Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●《志賀原発…すぐ近くで地盤が4m隆起…取水口が海面から離れることにより冷却水が取れなくなる恐れ…原発の建屋が損傷する恐れもあった》

2024年03月22日 00時00分05秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年03月10日[日])
3.11の教訓は活かされず、能登半島地震の「警告」を無視してさらなる暴走を続けるキシダメ政権。本年1月1日の能登半島地震で道路は寸断され、海岸では隆起が起き、さらには、多くのモニタリングポストも機能しなかった。避難計画など絵に描いた餅だったことを目の当たりにした。(小出裕章さん)《今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない》。福島第一核発電所周辺では、未だに全く《原状回復》はされていない。汚染水放流が廃炉に向けての一歩のごとく嘯き、1グラムのデブリも取り出せないし、どこに数十トンものデブリが残されているのか見当もつかない。にもかかわらず、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この13年間、着々と《原発復権》。《日本では現在、10基の原発が動いている。また、基準審査や定期検査などで停止中の原発が23基ある。その他、24基は既に廃炉が決まっており、3基が新たに建設中だ》…正気なのだろうか。そんなデタラメを行う自公お維コミにどうしてて投票できるのですか? 理解不能。

 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【能登半島地震であらためて露見した日本で原発を続けることの本当のリスク/セーブアース セーブアース (第17回)】(https://www.videonews.com/saveearth/17)。《1月1日の能登半島地震では、能登半島の付け根に位置する志賀原発が、変圧器が壊れて一部の外部電源が喪失したり、燃料プールから水が漏れるなど、相次ぐトラブルに見舞われた。能登半島地震はあらためて、地震大国である日本で本当に安全に原発の運用ができるのかという問いをわれわれに突き付けている。第17回のセーブアースでは、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏をゲストに、地震大国日本が原発を続けることのリスクと、それがやめられない理由などについて考えた》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
      と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所
   『●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長
     年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》
   『●石川県志賀町・稲岡健太郎町長「北陸電力は再稼働を目指すとのこと
     だが、首長として以前のように安全性をアピールすることは難しい」と…
   『●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は?
     正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?
   『●小出裕章さん《今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まって
      いてよかったということ。…原発が1年間稼働すれば、広島原爆が…》

=====================================================
https://www.videonews.com/saveearth/17


【松久保肇×井田徹治:能登半島地震であらためて露見した日本で原発を続けることの本当のリスク】
 (https://youtu.be/_xxXLqvX2II)


2024年02月14日公開
能登半島地震であらためて露見した日本で原発を続けることの本当のリスク
セーブアース セーブアース (第17回)

ゲスト
松久保肇(まつくぼ はじめ)
原子力資料情報室事務局長
1979年兵庫県生まれ。2003年国際基督教大学卒業。16年法政大学大学院公共政策研究科修士課程修了。東京金融取引所勤務を経て12年より原子力資料情報室研究員。17年より現職。22年より経済産業省・原子力小委員会委員。共著に『検証 福島第一原発事故』、『原発災害・避難年表』など。


概要

 1月1日の能登半島地震では、能登半島の付け根に位置する志賀原発が、変圧器が壊れて一部の外部電源が喪失したり、燃料プールから水が漏れるなど、相次ぐトラブルに見舞われた。能登半島地震はあらためて、地震大国である日本で本当に安全に原発の運用ができるのかという問いをわれわれに突き付けている。第17回のセーブアースでは、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏をゲストに、地震大国日本が原発を続けることのリスクと、それがやめられない理由などについて考えた。

 北陸電力は、能登半島北部沿岸で96kmの断層が動く地震を想定していたが、実際は150kmにわたって断層が動いた。今回は幸い志賀原発の敷地内では地層の隆起は起きなかったが、すぐ近くで地盤が4m隆起している。もし敷地内でそれほどの隆起があれば、取水口が海面から離れることにより冷却水が取れなくなる恐れもあったし、そもそも原発の建屋が損傷する恐れもあった。

 また、能登半島地震は、震災と原発事故が同時に起こったとき、周辺住民が本当に安全に避難できるのかという古くて新しい問題をわれわれに突き付けた。今回のように道路が寸断して孤立集落がたくさん発生しているような状況下で原発事故が起きた場合、どうやって住民を避難させるのか。さらに志賀原発のように半島の付け根にある原発で事故が起これば、半島の奥側にいる人たちは逃げ場がなくなる。船を前提にした避難計画もあるが、地盤が隆起して港が使えなくなる場合があることも、今回の経験で分かった。

 日本では現在、10基の原発が動いている。また、基準審査や定期検査などで停止中の原発が23基ある。その他、24基は既に廃炉が決まっており、3基が新たに建設中だ。志賀原発は2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故以来、運転が止まっているが、もし運転中であれば、より大きな事故につながっていた可能性もある。また、今回地震と津波の影響を大きく受けた珠洲市には1970年代より、北陸電力、中部電力、関西電力の3社による珠洲原発の建設が計画されていたが、地元の反対運動により凍結されていた。もし当初の計画通り珠洲に原発が設置されていれば、取り返しのつかない事態になっていたかもしれない。

 そのような状況にもかかわらず、北陸電力は志賀原発の再稼働を目指している。なぜならば、その間北陸電力は東日本大震災から1度も稼働していない志賀原発に維持費や人件費として6,100億円をつぎ込んでいるからだと松久保氏は言う。いつ動くか分からない原発に資金の投入を続けていれば、他のエネルギーに投資することも難しい。志賀原発に限らず、日本は原発をやめることを前提に、再生可能エネルギーに投資する方向に舵を切るべきではないかと松久保氏は言う。

 岸田政権は2022年12月、安倍政権さえできなかった原発の運転期間の延長を成し遂げている。原子炉等基本法では運転期間は40年、特別な点検をすればプラス20年とされていたが、岸田政権は、運転停止している期間をカウントしないことで実質的に60年を超える稼働を可能にした

 さらに岸田首相は肝いりのGX実行会議次世代革新炉の開発・建設を命じた。政府はGX債という2050年温暖化ガス0実現のための国債を10年間で20兆円発行し、そのうち1兆円を次世代革新炉の開発・建設にあてるとしている。しかし高速炉の実証実験がうまくいったとしても、高速炉は建設費が高いだけではなく燃料費も高いので、実用化することは経済的に難しく、それだけのお金を投じることの意味は見いだせない。国が丸抱えで支援するしかなくなっており、松久保氏はこれは沈みゆく原子力産業の救済措置に過ぎないと言う。

 福島第一原発の事故処理費用は23.4兆円と言われるが、これはデブリを取り出すまでのコストに過ぎない。さらに取り出した後の核廃棄物を処理するために膨大な費用がかかることが予想され、それは優に20兆円はかかると松久保氏は言う。一つの原発の事故処理に国家予算の半分近く、国の年間GDPの1割近くを費やすことになるのだ。再び事故が起これば、また同じだけの負担を負うことになるが、そのリスクを国民に負わせて運転を続けるつもりなのだろうか。

 原発政策を議論する経産省の原子力小委員会では、原発に反対する意見を述べる人は松久保氏を含め2人しかいない中、委員会は2時間の枠で、経産省の人が30分ほど説明して21人の委員が3分ずつコメントするだけで、議論も何もないと松久保氏は言う。そのようなことをやっていては、原発政策を巡る本質的な議論などできるはずもない。明らかに行き詰まった日本の原発をどうするかを考えるためには、国民的な議論が不可欠だ。

 日本は世界でも類を見ない4つのプレートが重なり合った文字通りの地震大国だ。そんな日本がそれでも原発をやめられない最大の理由は、電力会社がすでに投資をした資金を回収せざるを得ないからに他ならないと松久保氏は言う。そのために国民がどれだけ大きなリスクを背負わされているのかを、われわれは厳しく認識する必要があるだろう。

 能登半島地震が示した日本で原発を続けることの危険性などについて、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏と環境ジャーナリストの井田徹治が議論した。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●次世代小型原発「小型モジュール炉SMR」開発頓挫…《日本政府もSMRに肩入れ…そもそもの実現性や経済性に疑問》、やってる場合か?

2023年12月29日 00時00分10秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年12月08日[金])
間もなく、13年目だ。
 《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 

 キシダメ政権と、カルト協会とズブズブヅボヅボな「利権」「裏金」党は、いまや、パー券キックバック問題裏金問題でズタボロ状態だ。明々白々な組織的犯罪、《党としての脱税指南》。キックバック金・還流金を政治資金規正法の〝穴〟を通すこともなく、堂々と《裏金》化。さらに、官房機密費という《ヤミ金》問題についても、図らずも、そのデタラメな実態の一部が明らかになった。
 それでも、内閣支持率が十数パーセント台、比例投票先政党として20%程というのが、さっぱり理解できない。そんなアベ様・すがっちキシダメ政権や自公お維コミが着々と《原発回帰》《原発復権》を進めてきた。特に、この1年で言えば、汚染水投棄問題

   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
     愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…
   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
    《次世代革新炉は(1)革新軽水炉、(2)小型モジュール炉SMR)、
     (3)高速炉、(4)高温ガス炉、(5)核融合炉──の五つが想定
     されている。このうち経産省が「本命」とするのは革新軽水炉だ。
     発電に必要な熱を取り出す冷却材に水を使う原発が軽水炉で、
     日本の商用原発はいずれもこのタイプになる。この軽水炉の安全性を
     向上させたものを「革新軽水炉」と呼ぶ。事故時に、溶けた核燃料を
     受け止めて格納容器の損傷を防ぐ「コアキャッチャー」などを
     備えている》(野村昌二記者)

   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
     を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」
   『●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、
      なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》
   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかった
     のか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…
   『●東京電力核発電人災から何年経とうとも、坂本龍一さん《「人々の記憶
      は薄れているかもしれないけれど、いつまでたっても原発は危険だ」》
   『●《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本では
     それができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなニッポン
   『●ドイツは《脱原発を完了…原発の危険性を踏まえた政策を貫いた賢明な
     判断》…ニッポンはGXの名の下に核発電を進めて「フクシマ忘却法案」
   『●耐震性? 《原子炉圧力容器を支える土台…鉄筋コンクリート…全周に
     わたって損傷し、内部の鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価》?
   『●《「支持機能は維持されている」…小野明・最高責任者はそう強調…圧力
     容器を支えるのに問題はないという意味だ》…次も幸運に恵まれるの?
   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄
   『●膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》のうち、福島第1原発2号
      機の《1グラム程度を数回採取する予定》…いまだ、それさえも困難?

 やはり、頓挫。10万キロワット級を10基作れば、100万キロワット級を1基作るよりも、リスクは下がるのかね? モジュール化で、安くなるの? (こちら特報部)《ちょっと考えれば無理筋と分かりそうな話》。アベ様が御存命の頃 ―――― 「元首相にして《火事場ドロボー》1号は核保有論者だもんなぁ~、この国はホントに救いようがない。《原状回復》どころか《原発回帰》。ドタマの中がどうかしている。末代まで語り継ぐべきその愚かしさの象徴として〝アベシンゾウ〟核発電所とでも名付けてはどうかと思うが、《小型モジュール炉への建て替えまで提唱》とはね。さすがアベ様の暴走だ。《火事場ドロボー》1号のアベ様は「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」が持論だもの。(リテラ)《櫻井よしこ氏…は“原発技術は軍事面でも大きな意味を持つなどと主張》《原発技術による核武装論を展開》、つまり、至言《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)ということです」。
 岸本拓也記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「夢の小型原子炉」開発が頓挫、日本企業も100億円以上を出資 そもそも実現に疑問の声も…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/290726?rct=tokuhou#goog_rewarded)/《次世代の小型原発小型モジュール炉SMR)」開発を進める米新興企業ニュースケール・パワーが米アイダホ州での建設計画を中止した。「安価で安全」という触れ込みの下、米国初のSMR建設計画として注目されたが、世界的なインフレで採算が見込めなくなったという。同社には日本企業も出資日本政府もSMRに肩入れするが、そもそもの実現性や経済性に疑問符が付いた。先行計画の失敗は何を意味するのか。(岸本拓也)》。

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/290726?rct=tokuhou#goog_rewarded

こちら特報部
「夢の小型原子炉」開発が頓挫、日本企業も100億円以上を出資 そもそも実現に疑問の声も…
2023年11月18日 12時00分

 次世代の小型原発小型モジュール炉SMR)」開発を進める米新興企業ニュースケール・パワーが米アイダホ州での建設計画を中止した。「安価で安全」という触れ込みの下、米国初のSMR建設計画として注目されたが、世界的なインフレで採算が見込めなくなったという。同社には日本企業も出資日本政府もSMRに肩入れするが、そもそもの実現性や経済性に疑問符が付いた。先行計画の失敗は何を意味するのか。(岸本拓也


◆「安くて安全」のはずが、資材高騰で採算合わず

 「プロジェクトを継続するのに十分な電力購入者を獲得できる可能性は低い。プロジェクトを終了することが最も賢明な決定であると双方が判断した」

 今月8日、ニュースケール社と、米西部の電力会社などでつくるユタ州自治体電力システム(UAMPS)は、共同で進めていたSMR建設計画を中止するという声明を出した。

     (ニュースケール社が提唱する小型原発の概念図
      =同社ホームページから)

 プロジェクトは、アイダホ州の国立研究所にニュースケール社のSMR6基(1基当たりの出力7.7万キロワット)を設置し、2029年から初号機を稼働する計画だった。太陽光や風力など気象条件によって発電にムラが出る再生可能エネルギーの電力を、SMRの発電でバックアップすることで完全な脱炭素電源を目指しており、SMRが実現すれば米国初の案件だった。

 頓挫したのは、SMRの発電コストが想定を大幅に上回ったためだ。ニュースケール社は今年1月、米政府の補助金を加味しても、SMRの発電単価が1キロワット時当たり8.9セント(約13円)と、それまでの想定単価の約1.5倍になるとの見通しを発表。近年のインフレで、建設に必要な炭素鋼配管や電気機器といった資材価格が軒並み高騰したことが響いたといい、事業の継続性が疑問視されていた。


◆「技術は商用段階」と意欲も市場は懐疑的、株価は8割下落

 SMRは原発を小型化し、規格化された一部の部材(モジュール)を工場で製造して現場で組み立てることで、建設コストが下がるというのが推進派のアピールポイントの一つだった。

 しかし、米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)のデビッド・シュリセル氏はリポートで、今回のプロジェクトの建設コストが53億ドルから93億ドルへ上昇したと推計。今後のインフレでさらにコストが上がる可能性があるとし、「SMR建設が安価であるという主張は覆される」と指摘した。

 今回中止となったSMRは、米原子力規制委員会(NRC)が設計を認証した唯一のものだった。ニュースケール社は、米ウィスコンシン州やポーランド、ルーマニアなどでSMR建設計画があるとし、ジョン・ホプキンズ社長は「当社の技術は商用段階に達した。今後も国内外の顧客にSMR技術を届けたい」とコメントし、今後の計画に意欲を見せた。

 ただ、市場はSMRの実現性を懐疑的に見ており、現在、ニュースケール社の株価は22年5月の上場時から8割ほど下落している。


◆多額の含み損どうする? 「引き続き支援」の社も

 日本にとっても影響は大きい。同社には、国際協力銀行(JBIC)や中部電力、日揮ホールディングス、IHIが特別目的会社(SPC)を通じて100億円以上を出資同社株を8%程度持つ大株主となっているが、多額の含み損を抱えているとみられる。

 22年4月に1.1億ドルの出資を発表したJBICの広報担当者は今回の計画中止を受け、「ニュースケール側に確認するなど、状況を見極めている。(含み損の)会計処理をするかどうかを含めて、今後の対応を検討している」と話した。日揮は9日の決算会見で「SMR技術は必要。引き続き支援していく」とコメントした。


◆ビル・ゲイツ氏も参入、「SMR」ブーム

 SMRなど小型原発のコンセプト自体は、日本でも1980年代には原子力委員会の長期計画の中で示されており、目新しいものではなかった。転機となったのは、東京電力福島第1原発事故だ。事故後、各国で原発の規制が強化され、建設費が高騰採算が見込めなくなり、新規建設の中止や見直しが相次いだ

 前出のようにモジュール化による建設コストの低下期待や、小型化することで万が一の事故時に原子炉を冷やしやすくなって安全性が高まる、といった「触れ込み」が再評価された。脱炭素につながる次世代の原発として、日本を含め、多くの国が研究・開発に取り組み始めている。

 米国では、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏がSMRを開発するベンチャー企業を立ち上げたことが話題となるなど、「SMRブーム」に沸く。日本政府も、脱炭素社会の実現を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、新増設を念頭に置いた次世代原発の候補の一つにSMRを挙げた。

     (GX実行会議であいさつする岸田首相
      (左から2人目)=7日、首相官邸で)

 しかし、その実現性や経済性、安全性には、かねて国内外から疑問が投げかけられて来た。


◆小泉純一郎氏らは「根拠のない熱狂」とバッサリ

 小泉純一郎元首相が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟原自連)は昨年8月の提言で、SMRについて「根拠のない熱狂」と切り捨てた。その理由を、各国で開発が進むSMRの炉型は軽水炉や高速炉など数十あり、「(モジュール化の)量産効果によるコストダウンが見込めない」と指摘した。

 さらに、SMRは1カ所に小さな原子炉をいくつも並べる想定のため、「福島第1原発のような連鎖メルトダウン(炉心溶融)の恐れもあり得る」と安全性にも疑問を呈した。

 NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は、SMRの利点とされるモジュール工法について、「米ウェスチングハウスの開発した大型原発『AP1000』でも採用されたが、工場での製造から現場での組み立てまで数多くの問題が起き、うまくいかなかった。結局、2基で350億ドル(約5.2兆円)と非常に高くついた。モジュール工法だから安くなるわけではない」と話す。

 SMRも原発である以上、放射性廃棄物が出る。米スタンフォード大の核燃料研究者リンゼイ・クラル氏らは22年5月、SMRの場合、大型原子炉で起こる物理反応の違いから「管理と処分を必要とする核廃棄物の量が2〜30倍に増える」との研究結果を発表している。


◆今後もコスト上昇…エネルギー政策転換の時期では?

 課題山積のSMRに限らず、「夢の新型原子炉」を巡る開発は失敗続きだ。日本では高速増殖原型炉もんじゅ」に1兆円を投じながら、トラブル続きで16年に廃炉を決定。日仏共同で開発を進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)計画」に軸を移し、日本は約200億円を投じたが、19年に仏側が計画凍結を正式に表明した。

     (廃炉作業が進む「もんじゅ」で今後、解体撤去される
      タービン発電機=6月1日、福井県敦賀市で)

 それでも経済産業省・資源エネルギー庁などは、SMRや高速炉を「革新炉」として開発継続を訴えている。また岸田政権も既存原発の再稼働や運転期間の延長など、原発回帰へと突き進む

 しかし、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「太陽光のコストは10年で10分の1に下がり、風力も3割下がった再エネは最も安いエネルギー源で、今後もコストは下がるかたや原発は遅延につぐ遅延でコストは世界的にうなぎ上り」と指摘し、エネルギー政策の転換を求める。

 「世界の本流は、再エネであり、蓄電池としても使える電気自動車だ。日本はどちらも取り残されている。SMRもそうだが、将来性のない原発にいつまでも固執すべきではない」


◆デスクメモ

 小型というからには電気出力も小さくなる。仮に既存原発と同じレベルの電力を担わせるのなら、分散してそこら中に小型原発を造らざるを得なくなるだろう。だが、そんな原発建設に適した土地が、日本にどれだけあるだろうか。ちょっと考えれば無理筋と分かりそうな話なのだが。(歩)

【関連記事】原子力政策さらに迷走… それでも原発推進を譲らない岸田政権
【関連記事】国内最古の高浜1号機が再稼働 老朽原発への依存進む【全国の原発状況】
【関連記事】何が何でも再稼働だから? 東海第2原発の「不備」を4カ月も黙っていた日本原電と原子力規制庁の不誠実
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●極悪・キシダメ政権と壺々な自公お維コミ…《粛々と可決される異次元の売国棄民法案 兵器爆買いから原発回帰まで 翼賛化した国会の実態》

2023年06月29日 00時00分15秒 | Weblog

[↑ 雑誌「TIME」(2023.5.22・29)… (TBS NEWS DIG)《「日本を軍事大国に変えようとしている」との見出しは政府の申し入れのあと、変更》(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/481736?display=1)]


(20230614[])
アベ様越えのキシダメ独裁政権…あまりの酷さに言葉を失う。ヅボヅボ壺壺な #自民党に投票するからこうなる。最悪・最低・悪夢なアベ様政権およびガースーオジサン政権…キシダメ独裁政権をどのように言い表せばいいのか? 極悪なキシダメ独裁政権? 
 自慢の《聞く力》は? ニッポンでは「賃金上げ、生活と公共サービスを守れ!」という市民の声、軍事費倍増なんてとんでもないという市民の声は、キシダメ首相には届かない。一体誰の《声》を《聞く力》なのか? <ぎろんの森>《安保や原発を巡る政策転換に限らず、岸田首相にも、国民の声を聞かず、国会での議論も経ない独断が目に余るようになりました。「静かなる独裁」…》。行き着くところまで行ってしまった感なニッポン。もうとっくにルビコンを渡り、後戻りできないところまで。内閣支持率が4割を超えるなんて、理解に苦しむ。

 《いずれの法案も日本社会のさらなる衰退と混乱を決定づける悪法であり、翼賛化した国会の茶番とスピン報道の陰に隠されたこれらの内容》…野党第一党がアノ体たらくで、マスコミも政権監視機能を失い、暢気な市民も自公お維コミを直接あるいは間接的に支持する始末。
 長周新聞の記事【粛々と可決される異次元の売国棄民法案 兵器爆買いから原発回帰まで 翼賛化した国会の実態を暴露】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/26757)によると、《体張って抗う勢力の台頭が必須》、《今国会の会期末(6月21日)まで1カ月を切るなかで、岸田政府は成立を急ぐ重要法案を「すし詰め」にして次々に衆議院を通過させ、参院での審議に入っている。これらの法案は、「防衛強化」という名の戦争国家づくり原発回帰のエネルギー政策、さらなる負担増を強いる社会保障削減など、国民生活の基盤を規定し、将来を左右する重要な内容を含んでいるが、統一地方選の真っただ中にあった4月上旬に審議入りさせ、まともな審議もないままG7広島サミットや著名人や公邸スキャンダル騒動の陰に隠れるようにして粛々と衆院で可決された。まるで野党など存在しないかのような予定調和で悪法が通過していく国会の現状に、れいわ新選組が懲罰覚悟の不規則発言で「売国棄民予算」「与党も野党も茶番!」と表現し、その異常さを世間に訴えた。夏か秋の解散総選挙もとり沙汰されるなか、岸田政府がうち出した法案の中身を改めて整理してみたい》。

   『●(狙撃兵)《スキャンダルによる目くらましには要注意である》…「バカ
      息子」トップ1の岸田翔太郎氏問題の陰でデタラメな法案が次々と…
   『●《入管ではいまだに被収容者を人間とも思わない体質が温存されている
     ことを示す問題》…斎藤健法相は隠蔽して「常勤医を確保した」アピール
   『●差別禁止法どころか…《それでなくても酷かった与党案よりも法案内容が
        さらに後退。…“理解増進法案”ではなく“差別増進法案”》(リテラ)

=====================================================
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/26757

粛々と可決される異次元の売国棄民法案 兵器爆買いから原発回帰まで 翼賛化した国会の実態を暴露
政治経済 2023年6月3日

     (防衛財源確保法案を起立採決で可決した
      衆院本会議(5月23日))


 今国会の会期末(6月21日)まで1カ月を切るなかで、岸田政府は成立を急ぐ重要法案を「すし詰め」にして次々に衆議院を通過させ、参院での審議に入っている。これらの法案は、「防衛強化」という名の戦争国家づくり原発回帰のエネルギー政策、さらなる負担増を強いる社会保障削減など、国民生活の基盤を規定し、将来を左右する重要な内容を含んでいるが、統一地方選の真っただ中にあった4月上旬に審議入りさせ、まともな審議もないままG7広島サミットや著名人や公邸スキャンダル騒動の陰に隠れるようにして粛々と衆院で可決された。まるで野党など存在しないかのような予定調和で悪法が通過していく国会の現状に、れいわ新選組が懲罰覚悟の不規則発言で「売国棄民予算」「与党も野党も茶番!」と表現し、その異常さを世間に訴えた。夏か秋の解散総選挙もとり沙汰されるなか、岸田政府がうち出した法案の中身を改めて整理してみたい。


体張って抗う勢力の台頭が必須

 まず岸田政府が今国会で真っ先に通過させたのは、単年度では初の6兆円超えとなる防衛予算を盛り込んだ2023年度予算だ。

 内訳では、米国から攻撃兵器を大量に買い込むため、過去最大規模となる6兆8219億円(前年度比1兆4214億円増)を計上し、補正予算と一体化したパッケージ予算では、初の7兆円超えとなる7・27兆円(前年度比1・1兆円増)にまで膨張させた。昨年末に閣議決定した安保3文書に「反撃能力敵基地攻撃能力)の保有」を明記したことを受け、さっそくトマホークや無人攻撃機の調達に乗り出している。

 2023年度防衛予算は、「防衛力抜本的“元年”予算」と明記し、中国、北朝鮮、ロシアの危険性を特記。「相手の能力と新しい戦い方に着目して、5年後の2027年度までに……我が国が主たる責任をもって対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止排除できるように防衛力を強化する」と強調している。重点分野として「スタンド・オフ防衛能力」「統合防空ミサイル防衛能力」の増強をあげ、攻撃型ミサイルの大量配備に乗り出す方針を明示した。米国の要求に応え、台湾有事などを想定した対中国の軍拡路線を鮮明にしている。

 具体的には、弾薬費として8283億円、「敵基地攻撃」の主力兵器となるスタンド・オフ・ミサイル関連では、米国製巡航ミサイルトマホーク400発の一括購入費に2113億円を計上。さらに陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の射程を百数十㌔から1000㌔以上へ延伸する「改良型」を開発・量産する費用として1277億円をあて、島嶼(とうしょ)防衛用として開発中の高速滑空弾関連では、研究費(158億円)、量産費(347億円)、射程距離を延ばす「改良型」の開発費(2003億円)に計2508億円をつぎこんでいる。

 防衛予算はこれだけにとどまらず、「弾薬整備費」(前年比=3・3倍)、「装備品の維持整備費」(2倍)、「自衛隊施設整備費」(3・3倍)、「国土強靱化関係予算(飛行場や港湾等のインフラ整備費」(2・5倍)、「ミサイルや軍事ドローン研究費」(3・1倍)、「自衛隊の生活・勤務環境費(備品、日用品、被服、宿舎等)」(2・5倍)、「自衛隊施設の空調費」(6・8倍)と軍事関連予算は軒並み大幅増額となった。

 米タイム誌が「数十年の平和主義を捨て、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる」と岸田首相を紹介したが、まさにアメリカの下請としての戦時国家へ舵を切ることに躊躇のない予算措置となっている。

     (岸田政府が今国会で成立を狙う主な法案


復興財源まで軍事費へ 防衛財源確保法

 岸田政府は単年度予算だけでなく、2023年度から5年間で防衛費を総額43兆円(前期比約1・6倍)に増やす方針で、これにより防衛予算はGDP比2%にまで引き上げられ、日本は世界第3位の軍事大国となる。

 防衛財源確保法案はその具体化であり、国有財産売却など税金外収入をせっせとため込む「防衛力強化資金」をつくるのが中心的な内容だ。同時に、東日本大震災の復興財源や国立病院機構の積立金まで軍事費に流用する増税まで俎(そ)上に載せている。

     (岸田文雄首相)

 岸田首相は昨年12月、防衛費増額について「今を生きる国民がみずからの責任として、しっかりその重みを背負って対応すべきだ」と主張し、2023年度から2027年度まで5年間の防衛費を総額43兆円程度(従来水準から約17兆円増)と表明した。

 その4分の1を増税や建設国債で捻出し、残りの4分の3は歳出改革(約3兆円強)、決算剰余金(約3兆5000億円)、税外収入(約5兆円)で捻出する方針を閣議決定しており、このうち「税外収入の確保」のみを先行して具体化したのが財源確保法案だ。

 それは「防衛力強化税外収入」として、「外国為替資金特別会計と財政投融資特別会計からの繰入金=約3兆7000億円」「大手町プレイス(東京・大手町の国有ビル)売却益=約4000億円」「新型コロナウイルス関連予算の返納金=約746億円」など、国有財産売却や本来民生用に使われるべき予算の流用によって合計4兆5919億円もの軍事費を捻出する内容となっている。

 「繰入金」は、為替介入に備える剰余金を前倒しで繰り入れる「前借り」であり、次世代にツケを回す行為でしかない。「大手町プレイス」の売却益も、国民の財産を売って得た収益であり、その使途は国会の承認が不可欠だが、それらを省略してすべて「防衛力強化資金」へ放り込む仕組みづくりとなっている。

 加えて、新型コロナウイルス関連予算の返納金は、国立病院機構の積立金(422億円)と社会保険病院等を運営する地域医療機能推進機構の積立金(324億円)であり、本来は医師や看護師の増員や病院施設の拡充に使われるべき予算である。残額は「年金特別会計」に戻し、別の用途には流用できない資金であった。それを「防衛力強化資金」へ流用することを可能にすれば、否応なく福祉予算をも実質的な「軍事予算」とみなす力が加わることになる。

 岸田政府はすでに「増税」「建設国債」「歳出削減」で防衛財源を確保する方針も明らかにしている。「増税」を巡っては、5年間で約1・2兆円捻出する方針で、その内訳は法人税=約8000億円、所得税=約2000億円、たばこ税=約2000億円となっている。

 所得税増税は、「被災地の復興なくして日本の復興なし」といって東日本大震災の復興財源として全国民から徴収している「復興特別所得税」の一部を防衛財源に回すというもので、驚愕の措置となっている。

 たばこ税増税は、加熱式たばこの税額を5年かけて段階的に引き上げ、1本当たりの税額を3円引き上げる。

 さらに「建設国債」(歴代政府は戦前に戦時国債を発行して軍事費を拡大した反省から、建設国債を防衛費にあてることは封印してきた)では、5年間で約1・6兆円規模の確保を想定している。社会保障や少子化対策では、常に「次世代へのツケになる」として問題視される国債発行だが、防衛費に限っては大量発行にも躊躇がない

 国民生活にかかわる予算を徹底的に削る「歳出改革」で、約3兆円確保する方針も示している。成立後は「改定」の連続で新たな内容を追加し、めぼしい予算をみな軍事費に注ぎこむための法案である。


軍需企業の国有化と武器輸出拡大 防衛産業強化法

 いくら膨大な公金を軍需産業に垂れ流したところで、軍需産業は、国民生活に不可欠な消費財を生産するわけでも、企業活動に必要な生産財を生産するわけでもない。戦争がない平時においては生産性もなく、経済循環ももたらさず、浪費するだけのお荷物となる

 そのため「防衛産業強化法案」では、「国防産業維持のため」と称して軍需産業の経営を国が公費で支え、「殺傷力のある兵器」も含めた武器輸出も全面支援する内容となっている。平和産業を圧迫し、日本経済そのものを「軍事立国=死の商人」とする自民党政治の大方針が表れている。

 ここで示した具体的な支援策は、「生産基盤の強化」「武器輸出支援」「金融支援」「製造施設国有化」の4種類だ。

 「生産基盤の強化」は、「自衛隊の任務に不可欠な装備品をつくる企業」と認定されれば、生産工程の効率化やサイバー攻撃対策、撤退企業の事業を継承するときの設備投資にかかる経費を国が負担する制度だ。すでに当初予算に363億円を計上している。

 「武器輸出支援」は、武器輸出の支援を目的にした基金をつくり、海外向けに装備品の仕様や性能を変更する企業に助成金を出す制度だ。これも2023年度当初予算に400億円を計上している。与党は「買い手が自衛隊だけでは販路が少ない」「海外市場への進出を促すべき」と主張し、「防衛装備移転三原則」の運用指針改定論議にも着手。これまで輸出を禁じてきた「殺傷力のある兵器」の輸出解禁を目指している。

 「金融支援」は、政府系金融の日本政策金融公庫による融資で軍需産業を優遇するものだ。

 「国有化」は、「経営難で事業を続けられない」状態となった軍需企業から国が土地も製造施設も公費で買いとり、別の企業に運営を委託し、固定資産税や設備維持費の負担を軽減し、兵器生産を全面的に支援する法律だ。農家や中小企業、社会保障、被災地の復興支援等では「競争原理」「自助努力」「税の公平性」「私有財産の補償はしない」といって淘汰を放置する一方、軍需産業に限っては支援対象の基準も曖昧なまま国費での大盤振る舞いを担保するものとなっている。

 さらに同法のもう一つの特徴は、武器製造企業従業員への監視強化だ。

 現在、国の「秘密」の漏洩で民間人が刑事罰の対象になるのは、特定秘密保護法に基づく「特定秘密」(10年以下の懲役等)と米国から提供された「特別防衛秘密」(10年以下の懲役等)に限っている。そのため防衛省から装備品開発・製造を請け負った企業が外部に関連情報を漏らしても、契約解除や違約金の支払いといった民事上のペナルティーのみで、だれが情報をどのように漏らしたかを特定し刑事罰を科すことはできなかった。

 だが防衛産業強化法案では、防衛省と企業が契約を結ぶさい、同省が提供する情報を「装備品等秘密」として指定し、従業員が漏らした場合は刑事罰(1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)を科すことを盛りこんでいる。

 さらに同法第二十七条では、「契約事業者は、装備品等契約に従い、当該契約事業者の従業者(代表者、代理人、使用人その他の従業者)のうちから、装備品等秘密を取り扱う業務を行わせる従業者を定め、当該従業者の氏名、役職その他の防衛大臣が定める事項を防衛大臣に報告しなければならない」「契約事業者は……装備品等秘密の取扱いの業務を行わせるものとした従業者以外の者に装備品等秘密を取り扱わせてはならない」とも規定している。これは兵器製造にかかわる企業内部で少しでも不穏な動きがあれば、すぐに関与個人を特定して逮捕・投獄したり、「契約解除」で下請企業ごと潰すことを可能にするものだ。

 防衛産業強化法案は、民主党野田政権以来の「武器輸出三原則」の骨抜きの結末でもあり、野党第一党である立憲民主党が法案賛成に回ったことは国会の大政翼賛化を深く印象づけた


原発推進に巨費を投入 GX推進法

 有事を想定したこれらの防衛関連法案とともに、エネルギー分野では、岸田政府が2月に閣議決定した「GX基本方針」の具体化として、「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法案」と「GX脱炭素電源法案」を打ち出した。両法案とも、経団連や連合など既得権益団体の代表者で構成された「GX実行会議」の議論をもとに作成されており、既得権益団体の声にのみ「聞く耳」を持つ岸田政権の姿勢が明白にあらわれている。

 GX基本方針では、気候変動問題やウクライナ戦争による燃料危機への対応として、2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素)を実現するという政府目標に向けて、「産業革命以来の化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換する」と大仰に謳っているが、その中心的な中身は、福島原発事故で崩壊したはずの原発依存への回帰原子力ムラの復活である。

 GX推進法では、「脱炭素の実現のため」と称して、政府が20兆円の「GX経済移行債」(発行形態不明の環境債)を発行することを可能とし、民間の「GX推進機構」による金融支援や債務保証などにより、今後10年間で150兆円超の投資を生み出すとしている。その巨額の資金の投資先は、経産省に白紙委任するというものだ。

 GX基本方針には、原発の着実な再稼働やそのための住民理解の醸成に国が前面に立つこと、「次世代革新炉」の開発・開発建設、人材育成、事業環境整備、すでに破綻した核燃料サイクルの促進などが含まれており、すでに斜陽化した原子力産業を国が支援し続けることを正当化するものだ。原発新増設については、ほとんどが実験的な実証炉だが、2040年代に向けて唯一商用炉とする「革新軽水炉」の運転開始を目指している。

 投資をおこなう「GX推進機構」は経済産業省の認可法人であり、そこに流れ込んでくる資金の出所やその使途については、国会(国民)によるコントロールや監視、検証ができないもので、原子力ムラの再来である。

 返済財源には、化石燃料の輸入業者などに負担を求める炭素賦課金と、二酸化炭素の排出枠を電力会社に買い取らせる「排出量取引」で賄うとしているが、いずれも電気代に上乗せして消費者に転嫁する。再エネが「FIT賦課金」という形で電気料金に明記されているのに対して、原発維持費は発電原価に含まれるため消費者には見えない形で徴収される。


原発の60年稼動を許容 GX脱炭素電源法

 「GX脱炭素電源法」は、原子力基本法原子炉等規制法電気事業法、再処理法、再エネ特措法の改定案五つを束ねたものだ。安全保障上、それぞれ慎重な審議が必要なものを強引に束ねて法制化を目指している。

 原子力基本法の改定では、原発を最大限活用するための理解促進や事業環境整備を「国の責務」とすると堂々と謳い、2011年の福島原発事故以来、国是となってきたはずの「原発依存からの脱却」を覆し、原発推進に大転換を図る内容となっている。

 首都直下地震や南海トラフ地震の発生を想定する一方、国策によって福島をはじめ広範囲に長期の避難と健康被害、財産放棄を強いた事故の反省をも葬り、活性期に入った地震列島にさらなる原発を林立させるという常軌を逸した法改正だ。

 従来の原子炉等規制法には、老朽原発の安全確保のために「原発の稼働期間は原則40年まで」「稼働30年を超えた原発は10年ごとに審査をおこなう」の二つのルールがもうけられていた。

 今回の改正案では「稼働40年ルール」を原子炉等規制法から削除し、経済産業省が所管する「電気事業法」に移す。これにより原子力を規制する立場にある原子力規制委員会ではなく、原子力を推進する経産省が原発の稼働期間に関する決定権をもつことになる

 福島事故後、それまでの原子力規制庁(経産省)から分離して発足した原子力規制委員会も御用機関と化し、世界的にも例のない60年超の稼働延長を認める政府の指針を追認した経緯がある。それを是正するのではなく、独立した規制・監視制度そのものをとっ払い推進する側(経産省)が認可権を握るという「無規制システム」への回帰となる。

 さらに安全審査や不具合などで停止した期間を、稼働期間の計算から除外できるようにすることも盛り込んでおり、60年を超えた70年稼働をも認める法改正となる。

 「我が国の安全保障環境が厳しさを増している」「敵基地攻撃能力を」といって戦争を想定しながら、剥き出しの核弾頭ともいえる原発建設を推進することは、世界的な教訓となっている福島原発事故からも、ウクライナ戦争からも何一つ学ばぬ異次元の亡国棄民政策といえる。


健康保険証の廃止強行 改正マイナンバー法

 そして昨今、7000件以上の誤情報登録やシステム管理の脆弱性が露呈したマイナンバーの普及拡大を目指す改定マイナンバー法案である。

 遅々として進まなかったマイナンバーを拡大させるため、従来の健康保険証を廃止し、マイナ保険証を持たない人が医療を受けられないように追い込むとともに、年金生活者を手始めに「公金口座との紐付け」を強制していく内容だ。さらにマイナカードとの個人情報紐付け範囲を法改定もなく省令のみで拡大可能にすることも盛り込んだ。

 改定マイナ法案の主な内容は次の3点だ。

 ①マイナカードと健康保険証の一体化――「紙の健康保険証」を廃止(2024年秋を想定)。マイナカードを持っていない人は期間限定で「資格確認書」(有効期限一年)を配る。マイナカード

 ②公金受取口座の登録促進――既存の給付受給者等(年金受給者を想定)に書留郵便等で一定事項を通知したうえで同意を得た場合や一定期間内に回答がない場合は、内閣総理大臣がその口座を公金受取口座(公金受取口座は給付のみに利用)として登録可能にする。

 ③マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し――法律で認めた事務に「準ずる事務」もマイナンバー利用を可能にする。法律で認めた事務との情報連携を「主務省令」で拡大可能にする。

 これまで自民党政府は、全国民に12ケタの番号を付与し、マイナカードを取得したうえで健康保険証や公金受取口座と紐付けした人だけ2万円分のポイントを配る「マイナポイント事業」やマイナカード普及の遅い自治体の交付金をゼロにする“アメとムチ”で普及を進めてきた。

 だが、登録率が一向に上がらないため、健康保険証廃止という劇薬を投じ、その強引さに批判が噴出すると「期間限定で無償の資格確認書を提供」するとした。1年ごとに更新手続きが必要で、いずれ手数料をとることも検討している。

 「公金受取口座の登録促進」については、行政側の働きかけに一定期間返答がなければ、本人の同意なく口座を公金受取口座として勝手にマイナカードと紐付けるというものだ。いったん個人口座を紐付ければ、個人資産額や預貯金の動向を政府が把握することが可能になるからだ。

 これは年金給付者の口座登録で前例をつくり、いずれ生活保護、子ども手当、就学援助、母子手当などでもマイナンバーと公金受取口座との紐付けを拡大していく方向へ通じている。電子決済(キャッシュレス決済)による給与払いの解禁(今年4月から)、インボイス制度導入とも密接に絡んでいる。

 さらに問題なのは「マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し」で、本来は法改定が必要だったマイナンバーと連携させる個人情報の範囲拡大を、国会審議もなく省令(各省大臣の命令)だけで決定できるように規定を緩和させることだ。

 マイナンバーなど個人情報の管理をめぐっては、海外でトラブルや犯罪があいつぐなか、欧州連合(EU)は2017年、すべての加盟国に個人情報保護を義務付ける「一般データ保護規制(GDPR)」を制定。同規則には個人データに基づく自動処理には明確な同意を必要とする「プロファイリング(住民サービスに係る選別や分類、判定。犯罪捜査の手法)されない権利」を規定。人種的・民族的出自、政治的意見、宗教・思想信条、労働組合加入、遺伝子や生体情報等の個人データ自動処理を厳重に禁じている

 だが日本政府は、個人データの自動処理や紐付けを禁じる体制もないまま強引にマイナンバーシステムを見切り発車し、すでに他人情報の紐付けなどのトラブルが頻発している。個人情報漏洩や悪用に加え、患者に対する薬の誤投与や犯罪にも直結する極めて危険な制度であることが露呈している。

 これまで黙っていたメディアが、衆院通過後一斉に「システム不備」「進め方が乱暴」と騒ぎ出し、国会でもあいつぐトラブルに対する野党の追及が始まっているが、すでに採決に応じた後であり、マイナンバーの活用範囲を定めた規制まで実質撤廃し、本人同意なく国家権力が個人情報を把握して自由に使えるようにする法整備が進行している。

 いずれの法案も日本社会のさらなる衰退と混乱を決定づける悪法であり、翼賛化した国会の茶番とスピン報道の陰に隠されたこれらの内容について国民的な論議と世論の喚起が求められている。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本ではそれができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなニッポン

2023年05月09日 00時00分54秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年04月23日[日])
脱原発の約束はどこに》? 《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本ではそれができないのか》?…ではなく、《経産省とタッグを組んできたのが安倍・菅自民党政権》・キシダメ政権であり、そんなことをやる気など全くない。《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、経産省を中心に、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

 東京電力核発電人災を起こしたニッポンこそが最初にやるべきなのに、恥ずかし過ぎる…核に「寄生」する輩が大手をふり…。
 日刊ゲンダイの記事【ドイツは脱原発を完了 首相襲撃にかき消された「原発汚染水」を巡る国際会議の大混乱】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/321793)によると、《大メディアが連日、岸田首相の襲撃事件ばかり報じているために気付いていない国民もいるのではないか。ほとんど黙殺扱いされていると言っていい「ドイツの脱原発完了」のニュースのことだ。ドイツは原発の安全性への懸念から、2002年に脱原発を法制化した。そして11年に…》。
 日刊ゲンダイの記事【ドイツは脱原発なのに…なぜ日本は真逆の道を歩むのか? この裏にも安倍政権の負の遺産】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/321869)によると、《このところ、メディアのニュースは岸田首相への襲撃犯のことで埋め尽くされている。そのため隅に追いやられている重大なニュースがある。欧州最大の経済大国ドイツで今月15日、国内で稼働していた3基の原発が役割を終え、ドイツは脱原発を完了したのである》。

 一方、ニッポン。原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委が追認…原子力「推進」委員会、核に巣食う核「寄生」委員会。例外中の例外のはずが「原則40年」を無視し、運転停止期間を控除することで「最長60年」を蔑ろに。狂っています、ニッポン。《原状回復》は一体どうなっているのか? 《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、経産省を中心に、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
 こういうのは、原子力「規制」委員会なんて呼べるのかね。核に蝟集する核「寄生」委員会。《決定の性急さを問われた山中伸介委員長は、記者会見で「(炉規法改正)法案のデッドライン(締め切り)があるので仕方ない」と釈明しましたが、原発推進のためには規制を緩めても仕方がない、とも聞こえます》。
 (古賀茂明さん)《危ない原発ばかりが延命されると言えば、そんな馬鹿な、と思う。だが、現にそういうとんでもない法律改正に向けて岸田文雄首相が原子力規制委員会の山中伸介委員長と二人三脚で暴走を始めた。安倍晋三元首相もできなかった「40年ルール」の撤廃を目指しているのだ》。無責任極まるあの東京電力に、あの柏崎刈羽核発電所を再稼働させようというのですから、まともな人達ではありません。

 ドイツでは《脱原発完了》、一方、ニッポンは《原発回帰》《原発復権》、マトモな国の行いだろうか? 《言うまでもないが、岸田政権は真逆のことにひた走っている》(日刊ゲンダイ)。《こうして将来的な原発再稼働の道を残しつつ再生エネルギーについては本腰を入れずに、むしろ、再生エネルギーの問題点やコスト高を国民に一生懸命に刷り込んできたのが経産省です》。

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
     を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」
   『●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、
      なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》
   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかった
     のか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…
   『●東京電力核発電人災から何年経とうとも、坂本龍一さん《「人々の記憶
      は薄れているかもしれないけれど、いつまでたっても原発は危険だ」》

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/321869

ドイツは脱原発なのに…なぜ日本は真逆の道を歩むのか? この裏にも安倍政権の負の遺産
公開日:2023/04/20 06:00 更新日:2023/04/20 12:33

     (映画「妖怪の孫」の原案者で「分断と凋落の日本」の
      著者である古賀茂明氏(C)日刊ゲンダイ)

 このところ、メディアのニュースは岸田首相への襲撃犯のことで埋め尽くされている。そのため隅に追いやられている重大なニュースがある。欧州最大の経済大国ドイツで今月15日、国内で稼働していた3基の原発が役割を終え、ドイツは脱原発を完了したのである。

 ドイツはシュレーダー政権が1998年に原発全廃の流れをつくり、その後のメルケル政権は揺れたが、福島第一原発の事故を契機に再び、脱原発に舵を切った。シュルツ政権はウクライナ危機で運転延長を決めたが、その期限が15日だった。そして、予定通り、最後の原発は発電量を低下させ、電力網から切り離されたのである。

 言うまでもないが、岸田政権は真逆のことにひた走っている。福島の事故の当事国なのに、2022年9月、米国での講演でウクライナ危機を理由に休止中の原発再稼働や次世代革新炉の開発を宣言した。同年12月には脱炭素を議論するGX実行委員会で「原発を最大限活用する」との基本方針を掲げた。これにより、原発の新増設や建て替え、さらには老朽化原発を止める40年ルールも見直されることになった専守防衛をかなぐり捨てたのと同様に、岸田首相はいとも簡単に廃炉に向けた原発政策も大転換させたのである。

 なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本ではそれができないのか。ここにも「妖怪の支配」を見ることができる。原発再稼働は安倍政権のころから着々と練られてきたものだからだ。映画「妖怪の孫」の原案者で「分断と凋落の日本」の著者である古賀茂明氏はこう言う。

 「岸田さんが突然、暴走したように見えますが、違います。原発再稼働の方針は福島第一原発の事故後わずか2週間で決められた。もちろん、主犯は経産省。賠償金の免責は認めないが、その代わり、東電は破綻させないという方針を決めたのです。その結果、事故対応や汚染水対策は東電が潰れない範囲内でという制約がついて、抜本策が見送られた。こうして将来的な原発再稼働の道を残しつつ再生エネルギーについては本腰を入れずに、むしろ、再生エネルギーの問題点やコスト高を国民に一生懸命に刷り込んできたのが経産省です。再生エネルギーを高値で買い取ることにして、それを再エネ賦課金という形で、電気料金に上乗せし、それを電力料金の明細表で明記させた。その一方で原発事故処理関連のコストはひた隠しですから、国民は『再エネは高い』と思い込んでしまう。再エネのための送電線強化もこれから本腰を入れるという。つまり、これまで何もしなかった。そして、総仕上げが40年ルールの撤廃ですが、巧妙に運転期間に関する規制権限を原子力規制委員会から経産省に移管している。事故の責任者がジャッジするなんて、あり得ないような話です」

 もちろん、この間、経産省とタッグを組んできたのが安倍・菅自民党政権であるのは言うまでもない。

 政府は二言目にはウクライナ危機を理由に挙げるが、電力が足りないというキャンペーンはだ。2022年3月22日に史上初めて「電力需給逼迫警報」が出されたが、この時だって、ピーク時の数時間に数%足りなくなるかもしれないという話なのだ。これで原発回帰とは大きな飛躍だ。このくらいの節電は国民に呼びかければよい。EUは目標値を掲げて、国民に理解を求めている。しかし、日本は具体的目標を掲げて国民に節電を呼びかけることもなく、いきなり原発稼働である。これも原発を動かしたい経産省、自民党政権の巧妙な悪知恵なのだ。

 こうしたことを大メディアも報じないから、反原発の世論も盛り上がらない。安倍的な妖怪支配から抜け出さないと、一部の利権のためのやりたい放題の政治が続いてしまうことになる。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

2023年03月10日 00時00分38秒 | Weblog

※ 「3.11から12年 「避難中」なのに「原発回帰」(週刊金曜日 1411号、2023年02月10日) ↑]


(2023年02月25日[土])
原状回復》することも無く、《原発回帰》へと暴走し、《原発復権》。3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》

 AERAの記事【岸田政権「原発回帰」は事故教訓の破棄 専門家は「40年超え」長期間運転リスクを懸念/野村昌二】(https://dot.asahi.com/aera/2023020300019.html)によると、《福島第一原発の事故から12年。廃炉作業は多くの課題を抱える中、岸田政権は「原発回帰」を打ち出した。長期間運転のリスクは何か。日本のエネルギーはどうあるべきか。》《福島の教訓を忘れたのか、岸田文雄政権は原発政策の「大転換」を正式に決めた》。

   『●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則
     40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽原発」
        「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?
   『●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底から
       覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

 原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…原子力「推進」委員会、核に巣食う核「寄生」委員会。例外中の例外のはずが「原則40年」を無視し、運転停止期間を控除することで「最長60年」を蔑ろに。狂っています、ニッポン。
 琉球新報の【<社説>原子力規制委の多数決 独立性と信頼取り戻せ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1665883.html)によると、《原子力規制委員会が、閣議決定されていた原発の60年超運転を可能にする新たな規制制度を、委員5人のうち1人の反対を押し切って決めた原発回帰を急ぐ政府に歩調を合わせ、多数決という強引な手法が取られた。2011年の福島第1原発事故を教訓に、経済産業省から分離して発足した規制委の、独立と信頼は大きく損なわれた》。

 ホントに原子力「寄生」委員会。《規制》したためしなどなく、役立たずにも程がある。《昨年9月に山中委員長が就任した際、事務局である原子力規制庁の長官以下トップ3を、初めて経産省出身者が占めた。その後、事務局が経産省側と7回も非公式面談を重ねていたことが発覚し、ひそかに政府と足並みをそろえていたことが分かった。「外から定められた締め切りを守らないといけないと、せかされて議論してきた」という賛成した委員の発言も、そのことを裏付けている》(琉球新報)。《国民の監視と批判で、あるべき姿を取り戻さなければならない》――― いやぁ、絶望的ですニッポンは……。

   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の救い様の無さと、
                   アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは
      国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

=====================================================
https://dot.asahi.com/aera/2023020300019.html

岸田政権「原発回帰」は事故教訓の破棄 専門家は「40年超え」長期間運転リスクを懸念
2023/02/06 08:00
野村昌二

     (処理水を入れたタンク群がひしめく福島第一原発。
      奥のドームに覆われた建屋が3号機、その右が4号機。
      海洋放出は、この沖合1キロで始めることになる)

 福島第一原発の事故から12年。廃炉作業は多くの課題を抱える中、岸田政権は「原発回帰」を打ち出した。長期間運転のリスクは何か。日本のエネルギーはどうあるべきか。AERA 2023年2月6日号の記事を紹介する。

【図】原子力発電所の現状はこちら

*  *  *

 福島の教訓を忘れたのか、岸田文雄政権は原発政策の「大転換」を正式に決めた。

 昨年12月、国は脱炭素の方策を議論する「GXグリーントランスフォーメーション)実行会議」を開き、原発を「最大限活用する」として新たな基本方針案を示した。

 方針案の大きな柱は(1)次世代革新炉の開発・建設、(2)原発の運転期間の延長──の二つ。福島第一原発事故以降、原発の新増設や建て替えを「想定していない」としてきた政府方針を大きく転換した。特に議論となっているのが、運転期間の延長だ。

 原発の運転期間は、福島第一原発事故前は明確な規定はなかった。

 しかし、原発事故の翌年に原子炉等規制法が改正され、運転期間は原則40年とし、1回に限り最長20年の延長を認めた。「40年ルール」と呼ばれ、原発事故の教訓をもとに決めた政策的な判断だった。今回示された新方針案は、「40年ルール」の骨格を維持した上で、「一定の停止期間に限り追加の延長を認める」と盛り込んだ。原子力規制委員会による安全審査を前提に、原発事故後の審査で停止していた期間などの分を延長する。例えば、10年間停止した場合、運転開始から最大70年運転できるようになる。

 経済産業省の原子力小委員会で委員を務めた、NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇・事務局長は、政府の決定は福島第一原発事故の教訓を放棄するものだと厳しく批判する。

「わずか3カ月で原子力推進に舵を切りましたが、重大な政策転換にもかかわらずその間、国民の意見を聞くことはありませんでした。国が定めるエネルギー基本計画にも、エネルギー政策は『国民の理解を得ながら進めていく』などと書かれていますが、きれいごととしか思えない。進め方が強引です」


■決定は「出来レース」

 当初、原発の政策転換に慎重だった岸田首相が「原発回帰」にアクセルを踏んだのは、脱炭素社会の実現に加え、昨年2月のロシアのウクライナ侵攻がきっかけだ。

 ロシアが天然ガスの供給を絞ったことで、世界はエネルギー争奪戦に突入した。電力が逼迫し、政府は原発の活用が不可欠と判断。昨年8月下旬、岸田首相は原発の運転期間の延長などの検討を指示していた。だが、松久保さんは政策の「時間軸」が間違っていると語る。

「再稼働できる原発はすでに再稼働していて、電力需給の逼迫の解決策ではありません。新設に関しても、建設開始は早くて30年代。運転期間延長もいま決めなければならない話ではないはずです」

 エネルギー問題に詳しい国際大学の橘川武郎・副学長は、政府の決定を「官邸と電力業界の出来レース」だと批判する。

「狙いは最初から運転期間の延長にあります。次世代革新炉の建設には5千億円から1兆円規模必要ですが、運転延長にかかるコストは数億円で済みます。また政府方針では、最長で70年の運転が可能になると言われていますが、停止期間は原発事故前も適用可能になると思います。そうすると、80年以上可能になる。古い炉を延長するのは、最悪のシナリオです」

 原発の長期間運転には、どんなリスクが潜んでいるのか。

 日本で初めて「原子の火」が灯ったのは1957年8月、茨城県東海村の実験用原子炉だった。

 原子力開発はここから加速した。現在、国内に原発は、停止中も含め33基ある。そのうち17基は稼働開始から30年を超え、4基は40年を超える。2021年6月には、稼働開始から44年(当時)が経過した美浜原発3号機が再稼働し、40年超原発では初めて運転延長した。さらに今夏以降、7基が再稼働するが、うち高浜原発1、2号機など3基が40年を超えている


■「心臓部」劣化の懸念

 東京大学の井野博満・名誉教授(金属材料学)はこう話す。

金属は古くなると腐食や疲労などによって劣化し、その分リスクも高まります

 井野さんによれば、原発の「寿命」は40年を想定して設計されているという。

 特に井野さんが懸念を示すのが、原発の「心臓部」に当たる、核燃料が入った圧力容器の劣化だ。

 圧力容器は原発の中心部にあり、厚さ10センチ以上の鋼鉄でできている。それが、核分裂の過程で生じる高エネルギーの「中性子線」という放射線に晒されると、圧力容器自体がもろくなる。これを「中性子照射脆化(ぜいか)」と呼ぶ。脆化によって劣化した容器が破損すれば、メルトダウンが起き、放射性物質が外部に出る可能性がある。

 中性子照射脆化は基本的に防ぐ手立てがない。しかも、圧力容器内には、建設時に脆化を監視する「監視試験片」と呼ぶ圧力容器と同じ金属片を入れ、定期的に取り出し脆化の具合を調べているが、評価の仕方が30年近く前にできたルールで現実に合っていないと語る。

「監視試験片は原発の寿命の40年を前提に入れているため、数も不足しつつあります。原発の運転は、設計目安の40年を守るべきです」(井野さん)

 運転開始から40年未満でも事故は起きている。

 昨年10月、運転開始から25年の柏崎刈羽原発7号機のタービン関連施設の配管に直径約6センチの穴が見つかり少量の海水が漏れ出ていたことがわかった。海水による腐食などが影響した可能性が高かったという。


■100%はない

 04年には、美浜原発3号機でタービン建屋の配管が破裂した。高温の蒸気が噴出し、作業員11人が死傷した。配管の厚みが減っていたのが原因だった。井野さんは言う。

科学や技術に100%はありませんしかも日本は、地震や津波、台風などのリスクがあります。点検のルールや評価式を見直すべきです」

 もう一つの方針、「次世代革新炉の開発・建設」についてはどうか。

 次世代革新炉は(1)革新軽水炉、(2)小型モジュール炉SMR)、(3)高速炉、(4)高温ガス炉、(5)核融合炉─の五つが想定されている。このうち経産省が「本命」とするのは革新軽水炉だ。発電に必要な熱を取り出す冷却材に水を使う原発が軽水炉で、日本の商用原発はいずれもこのタイプになる。この軽水炉の安全性を向上させたものを「革新軽水炉」と呼ぶ。事故時に、溶けた核燃料を受け止めて格納容器の損傷を防ぐ「コアキャッチャー」などを備えている。

 だが、原子力資料情報室の松久保さんは、革新軽水炉は「脱炭素」の観点から矛盾すると話す。

「革新軽水炉は建設から運転開始まで10年近く要します。その間、火力発電に依存することになり、二酸化炭素(CO2)の排出量が増えて脱炭素は進みません」

 一方、太陽光の発電設備の建設は1年もかからず、風力発電は洋上であっても数年でできる。

「電力逼迫に関してまず行うべきは、再エネと省エネの普及です。その上で足りないところはどうするかという議論が必要だと考えます」(松久保さん)


■安易な「回帰」は誤り

 日本のエネルギーのあり方について、国際大学の橘川さんも、再生可能エネルギーを主力電源に位置づけるべきだと語る。

「日本は、18年に閣議決定した第5次エネルギー基本計画で、再生可能エネルギーを主力電源にすると決めました。だとすれば、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー危機になったのであれば、議論しなければいけないのは原発の話ではなく再エネをどうするかです」

 再エネの主力となるのは太陽光と洋上風力だが、これらは天候による変動が大きいので、バックアップの仕組みが不可欠。そこで、原子力を選択肢の一つとして持つことが現実的だという。

 ただし、あくまで「副次的」に使い0~10%程度持つのがいい。そして、より危険性が高い古い原子炉は積極的に廃炉にし、より危険性が低い新しい炉に建て替えるべきだと指摘する。

 残りは、火力でカバーする。しかし、従来型の火力発電ではCO2を排出するため、燃料にアンモニアを用いCO2を排出しないカーボンフリー火力の活用がカギになる。

 すでに、JERA(東京電力と中部電力が出資する電力会社)などが石炭とアンモニアの混焼に成功していて、アンモニアの安定調達などの問題をクリアすれば、40年代には実用化できると見る。

「カーボンフリー火力ができれば、原発依存度を低下させながら、かつ脱炭素の道が見えてきます」(橘川さん)

 今回の方針転換の大義名分にされたロシアのウクライナ侵攻では、原発への武力攻撃の危うさが現実のものとなった。安易な「原発回帰」が誤りなのは明らかだ。(編集部・野村昌二)

※AERA 2023年2月6日号より抜粋
=====================================================

=====================================================
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1665883.html

<社説>原子力規制委の多数決 独立性と信頼取り戻せ
2023年2月21日 05:00

 原子力規制委員会が、閣議決定されていた原発の60年超運転を可能にする新たな規制制度を、委員5人のうち1人の反対を押し切って決めた原発回帰を急ぐ政府に歩調を合わせ、多数決という強引な手法が取られた。2011年の福島第1原発事故を教訓に、経済産業省から分離して発足した規制委の、独立と信頼は大きく損なわれた。

 福島の事故を受けて、原発の運転期間は「原則40年最長60年」と、規制委所管の原子炉等規制法に規定された。40年は、米国の制度や原子炉圧力容器など重要設備の劣化の目安が根拠だ。60年への延長はあくまでも例外だった。改正されれば、規制法の運転期間規定が削除され、経産省所管の電気事業法で定め直される。審査などで運転停止した期間を除外することで、60年超が可能になる。

 最後まで反対した石渡明委員は、安全性に問題があるために審査期間が長くなるほど廃炉までの期間が長くなり「より高経年化(老朽化)した炉を将来動かすことになる」と指摘した。まさに二律背反である。石渡委員の「科学的、技術的な知見に基づいて人と環境を守ることが規制委の使命だ。運転期間の制限を法律から落とすのは、安全側への改変とは言えない」との主張はもっともである。

 世界に60年を超えて運転されている原発はない。日本の業界は停止中の重要機器は劣化しないと主張している。運転時ほどでなくても、停止中も劣化が進むのは常識ではないか。規制委の山中伸介委員長は「制度見直しで規制は厳しくなる」と強調するが、技術的な評価・予測など具体的な規制手法の検討はこれからだ。既に、審査のために停止が10年に及んでいる原子炉がある。規制委の独立性が揺らいでしまった以上、運転期間規定が電気事業法に移れば、「原発の最大限活用」政策の下、将来、70年、80年運転する原発と共存しなければならなくなるかもしれない

 昨年9月に山中委員長が就任した際、事務局である原子力規制庁の長官以下トップ3を、初めて経産省出身者が占めた。その後、事務局が経産省側と7回も非公式面談を重ねていたことが発覚し、ひそかに政府と足並みをそろえていたことが分かった。「外から定められた締め切りを守らないといけないと、せかされて議論してきた」という賛成した委員の発言も、そのことを裏付けている。

 第2次安倍政権以後、独立機関の独立性が問われる事態が続く集団的自衛権行使を巡る内閣法制局長官人事や、日本学術会議への任命拒否と組織見直しの圧力がその例だ。今回は、閣議決定を先行させ、規制委が政府を追認する形となった。独立機関が独立性を失い政府や業界の御用・下請けと国民から見なされたら存在意義を失う。国民の監視と批判で、あるべき姿を取り戻さなければならない。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●刑事裁判…武藤類子さん《「裁判所はこれでいいのか」事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》

2023年02月04日 00時00分50秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


・大寒波 (20230124[])
未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない》…《巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。》?? 一体どんな論理か? 
 《東京電力福島第一原発事故について被害者が国の賠償責任を問うた訴訟で、最高裁が6月に、「責任がない」という判断を示し》た時と同じ論理...《史上最大の公害事件》、核発電人災。《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国の日本で原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》…なはずなのに。東京高裁は正気か? そんな論理が許されるのならば、二度と核発電所の稼働など許されない。さっさとすべて廃炉作業に入るべき。(琉球新報)《電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる》べきなのに…。

   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の刑事裁判で
         永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底
     から覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

 政権党の誰も責任を取らない。ましてや、再稼働したい、停止期間控除で老朽核発電所を60年以上も運転したい…。GXの名の下に、核発電所を新規建設したい…。一方、人災の当事者・東電は、自公政権や経産省の後押しの下、柏崎刈羽核発電所を運転したいという…。
 沖縄新報の【社説[東電旧経営陣再び無罪]責任問う仕組み必要だ】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1090811)によると、《巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。被害の大きさを考えれば釈然としない判決だ。東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3被告に対し、東京高裁が一審の東京地裁に続き再び無罪判決を言い渡した》《刑事訴訟で個人の責任が否定されても、東電や国の責任は残ったままだ。岸田文雄政権は「原発回帰」を打ち出すが、電力需要や電気産業の都合ばかりが目立つ。リスクの大きさを考えれば、責任の重さに向き合わないままの推進は許されない》。

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
   『●東京高裁・細田啓介裁判長…《市民の判断で強制起訴された東京電力
        旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された》でいいのですか?

 東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくていいのか」? 「市民の正義無き国ニッポン。(東京新聞)《海渡雄一弁護士は「裁判官は現場に行くこともなく、原発事故の被害に向き合おうとしなかった」と振り返り、「具体的な危険がなければ対策しなくていいという判断政府が再稼働を進めようとする中、司法が歯止めになっていない」と非難した》。
 刑事裁判においても、《未曽有の事故を風化させないためにも、人災を起こした責任を明確に問うべきだ》。《「福島原発告訴団」の武藤類子団長…は、判決後に東京都内で開いた集会で「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」と憤り、「悔しい」と何度も繰り返して声を震わせた》そうだ。さらに、《「裁判所はこれでいいのか」 事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》と。

   『●脱アクションウィーク、5万人集会
    「最後の福島の被災市民として武藤類子さんが
     訴えておられる映像がとても印象に残りました。
     その文章おこしされたものはCML
     (http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011909.html
     にありますので、一読して頂きたいです」

   『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
              五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
    《団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らない
     と大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず
     文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、
     私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る》

   『●「東電元幹部の罪と罰」
     『週刊金曜日』(2014年9月19日、1008号)についてのつぶやき
    《武藤類子氏【これでも罪を問わないのか】。
     明石昇二郎さん【東電関係者の「不起訴」理由 検察は、いかに
     原子力ムラに丸め込まれたか】、「告発人として主任検事から
     詳細な説明を受けていた筆者が、その詳細を暴露する……
     御用電力学者の言い訳を鵜呑み……原子力ムラにしてやられた検察」》

   『●原状回復が損害賠償の基本: 東京電力原発人災で
             「ふるさとをなくした痛み」は全く癒えていない
    《「東京電力福島第一原発事故で国と東電の刑事責任を
     追及している福島原発告訴団の武藤類子団長は「原発事故が
     解決していない中での再稼働は信じ難い」と強調。川内原発建設
     反対連絡協議会の鳥原良子会長は「民意を反映しない
     鹿児島県や薩摩川内市の再稼働同意に住民は大きな怒りを
     感じている」と述べた》
    《原発事故被害者団体連絡会が設立された。被災者の悲しみ、
     怒りは、激しく、深く。共に訴え、助け合うため団結した。
     それは私たちとも無関係ではあり得ない。福島が求めている
     のは、当然そうあるべきことだけだ。謝罪と被害の完全賠償、
     暮らしと生業の回復、詳細な健康診断と医療保障、
     および被曝(ひばく)低減策、そして、事故の責任解明-》

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
    《長い困難な裁判になるのだろうが、みんな裁判にかけている。
     団長の前いわき市議佐藤和良さんは「有罪に持ち込むため、
     スクラムを組もう」と訴えた。副団長の武藤類子さんも
     「最悪の事故を経験した大人として、未来に対して何ができるか」
     と問うた。私も、市民の正義を求める人びととともに
     「われらゆるがず」の歌声に連なりたい。(佐藤直子)》

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…「国を相手に
        ケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》
    「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 250回/
     原発事故に翻弄された14人~土井敏邦監督『福島は語る』】
     …。《映画は、生活を根こそぎ奪われ、人生を翻弄された
     14人の被災者に焦点を当てている。…暮しの中から被災後の困難を
     浮かび上がらせているのが特徴だ》」
    《こういった人々の語りから「病めるフクシマ」という言葉がじわり
     と浮かんでくる。福島原発告訴団武藤類子団長が登場する章では、
     「自分たちは理不尽な被害者なのに、黙っていていいの?
     と問いかける武藤団長が、沖縄で闘っている人の言葉を紹介する。
     「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ。
     それが尊厳なんだ。プライドなんだ」 胸に響く。》

   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》
    《「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──
     2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた
     武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を
     揺さぶりました…》

   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》

 以前も引用しました ―――――― 武藤類子さん《避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違うふるさとになってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います》。《本来ならその人たちにとっても…まったく違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》。
 東電や国はさっさと「原状回復」して見せてほしい…11年も経ってしまったではないですか。さらに、かつて、武藤類子さん《ひとりひとりの市民が… 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です》とも。――――――

=====================================================
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1090811

社説[東電旧経営陣再び無罪]責任問う仕組み必要だ
2023年1月20日 9:00

 巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。被害の大きさを考えれば釈然としない判決だ。

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3被告に対し、東京高裁が一審の東京地裁に続き再び無罪判決を言い渡した

 3人は勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長。原発事故後の長期避難で入院患者ら44人を死亡させるなどしたとして、いずれも禁錮5年を求刑されていた。

 高裁での争点は3人が巨大津波を予測できたか(予見可能性)と、対策を取っていれば事故を回避できたか(結果回避可能性)の二つだ。

 予見可能性では、一審が信頼性を否定した政府の地震予測「長期評価」を「重みがある」としたものの、3人に津波の可能性を認識させる情報ではなかったと判断した。

 一審では触れられなかった防潮堤建設などの津波対策についても検証されたが、事故が防げたとする証明は不十分で「後知恵によるバイアス」として排除した。

 災害予測を軽んじるような判断で納得できない。

 避難者の集団訴訟で昨年6月に出た最高裁判決でも災害は予見できず、対策しても事故は防げなかった可能性があるとして、国の責任が認められなかった

 災害予測には不確実な点があり、対策を講じてもリスクをゼロにすることは難しい。しかし、それを理由に企業の責任者を問えないなら同じ惨事が起きる不安は拭えない

■    ■

 一方、昨年7月、旧経営陣に計13兆円超の賠償支払いを命じた訴訟では、今回の刑事訴訟とほぼ同じ証拠を基に長期評価の信頼性が認められ、「浸水対策で事故は回避できた」とする判断が出た。

 異なる判断の背景には、個人の責任を問う刑事訴訟における立証ハードルの高さがある。

 3人は市民が参加する検察審査会によって強制起訴された。

 しかし、2009年に導入された強制起訴制度による有罪は、起訴された10件のうち2件にとどまっている

 制度の課題を踏まえ、業務上過失致死傷罪を企業に適用する「組織罰」の導入を目指す動きもある。

 重大事故で企業の責任を問うことができれば経営者も問われ、事故の再発防止につながることが期待できるのではないか。検討が必要だ。

■    ■

 原発事故を検証した国会事故調査委員会は12年、東電や政府が対策を怠ったとして事故は「人災」とした。

 事故から12年たつが、廃炉作業は遅々として進まず、いまだに事故の避難者2万7千人余が福島県内外で避難生活を送っている

 刑事訴訟で個人の責任が否定されても、東電や国の責任は残ったままだ

 岸田文雄政権は「原発回帰」を打ち出すが、電力需要や電気産業の都合ばかりが目立つ。リスクの大きさを考えれば、責任の重さに向き合わないままの推進は許されない
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底から覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

2023年01月15日 00時00分03秒 | Weblog

(2023年01月03日[火])
アルプス処理水」なる〝汚染水〟の海洋放出についての経産省の宣伝がやたらとテレビで流れていて、呆れる。その海洋放出をどこの国でもうやっている的な、〝世界標準〟的な…、どこの国でやってんのか、是非、教えてほしい。「1/4」の自公お維支持者や「2/4」の選挙に行かない自公の間接支持者を洗脳しないでほしい。軍事費倍増、核発電所強制、汚染水海洋放出…キシダメ政権のやりたい放題は許されない。海洋放出の前に、福島をさっさと《原状回復》して見せて下さい。全ての《生業なりわい)》を返して見せて下さい。

   『●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則
     40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽原発」
        「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?

 まずは、福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから…全ての核発電所の廃炉作業を始めるべきだったのに、12年近くが過ぎてしまった。
 長周新聞の記事【世界に類のない原発運転70年 地震列島で実行する無謀さ 岸田政府が運転期間延長に舵】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25306)によると、《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は、福島原発事故がもたらした大惨事の教訓を根底から覆し、またウクライナ戦争における原発がミサイル攻撃の標的になるという教訓も考慮せず福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 ミサイル攻撃の《標的》に加えて、この記事で指摘されている重要なことの一つは《使用済み核燃料》のこと。《使用済み核燃料プール》が攻撃を受けた際の被害のみならず、《あと何年で満杯になるのか》? それに、核燃料サイクルという「環」は閉じたのか? 「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」。《原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのか》?

   『●使用済み核燃料プールが満杯になったらどうするの??
   『●リラッキングとオンカロ
   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
    《敷地内の使用済み核燃料プールはあと何年で満杯になるのか。現在
     発電中の原発は3基。そのうち高浜4号機・大飯(おおい)4号機と、
     発電中の原発2基を抱える関西電力は、このまま発電を続けると
     高浜原発はあと「6年程度」、大飯原発はあと「8年程度」で満杯になる
     と回答。対策については、こう答えた。
     「六ケ所再処理工場が順調に稼働することにより、
     使用済み燃料ピット(竪穴)の満杯は回避できるものと考えています」》

   『●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と
      「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶

=====================================================
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25306

世界に類のない原発運転70年 地震列島で実行する無謀さ 岸田政府が運転期間延長に舵
社会2022年12月21日

 福島第一原発事故による世界にも例を見ない甚大な犠牲を経て、日本政府は「原発への依存度をできるかぎり低減する」とのエネルギー政策をとってきた。しかし、岸田首相は8月にそれを覆し、原発最大限活用の方針を示した。経済産業省は8日、次世代型原子炉への建て替えや、「原則40年最長60年」と定められている運転期間の延長を盛り込んだ「行動指針」を明らかにした。日本列島にはおもに1970年代以降に54基の原発が建設されてきた。狭い国土にこれほどの原発が密集して林立している国は日本だけだ。この厳然たる現実は、日本が原発をめぐって指摘されているさまざまな危険性に真剣に向き合うことを要求している。老朽原発の運転は事故の危険性を高めるだけだ。2011年の東日本大震災時の福島原発事故は「原発の安全神話」を吹き飛ばした。日本は世界でも有数の地震・火山列島であり、近年地震や火山活動が活発化する時期に入っている。さらに今年に入ってからのロシアのウクライナ侵攻で、原発が武力攻撃の標的になることが突きつけられた。日本の原発もまた有事のさいにはミサイル攻撃の格好の標的にされることは明らかだ。

 日本では、54基の原発を40年近く運転してきたことによって膨大な量の使用済み核燃料が溜まっているが、処理方法は決まっていない。これ以上原発を増やし、老朽原発の運転を続けることは福島原発事故の再来を近づけ、ミサイル攻撃の標的とされ原爆投下と同様の惨事をもたらすもので、日本を滅亡の淵に立たせる亡国政治以外のなにものでもない

 最新の原発関連のトラブルは、9日の関西電力高浜原発1、2号機の海水処理施設での火災だ。冷却用に海からとり入れる水の一部を処理するための施設で、関電は原因はわかっていないとしている。1、2号機とも運転開始から50年近くを経過した老朽原発であり、想定外のトラブルである可能性も高い。

 経産省の行動指針は、福島原発事故を経て2012年に法律で定めた「(原発の運転期間)原則40年、最長60年」とするルールをなし崩し、運転の停止期間+60年とし、最大では運転開始から70年の老朽原発の運転も可能になる。

 世界的に見ると、60年以上運転した原発はなく、経産省の行動指針の異常さが際立っている。国際原子力機関(IAEA)の調べでは、すでに廃炉になった原発を含めても、運転期間が世界最長なのは、インドのタラプール原発1、2号機の53年1ヶ月だ。同原発から約1カ月遅れてアメリカのナインポイント1号機とスイスのベツナウ1号機が運転を開始しており、ともに運転期間は53年だ。

 また、IAEAによると2021年12月末までに世界で廃止予定の原発は199基あるが、平均寿命は29年だ。

 たとえばアメリカは運転期間を40年と規定し、規制当局の審査をクリアすれば20年間の延長が可能で、延長回数に制限はない。80年運転を認められた原発も6基ある。ただ多くの原発は設計時に耐用年数を40年間と想定してつくられており、老朽化が進むと維持コストも高くなり、事業者が長期運転よりも廃炉を選択するケースが多い。

 そもそも原発の設計は耐用年数を30~40年と想定している。設計段階で想定した原発の寿命を設計寿命としているが、当初原発の寿命は30年とされていた。30年はもつようにという計算による設計だ。

 それを日本政府はずるずると延長してきていた。事故を起こした福島第一原発1号機は1971年3月に営業運転を開始しており、事故当時は運転開始から41年を経過した老朽原発だった。当初運転期間は30年を目安としており、本来なら廃炉に向け運転が停止されているべき原発だった

 政府は1999年に福島第一原発1号機など、1970年前後に運転を開始した3基の寿命延長計画を認め、2005年には原発の運転を60年間とすることを想定した対策をまとめ、その後運転開始から40年を迎える原発を認めるなど老朽原発を積極的に酷使する方針をとってきた。

 老朽原発の運転は危険性が高まる。原発の機器は運転中、高温高圧、高い放射線という過酷な状況に置かれ、振動などによる金属疲労、温度がくり返し激しく変化することで起きる熱疲労、加えて冷却水や蒸気による侵食・腐食が発生する。

 さらに原発特有の問題として、放射線の問題がある。原子炉では運転中に発生する高エネルギーの中性子を受けて、鋼鉄の「粘り気」が弱くなる脆性劣化が起きる。原子炉圧力容器の鋼鉄も長時間の運転にともなって、粘り強さが減少し、もろく亀裂が入りやすくなる


老朽原発で事故が多発 専門家も危険性指摘

     (電源喪失で炉心溶融を起こした福島第1原発(2011年3月))

 老朽原発の事故は多発している。1999年には福島第一原発1号機で、原子炉内にある非常用炉心冷却系の配管にひびが入っていることが見つかっている。

 2004年には美浜原発三号機蒸気噴出事故が起こり、5人が死亡し6人が重傷を負った。当時同3号機の運転年数は30年に満たなかったが、点検リストから漏れて一度も確かめられなかった配管が経年劣化で薄くなって破れ、熱水と蒸気が噴出した。原発の部品数は約1000万点にのぼるとされ、見落としのリスクはつきまとい、老朽原発ほど配管などの劣化は激しい。

 また、東京電力柏崎刈羽原発では、福島事故後停止した7号機(運転開始から25年)のタービン建屋の配管が11年間点検されず、腐食で穴があいていたことが今年10月に明らかになった。

 このほかにも老朽化による問題は多発している。加圧水型原子炉では、格納容器を開口して蒸気発生器を丸ごととりかえる工事をよぎなくされる原発が続出した。沸騰水型では水流仕切り版(シュラウド)にひび割れが発生し、多くの原発でとり換えがおこなわれた。

 これらの補修工事はいずれも建設当初には想定されていなかった。しかも交換は非常に強い放射線のもとでおこなわれる作業で、労働者の被曝の危険性も高い。

 専門家は、原子炉の劣化状況を調べることは技術的に難しく、長期運転で劣化が進むと、点検漏れしたときのリスクが増し、重大な事故につながると指摘している。また、老朽原発の原子炉は技術的にも古く、耐震性の科学的評価も最新の知見にもとづくものではなく、事故のリスクが高いとしている。

 「あらゆる重大事故の多くは欠陥の見落としが原因だ。点検をしていても電気系統や制御装置はいつ劣化して故障するか予見できない。設計寿命はきわめて大事だ」と設計寿命をこえた運転の危険性を指摘する専門家もいる。

 原発の運転期間の延長は科学的な根拠にもとづくものではなく、廃炉には費用がかかるなど電力会社の利益追求の都合によるものであり、岸田政府が世界にも例のない70年もの運転を認める方針を出したことは福島事故をふたたび引き寄せかねないものだ


溜まる使用済み核燃料 10万年の保管可能か

 おもに70年代以降、54基の原発を建設・運転し続けてきた結果、日本列島には使用済み核燃料が溜まりに溜まっている。使用済み核燃料とはいっても高い放射線を放ち、保管・処理方法を間違えば重大事故を引き起こす。また、ウクライナの原発では使用済み核燃料の保管施設が砲撃されており、IAEAも使用済み核燃料の防護強化をうち出している。

 原発では、ウラン鉱石を原料にした燃料集合体を使用する。原子炉の中で4~5年使用したのち、新しい燃料集合体と交換する。使用後に残った「使用済み核燃料」は高い放射能をおび、人が近づけば数十秒で死亡するほど危険なものだ。使用済み核燃料の放射能が、もとのウラン鉱石と同じレベルに下がるまでにかかる時間は10万年で、その期間は安全に保管する必要がある。現在最適だとされている方法は「地層処分」で、地下数百㍍の穴を掘り保管する計画だ。

 スウェーデンでは今年1月、政府が使用済み核燃料の最終処分場建設計画を承認した。スウェーデンでも1970年代から使用済み核燃料の処分についての研究をおこなってきた。今回承認した計画は、地表から深さ500㍍のところに500本のトンネルを掘り、6000個の銅製保存容器で1万2000㌧の使用済み核燃料を、放射能が減衰する10万年後まで保管するというものだ。

 なお、建設に約10年かかり、最終処分場が完成して使用済み核燃料の貯蔵が始まるのは70年後だ。日本の場合、地震列島での「地層処分」の危険性も指摘されている。10万年ものあいだ安全に保管できるという保証はない。

 福島原発事故前の2010年段階での日本の使用済み核燃料の累計は1万6330㌧。これは世界第3位の累積量だ。ちなみに当時世界合計は約25万㌧。原発が動き続けていれば毎年1000~1200㌧の使用済み核燃料が発生する。

 使用済み核燃料は、崩壊熱を発生させるので水を循環させて冷やし続けなければならず、原子炉建屋内の貯蔵プールで数年間冷やすが、福島原発事故前の2010年段階ですでに各原発の貯蔵プールは満杯状態になっていた。たとえば東京電力の福島第一原発はあと2年で満杯、同第二原発はあと1・9年、柏崎刈羽原発はあと3年、関西電力の美浜原発はあと6・4年、大飯原発はあと6・1年、高浜原発はあと5・7年といった具合だった。

 福島原発事故の後、ほとんどの原発は停止したが、かりに通常運転が続いていれば、ほとんどの原発は現段階で使用済み核燃料プールは満杯になっていた

 国の計画では各原発敷地内での使用済み核燃料の保管は一時的なもので、ゆくゆくは青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場に運ぶというものだったが、再処理工場の完成が26回も延期され、完成のめどがたっていないため、原子炉建屋内の貯蔵プールに溜まり続けている。現在日本国内で貯蔵されている使用済み核燃料は1万8000㌧という。

 これは国内の貯蔵容量約2万4000㌧の75%をすでに占めており、満杯になるのは時間の問題になっている。

 大量の使用済み核燃料が日本中の原発敷地内に保管されているということの危険性は高い。

 ウクライナ危機において、使用済み核燃料の保管施設が砲撃の対象となったことで原発防護強化が喫緊の課題となっている。原子炉は鋼鉄製で、格納容器に守られ、意図的な航空機の激突にも耐えられるなど外部からの攻撃に一定の頑強さを有しているが、使用済み核燃料の保管施設は多重防護の仕組みになっていない場合が多い。IAEAが今年9月サポリージャ原発に調査団を派遣し、国連に提出した報告書のなかで、使用済み核燃料の保管施設に砲撃痕があったことをとりあげ、大規模な放射性物質の放出に至るおそれがあると警鐘を鳴らした。

 日本では、行き場を失った使用済み核燃料が、防護体制がほぼない各原発のプールに溜まり続けている。使用済み核燃料は膨大な熱を出し続けるため、冷却保管する必要があるが、原子炉と比較して保管施設、とくに冷却のためのプールは外部攻撃に脆弱だ。使用済み核燃料が大気にむき出しになれば、高濃度の放射能が広範囲に放出される使用済み核燃料プールが標的になった場合、大惨事になることは必至だ

 使用済み核燃料プールの破損によって甚大な被害を被ることは福島第一原発事故でも経験している。福島第一原発4号機は地震発生時、定期点検中であったため原子炉には核燃料はなかったにもかかわらず水素爆発を起こした。貯蔵プールの冷却水が循環できなくなり、冷やせなくなったために、水が高温になって蒸発し、燃料が露出して水素が発生して爆発したのだ。爆発によって施設が倒壊し、大量の鉄筋やコンクリート片がプールに落下し、使用済み核燃料の状況を確認できなくなった。

 ちなみにアメリカ政府は、この事態に対しプールに穴が開いて水が抜けたため、使用済み核燃料がむき出しになり、外気にさらされた可能性があると判断し、福島原発から半径50マイル(約80㌔㍍)に住む米国人に避難勧告を出した。日本政府の避難指示範囲は原発から半径30㌔㍍で、これを上回る異例の措置だった。後日、プールの水が保たれていることが確認され大惨事は回避されたが、アメリカ政府が使用済み核燃料プールの機能喪失の深刻さを認識していたことは明らかだ

 ウクライナでの使用済み核燃料保管施設の砲撃を受けて、国際機関は各原発に使用済み核燃料が溜まり続ける日本に対し、その防護を強化するための対策を強く求めている。

 原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのかという新たな問題が出てくるが、そうした問題の解決策もないまま岸田政府は原発最大限活用に舵を切った

 老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は、福島原発事故がもたらした大惨事の教訓を根底から覆し、またウクライナ戦争における原発がミサイル攻撃の標的になるという教訓も考慮せず福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ


関連する記事
40年超の老朽原発も再稼働 「脱炭素」掲げ新増設も図る自民党政府 わずか10年で覆る福島の教訓40年超の老朽原発も再稼働 福島第一原発の炉心溶融という重大事故から10年目を迎えた今年、菅政府は「2050年までに温暖化ガス排出量ゼロ」「脱炭素」などを掲げて、実際に […]

伊方原発3号機の運転差し止め仮処分決定 阿蘇山噴火や中央構造線の地震を危険視 阿蘇山噴火や中央構造線の地震を危険視  瀬戸内海に面した四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について広島高等裁判所(森一岳裁判長)は17日、運転を認めない仮処分の決定を出した。 […]

「復興五輪」の陰で痕跡を消される故郷に思う 福島県双葉町・大沼勇治 東日本大震災から9年が経過した中で、いまだ4万人以上もの人々が避難生活を余儀なくされ、生活の再建は置き去りにされたままである。原発立地自治体 […]

関電幹部の袖下に3億円 キックバックで還流する原発マネー 収賄で逮捕されて然るべき 関西電力の岩根茂樹社長は27日に臨時の記者会見を開き、同社の八木誠会長や岩根社長ら役員・社員20人が福井県高浜町の森山栄治元助役(今年3 […]

原発で私腹を肥やす 原子力村の汚染は醜悪 関西電力の岩根茂樹社長(電気事業連合会会長)は9月27日の臨時記者会見で、福井県高浜町の森山栄治元助役(今年3月死去)から、役員・社員20人 […]
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…

2022年12月29日 00時00分14秒 | Weblog

[※↑ 双葉町での聖火リレーに際しての大沼勇治さん(報道特集 2021年03月27日[土])]


(2022年12月14日[水])
まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、全ての《生業なりわい》を返して見せてくれ、議論はそれからだ。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれ」です。
     「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
    《40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が
     増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、
     ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も
     過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあった
     ではないか。
      美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に
     配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。
     その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を
     起こさないと懲りないのか!

   『●核発電の《オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが
     不可欠》? まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから
   『●東電核発電人災の被害者が「私たちは生きている限り、原発の時代を
     背負ったということ」と強調、一方、政府や電力会社は核発電の継続と…

 日刊ゲンダイの記事【世界の原発の“平均寿命”は29年…日本政府がもくろむ「運転期間60年超」は世界の非常識】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/315564)によると、《政府が年内の取りまとめを目指す原発の運転期間について、なし崩しで延長に踏み切ろうとしている。政府は現行の運転期間「原則40年最長60年」を堅持する方針だが、再稼働に必要な審査などで停止した期間を追加実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる》。
 この地震大国ニッポンで正気なのかね? さっさと廃炉作業に入ることも無く、核発電所が今も稼働中であることだけでも、また、再稼働したいということだけでも神経を疑うのに、《実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる》ってどんな神経なのか?

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。
 (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
      承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 増井のぞみ記者による、東京新聞の記事【運転60年超の原発、世界で実例なし 設計時の耐用年数は40年 配管破れ、腐食で穴...トラブル続発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/218838)によると、《8日の経済産業省の有識者会議で議論を終えた原発活用の行動指針案は、運転期間の制限は維持した上で「最長60年」との現行規定を超える運転を可能にし、将来的な上限撤廃も視野に入れる。しかし、原発が60年を超えて運転した実例は、世界中に一つもない。国内では設備劣化によるトラブルが相次ぎ、原子力規制委員会も「未到の領域」の規制に手間取っている。(増井のぞみ)》。

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/315564

世界の原発の“平均寿命”は29年…日本政府がもくろむ「運転期間60年超」は世界の非常識
公開日:2022/12/07 13:40 更新日:2022/12/07 13:40

     (「停止期間+60年」は異常…(廃炉作業が続く福島原発)
      /(C)共同通信社)

 政府が年内の取りまとめを目指す原発の運転期間について、なし崩しで延長に踏み切ろうとしている。政府は現行の運転期間「原則40年最長60年」を堅持する方針だが、再稼働に必要な審査などで停止した期間を追加実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる。

 6日の参院環境委員会で、立憲民主党の辻元清美議員が延長問題を追及。過去の環境相の国会答弁や福島第1原発の設置変更申請などを引き合いに出しながら、「(原子炉の)想定年数は40年」と指摘した。

 政府方針では最長60年に加え、停止期間が運転期間に上乗せされる原子力規制委員会は、運転期間から停止期間を除外できないとの立場を貫いているが、延長の可否については環境委でも、「利用政策側が判断されることと考えている」(山中委員長)と繰り返し強調。“高い独立性をうたっているはずなのに、運転期間をめぐっては政府に及び腰だ

 原子力利用に目を光らせるべき立場の規制委がこんな調子だから、原発政策の旗振り役である経産省は「さまざまな意見があり、審議会で科学的な見地で議論を進めている」(中谷副大臣)などとノラリクラリ。規制委の立場を「さまざまな意見」のひとつに過ぎないとみなしている。


■「技術者の視点」が抜け落ちた議論

 世界に目を向けると、「停止期間+60年」の運転期間は異様だ。IAEAによると、21年12月末までに世界で廃止予定の原発は199基。平均寿命は29年だ。現在稼働する原発の中でも最長は、1969年に運転を始めたスイスのベツナウ原発1号機の53年間である。

 元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏(工学博士)はこう言う。

「運転期間延長の議論には、技術者の視点が抜け落ちています。現存の原発の設計寿命は30~40年。設計段階で想定した寿命があるにもかかわらず、『点検したら大丈夫』というのはあまりに乱暴です。特別点検を実施するにしても、見落としやエラーはつきものですし、あらゆる重大事故の多くは欠陥の見落としが原因です。点検をしていても電気系統や制御装置は、いつ劣化して故障するか予見できません。設計寿命は極めて大事なのです

 のど元過ぎれば何とやらである。原発事故の惨事を再び繰り返すつもりなのか
=====================================================

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/218838

運転60年超の原発、世界で実例なし 設計時の耐用年数は40年 配管破れ、腐食で穴...トラブル続発
2022年12月9日 06時00分

     (運転開始から53年がたったベズナウ原発
      =2012年、スイス北部で)

 8日の経済産業省の有識者会議で議論を終えた原発活用の行動指針案は、運転期間の制限は維持した上で「最長60年」との現行規定を超える運転を可能にし、将来的な上限撤廃も視野に入れる。しかし、原発が60年を超えて運転した実例は、世界中に一つもない。国内では設備劣化によるトラブルが相次ぎ、原子力規制委員会も「未到の領域」の規制に手間取っている。(増井のぞみ)

【関連記事】原発「60年超」の行動指針案を了承 経産省の有識者会議 将来的な「上限なし」にも道

 国際原子力機関(IAEA)によると、既に廃炉になった原発を含め、世界最長の運転期間はインドのタラプール原発1、2号機の53年1カ月間。同原発から約1カ月遅れで運転を始めた米国のナインマイルポイント1号機とスイスのベツナウ1号機が続く。4基とも現役だ

 米国も日本と同じく運転期間を40年と規定するが、規制当局の審査をクリアすれば20年間の延長が可能で、延長回数に制限はない。80年運転を認められた原発も6基ある。英国とフランスは運転期間に上限はなく、10年ごとの審査が義務付けられている。

 ただ、多くの原発は設計時、耐用年数を40年間と想定して造られた。老朽化が進むと維持管理コストも高くなり、事業者が長期運転よりも廃炉を選択するケースが多いとみられる

 国内では40年に満たない原発でも、劣化によるトラブルが起きている

 運転年数37年の関西電力高浜3、4号機(福井県)は2018年以降、原子炉につながる蒸気発生器内に長年の運転で鉄さびの薄片がたまり、配管に当たって傷つけるトラブルが相次ぐ。定期点検で6回も確認され、蒸気発生器を洗浄しても再発した。

     (高浜原発4号機の蒸気発生器内の配管(右下)に刺さった
      鉄さびの薄片(中央の三角形)=福井県で(関西電力提供))

 さらに深刻なのは、点検漏れだ。原発の部品数は約1000万点に上るとされ、見落としのリスクはつきまとう。04年には、運転年数が30年に満たない美浜3号機で、点検リストから漏れて一度も確かめられなかった配管が経年劣化で薄くなって破れ、熱水と蒸気が噴出して5人が死亡、6人が重傷を負った。

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)では、福島第一原発事故後まもなく停止した7号機タービン建屋の配管が11年間点検されず、腐食で穴が開いたことが今年10月に判明した。

 井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)は「劣化状況を調べる超音波検査は、配管の陰では測定が難しい。長期運転で劣化が進むと、点検漏れした時のリスクが増し、重大な事故につながる」と警鐘を鳴らす。

 運転延長の可否を安全性の側面から審査する規制委は、60年超の原発をどのように規制するのかについて、具体策の検討を始められないでいる

 大きなハードルとなっているのは、原子炉が実際にどう劣化していくのか、データが不足していることだ。運転延長の審査で先行している米国とは、劣化具合のとらえ方が異なるという。山中伸介委員長は記者会見で「(60年超は)未知の領域。日本独自のルールをつくる必要がある」と、検討の難しさを認める。

 規制が不透明なまま、60年超を可能にする仕組みだけが先行していく。井野氏は強調する。「日本は地震が多く、人口密度も高い。外国とは状況が違う。原発の運転は設計目安の40年を守るべきだ」
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●東電核発電人災の被害者が「私たちは生きている限り、原発の時代を背負ったということ」と強調、一方、政府や電力会社は核発電の継続と…

2022年12月28日 00時00分28秒 | Weblog

[※↑ 双葉町で牧場経営していた鵜沼さんがキクハナと再会希望の牧場にて (報道特集 2021年03月06日[土])]

 (2022年12月13日[火])
吉沢正巳さん「被ばく牛は原発事故の生き証人処分すれば証拠は消え、事故はなかったことにされる」》《「…寿命までここで暮らす。この牛たちを見て、命の扱い方とか原発があるというのはどういうことかを考えるきっかけになってほしい。3・11を風化させないためにもここを維持する」》…被ばくした《牛と共に生きる覚悟を決めたベコ屋の意地が見えた》。
 久間木聡記者による、東京新聞の記事【「被ばく牛」飼育 福島の吉沢さん 滑川で講演「生きている限り 原発の時代背負う」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/215355)によると、《東京電力福島第一原発の事故直後から、被災地に取り残された「被ばく牛」の飼育を福島県浪江町で続ける吉沢正巳さん(68)が六日、埼玉県滑川町の「古民家ギャラリーかぐや」で講演した。「市場に出ない牛たちを通して人間は命をどう扱うのかという問題を、これからも考えていきたい」などと強調した》。

   『●大飯原発再稼働撤回に向けて、この熱気を見よ!
   『●「浪江町で300頭の牛を一人で飼っている
        牧場主の吉沢正巳さん」国会前スピーチ
    「(OurPlanet-TV、…)では、「浪江町で酪農を
     経営していた「希望の牧場」の吉沢正巳さんは、「政府は福島の
     原発事故を過去のものとして蓋をして、再稼働でばんばんいって
     しまう。今回の事故で誰が責任をとっているのか、皆逃げている。
     言い訳をしてる。ごまかしてる。嘘ついている。もうたくさんだ。」
     と力強く話した」そうだ」
    《被ばく牛と生きている牧場主の声を聴いてほしい!
     ドキュメンタリー映画の『フタバから遠く離れて』をみて以来、
     気にかかっていた人がいた。それは浪江町で300頭の牛を一人で
     飼っている牧場主の吉沢正巳さん(写真)のことだ》

   『●終わらない原発人災の影響:
      「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ…」
   『●吉沢正巳さん「被ばく牛は原発事故の生き証人。処分すれば
             証拠は消え、事故はなかったことにされる」
    「《福島原発事故で故郷の町を奪われ、避難生活を強いられる
     根本昌幸さんの「柱を食う」である》… 《/牛よ/恨め恨め/
     憎き者を恨め/お前を飼っていた者ではない。/
     こういうふうにした者たちを》。そして、《福島県いわき市の
     芳賀稔幸さんの「もう止まらなくなった原発」だ》…
     《失ったものは永遠に帰っては来ない/元通りに出来ないはずだのに
     /責任をはたすって?/何の責任をだ/一体責任って何だ?》」

   『●希望の牧場・吉沢正巳さん「この牛たちを見て、命の扱い方とか、
     原発があるというのはどういうことかを考えるきっかけになってほしい」
    「佐藤哲紀記者による、東京新聞の記事【警戒区域で生き残った牛1頭が
     問う「生きるとは…」 福島県浪江町「希望の牧場」】」
    《福島県浪江町の「希望の牧場・ふくしま」。代表の吉沢正巳さん…
     吉沢さんは自身のことをベコ(牛)屋と呼ぶ。「ここにいる牛は
     経済的には意味がない。けれど生きるってことに意味がある
     餓死もせず、殺処分もされず、生きてきた。これからも餌食って
     くそたれて、寿命までここで暮らす。この牛たちを見て、
     命の扱い方とか、原発があるというのはどういうことかを考える
     きっかけになってほしい。3・11を風化させないためにもここを
     維持する」。牛と共に生きる覚悟を決めたベコ屋の意地が見えた》

 繰り返します、何度でも。
 国や東電のデタラメな所業に対する答えは簡単だ、責任をもって東電や政府が「原状回復」して見せればよいだけ。元の姿に完全に戻してくれれば良いだけ。責任を果たして下さればよいだけ。《原状回復》して見せてくれれば、喜んで皆さんは元の福島の生活に戻られるでしょうよ。それに、そもそもこんな核発電人災などなければ、《福島を出た人は誰もいなかった。東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」。

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》
   『●核発電の《オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが
     不可欠》? まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》
   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
     町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/215355

「被ばく牛」飼育 福島の吉沢さん 滑川で講演「生きている限り 原発の時代背負う」
2022年11月22日 06時57分

     (「私たちは原発の時代を背負った」と訴える吉沢さん
      =埼玉県滑川町で)

 東京電力福島第一原発の事故直後から、被災地に取り残された「被ばく牛」の飼育を福島県浪江町で続ける吉沢正巳さん(68)が六日、埼玉県滑川町の「古民家ギャラリーかぐや」で講演した。「市場に出ない牛たちを通して人間は命をどう扱うのかという問題を、これからも考えていきたい」などと強調した。

 吉沢さんが運営する「希望の牧場」は、福島第一原発の北西約十四キロの場所にあり、広さは三十ヘクタールほど。国の決めた殺処分に同意せず飼育を続け、現在は約二百頭の和牛を飼っている。

 吉沢さんは、町の大半が帰還困難区域浪江の現状を「住み慣れた家を失い、昔からあった小中学校も閉校するなど、自分たちのルーツに関わる問題に直面している」と指摘。帰還できずにいる人々が、さまざまな形で心に傷を負っていることにも理解を求めた。

 東電が来年春ごろからの開始を目指す福島第一原発の処理水海洋放出にも言及しつつ「私たちは生きている限り、原発の時代を背負ったということ」と強調。その上で「原発の時代を乗り越えるためどうするかちゃんとした議論をすべきですその実力や覚悟が問われているんじゃないでしょうか」と訴えた。(久間木聡)
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》

2022年11月22日 00時00分28秒 | Weblog

(2022年11月07日[月])
《問われる町衰退の責任》(長周新聞)。

   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》

 核発電反対の人たちは、やはり《原発推進を掲げる》候補者に投票してはいけないと思いますよ。投票に行き、明確に核発電反対の候補者に投票すべきです。《原発推進を掲げる》候補者が当選すれば、あらゆる問題が放置され、核発電推進へと町政を進めていくに決まっているからです。「この寂れた上関町をどうするのか」に向き合うはずもありません。
 長周新聞の記事【生殺し状態からの転換が急務 浮上から40年たつ上関原発計画 問われる町衰退の責任】(https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/24841)によると、《柏原町長の辞職(病気)によって山口県上関町の町長選挙の投開票が23日におこなわれ、原発推進を掲げる西哲夫(町議会議長)が当選した。中国電力上関原発計画が1982年に浮上して今年で40年を迎えた。半世紀近くにもわたって町民は原発推進・反対で分断され、「原発ができれば町が活性化するという空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業である漁業をはじめ農業や商業、教育や医療、福祉、介護など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞し、めっきり寂れた町になってしまった。この40年のあいだに町の人口は約7000人から2000人台へと3分の1以下に減少したことに衰退があらわれているが…》。

 上関町の惨状。一方、祝島。「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」。
 もう一度引用する。【上関原発を建てさせない祝島島民の会】(http://touminnokai.main.jp/)…《1982年より、40年間続く上関原発建設計画の埋め立て準備工事は、現在中断されています。福島第一原発の事故後、これで上関原発はなくなると誰もが思い、上関町では「原発に頼らない町づくり」の取り組みが始まろうとしていました。ところが、政権が変わり、再び原発建設を期待する動きも出てきています。いつになれば原発問題から解放され、本来の町づくり、島づくりに取り組んでいけるのか! と、地元住民からの怒りの声は日増しに増えてきています》、《私たち祝島島民の会は、先輩達が守り通してきた美しい海を次世代に引き継ぐために、40年間、上関原発反対運動を行ってきました。漁業補償金も受け取っていません。どのような攻勢にもひるむことなく上関原発計画が白紙撤回されるまで全力で取り組んでいきたいと思います。共に頑張りましょう。全国のみなさんのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします》。

   『●SLAPPと祝島
   『●SLAPPと原発、沖縄
   『●祝島の人たちは海を売っていない(1/2)
   『●祝島の人たちは海を売っていない(2/2)
   『●上関原発反対! ~祝い島島民の会blog~
   『●立ち止まるなら今…「原発政策を福島第一原発
        事故以前に先祖返りさせたのが自民党安倍政権」
    《祝島の閧いは終わらない政府、中国電力の非道
    《ところで人口3300人の上関町は原発誘致に熱心なようだが、
     巨大な原発2基から入ってくる莫大(ばくだい)な金(上関町には
     1984年度以降原発関連交付金として約70億円が支払われている)を、
     何に使おうとしているのだろうか。財政需要額の小さな町に多額の金が
     入ってきて町政が、いや町全体が狂うことはないだろうか。
     老婆心ながら心配になる》

   『●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」:
            大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 再度引用する。長周新聞の記事【中止の選択肢しかない上関原発計画 祝島漁民との民事調停は不成立に 中電の調査に法的根拠なし】(https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/24735)によると、《手がなくなった中電は、裁判所に「祝島の漁師は調査を妨害するな」と民事調停を申し立て、5日には柳井簡易裁判所で第1回の調停が開かれた。ところが、冒頭から調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」といって議論を避け、調停は不成立となった法律論争は不利と判断したからであり、それは中電の海上ボーリング調査の違法性を自己暴露している》。
 (古賀茂明さん)《「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない》というのに、単なる発電機能付き「海暖め装置」に過ぎない超危険な核発電所を再稼働、新規建設したいという。《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)という疑念も、自公お維議員らの口走る敵基地攻撃や核保有・核共有という狂気から、払拭するのは困難。とても杞憂とは思えない。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

=====================================================
https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/24841

生殺し状態からの転換が急務 浮上から40年たつ上関原発計画 問われる町衰退の責任
山口県 2022年10月27日

 柏原町長の辞職(病気)によって山口県上関町の町長選挙の投開票が23日におこなわれ、原発推進を掲げる西哲夫(町議会議長)が当選した。中国電力上関原発計画が1982年に浮上して今年で40年を迎えた。半世紀近くにもわたって町民は原発推進・反対で分断され、「原発ができれば町が活性化するという空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業である漁業をはじめ農業や商業、教育や医療、福祉、介護など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞し、めっきり寂れた町になってしまった。この40年のあいだに町の人口は約7000人から2000人台へと3分の1以下に減少したことに衰退があらわれているが、町民がもっとも問題にしているのは、「原発推進か、反対か」以上に「この寂れた上関町をどうするのか」ということだ。原発計画は随分前から行き詰まっており、「中電はやる気はないのに、やめたといえないだけ」というのが大方の評価であるが、このなかで生殺しのような状態を続けるのではなく、中電の原発計画を撤回させ、高齢者が多く暮らす過疎地として、現実に見合った町づくりに進みたいという世論が強まっている。長年取材を担当してきた記者たちで上関をめぐる現状について論議した。


国や中電は戦後賠償を払え

     (上関町内を走る町長選の選挙カー)

 A コロナ禍もあり久々に上関町に入ったが、取材に行く度に廃屋や更地が増え、寂れ方がひどいのが心配になる。室津の入口にあったシーサイドホテル上関が閉まっていたのには驚いたが、町内に入っていくにつれて、この店も閉まっている、ここも更地になっていると驚かされる。子どもたちが都会に出て行って帰ってこないのもあるが、残された高齢者が次々と亡くなって家屋も畳んでいく。かつては隣近所が密集していたところでも歯抜けみたいになってしまい、街並が変貌している。

 B 行く先々で「店が閉まって町内では買い物ができない。柳井や平生まで買い物に行っている。車がない者は不便だ」「医者がいない」「たばこを売っている店がなくなった」「新聞販売店も閉まって新聞配達ができなくなり、郵送に切り替わったので新聞をやめた」「飲料水の自動販売機を設置しているが、売れないのに電気代だけは上がるので、自販機は撤去しようと思っている」「店が次から次に閉まるので、卸業者も上関町には来なくなった。商売もやりにくい」などなど、上関町で生活することがいかに不便かを訴える声を耳にした。

 C 町長選挙については、「原発推進派と反対派の11年ぶりの一騎打ち」といった報道がされてきたが、「今は原発がどうこうといっているときではない」と問題にしていない住民が多い。「原発どころではない。町をどうにかしないともう何年かしたら上関町では暮らしていけなくなる」という切実さがある。投票率がぐんと落ちたのは、そうした冷めた世論を反映している。「原発はあいだ(飽きた)」とほとんどの住民が思っている状態だ。まだ20年くらい前なら夢追い人みたく「原発が地域活性化の起爆剤!」と推進派も鼻息が荒かったが、もうそんな元気すら残っていない。推進派のボス連中も多くが鬼籍に入ってしまい、推進勢力の要だった商工会も商売人がめっきり減ってしまって存在感はない。中電が囲い込んでいるために土建業者だけはやたら多いが…。

 A 原発計画については、いわゆる原発推進派のなかから「中電は原発をやる気がない。ただ、今やめるというと経産省あたりから目をつけられるからやめるといえないだけだ。中電にとっては島根原発2号機の再稼働ができればいいのだ」「中電はこれまで上関町に金をつぎ込みすぎたので軽々とはやめるといえない。今度の町長選挙でもまったく身を乗り出していない。これまでの町長選挙では考えられない。逃げよう、逃げようとしているように見える」という意見が推進派の住民からは共通して語られていた。
 原発推進陣営に長年関係してきた町民の方が、原発はできないという評価をはっきり持っているのも特徴だ。中電が肩入れしたこれまでの丸抱え選挙をよく見てきただけに、その違いが一番よくわかるのだ。カネをばらまいたり、反対派の住民の地縁血縁をたどって圧力を加えたり、なんでもありの力技を電力会社はやってきたが、そこまで力を入れていないのがあからさまなのだ。

 D 町長選挙ともなるとこれまでの中電のやり方では、尾熊毛にある立地事務所の職員を総動員して町内を回らせ、情報を収集していたし、金を使って飲ませ食わせも派手にやっていた。選挙事務所にしても、金をかけて町長選用のプレハブを設置し、事務所にも大勢人が詰めていたが、今回は推進派が担いだ西哲夫と町議補選の柏田の合同選挙事務所は企業組合が事務所として使っているさびついたプレハブを使っていた。事務所のなかも5~6人の女性がいるだけで寂しいものだ。かつての原発選挙の面影はない。

 C これまでだったら候補者が演説するときには、道路の両側が埋まるほど動員がかかっていたが、今回は候補者が来てもだれも出てこないし静かなものだった。推進派が瓦解して組織力を失っていることもあるが、要は中電が組織していない。「中電はやる気はない」と推進派の面々が口にするのは、フェイクでもなんでもなく実感なのだ。散々住民を利用してきて何だよ! という思いが込められている。

 A 長年原発推進陣営にかかわってきたが、今は身を引いているという町民は「40年もかかってもまだ入口にも入れないということがわかっていたら、原発推進など最初からしなかった。今さら原発推進といって騒いでも上関町は寂れていくばかりだ」と話していた。
 別の推進派といわれてきた町民も「岸田首相が少し原発新増設を進めるとかいっても、上関町では推進派は盛り上がらない。もう原発ができないことはわかっている。中電にやる気がないこともわかっている。現に町長選挙でもいわゆる推進派側の町民はしらっとしているし盛り上がらない」と話していた。


進みようがない原発計画

     (漁業補償金の受け取りを拒否し、県漁協幹部の上陸を
      阻止する祝島島民(2014年3月))

 D 先程から話になっているように、原発推進派の方が中電の事情をよくわかっている。中電は尾熊毛に事務所をかまえて職員を置き、1982年に計画が浮上する前から水面下で町長や町議はもちろん、漁協や農協、商工会、婦人会、趣味のカラオケ同好会などを含めて組織という組織の長を買収し、町民を原発視察旅行に連れていき、子どもの就職先を斡旋するなど、派手な買収工作をおこなってきた。そうやって上関町を丸ごと中電がいいようにできる関係においてきた
 推進派はそのやり方をつぶさに見て来ているから、これまでとは違うというのを察知しているし、中電側の事情を知っている。電力会社そのものがやる気のないものを「推進派と反対派の激突」とメディアが煽ったところで、バカではあるまいかと住民は冷め切っているわけだ。

 B 原発建設ができない最大の要因は祝島漁民が漁業補償金の受けとりを拒否していることだ。中電は2008年の二井県政時代に公有水面埋立免許を得たが、埋立工事に着手することは今に至ってもできていない。その後2011年に福島原発事故が起こり、新規制基準に適合させるためには、さらに詳しい地質調査が必要とされ、海のボーリング調査が必要になっている。中電は調査実施のための一般海域占用許可を村岡県政に申請し、県は許可を出したが、これも祝島の漁民の同意なしには実施することができない。
 中電は最近も、柳井簡易裁判所に、海上ボーリング調査を妨害するなと祝島島民の会を相手に民事調停を申し立てたが、中電の調査は違法だと反駁されると、「法律論争はするつもりはない」といって逃げ出し、調停は不成立となった。中電自身が埋立や海上ボーリング調査の実施には法的根拠はないということをわかっている。この中電の行動を見ても、祝島の漁民が漁業補償金を受けとらないことで中電は埋立工事も海上ボーリング調査も実施できず、これから先も見通しはない。

 C しかも福島原発事故以後の新規制基準に適合させるためには、原発建設費は膨れ上がっている。地震や津波対策費が追加され、2001年時点で7850億円と見積もっていた上関原発の総事業費はさらに膨らむ。しかも、2016年の電力自由化で総括原価方式は廃止となり、電力会社が原発のような巨額の費用を必要とする投資をおこなうことは重荷になっている。

 D 岸田首相が原発新増設といっているのは次世代型の原発建設で、中電の上関原発計画は従来型のABWR(改良型沸騰水型軽水炉)で、福島原発と同じ型だ。かりに中電が次世代型の原発を新設する場合は、漁業補償からなにからすべてやり直さなければならない。

 A というか、漁業補償は2000年に契約締結したもので、すでに20年以上たっている。今から建設するといった場合、次世代型だろうが旧来型だろうが、再度漁業補償交渉をおこなわないと筋が通らない。漁師の面子も随分と入れ替わっているし、その後参入した若手なんかは無補償で漁場を犯されるに等しい。民事の契約の場合は10年で時効となるのに、20年以上も前の漁業補償契約にどれだけの効力があるのかだ。中電との2000年の漁業補償契約はすでに効力を失効している。
 いずれにしても中電が上関原発を建設できないことははっきりしている。行き詰まっている状態は20年以上前からはっきりしているのだ。推進派陣営の町民がいうように、できないことはわかっているのに、中電が撤回するといわないだけだ。それで生殺し状態をよぎなくされている。町長選挙で推進派が何度勝とうが、その状況には変わりない。だからバカらしくて選挙如きで踊る人間がいないのだ。中電が昔みたく買収のカネを出さないのなら余計に動く人間などいない。

 B 中電は40年間も上関町をそういう状況において、原発が来たら、原発が来たらといって住民たちを翻弄してきた。その結果が今日のような人が生活できないような上関町にしてしまっている。寂れ方が尋常ではない。住民たちが「原発どころではない…」と危機感を抱くのも無理はない。


「原発は起爆剤」になったか?

     (更地になった上関町役場跡地。右奥が新庁舎。)

 A 福島原発事故以後、上関町民の意識にも地殻変動が起こっている。中電は「原発は安全だ」と宣伝し、1986年のチェルノブイリ原発事故が起こっても「あれはソ連の原発だから事故が起こった。日本の技術は世界一なので事故は起きない」と宣伝して回った。初期の推進派町議のなかには中電の「安全だ」という論を盲信し「原発視察に行って見てきた。原発は安全だ。格納庫に1カ月でも座り込んでみせる」などといって回る者もいたほどだ。だが福島原発事故が起こり、推進派といわれた町民のなかでも「180度考え方が変わった。原発に頼らない町づくりをしていかなければ」といった世論が大勢を占めてきている。福島事故によって郷土から追い出された住民たちの姿も見てきて、同じような目にあったらたまらない…という意識も強い。チェルノブイリ以上の原発事故が日本国内で現実に起こったのだ

 B 今年に入ってからのウクライナ戦争で、原発がミサイル攻撃の標的になっていることから、「岩国には米軍基地がある。なにかあれば上関原発も標的になる。上関原発を建てさせるわけにはいかない」と話す住民もいた。上関原発計画は瀬戸内海のど真ん中にあり、ミサイル攻撃でも受ければ、被害は山口県はおろか広島県や四国など広範囲に及び、大惨事となることは目にみえている。愛媛県の伊方原発も目と鼻の先にあり、晴れた日には上関からも白い原発建屋が見えるほどだ。

 C 町長に当選した西は原発を町活性化の起爆剤に40年前の論点をそのまま掲げていたが、長島側の町民のなかには「この40年間のあいだに福島原発事故を経験した。その反省はどこにいったのだろうか事故は絶対に起きないとはいえない。仮に事故が起こった場合はどうするのか。どこに逃げるのか。町民全員が安全に避難することはできるのか。福島の人たちはいまだに故郷に帰れない人もいるというのに……」と話す人もいた。

 B 原発建設予定地がある四代地区の漁業者の一人は「町長選挙は関係ない。原発は来ないなら来ないでいい」と話していた。ヒジキを干していた女性は、「四代の人口も減った。学校もなくなった。学校に通う子どももいない。家を解体した木材でヒジキを湯がいて干すのだが、一生使ってもつかいきれないほどの木材がある。それほど解体する家が多い。さびしくなるばかりだ」と話していた。それでも「漁業者のなかには一回沖に出れば、10万円近い水揚げがあるという人もいる。四代の漁師は補償金をもらったが、漁を続けている。原発が建たない方がいいのではないか」と話していた。

 C 漁業者は祝島を除いて中電の補償金をもらっているが、室津や上関、四代でも「原発が来ないなら来ない方がいい」という声が多く聞かれたし、総じて「町長選挙は関係ない」といった対応だった。かつての選挙であれば漁師もフル動員されていたが、いまさら運動員になって動く理由がない。


人口は3分の1に激減

 B 中電は豊北町で1977~78年にかけて原発建設を計画したが、町民の強固な反対運動の前に撤回をよぎなくされ、上関町に計画を持ち込んで巻き返しをはかった。だが上関町でも40年前の当初からかかわってきていた人たちは、片山元町長をはじめ、田中正己商工会長、西元町議会議長や誘致決議をあげた当時の町議のほとんどが鬼籍に入ってしまい、推進陣営としても誰もいなくなった状況だ。40年のあいだに町の人口は3分の1に減少し、人口減少率は山口県内で最悪で、全国の1719市町村のなかでも15番目に人口減少率が高い。人口が減少する要因は若い人が働く場所がないことだ。
 町の基幹産業はなんといっても漁業だが、漁民の数が大幅に減っていることが室津、上関、四代などどの地区でも語られている。瀬戸内海有数の漁場を誇りながら水産業がないがしろにされ、漁協が水産振興のために機能するのではなく推進組織の一翼として踊り狂っていたのが災いとなって漁業が廃れた。漁師たちは一生懸命に魚をとってくるのに共同出荷の体制すらない。水産振興こそが町の起爆剤なのに、芽が摘まれたような状態なのだ。もったいない話だが、そうなっている。

 C 商店の数も減った。40年前の原発誘致運動では、商工会が先頭に立った。「原発が来たら弁当が売れる。作業服が売れる。軍手が売れる。文房具が売れる。作業員が泊まるので旅館ももうかる。クリーニング屋も客が増える。自動車の車検や修理もふえる」などといって町内の商業者を集めて、中電ととりひきする企業組合を組織し、そこに加入させた。ところが、いまや町内にあった店という店が閉めてしまった。福浦地区にあった旅館も更地になり、上関地区にあった町内一軒のクリーニング屋も店を閉めた。企業組合のなかに残っているのは土木業者だけで上関町には30軒ある。県道を町道に格下げした道路建設を中電が金を出して発注し、町内の土木業者が仕事を請けることで、かつがつ生き残っているような状態だ。西の選対本部長も土木業者の岩木和美町議で、今や原発推進の勢力として残っているのは土木関係だけという印象だ。


原発依存からの脱却が課題 現実に見合う町づくりへ

 A 40年前には片山町長は「原発誘致で町を活性化させ、上関町の人口を2万人にする(当時は約6000人)」と豪語していた。国は電源交付金などをえさに、苦しい財政事情にある辺鄙な地域に原発建設を押しつけ、そこに投機したのが片山町政だった。「原発が来たら」の一本槍で、町内の基幹産業である漁業をはじめとする産業振興による町の振興策はなく、町民の生活環境の改善も放置されてきた。そうした基本姿勢の町政が40年も続いた結果、町の疲弊は加速度的に進んでいる。
 だが、原発誘致で町の活性化というのは当時でもすでに時代遅れだった。原発を建設し電源交付金で箱物は建設したが、維持費が高くつき町の財政が行き詰まるといった例が全国各地の立地点で問題になっており、「原発建設では町の活性化はできない」という世論が高まっていた。

 B 町の2022年度の予算を見ると、予算規模は約33億円だが、自主財源である町税収入は約1億8000万円で、1割にも満たない。また、2012年度には国の原発関連の交付金が約12億9000万円あったが、2011年の福島原発事故以後の中電の準備工事中断にともなって激減している。こうしたもとで柏原町政は「原発に頼らない町づくり」に舵を切ることをよぎなくされた。
 福島原発事故を経験し、町内はもとより、全県、全国的に原発の再稼働をはじめ新増設に反対する世論は圧倒している。全国的な力関係のなかで国も中電も上関原発建設を前に進めることは不可能であり、新しい西町政も柏原町政の方向を継承せざるをえない。

 C だから、だれが町長になるにしても、この上関町の現実に向き合わざるをえない。この期におよんでも「原発は町の活性化の起爆剤」などと叫んでいては、それこそ上関町は消滅してしまう。
 また、「原発反対」だけを叫んでいても、町をどう立て直すのか、町の産業の振興策をどうするのか、全町民を結束させるためにはどうするのかなどに力を発揮できない勢力は相手にされない

 A 先程から“生殺し”という言葉が使われているが、原発計画を抱えているが故町政が中電に私物化され、寂れるに任せるという方向からの転換が叶わない。上関町民にとっては原発計画が桎梏(しっこく)になっている。半世紀近くにもわたって町を二分して住民同士を争わせてきたのは本当に罪作りだが、いい加減に終わりにしなければならない。そのために原発計画の白紙撤回を中電に認めさせ、町民が一丸となって現実的な上関町の振興をめざして前に踏み出すことが求められている。高齢者が多く暮らす過疎地として医療福祉を充実させるとか、やらなければならない現実的課題は山ほどある。そのために財源が必要なのであれば、原発という国策に付き合ったおかげでこれほど寂れたのだから、戦後賠償くらい国や電力会社に求めてもおかしくない国策に踏みにじられた町といっても過言ではないのだ。住民の暮らしがかかった問題であり、弄ばれて寂れました…終わり――とはならない。

 B 地方の衰退は全国共通だが、上関の場合は原発計画が持ち込まれた町として極めて特異なものがある。40年経った今日、「原発ができれば…」をいつまでも追うのではなく、抜本的な方向転換が迫られている。廃れさせて誰も住めない町にしてしまうのか、それとも立て直しに舵を切るかだ。町長になった西哲夫がいくら「原発推進」を叫んだところで原発計画をとり巻く行き詰まった状況はなんら変わらないし、推進派としてはやることは何もないのだ。むしろ町政としては現実的な問題が突きつけられているといえる。
=====================================================

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●核発電の《オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが不可欠》? まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから

2022年11月12日 00時00分59秒 | Weblog

(2022年10月26日[水])
そりゃぁ、そうでしょうね。〝未来〟を感じないもの。
 池田正史記者による、週刊朝日の記事【若者の「原子力離れ」 原発の担い手不足、専門学科も定員割れで廃止】(https://dot.asahi.com/wa/2022101800041.html)によると、《原子力業界の人材育成や確保を巡る厳しい状況が続いている。老舗の東海大が「原子力工学科」を廃止するなど、関連の学部や専攻への入学者の減少は続く。教員の高齢化や試験研究炉の老朽化も進み、原発の廃炉など中長期的な課題への対応に不安が残る。国内の大学や大学院の原子力関係学科・専攻への入学者は、減少傾向に歯止めがかからない》。

 《日本の科学研究力は先細る一方》…なのに、軍事研究に加えて、核発電にも多くの予算が注ぎ込まれているのかな? 電力会社や関連企業などからの豊富な研究資金も? 

   『●《日本の科学研究力は先細る一方》…ニッポンの教育界・最高学府…
     世も末だね。軍事費倍増するし、軍事研究でもやってカネ《稼げ》とでも?

 どう考えても核発電に〝未来〟など感じられないが、それでも何でも、核発電を続けようというのですから、アタマオカシイです自公お維コミ。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 (古賀茂明さん)《「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない》というのに、単なる発電機能付き「海暖め装置」に過ぎない超危険な核発電所を再稼働、新規建設したいという。《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)という疑念も、自公お維議員らの口走る敵基地攻撃や核保有・核共有という狂気から、払拭するのは困難。とても杞憂とは思えない。

 記事中の《事故によって原発へのネガティブなイメージ》? 《イメージ》ではなく現実だと思うのですが。《原発の新増設に対する方針を明確に打ち出せない政府の姿勢にも問題がある》ねぇ? 経産省に焚きつけられて、キシダメ首相はやる気満々のようですがねぇ。《三菱重工が9月に新型の『革新軽水炉』の開発を進めると発表したことは業界にとって久しぶりに明るいニュース》かぁ…。《原発の活用に本気で舵(かじ)を切るなら、まずはしっかりとした方針を示し、オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが不可欠だ》? まずは、福島を《原状回復》して見せて下さい。《オープンな議論》はそれから。《原状回復》できない? じゃぁ、核発電なんて止めちまえ。

=====================================================
https://dot.asahi.com/wa/2022101800041.html

若者の「原子力離れ」 原発の担い手不足、専門学科も定員割れで廃止
2022/10/24 06:30
池田正史

     (福島第一原発(2018年2月21日)。手前右から2号機、
      3号機、4号機の建屋。3号機は、カマボコ形のドームが
      完成した。背後には汚染水をためるタンクが立ち並ぶ)

     (【画像】「次世代軽水炉」のイメージはこちら)

 国内の大学や大学院の原子力関係学科・専攻への入学者は、減少傾向に歯止めがかからない。

 文部科学省の資料によると、2021年度の入学者数は学部、修士、博士課程合わせて220人。16年度の263人から16%、10年前(11年度)の298人から26%減った

 教員の数も減っている。原子力関係の教員数は10年度の430人から19年度の374人へと、9年間で13%減った。この間、40歳以下の比較的若い教員が占める割合は25.1%から22.7%に下がり、高齢化も進んだ。

 入学者や教員が減れば、授業も少なくなる。大学の原子力関係学科(学部)の原子力関係科目数は19年度に14科目で、ピークだった1979年度の23科目から9科目減った。このうち「原子炉プラント・制御」や「放射線計測」「原子炉物理」といった主要な科目数はほぼ半減。次世代技術の「核融合・プラズマ」以外はおしなべて落ち込みが大きい。

 56年、国内の大学で初めて、原子力の技術者養成を目的とした専門課程を設けたとされる東海大が、原子力工学科の廃止を決めたことは象徴的だ。21年度の入学者を最後に募集をやめ、今年度は新入生がいない。

 「募集定員を満たせない状況が続いたので、今年の(全学的な)改組のタイミングに合わせて廃止」(広報担当者)したという。

 人材を育成するうえで大事な施設として位置づけられる、原発の試験研究炉も少なくなっている。建設から時間が経ち、新規制基準への対応が必要になったことなどが理由だ。95年は20、2003年は16、16年は13施設あったが、今では運転再開予定のものも含めて京都大や近畿大、日本原子力研究開発機構の8施設に減った

     (経産省の原子力小委員会・革新炉WGに提出された
      「次世代軽水炉」のイメージ)

 入学者や教員の数が減ったのは、11年3月の福島第一原発事故の影響が大きい。事故によって原発へのネガティブなイメージが生じたことなどが、若者の「原子力離れ」を招いた。少子化もその流れに拍車をかける。全国に数多くある大学間で少ない学生を奪い合う状況では、はやりのテーマや学部に人材や資金が集まりやすい。

 国内外のエネルギー情勢に詳しい国際大学副学長の橘川武郎教授は「原発の新増設に対する方針を明確に打ち出せない政府の姿勢にも問題がある」と指摘する。

「三菱重工が9月に新型の『革新軽水炉』の開発を進めると発表したことは業界にとって久しぶりに明るいニュースだったようですが、肝心の政府の姿勢がはっきりとしない。『既存原発の最大限の活用』と言っても、出てくるのは既定方針をなぞった話で『次世代原子炉の開発・建設』も具体性を欠く。長く続く停滞感を拭えるものではない」

 人を育てるには時間がかかる。原発の活用に本気で舵(かじ)を切るなら、まずはしっかりとした方針を示し、オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが不可欠だ。(本誌・池田正史)
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》

2022年11月07日 00時00分32秒 | Weblog

(20221023[])
お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」。【上関原発を建てさせない祝島島民の会】(http://touminnokai.main.jp/)…《1982年より、40年間続く上関原発建設計画の埋め立て準備工事は、現在中断されています。福島第一原発の事故後、これで上関原発はなくなると誰もが思い、上関町では「原発に頼らない町づくり」の取り組みが始まろうとしていました。ところが、政権が変わり、再び原発建設を期待する動きも出てきています。いつになれば原発問題から解放され、本来の町づくり、島づくりに取り組んでいけるのか! と、地元住民からの怒りの声は日増しに増えてきています》、《私たち祝島島民の会は、先輩達が守り通してきた美しい海を次世代に引き継ぐために、40年間、上関原発反対運動を行ってきました。漁業補償金も受け取っていません。どのような攻勢にもひるむことなく上関原発計画が白紙撤回されるまで全力で取り組んでいきたいと思います。共に頑張りましょう。全国のみなさんのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします》。

   『●SLAPPと祝島
   『●SLAPPと原発、沖縄
   『●祝島の人たちは海を売っていない(1/2)
   『●祝島の人たちは海を売っていない(2/2)
   『●上関原発反対! ~祝い島島民の会blog~
   『●立ち止まるなら今…「原発政策を福島第一原発
        事故以前に先祖返りさせたのが自民党安倍政権」
    《祝島の閧いは終わらない政府、中国電力の非道
    《ところで人口3300人の上関町は原発誘致に熱心なようだが、
     巨大な原発2基から入ってくる莫大(ばくだい)な金(上関町には
     1984年度以降原発関連交付金として約70億円が支払われている)を、
     何に使おうとしているのだろうか。財政需要額の小さな町に多額の金が
     入ってきて町政が、いや町全体が狂うことはないだろうか。
     老婆心ながら心配になる》

   『●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」:
            大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 長周新聞の記事【中止の選択肢しかない上関原発計画 祝島漁民との民事調停は不成立に 中電の調査に法的根拠なし】(https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/24735)によると、《手がなくなった中電は、裁判所に「祝島の漁師は調査を妨害するな」と民事調停を申し立て、5日には柳井簡易裁判所で第1回の調停が開かれた。ところが、冒頭から調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」といって議論を避け、調停は不成立となった法律論争は不利と判断したからであり、それは中電の海上ボーリング調査の違法性を自己暴露している》。
 (古賀茂明さん)《「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない》というのに、単なる発電機能付き「海暖め装置」に過ぎない超危険な核発電所を再稼働、新規建設したいという。《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)という疑念も、自公お維議員らの口走る敵基地攻撃や核保有・核共有という狂気から、払拭するのは困難。とても杞憂とは思えない。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

=====================================================
https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/24735

中止の選択肢しかない上関原発計画 祝島漁民との民事調停は不成立に 中電の調査に法的根拠なし
山口県 2022年10月16日

 中国電力上関原発建設計画(山口県)は1982年に計画が浮上してから40年がたつが、今もなお着工できずにいる。40年のあいだにはあの手この手で漁業者をはじめとする町民の原発建設に反対し、町の振興をはかろうという世論を抑え込み、原発推進を画策してきたが、町民の反対世論は根強く、中電側がやりこめられてきた。近年、中電は海上ボーリング調査をやろうとしたものの、祝島の漁師が同海域で通常の操業をおこなっているために調査ができず、2019年から3回調査を中断してきた。手がなくなった中電は、裁判所に「祝島の漁師は調査を妨害するな」と民事調停を申し立て、5日には柳井簡易裁判所で第1回の調停が開かれた。ところが、冒頭から調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」といって議論を避け、調停は不成立となった法律論争は不利と判断したからであり、それは中電の海上ボーリング調査の違法性を自己暴露している。この間の経過も振り返り、上関原発建設計画の現状について見てみたい。

 そもそも今回の民事調停を申し立てたのは中電側である。中電は7月22日付で柳井簡易裁判所に対し、上関原発を建てさせない祝島島民の会(以後島民の会)を相手方とする調停申立書を提出した。趣旨は「海上ボーリング調査を妨害する一切の行為をしてはならない」との調停を求めるものだ。

     (祝島の漁民に頭を下げて「お願い」する中電社員
      (2021年11月5日、上関町))

 中電側の主張は次のようなものだ。

 「2008年6月18日に山口県知事から公有水面埋立免許を受け」、埋立工事を着工しようとしたが妨害があり、2010年1月18日に一切の妨害行為の禁止を求める仮処分を山口地裁岩国支部におこない、仮処分決定を受けた。これに対し祝島の漁民が2012年10月8日に仮処分決定のとり消しを求める申し立てをおこない、2014年6月11日に和解が成立した。

 ところが埋立工事に先立って、埋立免許に係る区域内で海上ボーリング調査を2019年11~12月、2020年11~12月、2021年6~7月、10月に実施しようとしたが、祝島の漁民が船舶を進入、停泊させるなどして妨害し、調査を実施することがまったくできなかったために民事調停を申し立てたのだ、としている。

 これに対し島民の会は9月28日付で以下の要旨の答弁書を提出した。

 第一に、中電がおこなう海上ボーリング調査は、原発の建設にともなう活断層調査の一環としての地質調査であり、公有水面の埋立工事の準備行為としておこなわれる地質調査ではない。中電が公有水面を使用する法的根拠も、公有水面埋立法にもとづく免許ではなく、山口県条例である「一般海域の利用に関する条例」にもとづく占用許可である。

 2010年の山口地裁岩国支部の仮処分決定は公有水面埋立免許にもとづく水面の使用に関するものであり、一般海域占用許可による海上ボーリング調査に関して2010年の仮処分決定や2014年の和解内容は適用されない。

 第二に、中電は祝島の漁民に漁業補償金を払っておらず、海上ボーリング調査は違法である。

 ①公有水面埋立免許や一般海域の占用許可を得た者は、それだけで直ちに水面を自由に使用できるわけではない。その海域に漁業権を有する者がいる場合は、それらの者に対し、漁業補償金を支払うことが必要である。漁業補償金を支払わないで、水面を使用することは、漁業権という財産権を侵害するもので、憲法二九条に違反する。

 ②祝島の漁民らは、この海域で長年漁業を営んできた者であり、慣習により権利性が認められた自由漁業の権利を有している。中電は海上ボーリング調査による水面の占用について、祝島の漁民らに対し、漁業補償金を支払っていない。中電の海上ボーリング調査は、祝島の漁民らの自由漁業の権利を侵害する違法な行為である。

 ③中電は2000年の漁業補償契約にもとづいて、祝島の漁民らに対しても、漁業補償金を支払い済みである旨を主張してきた。しかし、海上ボーリング調査にともなう漁業補償は、調査によって漁業が制限される期間を特定して補償金を算定する期間制限保証であるが、2000年補償契約の時点で、2019年以降におこなう海上ボーリング調査の期間を特定することは不可能である。

 また、自由漁業に対する補償は、実際に自由漁業を営んでいる漁民に対しておこなわれる補償であるが、2000年漁業補償契約の時点で、2019年に本件海域で自由漁業を営んでいる者を予測して特定することは不可能である。

 以上の理由により、2000年漁業補償契約には、海上ボーリング調査にともなう祝島漁民らの自由漁業の権利に対する補償は含まれていない。

 また、そもそも祝島の漁民は2000年漁業補償契約にもとづく漁業補償金を受けとっておらず、中電の漁業補償金支払い債務は履行されていない。

 2000年漁業補償契約は、契約締結後20年以上が経過しており、すでに民事消滅時効(10年)が完成しており、効力を失っている。

 以上の反論に対し、中電側は「法的論争をするつもりはないとして議論を避けた


福島事故で振り出しに 漁業補償も成立せず

     (腕を組んで中電のボーリング調査を阻止する祝島島民
      (2011年、上関町田ノ浦))

 中電の上関原発計画が浮上したのは1982年で、すでに40年が経過している。建設着工を止め続けている最大の力は祝島漁民が漁業補償を受けとっていないことにある

 上関原発建設にかかわる公有水面埋立免許は2008年に当時の二井知事が交付した(2012年10月までの3年間を期限)。だが、祝島の漁業者が漁業補償金の受けとりを拒否しているため工事着工はできず、2011年3月には福島原発事故が起きた。

 2012年10月に中電は埋立免許の延長を申請したが、山口県は7度にわたって判断を先送りし、2016年8月に村岡知事が条件付きで延長を許可した。だが、祝島漁民は断固として補償金の受けとりを拒否し、埋立着工はできなかった。中電はさらに免許の延長を2019年6月10日に申請し、2023年1月が期限となっている。

 中電は2012年の第二次安倍政府の登場を機に山口県漁協を使って祝島漁民に補償金を受けとらせよう策略をめぐらし幾度となく執拗に迫ってきたが、祝島の漁民をはじめ島民の結束した行動により、ことごとく跳ね返し、現在に至るも補償金の受けとりを拒否している。

 上関原発計画の手続きの現状では、中電は2009年に原子炉設置許可申請をおこなった。

 原子力規制委員会は「上関原発の原子炉設置許可申請は受理されている」とし、現在でも有効だとの見解だ。そのうえで、「福島原発事故後の“新”規制基準に、新規原発の基準をつくる必要性が論議されている。中国電力は原子炉設置許可申請の“補正書”を提出する必要がある。“補正書”が提出されていないので、上関原発の国による審査はおこなわれていない」との見解を示している。

 2011年の福島原発事故を受けての新規制基準の施行後、中電の原子炉本体の設置をめぐる国の審査は事実上止まっている。再開には中電が新しい基準に適合させた書類を申請する必要がある。

 ちなみに現状では上関原発建設の着工時期も運転開始時期も未定になっている。そのため2019年10月8日に福島原発事故後の新たな規制にそった原子炉設置許可申請のためのボーリング調査をおこなうことを山口県に申請し、県は同年10月31日にボーリング調査のための一般海域占用許可を出した。

 その後中電は3回にわたってボーリング調査を実施しようとしたが、祝島漁民が同海域で釣り漁業を営んでおり、調査への同意を得られないために実施できずにきた。そして今回の民事調停の申立となったわけだが、自らさじを投げた


祝島は一銭も受取らず 22年前の漁業補償

 中電は2000年の補償契約で祝島にも補償金を支払っている、と主張しているが、ここに大きなごまかしがある。

     (共同漁業権を守り、中電の上陸を阻止する祝島の
      住民たち(2010年3月))

 2000年の漁業補償契約は8漁協で構成する共同漁業権管理委員会に支払われたあと、各漁協に分配されたが、祝島漁協(現山口県漁協祝島支店)は受けとりを拒否し、祝島の漁民も補償金は受けとっていない

 中電は「共同漁業権管理委員会に補償金を支払ったことで祝島漁民にも補償した」と主張している。実際には中電からの約10億8000万円の補償金は、祝島漁協時代に組合員の総意で受けとりを拒否し、法務局に供託されていた。供託金は10年間の期限で国庫に没収されるが、期限直前に山口県漁協が引き出し「預かる」という形になっている。山口県漁協が「預かる」には、祝島漁民の委任状が必要であり、それはないため法的根拠もない。

 漁業は、免許を受ける「漁業権漁業」と、許可を受ける「許可漁業」、免許も許可も不要な「自由漁業」に分類される。祝島は主として漁民個人が許可を受ける許可漁業や自由漁業が営まれている。許可漁業・自由漁業への補償を受ける者は個々の漁民であり、漁協やその支店はなんの関係もない。また、共同漁業権への補償を受ける者は「関係地区に住む組合員全員から委任を受けた者」を経由して「個々の関係地区に住む組合員」となる。

 許可漁業・自由漁業への補償金の受領を決められるのは個々の祝島漁民であって祝島支店ではない。また、共同漁業への補償金の受領も祝島支店の部会決議で決められることではなく、祝島組合員全員の同意を得なければ受領や分配はできない。

 中電はボーリング調査についても、2000年の補償契約で補償した、といっている。

 だが、22年前の2000年時点に2019年にボーリング調査を実施することを予測するのは不可能だ。また、漁業補償額は直近の3~5年の水揚げ等のデータにもとづいて算定しなければならないが、22年も前に2019年調査にともなう漁業補償額を算定することはできない。

 また、当該海域で漁業を営む祝島漁民は2019年時点と2000年時点では大幅に異なっている。それにもかかわらず2000年補償契約で補償したと言い募ること自体、無理がある。

 祝島の漁民は誰一人として漁業補償を受けとっておらず、中電が海上ボーリング調査をおこなうことは違法となる関係にある。

 事業を実施するには、「事業者と公との関係」と「事業者と民との関係」の両方をクリアしなければならない。「事業者と公との関係」は、ボーリング調査では「一般海域占用許可」、埋立では「埋立免許」だ。他方で、「事業者と民との関係」は、「権利者に補償して同意を得ること」だ。上関原発では、ボーリング調査も埋立も「事業者と民の関係」をクリアできておらず、まったく進められない状況になっている。

 公有水面埋立法は「埋立事業者が埋立免許を得ても埋立で損害を受ける者に補償しなければ埋立工事に着工できない」(第八条)旨を規定している。すなわち、埋立免許を持っているからといって埋立工事ができることにはならない。工事をするには、その前に工事で損失を受ける者に補償しなければならない。

 同様に海上ボーリング調査にかかわる一般海域占用許可を得たとしても、ボーリング調査で損害を受ける者に補償しなければ調査は実施できない。

 しかも中電の場合、22年も前の補償契約に基づいて工事をしようとしており、補償契約に照らしても違法といえる。補償契約は「中電が補償を支払い、漁民が補償を受けとるかわりに埋立工事を受忍する」という内容で結ばれている。埋立工事ができるのは、補償契約にもとづく債権債務(中電が埋立工事をおこなうという債権及び漁民が工事を受忍するという債務)があるからだ。だが、債権は10年間行使しないときは消滅する(民法第一六七条)。そのため2000年補償契約にもとづいて中電が埋立工事をおこなう権利は2010年に消滅していることになり、今後埋立工事をおこなおうとすれば違法行為になる。

 事業実施の鍵は「事業者と民の関係」にある。上関原発計画の場合、埋立免許は2008年10月に出たのに、祝島漁民が補償金を受けとらないので、いまだに埋立工事に着工できていないことが雄弁に証明している。「事業者と公の関係」において埋立免許がいくら再延長されても、「事業者と民の関係」で祝島漁民が補償金を受けとらない限り、埋立工事は着工できない。それはボーリング調査でも同様であり、いくら山口県が一般海域占用許可を出しても祝島の漁民の同意がない限り実施できない

 ちなみに、山口県が出した一般海域占用許可自体が違法きわまりないものである。一般海域占用許可を出すには「利害関係人の同意」が必要だが、山口県は、調査予定海域に「慣習にもとづく権利」を持つ祝島漁民を無視して今日にいたっている。また、共同漁業権は「排他独占的権利」との理由で利害関係人を共同漁業権者のみに限定しているが、共同漁業権は「排他独占的権利」ではない。水産庁の見解では「漁業権は排他的権利」は不正確であり「漁業権の排他性は、同種の漁業権にのみ及ぶ」としている。

 祝島漁民の同意がない限り、ボーリング調査も埋立も不可能であることをこの間の経験が証明している。このままどこまでいっても上関原発建設のめどはない。中電はいたずらに宙ぶらりんな状態を長びかせ、上関町を寂れるままに放置するのではなく、潔く上関原発の計画の中止を発表すべき時期に来ている。


―――――――――――――――――――
関連する記事

中国電力・上関原発計画のボーリング調査中断をめぐって 明治学院大学名誉教授・熊本一規氏に聞く  中国電力は、12月15日、上関原発予定海域でのボーリング調査の中断を発表した。ボーリング調査は、10月29日に山口県の一般海域占用許可を得て […]

中電がボーリング調査中断を発表 侵せぬ祝島の漁業権 憲法違反指摘され問題浮き彫りに  中国電力(本社・広島市、清水希茂社長)は16日、上関原発立地予定地である四代田ノ浦の海域で、11月8日から来年1月30日までの期間で計画し、 […]

中国電力の一般海域占用許可申請をめぐって 熊本一規氏(明治学院大学名誉教授)に聞く  中国電力は7日、上関原発建設予定海域の一般海域占用許可を山口県に申請した。そのことについて、漁業権にくわしい明治学院大学名誉教授の熊本一規氏 […]

上関町長選はなぜ無投票になったか 国策に弄ばれ37年 くたびれ果てた住民たち 反対派候補者擁立断念の背景    9月8日投開票の上関町長選は無投票になる公算が高まっている。反対派が前回に引き続いて候補者擁立 […]

祝島の漁業権を巡る中心問題について  明治学院大学名誉教授・熊本一規  山口県の上関町では1982年に中国電力の上関原発計画が浮上してから今年で37年になる。この間には2011年の福島原発事故も起こり、全国的に原 […]
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

2022年10月24日 00時00分17秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます


(2022年10月09日[日])
何も規制しない原子力「規制」委員会…核発電「寄生」委員会。以前にもまして、再稼働や新規建設へ邁進するようだ。狂っているね、正気じゃない。初代も2代目委員長も酷かったが、3代目は輪をかけて酷い。
 (古賀茂明さん)《「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない》というのに、単なる発電機能付き「海暖め装置」に過ぎない超危険な核発電所を再稼働、新規建設したいという。《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)という疑念も、自公お維議員らの口走る敵基地攻撃や核保有・核共有という狂気から、払拭するのは困難。とても杞憂とは思えない。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

 デモクラシータイムスの映像記事【日野行介 原発再稼働 / 調査報道記者 【著者に訊く!】 20220914】(https://www.youtube.com/watch?v=EdjaslpzpaY)によると、《原発とは何かを突き詰めていくと、壮大な欺瞞と嘘にぶちあたる健康調査の闇、避難者を追い出す棄民政策、放射能汚染の隠蔽、除染の真の意味、規制委員会という組織の欺瞞性、事故時の避難計画の杜撰…それらを問い糺すことが「調査報道記者」という仕事だと語る著者。執拗ともいえる調査と、熱い意志が結実した2冊の本についてインタビューする》。




 狂ってるね。自公政権こそ、最悪の悪夢。核発電に《寄生》するクズ。
 週刊朝日のコラム【狡猾な官邸官僚の原発解散戦略 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2022092900074.html)によると、《実は、9月上旬、私は岸田文雄総理の首席秘書官・嶋田隆氏が周囲に語った内容を記したメモを入手した。そのメモの詳細は省略するが、最大のポイントは、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)を原子力規制委員会の最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させるという話だ。そのためには特別の法律が必要になるが、それを国会で通すという。さらに、これを東電にあらかじめ約束する代わりに、東電が来年春に行うと見込まれる電力料金値上げのうち、家庭用の値上げを止めさせる取引を行うという話も書いてある》。

 《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。》 経産省など核ムラの火事場ドロボーたちに騙されてはいけない。
 週刊朝日のコラム【室井佑月「最悪の事態とは?」】(https://dot.asahi.com/wa/2022100500020.html)によると、《これまでも政府はあたしたちにさんざん嘘をついてきたからだ。とくに、既得権益を守るための嘘は激しい。原発はその最たるものだった。クリーンで安価であるというのも嘘だったし、なにより原発を止めた時に、電気が足りないという嘘をついた過去がある。たしかに、ニュースを見れば困窮者の話題は尽きず、今年の冬は厳しそうで、それに対処すべきだろう。が、政府のいっていることが信じられない。これがすんなり日本が最善に向かえない、最悪の事態かもしれない。そうあたしは考えている。》

=====================================================
https://dot.asahi.com/wa/2022092900074.html

狡猾な官邸官僚の原発解散戦略 古賀茂明
政官財の罪と罰
2022/10/04 06:00

 9月9日号の本コラムで紹介したとおり、岸田文雄総理は8月に、これまで認めていなかった原子力発電所の新増設について年末までに検討するよう指示し、原発政策を事実上大きく変更した。

 その後も政府は、電力不足を煽り、安全でクリーンで安価だという触れ込みで「次世代原発」なるものを必死に世の中に売り込んでいる。

 こうした原発推進政策は、一般には、「電力不足」への対応だと理解されているが、「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない

 岸田内閣は、旧統一教会スキャンダルや安倍晋三元総理の国葬への批判、五輪スキャンダル、そして円安とインフレなどで満身創痍状態。支持率は内閣発足後最低水準だ。それにもかかわらず、不人気政策である原発推進の姿勢を鮮明にしているのはなぜだろうか

 実は、9月上旬、私は岸田文雄総理の首席秘書官・嶋田隆氏が周囲に語った内容を記したメモを入手した。

 そのメモの詳細は省略するが、最大のポイントは、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)を原子力規制委員会の最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させるという話だ。そのためには特別の法律が必要になるが、それを国会で通すという。さらに、これを東電にあらかじめ約束する代わりに、東電が来年春に行うと見込まれる電力料金値上げのうち、家庭用の値上げを止めさせる取引を行うという話も書いてある

 規制委の権限を乗り越えて政府が勝手に原発再稼働を認める法律など言語道断だが、それも「一気に国会に議論してもらう」とメモにはある。経済産業省の事務方トップの事務次官まで務めた大物秘書官である嶋田氏らしい強気の姿勢だ。

 果たせるかな、9月16日に東電は、2023年4月から法人向け標準料金を値上げするが、家庭向けの値上げはしないと発表した。しかも、柏崎刈羽原発7号機の来年7月からの再稼働を織り込んで「顧客の負担軽減」につなげると説明している。メモに書いてあるとおりだ。

     (東京電力柏崎刈羽原子力発電所の5~7号機)

 何とも驚きの強引なシナリオだが、そこには、「電力不足対策」という表向きの理由とは別に、二つの隠された狙いがあると私は見ている。

 一つは、東電の取締役も経験し、秘書官就任前は次期東電会長の筆頭候補と噂された嶋田氏の悲願である東電再生である。すでに建設された柏崎刈羽原発を再稼働させれば、燃料費が浮き、経営の大幅改善が可能となるのだ。

 もう一つの狙いは、原発再稼働を国会での争点にすることだ。意外に思うかもしれないが、嶋田氏は、おそらく、「電力不足」キャンペーンで国民を騙すことができると考えているのだろう。冬や夏のピーク時に、「停電すれば死人が出る」と叫び、緊急事態に限って再稼働を認めるべきだとして、そのための法案を出せば、国民の多くは、賛成するという読みだ。野党が少しでも抵抗すれば、直ちに衆議院を解散する。前号で書いた「ジリ貧追い込まれ解散」に比べればはるかに勝利の確率が高まるという計算だ。

 国民は完全に馬鹿にされている。官邸の猿芝居に騙されてはならない。

※週刊朝日  2022年10月14-21合併号
=====================================================

=====================================================
https://dot.asahi.com/wa/2022100500020.html

室井佑月最悪の事態とは?
しがみつく女
2022/10/06 07:00

 作家・室井佑月氏は、原発の再稼働や新増設を検討する政府に不信感を募らせる。

*  *  *

 8月24日に政府は来年夏以降、原発7基の再稼働を追加する方針を明らかにした。原発の新増設についても、検討するといった。

 理由は電気代の値上がりだ。石油や天然ガスも値上がりしている。

 背景には、ロシアのウクライナ侵攻もあるだろう。日本はエネルギー資源を他国に頼る国だから、モロに打撃を受けてしまう。岸田首相も8月24日、GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議でこう語っていた。

「ロシアによるウクライナ侵略でエネルギーの需給構造に大きな地殻変動が起こっている中、電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今後、数年間を見据え、あらゆる政策を総動員して不測の事態に備えていく」

 と。それが原発再稼働や原発の新増設、という話につながった。

 じつはあたし、このことについて長い間、考えていた。きっかけはニュースで知った「原発の新増設」という言葉に驚いたからだった。

 福島であんなに悲惨な事故を起こし、結果、原発がクリーンで最も安いエネルギーであるという嘘(うそ)もバレた。なのに、またそこに戻るのか、なにを考えているのか、と驚いたのだ。

 しかし、あっという間に、日本は生活の苦しい人が増えた。賃金は上がらず物価は上がる。この国では、明日がわからない人が増えた。

 今、日本は地震の活動期。いつ巨大地震が来てもおかしくない。ロシアのことで、戦争も身近に感じる。海岸沿いのたくさんの原発に、ミサイルを落とされる、もしくは落とすと脅されたらどうなるのだ? 日本はさっさと原発依存から脱するべきだ。

 でも、こうも考えた。今年の冬、貧しさから極度な節約をし、凍死する人が現れたらどうするのだ、と。

 いつ来るか定かではない巨大地震、他国のミサイル。それらはもちろん恐ろしいが、今この国で大変な思いをしている人の方が切実に感じる。

 今を乗り越えるため、原発に頼ることも、致し方ないことなのか。

 けれど、そう言い切るのはとても難しくって。

 これまでも政府はあたしたちにさんざん嘘をついてきたからだ。とくに、既得権益を守るための嘘は激しい。原発はその最たるものだった。

 クリーンで安価であるというのも嘘だったし、なにより原発を止めた時に、電気が足りないという嘘をついた過去がある。

 たしかに、ニュースを見れば困窮者の話題は尽きず、今年の冬は厳しそうで、それに対処すべきだろう。

 が、政府のいっていることが信じられない。これがすんなり日本が最善に向かえない、最悪の事態かもしれない。そうあたしは考えている。


室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2022年10月14・21日合併号
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《準備宿泊を申請…延べ51世帯84人。事故前の人口に比べると、1.1%にすぎない。…双葉町で帰還意向を示したのは11%…》(片山夏子記者)

2022年09月20日 00時00分37秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年09月04日[日])
3.11東京電力核発電人災を「終わったこと」にしたい自公お維コミ…さっさと「原状回復」して見せてよ。かつての故郷に、皆さん、喜んで戻ってこられると思いますよ。きれいな元の土地に戻してください、生業や生活を返してください。
 《原発事故は終わっていません。政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》。

   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が
        復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
    「マガジン9の記事【【寄稿】「おめでとう」と言えない正月
     (青木美希)】」
    《政府は生活できる環境がないまま、帰還政策を進めています
     政府は、浪江町など帰還困難区域700世帯を含む2万世帯の
     避難住宅提供を打ち切りました。さらに浪江町や南相馬市などの
     避難者、帰還者らへの医療費無償の支援策も打ち切る方針を
     出しています。避難指示解除されれば固定資産税の減免もなく
     なっていきます。原発事故は終わっていません政府が復興の名の
     もとに困難に陥った人たちをさらに追い詰めることがないように、
     私は被災者の声を発信し続けていきたいと思っています》

 片山夏子記者による、東京新聞の記事【スーパーも郵便局もなし 双葉町の厳しすぎる現実 「散歩で作業員以外と会ったことない」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198981)によると、《東京電力福島第一原発事故による全町避難が唯一続いていた福島県双葉町で30日、帰還困難区域の一部の避難指示が解除された。双葉町の特定復興再生拠点区域復興拠点)は11年5カ月ぶりに居住可能となったが、住民のさらなる帰還に向けては、除染や生活環境の整備など課題が山積している。(片山夏子)》。
 わずか11年そこそこで、東京電力核発電人災を「無かったこと」にしたくて仕方ない自公政権。風化させたくて仕方ないらしい。《全町避難が唯一続いていた福島県双葉町で30日、帰還困難区域の一部の避難指示が解除された》という〝ニュース〟で、《双葉町の厳しすぎる現実》を埋没させて、市民の目を向けさせないようにしている。《一部》とは? 一体、何人が双葉町に戻り、今後、戻る予定・予想になっているのか? 今後、国や東電は何時になったら《原状回復》してくれるのか?

   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
     政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
     検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●11年そこそこで、東電核発電人災を「無かったこと」にしたくて仕方
    ない自公政権。一方、99年目の史実・朝鮮人虐殺も無かったことに…

 これまでさんざん ―――――― さらに最も腹立たしいのは、最大の戦犯が未だにのうのうと政治家で居続けていること。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。その核発電所に「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か? ―――――― と言ってきましたが、そのアベ様も統一協会問題絡みで銃弾に倒れました。

   『●高速増殖炉もんじゅ…ニッポンでは、
       巨額の「エサ代」を支払い続けるつもりらしい
   『●「(悪)夢の高速増殖炉」もんじゅの延命に向かって着々と
                   …ドブガネという巨額の「エサ代」は続く
   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶
   『●「核発電は安い」と言っておきながら、
      「原発の電力を使っていない消費者にまで負担を強いる方針」
   『●「ふげん」、「もんじゅ」…次の高速炉は
       「こくうぞう」、「みろく」? 「白象」とでもしますか??
   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令

 さて、「悪夢のような民主党政権」どころか、真の意味での「悪夢の自公政権」「悪夢のアベ様政権」が終わったのかと思いきや…キシダメ氏、正気かね? 《原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明》!? 《新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて》!? 次世代革新炉「キシダメ」とでも名付けるの?

 先日も引用しましたが、もう一度、東京新聞の【<社説>原発への回帰 福島の教訓はどこへ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198157?rct=editorial)によると、《あの悲惨な原発事故をなかったことにしようというのか。政府がこれまでの方針を翻し、原発の新増設や建て替え、さらには法定寿命の延長まで検討するとの考えを明らかにした。脱炭素の潮流や、電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰にほかならない。東京電力福島第一原発事故の教訓を反故(ほご)にしてはならない。》
 《脱炭素の潮流》と言いつつ、放射能汚染は気にしない。核発電は、究極の地球温暖化促進なのに、知らないふり。《電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰》なのに、ザポリージャ原発で何が起きているのかを無視。安全保障が聞いて呆れる。地震大国に、海岸線沿いに一体何発の《原爆》という標的を並べているの?
 でっ、次世代革新炉「キシダメ」は明日にでも完成するのかね? 半年後くらい? 1年後? 実験炉ぐらいは終わってるの? 原型炉? 実証炉? でっ、どこに造んの? 東京? 首相官邸? 自民党本部? アホですか。核発電「麻薬」中毒な皆さんは、そりゃぁ、大喜びでしょうね。

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/198981

スーパーも郵便局もなし 双葉町の厳しすぎる現実 「散歩で作業員以外と会ったことない」
2022年8月31日 06時00分

 東京電力福島第一原発事故による全町避難が唯一続いていた福島県双葉町で30日、帰還困難区域の一部の避難指示が解除された。双葉町の特定復興再生拠点区域復興拠点)は11年5カ月ぶりに居住可能となったが、住民のさらなる帰還に向けては、除染や生活環境の整備など課題が山積している。(片山夏子


◆年を重ね、運転できなくなったら…

 今年1月から始まった「準備宿泊」で7カ月間、復興拠点内の自宅で生活してきた元競輪選手の谷津田陽一さん(71)は「今のところ帰還しそうな住民は、原発事故前の1%にも満たない想像以上に現実は厳しかった」と嘆いた。「犬の散歩に行っても除染や解体作業員以外、会ったことがない」

 JR常磐線双葉駅から北西に1キロ弱、緑豊かな高台にある自宅周辺は、多くの家屋が解体され、さら地が広がる。近隣住民は戻っていない。同居する妻(55)は「夜は人がいないから怖い。住んだ当初は特に外の音に敏感になった」と言う。

 食料品などの買い物は、隣の浪江町富岡町のスーパーに車で通う。郵便は配達されるが、出すときは浪江町の郵便局に向かう。

 町内で営業している店舗は、ガソリンスタンド2軒と建築資材店、町産業交流センター内の飲食店4軒と土産物店の計8軒だけ。日用品を積んだ移動販売車が町内を巡るが、解除後もスーパーや郵便局の開設予定はない。

 体調を崩したときの不安もつきまとう。事故前、町内には病院1カ所に加え、診療所と歯科医院も5カ所ずつ、薬局が2軒あった。今は医療機関は1つもなく、駅前に診療所ができるのは来年2月の予定だ。

 谷津田さんの現在のかかりつけ医は、相馬市に避難していたときに通った病院。車で片道40分かかる。「車なしでは生活できない。この先、介護の心配も出てくる。年齢が上がり運転できなくなったら、どうすればいいのか」


◆放射線量が上限の5倍の所も

 解除された復興拠点内の平均放射線量は毎時0.44マイクロシーベルトで、この環境で1年間暮らすと、一般人の被ばく線量上限(年間1ミリシーベルト)の2倍に達する。谷津田さんの自宅屋内の放射線量は、高い所で毎時1.2マイクロシーベルトと線量上限の5倍に当たる

     (「水道の近くに物を置いたら、吹きだまりになって
      高線量になった」と話す谷津田陽一さん。
      毎時24マイクロシーベルトあったが、再除染で
      6マイクロシーベルトまでは下がった=福島県双葉町で)

 表土を取って舗装するなどした建物の外周は同0.3マイクロシーベルトまで落ちた一方、屋外の道具置き場では除染後も同6マイクロシーベルトと、政府が決めた避難指示解除の基準(年間20ミリシーベルトをも超える。「町に若者が住み安心して子育てができるようになるまで、駄目な所は徹底して除染すべきだ」


◆他の自治体と比べて低い帰還率

 谷津田さんのように準備宿泊を申請したのは、延べ51世帯84人。事故前の人口に比べると、1.1%にすぎない。昨年度の住民意向調査では、双葉町で帰還意向を示したのは11%で、調査対象の6市町村の中で最も低かった。「早い段階で解除した自治体と比べるとあまりにも帰還率が低い。事故から11年5カ月は長すぎた」と谷津田さんは話す。

 双葉駅前では、家屋を解体した跡のさら地に新しい集合住宅が建設され、町北東部の解除済みの地域では企業が立地し、町の姿は変わっていく。「産業拠点を作り、新しい人が入ってくることも町の発展には大事。でも、事故前に暮らしていた住民が戻ってこそ、復興なのではないか」

【関連記事】11年半ぶりに定住可能になったが…復興なお遠い福島県双葉町 町民の帰還見通せず
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

2022年09月17日 00時00分02秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(20220830[])
映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』。


【映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』】
 (https://saibancho-movie.com/
 (https://youtu.be/AlLlePkIcdE

   『●泊核発電所の運転差し止め…一方、札幌地裁は《廃炉請求については
     「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却》ってどういうこと?

 タイトルから、『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二、朝日新聞出版)を思い浮かべました。3人のお一人が、樋口英明・元福井地裁裁判長。

 週刊朝日のコラム【『原発をとめた裁判長』の教え 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2022082500104.html)によると、《この秋にお勧めの映画がある。『原発をとめた裁判長』(監督・脚本:小原浩靖)というドキュメンタリーだ。関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め判決と同高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分決定を出した樋口英明元福井地方裁判所裁判長が主人公である》。

 古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を。反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」

=====================================================
https://dot.asahi.com/wa/2022082500104.html

『原発をとめた裁判長』の教え 古賀茂明
政官財の罪と罰
2022/08/30 06:00

 この秋にお勧めの映画がある。『原発をとめた裁判長』(監督・脚本:小原浩靖)というドキュメンタリーだ。関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め判決と同高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分決定を出した樋口英明元福井地方裁判所裁判長が主人公である。

 今年の冬、夏と日本では電力危機が叫ばれた。老朽化した火力発電所の稼働などで幸い停電には至らなかったが、次の冬は、さらに深刻だと政府は危機感を煽っている。さらに、2050年にカーボンニュートラルという日本の目標達成には、火力発電を増やすのは好ましくない。再生可能エネルギーを数カ月で大幅に増やすのも困難だ。

 こうなると、原子力発電が切り札だという議論が勢いづく。ついに、岸田文雄首相も老朽原発の運転期間のさらなる延長や次世代原発の建設などの検討を宣言した。岸田政権のある関係者は、7月の参議院選挙前にこう語った。「今、原発について前のめりになることは厳禁だが、選挙に勝てば新増設も含めて原発推進に踏み込んで行く

 だからこそ、政府は再エネ拡大策をまじめにやらず、あえて電力不足を演出した。今や政府の思惑通り、世論調査でも原発再稼働に反対する意見は少数派になった。実は、そこには、「原発は『それなりに安全』なはずだという根拠なき思い込みがある。しかし、原子力規制委員会は、常に「審査基準を満たしても安全とは言えない」と言っている。本当はどうなのか。

 昨年3月の本コラムでも紹介した原発の安全に関する「樋口ドクトリン」がある。1)原発事故のもたらす被害は極めて甚大。2)それ故に原発には高度の安全性が求められる。3)地震大国日本において原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性があるということに他ならない。4)わが国の原発の耐震性は極めて低い5)よって、原発の運転は許されない(樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社))。

 11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる

 冬に電力が足りないと言っても、ピーク時に一部の地域で数%不足するというだけの話で、節電などで対応すれば、経済に影響が出ても大した話ではない。それに比べて、原発事故は日本の広範な地域に壊滅的打撃を与える。しかも、毎年日本のどこかで起きるある程度大きな地震が原発の敷地付近で起きれば、大事故になる可能性があるのだ。冬の数日間数%の電力が不足するというのとは全く次元が違う比較すること自体ナンセンスだ。さらに、原発は戦争で敵に狙われたらほとんど防御不能であることは規制委も認めている。

 「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい。

※週刊朝日  2022年9月9日号
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする