプレッシャーにも強い所以だろう。

このプレッシャーで最近もう一人の人物のことが話題になった。先週まで熱戦が繰り広げられていた大相撲で最も注目された力士稀勢の里(27)である。結局彼はプレッシャーに負けてしまったといえる。結果が全てのスポーツだからそういわれても仕方がない。

横綱取りが期待された稀勢の里だったが、前半で早くも3敗しあっという間に今場所での横綱の夢が消えてしまった。確かに、久々の横綱というファンの強い期待は想像を絶するものがあっただろう。そしてファンの目が彼一人に注がれていたといってもよかったのだから。

ただ不思議というか、当然というか、横綱の夢が潰えてから急に彼は本来の力を発揮し終盤全勝の白鵬さえ破った。ところが千秋楽で3敗のままなら来場所横綱に再挑戦できるという時になってまたまたあっけなく負けてしまった。まさにプレッシャーという不可思議な力に押しつぶされた気がする。

どうも日本人特有の内弁慶のもろさが出た感じだ。相撲界は、親方の指導のもと世間からは隔離され狭い世界で伝統的な稽古一辺倒で終始しているような印象がある。おそらく朝青龍のような奔放さは、なかなか受け入れられないのだろう。稀勢の里もそうした大相撲の伝統と格式で実直に稽古を励んでいるのではないか。

そのまじめさが今回の綱取りで仇になった感じがする。おそらく、彼は自分自身プレッシャーに対する弱さを身にしみるほど感じただろう。来場所から、このプレッシャーを克服して精神的に強くなって土俵を賑やかにできるか。稀勢の里の再起を大いに期待したい。



連投は悪くない

2013-04-03 16:09:08 | スポーツ

ダルビッシュ、惜しかったな。あと1人で完全試合。19世紀から続くメジャーで達成したのは22人。ダルブッシュは三振14個で外野に飛んだのは1回だけなのだから、その凄さは分かる。もし、その偉業が達成されれば、イチローの首位打者2回も松井秀喜のワールドシリーズMVPもかすんでしまいそうだ。ダルビッシュのことだから、きっとこの悔しさをバネにして、いつかは完全試合を達成してくれるものと期待したい。

ところで、今日甲子園で高校野球春選抜の決勝が行われ浦和学院が優勝した。負けた済美の安楽投手は、4試合を完投(決勝戦のみ途中降板)、特に後半3試合は連日登板という過酷な日程であった。最後は浦和の猛攻に力尽きたが、その健闘は大いに賞賛される。

当初自分は、高校野球の過密スケジュールに疑問に感じていた。球児特に投手の選手生命を縮めるものではないかと常々思っていた。事実、それは多くの野球ファンが感じていることだろう。アメリカのメディアも今回の安楽投手の連投について「投げた球数が正気の沙汰ではない」と酷評しているようだ。

だが、意外な人物が、こうした連投を肯定していた。あの江本猛紀氏である。彼のブログで「余計なお世話」と書いている。400勝投手の金田正一氏や燃える闘魂の星野仙一氏がいうなら分からないこともないが、「20倍楽しむ」ことをモットーにするエモやんが言うのだから面白い。

球数を投げないのがいかにも科学的で、スポーツ医学的にも自分達が優れているということを押し付けてくる。これには最近のプロ野球がこの風潮に惑わされ、折角の投手としての素質が開花されずに、むしろ投げないことで故障して育たないことも原因の一つになっている。(松坂などがいい例だ!)

江本氏がいうには安楽投手は実際、連投が通用するタイプだと見ている。

連投のきく投手の条件としては、元々連投のきく地肩の強いタイプがある。そして故障しにくい美しいフォームが出来ていること。それを作る為の練習方法などによって強靭な足、腰、肩が作られる。そして最後は手首・握力のパワーが連投できる元だ

ただ、そうはいってもそれがいつまでも通用するといえないことは江本氏自身認めている。しかし、そこは野球を自分の生業とする人間の独特の価値観がある。

だからと言って健康の為に投手をやっている訳じゃなく、肩肘など故障をするかもしれないリスクを、勝利という代償を得て戦いプレーするのだから、あれもダメ、これもダメ等と他人がとやかく言うべきじゃない。

その証拠に安楽投手は今日も堂々と投げて勝っているではないか!それを故障して肩を壊すから止めろということは無責任でしかない。本人が納得し、決めることなのだ!

決勝で、安楽投手は4回まで力投で無失点に抑えていた。5回に集中打を浴びて大量失点を許してしまったが、決して連投のせいではないと思いたい。優勝は逃したが、おそらくエモやんではないが、野球を20倍も楽しんだことだろう。まだ2年生だから、連投もきく強肩でこの先甲子園でまたあの勇姿を見せてほしい。もちろん、プロ野球でも、さらにダルブッシュのようにメジャーで完全試合を狙う投手として。


松井ついに引退

2012-12-28 16:12:23 | スポーツ

やっぱり来たかという感じだ。松井秀喜の引退、以前から彼のファンだったが、ヤンキースを退団してから急に関心がなくなってしまった。メディアを含めて多くの野球ファンをそんな現金な目で見ていたのだとは思う。しかし引退となれば、彼の業績は改めて賞賛されて当然だろう。長島さんが松井を「現代最高のホームランバッター」と敢えて引退を機に言い切ったことは決して嘘はないと思う。自分もその称号を彼に送りたい。

今思うに彼がメジャーに行かず、日本のプロ野球で頑張っていたのなら、随分日本の球界も変わっていただろう。テレビの巨人戦の視聴率は依然上位を占め、今頃契約改更も大きなニュースになっていただろう。

熾烈なメジャと比べると日本ではもっと長く4番で活躍できたはずだ。今年日本ハムに入団した大谷選手との対決も来年の大きな期待になったかもしれない。

彼の今後は一体どうなのか、想像もつかない。日本のプロ野球でコーチ、監督になるのも、野球解説もあまり似合わない。ひょっとして母校、星稜高校の監督になって後進の育成に務めるなんてことも充分に考えられる。

自分にとってはやはりプロ野球のスターはホームランを豪快にかっ飛ばす選手である。ONに始まり松井で終わる。それは日本そのものの輝きであった。これから新時代のスターは生まれてくるのだろうか。