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●「閉じない環」破綻した核燃サイクル…《1993年から26回の延期…核燃料サイクル政策は要の再処理工場の稼働が見通せず、「破綻」》が露わ

2024年03月24日 00時00分52秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2024年03月11日[月])
再稼働したいそうだ、バカとしか思えない…《核燃料サイクルという夢が実現できぬ中、当初想定されていなかった原発構内での核燃料の長期保管が常態化している》。
 電力各社は「乾式貯蔵施設」の計画を進めているようだが、ここでも、湯水のようにカネが注ぎ込まれ、電力料金が跳ね上がっていくことでしょう。さっさと廃炉作業を進めて、損切りすることしか手はないと思うのだが、核発電「麻薬」中毒者どもは、湯水のようにお金を垂れ流すこと、「原発マネー」に蝟集・集ることが目的化。

 《使用済み核燃料は各原発のプールにたまり続け…。プールが満杯になると、核燃料の交換ができず原発は動かせなくなる》。まずは、核発電を止めてからの話。マンションを建てる前に、トイレの場所や処理の方法、〝処理水〟の放流先を決めときなさいよ。余剰汚泥という〝廃棄物〟も出てきます。(東京新聞社説)《政府の姿勢は無責任というほかない返すあてもないのに借金を重ねるようなものだ》。だから、なんで自公お維コミに投票してしまうのか、という話でもある。
 まずは、核発電を止め、1 mgでも廃棄物の発生を抑制すべき。(東京新聞)《使用済み核燃料は各原発のプールにたまり続け、2023年3月時点で原発を保有する電力10社のプール容量の74%が埋まっているプールが満杯になると、核燃料の交換ができず原発は動かせなくなる》まずは核発電を止め、廃炉作業に着手。議論はそれから。キシダメ政権は「原発復権」「原発回帰」?? 福島を「原状回復」して見せてからのお話でしょ? 元の姿に戻して見せて下さい。

   『●破綻した核燃サイクル、中間貯蔵施設は最終処分場と化す…使用済み核燃料
     プールの現状は? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることは?
   『●トイレなきマンション問題を放置し、「原発復権」「原発回帰」する
     キシダメ政権…早晩、核燃料の交換ができず核発電は動かせなくなる
   『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放
     先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…
    「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
     足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
     ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、
     最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという》
     …意味が分からない? そんな理由で死の灰を受け入れるの?」

   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》
   『●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
      ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》

 さて、「閉じない環」、破綻した核燃サイクル。核燃料サイクルという「環」は閉じたのか? 「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」。《原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのか》? 「閉じない環」である第1の「環」を継続し、プルトニウムを取り出す六ヶ所村の再処理工場の稼働を目指すことを続けるそうだ。恐ろしいリスクを抱えつつ、瀕死の「ホワイト・エレファント」にエサを与え続け、エサ代を支払い続けるつもり。「もんじゅ」という悪夢に目覚めるのにこれだけの月日を費やし、誰も責任をとらず…、「第1の閉じない環」の悪夢からいつ目ざめるのだろうか? あまりに愚かすぎる。
 小野沢健太記者による、東京新聞の記事【青森・六ケ所村の核燃料再処理工場、27回目の完成延期が確実 「サイクル政策」破綻で各原発内長期保管が常態化】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/314183)によると、《原発から出る使用済み核燃料再処理工場青森県六ケ所村)は、27回目の完成延期が確実となっている。原子力規制委員会の審査が進まず、「2024年度上期(9月まで)のできるだけ早い時期」とする原燃の目標は達成が困難な状況。使用済み核燃料の受け入れの見通しが立たず、各原発では敷地内に新たな保管場所を確保する動きが相次ぐ。(小野沢健太)》。

   『●リラッキングとオンカロ
   『●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と
      「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/314183

青森・六ケ所村の核燃料再処理工場、27回目の完成延期が確実 「サイクル政策」破綻で各原発内長期保管が常態化
2024年3月10日 06時00分

 原発から出る使用済み核燃料再処理工場青森県六ケ所村)は、27回目の完成延期が確実となっている。原子力規制委員会の審査が進まず、「2024年度上期(9月まで)のできるだけ早い時期」とする原燃の目標は達成が困難な状況。使用済み核燃料の受け入れの見通しが立たず、各原発では敷地内に新たな保管場所を確保する動きが相次ぐ。(小野沢健太


◆当初の完成予定は1993年、説明できない原燃

 「今まで何をやってきたのか」。2月29日の規制委の審査会合で、事務局の原子力規制庁の担当者はあきれた。原燃は一部の項目で説明の準備が間に合わず、具体的な議論ができなかった。関西電力出身の原燃の决得(けっとく)恭弘執行役員は「はっきり言って『自分ごと』になっていない。遅ればせながら、そう感じている」と、基本的な意識の問題をさらけ出した。

     (日本原燃の使用済み核燃料再処理工場
      =青森県六ケ所村で(2013年撮影))

 再処理工場の稼働の条件となる設備設計や工事計画の審査は申請から3年が過ぎたものの、終わりが全く見えない。東京電力出身の原燃の増田尚宏社長は、完成時期の目安を今年6月としていたが、1月にこれを撤回。9月までの目標は維持したものの、3月5日の記者会見で「大変厳しくなっている」と述べ、審査対応での能力不足は深刻だ。

 再処理工場当初の完成予定の1993年から26回の延期を繰り返してきた。政府が推進する核燃料サイクル政策は要の再処理工場の稼働が見通せず、「破綻をあらわにしている

 核燃料サイクル 原発の使用済み核燃料から再処理という化学処理でプルトニウムやウランを取り出し、混合酸化物MOX)燃料に加工して原発や高速増殖炉で再利用する仕組みで、日本政府の原子力政策の柱。高速増殖炉は使った以上のプルトニウムを生み出す夢の計画だが、原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉で頓挫した。放射性廃棄物の有害度を下げる高速炉の開発に転換したが、実用化のめどは立っていない


◆各原発内で保管施設新設が相次ぐ

 各電力会社は使用済み核燃料を再処理工場に搬出できず、急場しのぎの対応に追われている。使用済み核燃料を保管する原子炉建屋内の貯蔵プールが満杯になると、原発を運転できなくなるためだ。

 東北電力は2月、女川原発(宮城県)の敷地内に新たな保管先とする「乾式貯蔵施設」を設けると発表した。乾式貯蔵施設は、プールで十分に冷やされた核燃料を金属製の容器に密封し、空冷保管する。水がなくなれば重大事故になりかねないプール保管よりも、リスクが低い。

 東北電によると、今年9月に再稼働予定の2号機のプールは貯蔵率75%で、運転再開から4年ほどで満杯になる。乾式貯蔵施設を28年に稼働させるという余裕のない計画を示した。


◆稼働中の原発は綱渡りの状態

 稼働中の原発は、保管場所の逼迫(ひっぱく)がさらに深刻だ。関電の美浜高浜大飯(いずれも福井県)の3原発のプールは昨年末時点で85%が埋まり4~6年ほどで満杯になる

 関電は福井県に対し、県外に使用済み核燃料の中間貯蔵施設を確保すると約束したが、自前で用意できず、中国電力が新設を計画中の上関原発(山口県)で共同開発する方針。ただ、地盤調査をして建設が可能かを調べている段階で、稼働時期や貯蔵量は未定だ。

 関電は2月、3原発の敷地内に乾式貯蔵施設を設ける計画を発表。27~30年ごろの完成を目指すも、綱渡りの状態を露呈した。

 原発内の乾式貯蔵施設は他に、日本原子力発電東海第2(茨城県)で運用され、中部電力浜岡(静岡県)、四国電力伊方(愛媛県)、九州電力玄海(佐賀県)でも計画。核燃料サイクルという夢が実現できぬ中、当初想定されていなかった原発構内での核燃料の長期保管が常態化している。


【関連記事】どうする?使用済み核燃料の保管場所 満杯になれば原発は動かせない…それなのに対策は後手に
【関連記事】河野太郎氏も警鐘を鳴らした使用済み燃料プールの危険性とは 原発への攻撃はウクライナ侵攻で現実化
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コメント
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●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所

2024年02月10日 00時00分56秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年02月03日[土])
核発電「麻薬中毒」「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。低層階で変圧器の故障や油漏れ事故を起こしたということは、上部では相当な揺れだったはずで建屋や原子炉、核燃料プールがマトモだったと考えるのは難しいのでは?
 dot.の記事【能登半島地震「想定外」ではなかった 日本海側にも活断層が多数存在/川口穣】(https://dot.asahi.com/articles/-/211469)。《元日の家族団らんを容赦なく襲った能登半島地震。東日本大震災以降の報道や対策の 議論は太平洋岸が中心だったが、日本海側の地震リスクが低いわけではないという。…今回の震源域に活断層があることは、従来知られていた。東日本大震災を受けて2013年から14年にかけて開かれた国土交通省の「日本海における大規模地震に関する調査検討会」では、津波を伴った大地震を起こしうる断層モデルとして今回の地震とほぼ同じ震源域を想定し、最大でM7.6の地震が起こる可能性があるとしている。今回の地震の要因となったのがその断層だったのか、あるいは未知の断層だったのかは今のところはっきりしないものの、地域の地震リスクとしては想定外ではなかったという。東京大学名誉教授で、政府の地震調査委員会委員長を務める平田直(なおし)さんはこう説明する》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…

 3.11東京電力福島核発電所人災の教訓もどこに? …「想定外」と言う勿れ。
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/「孤立」「原発」…生かされなかった阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401170000102.html)によると、《それに対して、道路が寸断された半島の特性が避難所への水や食べ物、物資の搬入が遅れた理由と言われるが、それらは十分、阪神・淡路大震災、東日本大震災の経験があれば想定でき、リスク回避は自治体レベルで可能だったはずだ。人災という言葉は使いたくないが、あまりに2つの震災の教訓が北陸の自治体で検討され、訓練されていなかったことがわかる。自衛隊の逐次投入が批判されるが、それよりも自治体からの出動要請がまず必要だったのではないか。 ★また、被災地の北陸電力志賀原発(停止中)は設備の故障で外部電源の一部から電気を受けられなく、空間放射線量を測るモニタリングポストも万全とは言えないのに北陸電力は情報公開に消極的だここでも教訓は生かされたとは言えない》。

 樋口英明さん、そもそも《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》。
 長周新聞の記事【地震列島と原発は共存できず 未知も含め全国に6000もの断層 「安全」といえる場所ないと専門家指摘】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28770)。《石川県能登地方で1日、最大震度7(マグニチュード=M7・6)を記録する「令和6年能登半島地震」が発生した。県内での死者は200人以上を数え、交通網が壊滅的打撃を受けるなか、今も被害の全容は明らかになっていない。東日本大震災以後、日本列島は地震活動期に入っているといわれており、全国に2000あるとされる活断層がいつどこで動いてもおかしくないとの指摘を多くの専門家たちがくり返しおこなっている。加えて、南海トラフ地震も今後40年間の発生確率は90%といわれており、迫り来る地震被害への備えは急務となっている。列島直下で何が起きているのかについて専門家の指摘や警鐘に耳を傾け、日本列島が直面している現状を直視することが求められている》。

 さらに、樋口英明さん、《「被害が大きくてかつ事故発生確率も高いという2つが揃ったパーフェクトな危険》であり、「安全」な核発電所など形容矛盾。
 長周新聞の記事【すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28804)。《元日に発生した能登半島地震では、北陸電力・志賀原発が立地する石川県志賀町でも最大震度7の揺れを観測し、あわや福島原発事故の再現かと思わせる原発立地町直撃の地震となった。マグニチュード7・6の地震発生直後、志賀原発原子炉建屋下では震度5強を観測。北陸電力も政府もすぐに異常なしと発表したが、後から変圧器の故障、大量の油漏れ、外部電源の一部喪失などの「異常が次々に小出しで発表されている。北陸電力によれば、現在までに放射能漏れなどの事象は発生していないとされるが、多重防護の一部を欠いた状態のなかで群発地震が継続しており、予断を許さない。地震想定や、原発再稼働の前提となる安全基準の信頼性は根底から崩れており、志賀原発の再稼働撤回のみならず全国の原発を即座に停止し、次なる大規模地震に備えることが急務となっている》。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28804

すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告
2024年1月16日

再稼働に向け動き出していた志賀原発

 元日に発生した能登半島地震では、北陸電力・志賀原発が立地する石川県志賀町でも最大震度7の揺れを観測し、あわや福島原発事故の再現かと思わせる原発立地町直撃の地震となった。マグニチュード7・6の地震発生直後、志賀原発原子炉建屋下では震度5強を観測。北陸電力も政府もすぐに異常なしと発表したが、後から変圧器の故障、大量の油漏れ、外部電源の一部喪失などの「異常が次々に小出しで発表されている。北陸電力によれば、現在までに放射能漏れなどの事象は発生していないとされるが、多重防護の一部を欠いた状態のなかで群発地震が継続しており、予断を許さない。地震想定や、原発再稼働の前提となる安全基準の信頼性は根底から崩れており、志賀原発の再稼働撤回のみならず全国の原発を即座に停止し、次なる大規模地震に備えることが急務となっている。


「異常なし」でも「実は…」が続々と

 1月1日午後4時10分の地震発生直後、NHKをはじめとするテレビ各局は志賀原発は異常なしとする電力会社の発表を速報で流した。しかし、志賀町の最大震度7は、2011年3月11日の東日本大震災で福島県を襲った震度(6強)を上回っており、「原発が無傷で済むレベルではない」と誰もが直感する揺れだ。さらに能登半島北部では、海底が数㍍隆起して陸地化する現象が海岸線の85㌔にわたって発生【地図参照】。国土地理院が示したデータでは、海岸線の隆起は志賀原発の北7㌔地点にまで迫っていた

 志賀原発は、福島第1原発と同じ沸騰水型BWR)の1号機、改良沸騰水型ABWR)の2号機の2基がある。1号機は1993年7月、2号機は2006年3月に運転を開始した比較的若い原発だが、2011年の福島原発事故後の全原発停止によって稼働を停止。2号機については、2014年から再稼働に向けた新規制基準の適性審査が進んでいた。福島第1原発と違い地震時に原子炉は動いていなかったが、使用済み核燃料貯蔵プールには計1657体の核燃料が保管されていると推定される。

 原発が稼働していなくても、貯蔵プールに常時水を送り核燃料を冷却しつづけなければならない冷却機能が止まれば、数時間で燃料棒が損傷し、放射能漏れを起こす恐れがある。また、電源喪失で冷却水が供給できなくなったり、海岸線隆起で海水がとり込めなくなれば冷却機能が失われる可能性があった。

 当初は「異常なし」とした北陸電力だが、その後の発表・訂正で徐々に実態が明るみに出ている。

 1日、記者会見した林芳正官房長官は、「現時点では(志賀原発に)異常は確認されてない」としながら、記者の追加質問に対して「変圧器に火災が発生したが、すでに消火済み」とのべた。

 さらに同日、原子力規制庁の会見では、地震の影響で外部から原発に電気を送る一部系統が使用不能になっていること、2号機で外部から電気を受けとる変圧器付近で爆発したような音と焦げ臭いにおいがあった」と報告があったが、それは火災ではなく、地震の揺れで変圧器内部の圧力が高まったため消火設備が起動したものと公表。

 さらに1号機でも変圧器周辺で油漏れが確認され、電源の一系統が使用不能となり復旧のメドは立っていないが、他の系統から電力を供給しているため問題なしとした。

 また、核燃料貯蔵プールで地震の揺れによって冷却水放射能を含む1号機では95㍑、2号機では326㍑が飛散して床面にこぼれ冷却水を供給するポンプが一時的に停止したが、午後4時49分に復旧し、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却に問題はないとした。

 翌2日には、高さ4㍍の防潮壁が数㌢傾いたこと、1、2号機の廃棄物処理建屋の接続部分のカバー約15㍍が脱落していたこと、2号機の使用済み燃料貯蔵プールに2・5㍍のケーブルカバーなどが落下していたことが公表された。


油漏れは当初の6倍 揺れも想定上回る

 当初は「発生しなかった」(1日)、「水位計に有意な変動は確認されなかった」(2日)と説明していた志賀原発への津波到達については、3日に「3㍍の水位上昇が観測された」に変わり、10日には、地震発生後1~3㍍の津波が複数回到達していたことが明らかになった。北陸電力は、津波ではなく水位上昇」と表現している。

 変圧器損傷による油漏れについても、当初は漏れ出した油は「約3500㍑」と発表していたが、5日には漏洩量は約六倍の2万㍑にのぼっていたと訂正した。2万㍑といえばドラム缶(200㍑)100本分に相当する量だ。また北陸電力は「全量を回収済み」としていたが、10日にも新たに海面に油が漏洩していることが発覚した。10日までに2万3000㍑余りの油が漏れ出たことになる。今も全貌は明らかではないが、北陸電力は油に放射能は含まれていないとしている。

     (1日の地震で油漏れを起こした志賀原発の変圧器
      (撮影:北陸電力))

 さらに志賀原発で観測された揺れの加速度が、一部で想定を上回っていたことが10日に開かれた原子力規制委員会の定例会合で明らかになった。原発には施設や設備ごとに揺れやすい周期が異なり、あらかじめ各構造物ごとに揺れの大きさを示す加速度(ガル)を想定する。福島原発後の原発再稼働に向けて設定された新規制基準では、耐震設計に用いる地震動の加速度をおよそ1000ガル(大規模地震の目安)前後に設定している。

 だが、今回の能登半島地震では、志賀原発がある志賀町の観測点での最大加速度は、東日本大震災に匹敵する2828ガルにのぼった。1000ガル以上も計7地点で確認された。志賀原発1、2号機の原子炉建屋の基礎部分でも揺れが想定を上回り、1号機では東西方向の0・47秒の周期で918ガルの想定に対して957ガルを観測したという。規制庁は原子炉建屋などに異常はないと説明しているが、北陸電力が規制庁に報告したのは9日で、みずから公表はせず、関係自治体に説明もしていなかった

 また規制庁は、原発の約30㌔圏内に約120カ所あるモニタリングポスト(空間放射線量の測定器)のうち、輪島市や穴水町など原発の北側20~30㌔付近にある15カ所で、地震発生以降、測定不能の状態にあると発表。空間線量の実測値は、原発事故時に住民避難の判断根拠となるものであり、計測できなければ避難時期やルートも決められない。このモニタリングポストの欠測(故障)も20カ所にのぼることが10日になって明らかになった。道路が寸断されているため、原因の特定ができず、一部では復旧の見通しが立っていないという。

 北陸電力からの重要情報の後出しや訂正があいつぐため、経産省は10日までに、北陸電力に対して正確な情報発信をおこなうよう指示するという事態にもなった。

 現在までのところ、原子炉が停止中だったこともあり、福島原発のような過酷事故には至っていないが、地震そのものが想定を大きく上回る規模で発生し、断層による地割れ、海面隆起、交通網寸断、停電などの多重災害において原発情報はすべて後出しになり、「異常なし異常がないのではなく、パニックを防ぐための政治的アナウンスに過ぎないといえる。

 一部では、主電源が喪失し、核燃料プールから水が漏れ続けているとの報道もあり、今後どのような重大事象が明るみに出るのか、予断を許さない状況が続いている

 いくつもの断層が集中する能登半島周辺では、1700年以降、何度も大地震に見舞われており、そのような地域に原発を立地する無謀さを自然が警告しているとみなさなければならない。


過去に臨界事故隠蔽も 原子炉下には断層

 志賀原発での重大事故と情報隠蔽には、有り余る前科がある。1999年6月の定期検査中に一号機で臨界事故意図せずに核分裂反応を起こし、大量の放射線や熱を発生させる事故)を引き起こしたが、北陸電力は「発表すると2号機(建設)の工程が遅れるなどの理由でデータを改ざんし、必要な記録を隠滅対外的な報告を一切せず、8年後の2007年3月に明るみに出るまでひた隠しにしていた

 事故が発覚したのは、全国の電力会社でデータ改ざんが明らかになったことを契機に原子力安全・保安院が一斉点検を命じ、北陸電力の全社員アンケートで1人の社員が告白したからだった。このときすでに志賀原発2号機は稼働を始めていた

 このような情報隠蔽は、原発建設を推進する電力会社、原発メーカー、立地自治体、政府を含む“原子力ムラ”の常套手段であり、「原発安全神話」を流布する側にとっては体質化して久しい。重大事故では、浜岡原発(中部電力)、女川原発(東北電力)、東京電力の福島第2原発、柏崎刈羽原発では核燃料の制御棒が脱落する事故が起き、福島第1原発(東京電力)でも7時間半にわたる臨界事故が発生していたが、電力会社は30年近くも隠ぺいしていた。また、2007年の新潟県中越沖地震で震度7相当の揺れに襲われた東電柏崎刈羽原発では、基礎杭に損傷が見つかったと東京電力が公表したのは地震から14年後のことである。

 今回の能登半島地震を受け、原子力規制委員会山中伸介委員長)は、再稼働に向けた審査が進む志賀原発二号機について「(今回の地震が)新知見かどうかを確定させるまでに年単位の時間がかかる。審査はそれ以上かかると思う」との見通しを示している。この期に及んで再稼働を前提にした審査を続ける姿勢を崩してはいない

 志賀原発では、2014年に北陸電力が2号機の再稼働を目指して原子力規制委員会に適合性審査を申請。2016年3月には原子力規制委員会の専門家チームが、原子炉建屋直下にある断層【図参照】を「活断層である可能性は否定できない」と評価した。新規制基準では、重要施設の直下に活断層がないことを求めている。断層にずれが生じれば事故につながりかねないため、12万~13万年前以降に活動したことが否定できなければ再稼働はできず、廃炉を迫られることになる

 だが、政府や財界が経済的利害から既存原発の再稼働を熱望するなかで、昨年(2023年)3月、原子力規制委員会は専門家チームの報告を覆して敷地内に活断層はない」とする北陸電力の主張を妥当とし、「活断層問題はクリアとのお墨付きを与えた。委員の1人は「(北陸電が示した)膨大なデータに基づいて評価し直したところ、活断層ではないと判断できる非常に説得力のある証拠がたくさん得られた」とのべていた。

 これが弾みとなり、昨年11月、経団連の十倉雅和会長(住友化学)が志賀原発を視察して「一刻も早く再稼働できるよう心から願っていると訴えるなど、政財界が総力を挙げて再稼働に向けて動き出していた矢先に迎えたのが今回の能登半島地震だ。

 すでに周知のように、能登半島には先端にも根元にも巨大な断層が幾重にも走っており、志賀原発だけでなく、隣接する福井県には日本原電の敦賀原発(1基停止中)、関西電力の美浜原発(1基稼働中)、大飯原発(2基稼働中)、高浜原発(2基停止中、2基稼働中)が林立し、全国で最も原発が集中する「原発銀座」と呼ばれる地域だ。この地域全体にも何本もの断層が連なっており、75年前の1948年6月の福井地震(マグニチュード7・1、最大震度6、死者3769人、負傷者2万2000人以上)をはじめ、近年も近隣では2004年の中越地震、07年の中越沖地震、20年には福井県嶺北でもマグニチュード5、最大震度5の地震などが頻発している。

 また今回の能登半島地震では、本震だけでなく、マグニチュード3・5以上の群発地震が連日のように続いており、日本列島で起きた過去の地震と比べてもその回数は抜きん出て多く、今後いつまで続くのかはわかっていない【気象庁作成のグラフ参照】。

 すぐにでも原発を停止し、廃炉を進め、未曾有の地震に備えて核燃料を厳重に防護しなければならないのが常識であり、再稼働を前提にする発想そのものが気狂い沙汰といえる。原子力規制委員会は「原子力推進委員会」と改名しなければならない。

 今回の地震は、地下に断層があるかないか、それが活断層であるか否かなどに関係なく、人間がソロバンをはじいて計算した想定を帳消しにするほどの被害を広範囲にもたらすことを改めて教えた。再稼働という一部の経済的利害を追求する目標に基づいてつくられた新規制基準そのものが、自然を無視した恣意的かつ非科学的なものであることをシビアに突きつけている。

 今や誰も「原発を建てて安全な場所」と責任をもって認定できないのが現実であり、「想定外では済まされない。意図的に見ないことにしている「万が一」のいつ起きてもおかしくない原発災害によって失われるのは途方もない人々の生活と生命である。


絵空事だった避難計画 自治体に責任丸投げ

 さらに、改めてあらわになっているのは、福島原発事故の教訓から自治体に策定が求められてきた「避難計画と被災の現実との大きな乖離だ。

 福島第1原発事故後、発足した原子力規制委員会は、原発再稼働のためにこえるべきハードルとして「新規制基準」と「原子力災害対策指針」(防災指針)の2つを策定した。そのうち防災指針は、事故発生に備えてとるべき被曝対策を定めるもので、原発の周辺地域ごとに策定される「避難計画」がその中核となっている。福島原発事故までは、「事故は絶対に起きないという安全神話に依存して避難計画はまともに策定されていなかった

 ただし、防災指針における避難計画は、原発を管理運営する電力会社ではなく周辺自治体の責任で策定するものとされており、原発の防護措置の一つであるにもかかわらず、規制委員会による安全審査の対象外とされているあくまで国の原子力防災会議による了承手続きがあるだけで、自治体への責任丸投げというのが実態だ。

 新たな防災指針では、避難計画を策定する対象地域を原発30㌔圏内に拡大(それまでは8~10㌔圏だった)しており、能登半島西岸に位置する志賀原発の30㌔圏内は、激震地の輪島市、穴水町、七尾市など八市町に約15万人が暮らしている。能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる

 防災指針によると、原発事故発生時には5㌔圏内の住民がまず避難し、5~30㌔圏内の住民は屋内退避を経て、一定の放射線量(毎時20マイクロシーベルト)をこえたら、あらかじめ確保した避難先に向けて避難を始めるとされている。

 だが今回の地震では、まず第一に避難経路を決めるための指標となる空間放射線量を計測するモニタリングポストが20カ所で故障携帯電話も使えなくなり、停電のためテレビ電波も入らず、情報手段が途絶した。これでは放射線量もわからず、避難に関する情報も住民は知ることができない。

     (1日の地震で崩落した道路(石川県志賀町))

 さらに、避難路となる道路は、24路線54カ所の国道、県道、高速道路が通行止めとなった。原発事故時の「基本的な避難ルート」とされていた金沢市と能登半島を結ぶ自動車専用道「のと里山海道」は、複数カ所で陥没し、一時的に全面通行止め。他の一般道でも発災から1週間たっても、崖崩れによる寸断、路面の亀裂や陥没、崩落などが修復できず、10日現在で3000人以上が孤立状態に置かれている。

 現地に物資が供給できないということは、現地住民が域外に避難することも物理的に不可能ということであり、地震と同時に起きる原発事故での住民の陸上避難は絵空事であることが浮き彫りになった。

 さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった

 現在も能登の被災地では、住居の崩壊や大規模火災、道路寸断、通信遮断、水や電気などのライフラインの途絶、燃料や物資不足、さらに豪雪による低体温症、感染症蔓延などの未曾有の被害のなかで、被災者や支援するボランティアたちの極限状態が続いている。国による早急な救援が必要だが、さらに原発災害が加わっていたら果たしてどんな事態を招いていたか――。救援・救助もおろか、住民の自主避難もできず、能登半島全体が孤立と阿鼻叫喚の渦に飲まれていたことは想像に難くない

 この期に及んで「地震に耐えた」と慢心し、とり返しの付かない過酷事故を引き起こすまで再稼働マインドから抜けきれない「原発ゾンビ」を退場させ、地震列島の現実に立った正気を政治にとり戻すことが急務となっている。
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●破綻した核燃サイクル、中間貯蔵施設は最終処分場と化す…使用済み核燃料プールの現状は? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることは?

2023年11月01日 00時00分06秒 | Weblog

[※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年10月08日[日])
蛇足だけれど、《「一時的」欠落》…「経済的実害」をさらに煽る結果に。

   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/水産物輸入禁止の表現「一時的」欠落に見る日中外交ゲームの失敗】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202309090000066.html)によると、《政治キャンペーンや経済制裁なのはわかっているが、日本政府はこの発表を意図的に改ざんした。中国税関は「一時的にという一言をつけて発表したが、なぜかそこが抜け落ちていて、反中感情をあおった節がある。別の政界関係者は「自公の親中派も寄せ付けないので、年内は軟化の兆しはない」。両国にとって政治・外交ゲームの失敗とみるべきだろう》。

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ
     増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放
     先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…
    「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
     足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
     ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、
     最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという》
     …意味が分からない? そんな理由で死の灰を受け入れるの?」

   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》
   『●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
      ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》
   『●長崎県対馬市長、《文献調査…「市民の合意形成が不十分だ」…処分場に
     ついて「将来的な想定外の要因による危険性が排除できない」とも語った》

 さて、「閉じない環」、破綻した核燃サイクル。中間貯蔵施設は最終処分場と化す。なぜ関電の核のごみを山口県上関町に廃棄するのか、意味不明だ。使用済み核燃料プールの現状を理解できているのか? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることがあるでしょうに? 《核のごみ問題を解決すらせず、国が「原発回帰を進めるのは無責任というしかない。少なくとも最終処分のめどが立つまで、原発を動かして、ごみを増やすべきではない貯蔵プールがあふれるのを防ぐには、それしかない》(東京新聞)。それに、福島の原状回復さえできないではないか。無責任過ぎ。(こちら特報部)《◆デスクメモ タンクがもう満杯でどうしようもない、だから薄めて海に捨てさせてくれという話使用済み核燃料プールがもう満杯で燃料入れ替えができないと原発が停止、だからちょっと置かせてくれという話。どちらも同じ、ごみ捨て場がないのに開き直って、弱い地方に押しつけている話だ》。
 東京新聞の【<社説>中間貯蔵施設 その場しのぎに過ぎぬ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271723?rct=editorial)。《中国電力と関西電力が共同開発を目指す使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、山口県上関町が建設に向けた調査を受け入れた。推進派と反対派。町を二分する争いの中で浮き彫りにされるのは、核のごみの後始末を深く考えず原発の最大限活用にひた走る国策」の危うさだ。中間貯蔵施設とは、使用済み核燃料のリサイクルが可能になるまでの間、核のごみを一時保管する施設のことである。その後の搬出先として青森県六ケ所村に建設中の再処理工場すなわち、使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料にするリサイクル工場は一九九三年の着工以来、完成延期を二十六回繰り返し、操業開始はおぼつかない。リサイクル燃料を消費する高速増殖炉計画もトラブル続きで中止になった。最終処分場の建設予定地も決まっておらず、一時保管された核のごみに行き場はない》。

 関西電力はどこまで傲慢なのかね? 醜悪な「原発マネー」のアノ関電としては《福井県外に保管場所の候補地を確定させ、30年ごろに2000トン規模で操業》だそうです。
 西田直晃記者による、同紙の記事【こちら特報部/「なぜ、他の地域の核のごみをこの島に」 中間貯蔵施設の調査容認で揺れる上関町民が語る歴史的背景】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271894?rct=tokuhou)。《粘り強い反対運動で原発建設を防ぎ続けたのに、今度は遠く離れた関西からの「核のごみ」受け入れ―。山口県上関町が大きく揺れている。同町長が、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設に事実上のゴーサインを出したからだ。中間貯蔵と言いつつ、本来その先にあるはずの再処理、核燃料サイクル夢物語はとっくに破綻しており、中間」が「半永久になる恐れも十分ある。原発推進の国策に翻弄され続ける町を訪ねた。(西田直晃)》
 さらに、同記者による記事【こちら特報部/核燃料の中間貯蔵施設計画に揺れる山口・祝島 自然との共生求めてきた移住者の思いは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/276345?rct=tokuhou)。《瀬戸内海に浮かぶ祝島(山口県上関町)。船着き場近くに一軒の喫茶店がある。マスターの堀田圭介さん(57)は11年前の春、自然と共生する暮らしに憧れて妻子と移り住んだ。この夏、町に原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が浮上し、40年近く原発に反対してきた島は揺れた。「分断の構図を作り出し、物事を先に進める手法だ」。島民と心を寄せた歳月の重みが憤りを生む。(西田直晃)》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/271723?rct=editorial

<社説>中間貯蔵施設 その場しのぎに過ぎぬ
2023年8月22日 06時56分

 中国電力と関西電力が共同開発を目指す使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、山口県上関町が建設に向けた調査を受け入れた。推進派と反対派。町を二分する争いの中で浮き彫りにされるのは、核のごみの後始末を深く考えず「原発の最大限活用にひた走る国策」の危うさだ。

 中間貯蔵施設とは、使用済み核燃料のリサイクルが可能になるまでの間、核のごみを一時保管する施設のことである。

 その後の搬出先として青森県六ケ所村に建設中の再処理工場すなわち、使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料にするリサイクル工場は一九九三年の着工以来、完成延期を二十六回繰り返し、操業開始はおぼつかない。リサイクル燃料を消費する高速増殖炉計画もトラブル続きで中止になった。最終処分場の建設予定地も決まっておらず、一時保管された核のごみに行き場はない

 「国策」に従って原発を動かせば動かすほど危険な核のごみがたまり続けるというのが現実だ。

 使用済み核燃料は今、各原発内のプールで冷却保存されている。

 原発依存度の高い関電は、容量の八割以上が埋まっており、あと数年であふれ出すという状態だ。

 来月には「日本最古」の高浜原発1号機など現有七基がフル稼働する予定だが、その分、核のごみの排出も加速するばかりで、立地する福井県からは県外搬出を強く迫られている。中国電との共同事業は「渡りに船」である。

 調査の受け入れに伴って、国からは多額の交付金が出る。財政難に悩む過疎地に原発施設を押しつけて地域を分断させてきた、「国策」の在り方は相変わらずだ。

 上関町には中国電の原発誘致を巡り、推進派と反対派が四十年以上にわたり、争ってきた歴史がある。受け入れたのは「調査」であり、このまますんなり施設の建設が進むとは限らない。「原発のごみ」にはこれまで以上に強い反発も出よう。よしんば建設に進むとしても、あくまでも「その先が見えない中間貯蔵であり、搬入量にも保管期間にも限度がある。

 核のごみ問題を解決すらせず、国が「原発回帰を進めるのは無責任というしかない。少なくとも最終処分のめどが立つまで、原発を動かして、ごみを増やすべきではない貯蔵プールがあふれるのを防ぐには、それしかない
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/271894?rct=tokuhou

こちら特報部
「なぜ、他の地域の核のごみをこの島に」 中間貯蔵施設の調査容認で揺れる上関町民が語る歴史的背景
2023年8月23日 12時00分

 粘り強い反対運動で原発建設を防ぎ続けたのに、今度は遠く離れた関西からの「核のごみ」受け入れ―。山口県上関(かみのせき)町が大きく揺れている。同町長が、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設に事実上のゴーサインを出したからだ。中間貯蔵と言いつつ、本来その先にあるはずの再処理、核燃料サイクルの夢物語はとっくに破綻しており、「中間」が「半永久」になる恐れも十分ある。原発推進の国策に翻弄され続ける町を訪ねた。(西田直晃


◆原発反対デモが1300回以上続いた

 「また来たか、という気持ちじゃ」

 21日、瀬戸内海に浮かぶ上関町祝島。漁港近くで旅館を営む田尾久子さん(82)は静かに語った。

     (2005年6月、「きれいな海を守ろう、エイエイオー」
      と声を出しながら、デモをする人々。長年に渡り原発反対の
      声は続いてきた=山口県上関町祝島で)

 島民の7割超が高齢者で、新型コロナ禍以降は中止しているが、中国電力による原発計画が浮上した1982年から島内で1300回以上続いた「月曜デモ」の列に加わってきた。「だから(原発は)できていないっていうことですよ」と胸を張る。現時点で再開するかどうかは未定だが、「右足が痛いけど、また始まれば行きますよ」と続けた。

 原発予定地は島のちょうど対岸。漁港近くには、原子力関連施設を活用した町づくりは「イメージダウンにつながる」と警鐘を鳴らすポスターが貼られ、「ふるさとを守りましょう!」と殴り書きされた画用紙が添えられていた。


◆「なんで、そんなに急ぐんか」

 東京電力福島第1原発事故後、上関原発の計画が停滞する中、代替の地域振興策を望んでいた町に対し、中国電は今月初旬、使用済み核燃料を数十年間貯蔵する「中間貯蔵施設」を、関西電力と共同建設するための調査を申し入れてきた福島原発事故後も続々と再稼働をさせてきた関電は、立地県の福井県から使用済み核燃料の県外搬出を求められ、窮地に立っている。

 18日、臨時議会の場で、西哲夫町長が建設に向けた調査容認を表明した。中間貯蔵施設の建設に向けた調査に議決は必要ないが、10人の町議が意見を表明する機会があり、3人が反対を表明。当日は庁舎入りする西町長の車を反対派が取り囲み、30分ほど動けなくなる事態に発展した。

 「上関原発を建てさせない祝島島民の会」代表の清水敏保さん(67)は「なんで、そんなに急ぐんか」と語気を強める。「なぜ、他の地域の核のごみをこの島に運んでしまうのか。関電の原発の再稼働を念頭に置いた出来レースじゃないか」。26日に急きょ、中間貯蔵施設に関する学習会を開くという。


◆「レッテル貼り」に懸念も

 22日朝、町中心部で学習会のチラシのポスティングをしていた大谷利夫さん(72)は「動揺している人が多いためか、頑張れよと励ましてくれる人も多い。原発ほど金が入らんから、というのもあるかもしれない」と語った。

 祝島は、上関町中心部と1日3往復の定期便で結ばれている。だが、町民同士の行き来は少ない。観光地としての知名度もそれほど高くないため、分断や風評被害を懸念する声は多い。

 祝島で育った町議の山戸孝さん(46)は「原子力施設に依存した経済振興は継続性がない。自然を生かした町づくりが必要だ」と表明しているものの、「過激な抗議活動がテレビで報じられると、『政治的な島』だとレッテルを貼られてしまうかも」と揺れる胸の内を明かす。反対運動の中核を担ったかつての青年層は60〜70代になった。

 もともと、中間貯蔵施設の話が持ち上がったのは、前任の柏原重海町長時代の2019年だった。複数の町政関係者によると、前町長は施設による分断を懸念し、「議員の全員一致でなければ公にしない」と非公式に約束していたという。


◆町長は取材に「決めるのが首長の仕事」

     (中間貯蔵施設の受け入れに反対するポスターを示す
      島民の会の清水会長=21日、山口県上関町祝島で)

 前出の清水さんは「話はそこで終わっていたと思っていた」と顔をしかめる。町議会では、昨年から非公開の全員協議会が5回開催されていたが、水面下での動きが町民に伝わることはなかった。だが、昨年10月に前任町長は病気を理由に辞職し、現在の西町長が初当選した。

 原発の代わりに核のごみ。今月になって急転直下した話に、多くの町民が戸惑いを感じている。原発計画自体には賛成してきた漁師歴45年の小浜鉄也さん(64)は「いきなり中間貯蔵施設と言われても、何じゃそれはという話だ」とし、「知り合いの町議でさえそんなことは口にしなかった。視察や意見交換を続けてきたなら、中国電ではなく、町として主体性を持って発表するのが筋だった」と語る。

 22日、「こちら特報部」の取材に応じた西町長は、受け入れの検討を表明した理由を「過疎化などで、今のままではこの町が5年、10年先には存続できない。拙速だという気持ちは分かるが、長引かせるほど、分断は深まっていく」と説明した。

 「10のうち10が賛成することはない。決めるのが首長の仕事だ」と強調。「あくまで検討で建設ではない。上関のことは上関の町民で決める。建設を決める際には議会で採決することになる」と話した。今後、予定される町主催の説明会では出席者を町民に限定する意向も示した。

  

◆「中間」は「最終」にならないのか…他地域での懸念は

 「中間貯蔵施設」は、原発から発生する使用済み核燃料を再処理工場に運び込むまでに一時的に置いておく施設で、既に青森県むつ市で建設が進み、原子力規制委員会による認可審査が最終段階を迎えている。計画では、貯蔵期間は最長50年で、事業開始後、40年目までに使用済み燃料の発生元の東京電力や日本原子力発電(原電)と搬出について協議することになっている。(山田祐一郎

 「これまで下北半島は国の原子力政策に翻弄され続けてきた。核燃料サイクルの先が見通せないことが住民の一番の不安だ。中間貯蔵と言いながら、実質的には永久貯蔵の場になるのでは」。こう懸念を口にするのは、市民団体「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」の栗橋伸夫事務局長(72)。2000年8月、財政難に苦しむむつ市は中間貯蔵施設調査の受け入れを発表した。下北の会は、住民投票条例の制定を目指して必要数を超える署名を集めたが、市議会で否決された。「施設受け入れを巡っては住民同士の対立を生んだ。上関でも同じことを繰り返すことになる」

     (汚染土の中間貯蔵施設=2020年8月、福島県大熊町で)

 中間貯蔵は、東電福島第1原発事故で汚染された土壌でも実施されており、福島県双葉町、大熊町の施設には15年から汚染土の搬入が始まった。大熊町出身で「30年中間貯蔵施設地権者会」の門馬好春会長(66)は「広い意味では、汚染土も使用済み燃料も原発によって生まれたごみ。国は、経済的に困る自治体に押し付けてきた」と国の原子力政策を批判する。その上で「受け入れによって一時的に地元が潤ってもリスクは子孫の代まで続く。上関町の住民はよく考えてほしい」と訴える。

 福井県内の原発の使用済み核燃料について関西電力は、中間貯蔵の県外候補地を23年末までに示すと約束しており、上関町での受け入れによって実現することになる。だが、市民団体「サヨナラ原発福井ネットワーク」の若泉政人さん(56)は「核燃料サイクルが破綻する中で中間貯蔵施設をつくれば問題を複雑化するだけだ。福井で出たごみを上関に押しつける形で、関係がこじれてしまう」と危ぶむ。「一番の解決策は、使用済み燃料を生み出さないことだ」と原発に頼らないエネルギー政策の必要性を強調した。


◆デスクメモ

 タンクがもう満杯でどうしようもない、だから薄めて海に捨てさせてくれという話使用済み核燃料プールがもう満杯で燃料入れ替えができないと原発が停止、だからちょっと置かせてくれという話。どちらも同じ、ごみ捨て場がないのに開き直って、弱い地方に押しつけている話だ。(歩)

【関連記事】原発を積極活用したい政府…「原発マネー」に頼らざるを得ない自治体は山口・上関町だけではない
【関連記事】核燃料の中間貯蔵施設 山口・上関町長「受け入れたい」 全国2例目、調査容認へ 臨時議会で表明
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/276345?rct=tokuhou

こちら特報部
核燃料の中間貯蔵施設計画に揺れる山口・祝島 自然との共生求めてきた移住者の思いは
2023年9月10日 12時00分

 瀬戸内海に浮かぶ祝島(山口県上関町)。船着き場近くに一軒の喫茶店がある。マスターの堀田圭介さん(57)は11年前の春、自然と共生する暮らしに憧れて妻子と移り住んだ。この夏、町に原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が浮上し、40年近く原発に反対してきた島は揺れた。「分断の構図を作り出し、物事を先に進める手法だ」。島民と心を寄せた歳月の重みが憤りを生む。(西田直晃


◆有機豆を自家焙煎しながら…島民に溶け込んで11年

 白塗りの壁に無造作に手書きされた「岩田珈琲コーヒー店」の文字。引き戸を開くと、鼻をくすぐる潮の香りが生豆の香りに変わる。8月下旬の昼下がり、店に堀田さんを訪ねた。

 フェアトレードや有機栽培の豆を用い、自家焙煎(ばいせん)のコーヒーで客をもてなし、島の人々に「珈琲屋」と親しまれている。年配者や他の移住者、観光客がひっきりなしに訪れる。「ホッタくん、ネットのことはよく分からん」と年配の男性が堀田さんに声をかけ、計画に反対する情報発信のために助言を求めていた。日が沈みかけたころ、漁師が取れ立てのタイと生ガキを持ってきた。「コーヒー1杯と交換でいいね」。物々交換も珍しくない。

     (11年前に祝島に移住し、喫茶店を営む
      堀田さん=山口県上関町で)

 札幌市内で喫茶店を営んでいた堀田さんが移住したのは福島第1原発事故後の2012年4月のこと。祝島の対岸で進む上関原発計画への島民の反対運動を追ったドキュメンタリーを見て、山や海とともに生きる人々の姿に心を引かれた。

 もともと、原発に「おかしいだろう」という義憤があった。酪農学園大(北海道江別市)に在学中、チェルノブイリ原発事故に心を痛めた。にもかかわらず、泊原発(泊村)の新規稼働を進める政治に不信感を募らせた。抗議活動に赴き、稼働後も友人らと協力し、風力発電や太陽光発電の資料をトラックに乗せ、全国各地を周回する「脱原発移動資料館」を企画した。


◆賛成=悪、じゃない 町思う気持ちは双方に

 そんな堀田さんも、移住直後には「受け入れてもらえるか不安だった」と振り返る。島民280人(9月現在)、その8割が高齢者の別世界で、店をオープンさせたのは引っ越しから2年後。仕事は少なく、移住者の定着率は「半々程度」にとどまるという。船着き場の荷物運び、冬場のヒジキの収穫、水産物の加工、ごみの収集…。何でもやってきた。島民との信頼関係を育み、現在は町の教育委員を務めている。

 降って湧いた中間貯蔵施設の建設計画。「原発に反対してきた人も高齢化し、心労や肉体の衰えもある。コロナ禍が終わり、穏やかな暮らしに戻れると思ったのに」と嘆く。

 先月18日の臨時議会で、町長が建設に向けた調査容認を表明した際には、反対派に車を取り囲まれた町長が30分ほど立ち往生した。ただ、堀田さんは「計画に賛成する人=悪だとは思わない」という。「財政難で疲弊したこの町を何とかしたいという気持ちは賛否双方にある」と語り、語気を強めて続けた。


◆「お金、ないんでしょ」と近づき、食い物にする

 「原子力関連施設はいつだって、つながりが豊かな過疎地に建てられる疲れ果てた地域に『お金がないんでしょ』と近づき、施設を受け入れざるを得ない状況をこしらえ、分断させて食い物にしてしまう地域のコミュニティーを壊す存在としか思えない」

 祝島への移住は「反原発運動のためではない」とも強調する。店から目と鼻の先にある漁港を眺め、さばいたタイの刺し身と生ガキをほおばりながら言った。

「海で採れたカキを食べ、殻をそのまま海に放り返しても大丈夫。そんなぜいたくな生活があったっていいし、大事にしたい。自然に囲まれた暮らしを守る気持ちが先にあって、原発関係のハコに反対するんです」


【関連記事】核燃料の中間貯蔵施設 山口・上関町長「受け入れたい」 全国2例目、調査容認へ
【関連記事】「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町に
【関連記事】原発を積極活用したい政府…「原発マネー」に頼らざるを得ない自治体は山口・上関町だけではない
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●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》

2023年09月25日 00時00分12秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年08月20日[日])
《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ」の最終処分先》…NUMOにからめとられて、泥沼に足を突っ込み…。百万歩譲って、せめて核発電所を止めてからにしませんか? 全ての核発電所の廃炉作業に着手してからにしませんか? マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放流先どこにするのか、なんて考えるのは変でしょ?

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ
     増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放流
      先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…
    「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
     足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
     ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する
     人口減少、最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」
     があるという》…意味が分からない? 
     そんな理由で死の灰を受け入れるの?」

 対馬市の続報…。あぁ~あ、やっちゃったよ…。
 東京新聞の記事【対馬、核ごみ調査促進の請願採択 市議会特別委、業界団体が提出】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/270606)。《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査について、長崎県対馬市議会は16日、特別委員会を開き、地元の建設業団体が提出した調査受け入れを促進する請願を賛成多数で採択した。9月12日の本会議でも採択される見通し。文献調査に慎重な姿勢を示してきた比田勝尚喜市長は採択を受け「さらに熟慮する」とのコメントを発表し、今後の対応に注目が集まる。文献調査を巡っては、市内の建設業団体が人口減少や経済衰退を理由に受け入れを要請していた。請願の議決は賛成9人、反対7人、欠席が1人。一方、漁協の一部や市民団体が出した反対の請願6件は一括して不採択となった》。

   『●SLAPPと祝島
   『●SLAPPと原発、沖縄
   『●祝島の人たちは海を売っていない(1/2)
   『●祝島の人たちは海を売っていない(2/2)
   『●上関原発反対! ~祝い島島民の会blog~
   『●立ち止まるなら今…「原発政策を福島第一原発
        事故以前に先祖返りさせたのが自民党安倍政権」
    《祝島の閧いは終わらない政府、中国電力の非道
    《ところで人口3300人の上関町は原発誘致に熱心なようだが、
     巨大な原発2基から入ってくる莫大(ばくだい)な金(上関町には
     1984年度以降原発関連交付金として約70億円が支払われている)を、
     何に使おうとしているのだろうか。財政需要額の小さな町に多額の金が
     入ってきて町政が、いや町全体が狂うことはないだろうか。
     老婆心ながら心配になる》

   『●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」:
            大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》
   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
      町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》

 そして……はぁ? 《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》したというのに、またしても驚愕の大愚。核燃料サイクルは破綻し、サイクルの「環」は閉じないまま。使用済み核燃料中間貯蔵施設は、すなわち、《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ」の最終処分》場ということ。(東京新聞)《◆核燃料サイクルが破綻しているのに活用に前のめり 日本国内で原発で貯蔵している使用済み核燃料は、膨大な量だ。およそ2万トンに上り、多くは貯蔵プールで保管する。政府は「核燃料サイクル」を掲げて再利用をもくろむが、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場は完成が延期され続けている。再利用で減らそうにも、要の施設が機能せず、思うようにいかずにいる》。使用済み核燃料中間貯蔵施設なので、上関町から、「六ケ所村の再処理工場が完成したら、搬出してね」って、そんなことは無理でしょ!? しかも、《「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好》…。

   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】

 中電や経産省、国が散々市民を分断してきた山口県上関町、《問われる町衰退の責任》(長周新聞)。そして、何より、祝島の皆さんがお気の毒で仕方ない。絶対にコンナモノを受け入れてはいけない。
 長周新聞の記事【上関を核のゴミ捨て場にするな 関電からゴミもらう中電の卑屈 降って湧いた中間貯蔵施設建設計画 県民の総力でたたかおう!】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27390)。《中国電力山口県上関町に対して使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設を提案したことが、上関町内のみならず山口県内で物議を醸している。1982年の原発建設計画の浮上から41年を経て、原発については町内外の根強い反対世論に包囲されて建設には至っていないものの、さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場にする正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている。この間、上関町内に乗り込んで取材にあたってきた記者たちで、状況について分析、論議してみた》。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27390

上関を核のゴミ捨て場にするな 関電からゴミもらう中電の卑屈 降って湧いた中間貯蔵施設建設計画 県民の総力でたたかおう!
社会 2023年8月13日

     (原発建設に反対し中電のボーリング調査を阻止する
      漁業者たち(2005年6月、上関町))

 中国電力山口県上関町に対して使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設を提案したことが、上関町内のみならず山口県内で物議を醸している。1982年の原発建設計画の浮上から41年を経て、原発については町内外の根強い反対世論に包囲されて建設には至っていないものの、さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場にする正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている。この間、上関町内に乗り込んで取材にあたってきた記者たちで、状況について分析、論議してみた。


心してかかってこいよ!関電

 A 降って湧いたような中間貯蔵施設の誘致話で、「どうして上関なのか」「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好だ。中電の必要性からすると、島根原発の施設内に建設するのが妥当で、わざわざ上関まで使用済み核燃料を運んでくるというのは非効率でしかない。費用からしても非効率なのだ。中間貯蔵施設の必要性に迫られているのは誰がどう見ても関電で、原発銀座でもある福井県内の美浜高浜大飯の7基の原発施設内の核燃料プールにため込んだ使用済み核燃料が容量上限に近づいており、これを福井県外に持って行けということで、福井県ともめていた。

 B 核燃料プールの貯蔵容量の上限に対して関電は8割に上り、島根原発のみの中電は68%(約7割)で比較的余裕があるというが、実際のトン数を見たらわかるように、関電の美浜原発が抱えている使用済み核燃料の貯蔵量が480㌧(容量上限620㌧)、高浜原発が1380㌧(同1730㌧)、大飯原発が1820㌧(同2100㌧)で、あわせて3680㌧にものぼる。島根原発で中電が抱えているのは460㌧(同680㌧)とその差は歴然としている。上関に建設しようとしている中間貯蔵施設がどれだけの規模なのかははっきりしていないが、要するに関電の使用済み核燃料のゴミ捨て場にされるということだ。3000㌧クラスの規模になってもおかしくない。
 美浜原発は1、2号機が廃炉作業中で、3号機は40年以上稼働した老朽原発でありながら、これが再稼働している。高浜原発も1号機、2号機はもうじき50年になろうかという老朽原発で、3号機、4号機とて40年近く稼働している老朽原発だ。大飯原発も1号機、2号機は40年ごえ、3号機、4号機は40年ごえしているような原発だ。そこに溜め込んできた使用済み核燃料を福井県外に持ち出さないといけないため、関電が場所を求めている関係だ。なぜに山口県が関電のゴミ捨て場にされないといけないのかだ

 C 福井県が県外に持ち出せ」といっているものを喜んで受け入れるのが山口県・村岡知事なのだろうか。バカではあるまいか? と思うが、日本中どこを探しても「中間貯蔵施設をうちに建設して下さい」というような自治体は珍しい。地獄の沙汰もカネ次第で長年にわたって原発や米軍基地に郷土を売り飛ばす政治をやってきたとはいえ、山口県政界の態度も問われている。県民としては見過ごせない重大な問題で、「上関町の政策選択なのでコメントする立場にはない」では済まされない。当事者は立地自治体の上関町民のみとはならない。山口県東部の住民のみならず、山口県民全体が当事者として考えなければならない重大な問題なのだ。何か事が起これば無関係では済まないのだから。

 A 中間貯蔵施設などといっているが、核燃料サイクルそのものは破綻しており、実質的には最終処分場にされかねない。原発は建っていないのに、まさに「原発の墓場」にしようというのだ。核燃料サイクルでいうと、青森県六ヶ所村に30年前から建設している再処理工場がトラブル続きでメドがたたず、完成時期をずらしにずらして今日に至っている。総事業費として14兆7000億円を注ぎ込んで行き詰まっている。そのために全国の原発で敷地内なり貯蔵プールに使用済み核燃料を抱え続け、福島原発事故でもまさかあれほど大量の使用済み核燃料を原発内に抱えていたとは誰も思っていなかった。あの事故によって、使用済み核燃料をとり出すだけでも少々でない労力だったことはニュースでも報じられてきた。厳重に冷やし続けないといけないのだ。
 斯くして行き場のない使用済み核燃料が増え続けているのに原発は再稼働してさらに使用済み核燃料を増やし、かといって再処理工場がないために、急場凌ぎで中間貯蔵施設をつくろうといっている。原発を止めてしまえば使用済み核燃料は増えないのだから止めればよいのに、それはやらずに「たいへんだー!」「満杯になったら原発が止まるー!」と騒いでいる本末転倒も甚だしい
 使用済み核燃料は仮に再処理されても高レベルの放射性廃棄物となり、地下深くに埋めて数万年から10万年かけて安全に管理して、ようやく天然ウラン並みの放射能になるという。この建設場所も決まっていないのが現状だ。原発はよく「トイレなきマンション」とも揶揄されるが、そのように後先のことを何も考えていない政策なのだ。
 核燃料サイクルという実現できもしない建前を掲げることで原発政策を正当化し、無責任に使用済み核燃料だけが増え続けている
 これらを推進しているのは経済産業省であり、上関に中間貯蔵施設を作れと背後で糸を引いているのも国にほかならない。福井に断られたからといって山口県をゴミ捨て場にしようとする関電も厚かましいが、国の存在抜きに動くような話ではない


原発推進40年の挙げ句 町民の反発は必至

 B
 上関町内で住民に意見を聞いて回ったが、誰もが一様に驚いている。寝耳に水で、テレビのニュースで初めて聞かされて仰天した人がほとんどだ。事前に何らの話もなく、全国版ニュースでいきなり「上関町に中間貯蔵施設」が報じられた。これには推進派の住民も「えっ?」と戸惑っていたし、「なぜ関電の原発のゴミをわたしたち上関が引き受けなければいけないのか」と疑問を口にしていた。40年以上も原発騒動でもめてきて、上関原発建設計画については実質的に破綻して建設のメドもないなかで、今度は中間貯蔵施設というわけで、要するに上関をゴミ捨て場にするのだから「ふざけるな!」という感情になるのは当然だ。
 候補地として中電が示しているのは、90年代に入ってもともと原発用地として買い占めてきた土地で、より四代地区(予定地に最も近い集落)に近い。この土地を別目的である「中間貯蔵施設としてどうぞ」といって利用しようとしている。地権者からすると「話が違うではないか」という思いもあって、「こんなことが許されるのだろうか」「いまになって詐欺みたいな話だ」と話す住民もいた。いくら中電の所有地になっているからといって、こんな勝手な真似が許されるのか? と――。

 A 上関については長年取材にもあたってきて、推進派住民ともよく話はするのだが、さすがに今回のやり方については憤っている人が少なくない。頭越しですべてが勝手に動いており、住民そっちのけなのだ。一言の説明もなくいきなり報道で知らされ、住民感情としては穏やかでないものがある。中電の驕りというか、上関を好きなようにできるという思い上がりを感じとっている。
 それで町長と議会が飼い慣らされた賛成マシンとして同意したとしても、ちょっと単純にはいかないだろうな…という感触だ。住民同意がまるでない。現状では中電が町の上層部を例の如く丸め込んで、好き勝手に計画を持ち込んでいるだけなのだ。40年かかって原発1基建てられずにきた中電が、何をいい出すのかと思ったら「中間貯蔵施設をつくります」などといい始め、しかも上関に持ち込まれるのはその原発でできた行き場のない核のゴミ。傍から見ると、上関を公衆便所か何かのように扱っているし、「中電いい加減にしろよ!」という感情になるのも当たり前だ。
 ただこれは、中電の都合で動いているというよりも、関電と国の意向で動いている要素の方が強い。中電としてはカルテル問題でやり玉に挙がって社長の首が吹っ飛んでおり、監督官庁の経産省や電力業界のなかで首根っこを抑えられている。上関については原発計画もお手上げ状態なのは一番わかっているはずだ。近年は上関へのかかわりもどこか引き気味できていたが、そんな矢先に「中間貯蔵施設をつくります」などといい出しており、推進派住民からしても「なにをいまさら」という思いを口にする人は少なくない。長年にわたって踊らされてきたが、興ざめしている人々が大半だ。もう40年かけて今度は中間貯蔵施設を巡って大騒ぎが続くのかと思うとうんざりするのも当然で、「あいだ(飽きた)」という。


次期衆院選の重要争点 計画背後に自民岸派

     (漁業権を守るため中国電力の上陸を阻止する
      上関町祝島の島民や漁民たち(2010年))

 A 2011年以後は工事もストップして、上関原発建設計画については建設のメドがまるでない。これは福島事故を受けて国の原子力政策が揺らいだことも関係しているが、上関については福島事故以前からメドなどない。原発用地も虫食いで売却に応じていない地権者も複数いるし、極めつけは祝島が受けとりを拒否しているために漁業補償が成立していない。だから「着工」パフォーマンスはできても、実際に埋め立て工事などやれば漁業権侵害で訴えられるのは中電であり、手を付けられない関係だ。漁業補償が成立していない海域の公有水面埋立免許を出したのが村岡知事であり、これまた全国でも例がないことをやっている。
 漁業補償については2000年代に126億円が関係8漁協にばらまかれたが、すでに20年以上が経過しており、その間に漁業者もずいぶんと入れ替わった。民法上も債権は10年といわれるが、20年も前の契約と補償金をもって「漁業補償は成立している」といって現在の海に手を付けるというのも無理がある。漁業補償交渉は一からやり直さなければ、現在の漁業者の権利を侵害することになる。一銭も補償金をもらっていない現在の若手漁師にとっては容認し難いものだ。つまり、振り出しに戻っているということだ。ただ、振り出しに戻っているとはいえ、買い占めた広大な土地だけは擁している。そこに、ならば「中間貯蔵施設を作ります」というのだ。

 C 山口県では、1979年の豊北原発建設計画の断念から上関町に舞台を移して原発計画とのたたかいがくり広げられてきた。この間、山口県では1基も原発を建てさせていない。この最大の原動力は県民の反対世論の強さにある。自民党が牛耳る県政は中国電力の最大株主でもあり、中電とタッグを組んで推進してきたが、町内外の反対世論が圧倒している状況は変わらない。
 JCO東海村臨界事故が起きた後、佐藤栄作の息子である信二が「わたししか上関原発を建設できない」と原発建設の巻き返しを叫んで衆院山口2区で落選したこともあった。佐藤信二としては新規立地の突破口である上関を前に動かすことで中央政界において得点稼ぎをしようとしたのだろうが、逆に2区の有権者から総スカンを食らって、以後は国政に返り咲くことなどできなかったそれほど反対世論は根強いものがあるし、2区は米軍岩国基地と上関は重要な争点になる。

 A この時期に中間貯蔵施設が降って湧いて思うのは、次の衆院山口2区が大注目されるということだ。補欠選では岸信千世がかつがつ当選したものの、無所属で挑んだ平岡との差は僅かだった。中間貯蔵施設への態度如何によっては「岸家の命脈」は絶たれることになるに違いない。西村経産大臣は岸信介の後継者として地元岸派を引き継いだ吹田の娘婿で、これが上関をゴミ捨て場にしようと画策しているというのなら信千世も無関係では済まない。平岡が再度2区で挑もうとしているが、「上関への中間貯蔵施設建設は認めないとはっきり態度を打ち出せば、残り数千票の差など恐らくひっくり返る。保守層も含めてこの地域では国策に対してギリギリとした思いが鬱積しているのだから。逆に立憲民主党が日和った場合は自爆だろう

 C 上関への原発建設なり中間貯蔵施設の建設というのは、前段でも論議になったように上関町内、2300人の町民だけの問題ではない。仮に上関町長と議会が「作っていいですよ」といったからといって、「はい、そうですか。仕方ないですね」では済まない。広く山口県民全体の問題として考えなければならない性質のものだ。住民同意は上関だけで良いとはならない。周辺自治体の首長たちも態度が迫られることになる
 中央構造線断層帯が走っている目と鼻の先に中間貯蔵施設を建設して、仮に巨大地震に見舞われたらどうなるのか、あるいは台湾有事などを叫んでいる折に、ミサイル攻撃の格好の標的になることも歴然としている。何千㌧という使用済み核燃料を抱えた施設にもしかの事態が起こった時にどうなってしまうのか、何が起こりうるのか現実的に想定しなければ話にならない。上関以外の人には無関係という性質の話ではないのだ。いずれは県知事の同意も必要になるだろうし、そのときは村岡も態度が迫られることになる。山口県民としては選挙において厳正に審判を下さなければならない時がくる。


地域振興どころか衰退 中電による飼い殺し

 A 中電としては40年かけて狭い上関町は買収し尽くした。町長や町議は頭が上がるヤツなど一人もいないし、おかげで好き放題ができる関係だ。町は計画が浮上した頃には7000人以上いた人口が、いまや2300人と激減している。高齢者が多く、現役世代は都会に出て帰ってこない。それもこれも、40年間も原発騒動に時間を費やし、「原発ができれば町が発展する」とバカの一つ覚えの如く旗を振ってきたことと無関係ではない。
 「原発ができれば町財政が豊かになる」「原発ができればそこで働けて人口が増える」「原発ができれば…原発ができれば…」の夢追いをしてきて、産業振興に無関心なものだからますます人口が減少して人が住めない町になってきた
 この間、町内に取材に行ってみても、ずいぶんとこれまでに知り合ってきた町民の皆さんが亡くなられていて、空き屋の多さも尋常ではなかった。40年も経てば無理もない話ではあるが、「原発ができれば…」の罪深さを感じさせる。
 産業としては漁業が主力なのだが、その振興には不真面目で投機的に電源交付金に飛びついて箱物をこしらえたりするのだけは大好きなのが特徴だ。2000年代にかけて巨額の原発関連の交付金も下りたが、温泉を掘ったり、学校を新しくしたり、道の駅を作っても、身にならないから人口はますます減少する。町財政が厳しいというが、カネがいくらあってもこれではどうにもならない。
 北海道の小さな町がふるさと納税で年間100億円をこえる金額を集めたとかが話題になっているが、地方の魅力を発信して農産物を返礼品として掲げるだけでも、ずいぶんなことができるものだと感心する一方で、そんな努力もせずに口を開けて餌を与えられるまで待っているようなのが上関町政だ。「原発ができれば…」の投機的な姿勢が転換されないまま、ずるずると40年も経過してしまった。

 C もっとも罪作りなのは中電で、買収し尽くして町全体をコントロール下に置いてしまった。7000人を買収するより2300人を買収するほうが楽で済むし、人口など減れば減るほど楽に町全体をコントロールできる関係にほかならない。選挙をコントロールするのも、少なければ少ないほど対象が小さくて済む。買収選挙など当たり前で、町民の就職先や縁故関係から切り込んだり、住民間の矛盾であったりを調べ尽くして、それらすべてを原発推進に利用してきた。弱みを突いて反対派だった住民を転向させたり、反対派に手先を潜り込ませたり、実は裏でつながって飼い慣らしていたり何でもありだ
 上関の反対派といったとき、一般の住民たちは一生懸命に反対を貫いてきた一方で、インチキな輩、実は中電とつながっている(ぬえ)みたいな輩とかさまざまいるわけで、決して単純ではない。長周新聞としてはインチキな反対派幹部が運動を敗北に誘っていくことについては公然と批判を加えてきたし、裏切りについては記事にもしてきた。そういった連中は結局のところ住民のなかで正体が暴露されて力を失ってきた。そのことも上関原発が建設できなかった大きな要素になっている。
 今回の中間貯蔵施設についても柏原前町政の時期から町議会の全員協議会には話が振られていたというのに、いわゆる反対派といわれる町議たちはなぜダンマリをしていたのか? という疑問がある。盆明けには町議会で判断するといっており、8月中に全議員の態度が迫られる。郷土上関を核のゴミ捨て場にするのかどうかが問われている。
 関電から核のゴミ捨て場扱いをされているのに、「やったー! カネが入ってくる」「これで人口が増えます」みたいなことをいっているならどうかしている。福井県すら「県外に持ち出せ!」と激怒している代物大喜びで「上関に持ってきて!」といっているに等しいからだ。

 A いずれにしても上関だけの問題ではないし、広く山口県民の世論を結集して対峙しないことにはどうにもならない。原発にせよ、米軍基地にせよ、郷土を売り飛ばして中央政界で大きい顔をしているのが山口県の政治家たちで、これらも一緒になって中間貯蔵施設を山口県に持ち込むというのなら、上関原発闘争40年ではないが、本腰入れてやり合わないといけないということだ。最も手っ取り早い初めの一手としては、岸信千世を大差で落選させることになる。2区の有権者が激怒した選挙がどうなるのか、計画を持ち込んだ自民党岸派は補欠選挙以上に痺れたら良い。

 B 佐藤信二が落選した選挙では長周新聞も選挙区に乗り込んで号外を何万枚と戸別配布したが、大いにやりあったら良いのではないか。県民世論に火を付けていくほかない。現状では「中間貯蔵施設を作ります」と勝手にいっているだけで、作らせるも作らせないもすべて世論との力関係で決まる。原発を一基も建てさせていない山口県民相手に関電が豪腕を振るうというなら、なおさら県民感情としては燃えるものがある。
 普通に考えて、関西の電力供給のために溜め込んだ核のゴミを持ってこられて喜ぶ県民などいないし、「どうして山口県が受け入れないといけないのか?」と思うのが一般的だ。山口県は核の肥だめではないし、ふざけるな! と思っている人が大半だ。それらの世論をつなげて全県と現地がつながっていくことが大切だ。上関現地の問題に切り縮めたがっているのに対して、上関だけの問題では済まないことをはっきりさせて、運動を作っていくことが重要だ。この40年もそうやって対抗してきたのだ。
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コメント
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●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」

2023年04月11日 00時00分02秒 | Weblog

[※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年03月27日[月])
〝反核燃サイクル〟派…反核燃サイクルを唱えただけですが、それが、いまや「核武装」支持派になり果てて…。発送電分離(所有権分離)についてもいいこと言ってるよね、2013年3月野党自民党当時に。【電力行政の基礎をつくった自民党にも責任あり ウラで蠢く“電力族”はオモテに出て議論すべし ――河野太郎・衆議院議員インタビュー】では、《―発送電分離の議論はどのように見ているか。…発送電分離はあたりまえだ。電力利権に事故の原因があることは、国民のだれもがわかっているはずだ。所有権分離にまで踏み込むのは当然だ。そうでなければ、分離にならないでしょう。社内カンパニー制にすることはまったく意味がない。体質がそもそも問題なのだ。福島第一原発でおきた臨界事故を28年間も隠していた会社ですよ、東京電力は。》《――東京電力はどうすべきだったのか。…今のようにゾンビ企業にしないで出直させるべきだった。だいたい、資本主義の世界で、当時官房長官だった枝野氏は特定の会社を取り上げて破綻させないと言った。こんなことがあっていいのか。しかもその会社の株は、市場で自由に売り買いされている。知り合いの中小企業のオヤジさんたちは「じゃあ、うちの会社も破綻させないっていってくれよ。なんでもやるよ」と笑っている》。

   『●原発人災、犯罪者を追求すべし: 
      なぜ自民党議員は口を閉ざし、マスコミは黙り込むのか?
   『●「核の傘」の下のニッポン…オーストリア軍縮大使
        「世界で唯一の被爆国として特別な役割がある」

 『報道特集』(2017年12月2日)《核廃絶 問われる日本の姿勢》にて。河野洋平河野太郎親子の天地の違い…。息子は、大惨事アベ様内閣で入閣して以降、壊れゆく一方だ。「反核燃料サイクル派」さへかなぐり捨てていたかと思えば、外部大臣として自身の「ブログを読め」との御宣託だが、「核武装」支持派に回るとはね。あまりの情けなさ、壊れっぷりに呆れ果てた。

   『●行政改革担当相兼COVID19ワクチン接種担当相の河野太郎氏に、
     大変に名誉なことに、いつの間にかツイッターをブロックされていた…
   『●《「ブロック太郎」…過剰な自慢話は醜悪…長期にわたって新型コロナ
      ワクチン行政を混乱させた張本人が、何を血迷っているのか、と。》

 さて、西田直晃山田祐一郎両記者による、東京新聞の記事【河野太郎氏も警鐘を鳴らした使用済み燃料プールの危険性とは 原発への攻撃はウクライナ侵攻で現実化】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/232485)によると、《使用済み核燃料を巡り、貯蔵プールもろさを指摘する声は過去にもあった。「3.11で脆弱性がはっきりしたのは使用済み核燃料プール」「警備体制はどのように変わるんですか」 発言の主は河野太郎氏。今のデジタル相だ。東京電力福島第一原発事故から半年余りたった2011年11月、衆院決算行政監視委員会でこうただした。野党議員だった頃だ。翌12年9月にも自身のブログで「原子炉と使用済み核燃料プールは、テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」と書きつづった。いまも当時と同じ考えなのか。事務所を通じて質問したが、今月21日夕までに回答はなかった》。

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
     を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/232485

河野太郎氏も警鐘を鳴らした使用済み燃料プールの危険性とは 原発への攻撃はウクライナ侵攻で現実化
2023年2月22日 12時00分

 ロシアのウクライナ侵攻から24日で1年。この間、原発への攻撃が世界に衝撃を与えた。日本で備えを考える時、重要になるのが使用済み核燃料の扱いだ。原子炉で役目を終えると主に貯蔵プールで保管されるが、あの団体、あの政治家が問題視するのがプールの脆弱ぜいじゃくさだ。今のままでは原発が攻撃された際に「泣きどころ」となり、甚大な被害を招きかねない。岸田政権は原発稼働ばかりに力を注ぐ場合ではない。(西田直晃山田祐一郎

【関連記事】核のごみ最終処分は「国の責任」っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること


◆ロシアは侵攻直後から原発を狙った

     (ザポロジエ原発=ウクライナの原子力企業
      エネルゴアトムの公式サイトより)

 ロシアメディアがウクライナの原発への電源供給を遮断させるため、関連施設への攻撃を提唱している—。18日、米シンクタンクの戦争研究所はそんな見解を示した。

 翌19日。ロシア軍が占拠し、軍事拠点化しているウクライナのザポロジエ原発を巡り、同国の外務省は声明を発表した。ここでは安全確保のために常駐する国際原子力機関(IAEA)の専門家の交代をロシアが拒んでいると非難した。

 原発への攻撃は早くから危惧された。昨年1月の段階でウクライナ駐日大使のセルギー・コルスンスキー氏が懸念した。悪い見立ては的中し、ロシアの侵攻直後から原発は狙われた

 攻撃は続き、使用済み核燃料の貯蔵施設付近にも着弾したという。ロシア側はウクライナ側から攻撃を受けたと主張したほか、攻撃による最大のリスクは原子炉ではなく、使用済み核燃料の貯蔵施設と訴えた。

 甚大な被害をもたらしかねない使用済み核燃料は、ウランを原料とする。原子炉内で4〜5年間使用した後に取り出される。

 原子力資料情報室上沢千尋氏によると、この状況でも発熱量や放射線量はなおも高いままだ。国内では主に原子炉建屋内の貯蔵プールに保管し、水を循環させることで発熱量などを下げている。

 保管方法は貯蔵プールだけではない。プールで5〜6年冷やした後に「乾式キャスク」という金属製の容器に入れ、空気循環で冷却するタイプもある。「安全面では頑丈なキャスクのほうが数段上と言えるが、コスト面の事情もあり、まだ普及は道半ば。欧州に比べ、乾式キャスクの普及が遅れている」(上沢氏)


◆「外部攻撃に脆弱」と指摘するのは…

 ウクライナ侵攻後、貯蔵プールの脆弱性を問題視してきたのが、笹川平和財団の小林祐喜研究員だ。

 財団のサイトでは「原子炉が鋼鉄製で、さらに格納容器に守られ、外部からの攻撃に一定の頑強さを有する」とつづった一方、使用済み核燃料の保管は「多重防護の仕組みになっていない場合が多い」「外部攻撃に脆弱」「(水が尽きるなどして)使用済み核燃料が大気にむき出しになれば、高濃度の放射線が広範囲に放出される」と訴えた。

 東京電力福島第一原発事故でも4号機で水素爆発が起きた際、使用済み核燃料の貯蔵プールで異変が起きた可能性が取り沙汰された。取材に応じた小林氏は「福島事故後も日本はどう対策していくかが定まらなかった。やや認識が甘かったとも言える」と語る。

 ちなみに笹川平和財団の名誉会長だったのは故笹川良一氏。流れをくむ別団体の「笹川保健財団」の評議員には、福島県立医科大副学長の山下俊一氏がいる。福島原発事故後の講演で「放射線の影響はニコニコ笑っていれば来ません」と楽観論を披歴した人物だ。

 笹川平和財団も警鐘を鳴らす貯蔵プールの脆弱性。前出の上沢氏も「有事の際に貯蔵プールなどが破壊されると、建屋に近付けなくなる。取り返しの付かない事態が起きる」と話す。


◆野党議員時代の河野太郎氏も「潜在的な弱点」

     (河野太郎氏=1月28日、名古屋市で)

 使用済み核燃料を巡り、貯蔵プールもろさを指摘する声は過去にもあった。

 「3.11で脆弱性がはっきりしたのは使用済み核燃料プール」「警備体制はどのように変わるんですか」

 発言の主は河野太郎氏。今のデジタル相だ。東京電力福島第一原発事故から半年余りたった2011年11月、衆院決算行政監視委員会でこうただした。野党議員だった頃だ。翌12年9月にも自身のブログで「原子炉と使用済み核燃料プールは、テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」と書きつづった。

 いまも当時と同じ考えなのか。事務所を通じて質問したが、今月21日夕までに回答はなかった。

 では、岸田政権はどう対応しているのか。

 昨年10月の衆院予算委では、立憲民主党の岡田克也幹事長が「プールにある使用済み核燃料、本当に厄介だ」「ミサイルが当たったらどうなる」と質問。使用済み核燃料は貯蔵プールから出した上、金属製容器の乾式キャスクに移すことにより、防護力を高めるよう求めた。

 これに対し、答弁した西村康稔経済産業相は「原子力規制委員会が一元的に所掌している」「経産省としては差し控えたい」と述べ、所管外と言わんばかりの姿勢が際立った


◆規制委は「事実上無理だ」

     (新型転換炉ふげんの使用済み核燃料が保管されている
      プール=茨城県東海村の東海再処理施設で)

 名指しされた規制委がどうかといえば、ウクライナ侵攻直後の昨年3月、委員長だった更田豊志氏が会見で「武力攻撃に対して堅牢(けんろう)性を持つ施設という議論は計画もしていないし、事実上無理だ」と語り「お手上げぶり」をあらわにした。その上で一般論として「使用済み燃料プールよりも乾式キャスクのほうが防御力は高まる」と語った。現在の山中伸介委員長も見解を踏襲する。

 この1年で対策は進んだのかというと、規制委の広報担当者は「原子炉等規制法は、武力攻撃を想定していないという見解に変わりはない。テロ対策として乾式キャスクへの移行を改めて規制委が指示したということはない」と明かす。

 元原発設計技術者の後藤政志さんは「各電力会社はキャスクへの移行を計画してはいるが、使用後の燃料はプールで冷やした上で移す必要がある。この時間が相当かかる」と述べ、原発を運転し続ける限り、貯蔵プールでの保管は避けられない問題だと指摘する。

 岸田政権の鈍さにはこう憤る。「事故やテロといった大きなリスクがあるにもかかわらず、発生確率が低いと見なし、有効な対応を打たずにいる


◆核燃料サイクルが破綻しているのに活用に前のめり

 日本国内で原発で貯蔵している使用済み核燃料は、膨大な量だ。およそ2万トンに上り、多くは貯蔵プールで保管する。政府は「核燃料サイクル」を掲げて再利用をもくろむが、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場は完成が延期され続けている。再利用で減らそうにも、要の施設が機能せず、思うようにいかずにいる。

 だが、岸田政権は原発活用に前のめりだ原発の60年超運転次世代型への建て替え容認にかじを切った。脆弱なプールに貯蔵される使用済み燃料は増え続け、それだけ防護に手間も時間も要することになる

 「サイクルがずたずたに途切れているのに、政府は回っているように扱い、問題に向き合うことを避けている」。青山学院大の本間照光名誉教授(原子力損害賠償制度論)はそう語る。

 福島で原発事故が起き、ウクライナ侵攻で原発稼働に大きなリスクがあることが露呈したと訴え、こう続ける。「手に負えないリスクとコストに責任を持たないで来た。原発を動かす判断をするならば最低限、前提となるテロ対策、安全対策に手を打つべきだ」


◆デスクメモ

 原発が、使用済み核燃料の貯蔵プールが標的になる恐怖は容易に想像できる。攻撃されたときに生じる民間人の被害も。にもかかわらず、備えの議論は滞る。対して自衛隊は、防護対策として司令部の地下化まで論じられる。誰かを見捨て、誰かを守る。そんな国を愛せと言うの。(榊)
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●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》

2023年04月06日 00時00分41秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年03月21日[火])
足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を突っ込み…。

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…

 《町民の皆さんがその道を選んだ》…なんでそうなるのだろうか??

   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 古賀茂明さん《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、と社長に聞く。社長が頷いたら、「では、1カ月以内に最終処分までの計画を出してください」と言う。それは無理だというだろうから、では1年待つと言って、議論を終わる。 これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる。 国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ。新政権には、是非そうした議論をして欲しい》。

 空虚な《地域振興》ではないのか? トイレなきマンションの、まずはトイレからの垂れ流しを止めてからの議論開始ではないのか?

 宮畑譲西田直晃両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/核のごみ最終処分は「国の責任」っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/231170?rct=tokuhou)によると、《原発活用に前のめりになる岸田文雄政権。今度は使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に向け、国の責任で取り組む方針をまとめた。語感の頼もしさと裏腹に不信が募る。東京電力福島第一原発事故の対応でも政府は「国の責任」を強調してきたが、独断専行に傾く局面が目に付いたからだ。最終処分を巡って今後、どんな展開が待ち受けるのか。文献調査が進む北海道寿都町(すっつちょう)神恵内村(かもえないむら)にどう影響するのか。(宮畑譲西田直晃)》。

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/231170?rct=tokuhou

こちら特報部
核のごみ最終処分は「国の責任」っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること
2023年2月15日 12時00分

 原発活用に前のめりになる岸田文雄政権。今度は使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に向け、国の責任で取り組む方針をまとめた。語感の頼もしさと裏腹に不信が募る。東京電力福島第一原発事故の対応でも政府は「国の責任」を強調してきたが、独断専行に傾く局面が目に付いたからだ。最終処分を巡って今後、どんな展開が待ち受けるのか。文献調査が進む北海道寿都町(すっつちょう)神恵内村(かもえないむら)にどう影響するのか。(宮畑譲西田直晃


◆たまり続ける使用済み核燃料

 「政府一丸となって、かつ、政府の責任で、最終処分に向けて取り組んでいく」。高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を巡り、10日にあった閣僚会議。ここで示された基本方針の改定案に冒頭の一節が明記された。現在は意見公募(パブリックコメント)の最中で、改定されれば2015年以来、8年ぶりとなる。

 使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物は「核のごみ」とも呼ばれる。現状では各原発の貯蔵プールで使用済み核燃料がたまり続け、廃液をガラスと固めた「ガラス固化体」が加工されている。

     (新型転換炉ふげんの使用済み核燃料が保管されている
      プール=茨城県東海村の東海再処理施設で)

 「核のごみ」はやっかいだ。放射能が極めて強く、寿命も長い。00年制定の最終処分法によれば、地下深くで地層処分する計画だが、安全面の問題などから具体的な道筋を描くに至っていない

 国が責任を強調するのはこの状況の裏返しでもある。最終処分法の制定以降、「手挙げ方式」と呼ばれる全国公募が始まった。07年に高知県東洋町が応募したものの、町民の激しい反対で取り下げに。現在、選定プロセスの第1段階に当たる「文献調査」を受け入れているのは、北海道の寿都町神恵内村だけだ。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、過去5年に約160回の説明会を全国で開いたが、関心を持つ地域は限定的だった。かたや最終処分場が決まった国外の例では10件程度の候補地から1件に絞った経緯がある。担当者は「調査の結果、処分地になりえないことや民意の反対もある。候補地はもっと必要」と話す。


◆政府方針に不信「本当にできるのか」

 現行の仕組みでいえば、処分地選定と処分自体を担うのは、電力会社が事業費を拠出する原子力発電環境整備機構NUMOニューモ)だ。ただ処分地選定が難航するため、国は15年に基本方針が改定された時も、適性の高いと考えられる地域を提示するなど、前面に出た。今回は「さらに一段ギアを上げようということ」(前出の担当者)になる。

 神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)は「原発政策は国策なのだから国に責任はある」と理解を示す一方、懸念も浮かぶ。「国が地方に力ずくでやるということになってはいけない」

 根底には国への不信がある。「福島第一原発事故後の対応で、国や電力会社は信頼されることをやってきたのか」。例えば第一原発で生じる汚染水の後始末。首相時代の菅義偉氏は「政府の責任で対応する」と述べたが、海洋放出に反対する声に耳を貸さず、処理後に放出する方針を決めた。

 国が最終処分に前のめりになっても「本当にできるのか」と疑う向きもある。

 高レベル放射性廃棄物は安全になるまで10万年を要するとされる。大阪大の平川秀幸教授(科学技術社会論)は「日本は地震国そこら中に活断層がある地中深くに移した後に問題が見つかった場合、放射性廃棄物を取り出せるのか原発関連の技術への不信はぬぐえていないまして10万年先の安全を確保できるのか」と語る。


◆調査進まないのは「選挙が控えているから」

 岸田政権が「最終処分に向けて国の責任で取り組む」と宣言した今、文献調査が進む寿都町と神恵内村の人びとは何を思うのか

 2020年11月から始まった両町村の文献調査は現在も続いている。当初は約2年の予定とされたが、NUMOの広報担当者は「想定より時間が掛かっている。調査結果を評価するための考え方を経産省のワーキンググループに尋ねているところ。いつまで、と決まっていない」と話す。

 地質図や学術論文などを用いた文献調査が終われば、地元の意向を踏まえ、地質や地盤を調べる概要調査への移行を図るという。第2段階に当たる調査だ。

 3年前に文献調査への反対を表明した神恵内村議の土門昌幸さん(69)は「2年を過ぎても調査が終わらないのは、選挙が控えているからでは」といぶかる。ここで言う「選挙」とは4月に予定される村議選のこと。賛成派の村議が多い現状を踏まえ、波風を立てたくないのでは、とみる。

 土門さんは「村民への説明が不十分なまま時間がたってしまった。概要調査は知事が『受け入れない』と明確に表明しているので、村長に歩調を合わせるように働きかけるしかない」と自らに言い聞かせる。


◆賛否分かれて人間関係も壊れた

     (寿都町役場(右奥)の近くに立てられた看板=2020年撮影)

 一方、寿都町の反対派住民グループの槌谷和幸さん(74)は岸田政権に対して「端的に言うと、腹立たしいのひと言」と語気を強める。「『最終処分は国の責任で』と強調されると『調査が進む町村で国が処分地選定を強力に推し進める』に聞こえてしまう。国の言うことは全く信用できない」

 同町では、文献調査から概要調査に移る際、住民投票を実施すると条例で定めているが、町長の決定への拘束力はない。

 重みを持つのが町議会の意向で、現在は賛否が拮抗 (きっこう) する。10月には町議選が予定され、槌谷さんは反対派候補の擁立を模索中だ。しかし「見つけるのに苦労している。この小さな町は町民のつながりが濃密で、賛否が分かれたことで人間関係が壊れた人もいる」。

 推進勢力の出方も警戒する。NUMOの担当者らによる説明会について「『対話の場』と言っても実情は違う一方の見解を言い含める場になっている」。推進派への取り込み、反対派の切り崩しが今以上に進むことを危惧する。

 岸田政権は今月10日、「GXグリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定し、原発の積極活用を盛り込んだ。異論が噴出するタイミングで最終処分の基本方針案を示し、「国の責任」を強調した。


◆「地方を悩ませ、苦しませているだけ」

 長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)は「最終処分場がないと一層、責められる。そうした声を意識しただけ。アピールの意味合いが強い」と述べ、批判そらしの意図を疑う。その上で「処分地選定に力を入れると言っても、実質的には電気事業連合会電事連)任せになる。特段の変化はないだろう」とみる。

 最終処分場の議論は避けては通れない一方、寿都町、神恵内村の例に漏れず、住民の納得を得ずに議論を進めるのは問題がある。

 信州大の茅野恒秀准教授(環境社会学)は「最終処分場についてはこれまでも、国主導での理解促進という言葉を多用してきたが、今の北海道の2町村を見ても見解の一致を見ておらずむしろ分断を招いている地方を悩ませ、苦しませているだけ」と断じ、こう続ける。「受け入れに対する厳しい現実を政権が直視せず、国民的理解を丁寧に得ようとしない安易な姿勢が問題。原発は安全で、電気代も下がるという技術的、経済的楽観論を捨て去るべきだ


◆デスクメモ

 原発を動かせばごみが出るしかし処分先が決まらず、たまる一方。管理に困る。置き場にも。なすべきことは明白原発を止め、ごみ増を防ぎ、その間に処分先を話し合うしかし国は稼働ありきごみが増えるほど後始末に困るのに不合理な思考に独断専行始末が悪すぎる。(榊)

【関連記事】「入学手続きに来ました」 核ごみ調査応募で北海道寿都町の片岡町長
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●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底から覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

2023年01月15日 00時00分03秒 | Weblog

(2023年01月03日[火])
アルプス処理水」なる〝汚染水〟の海洋放出についての経産省の宣伝がやたらとテレビで流れていて、呆れる。その海洋放出をどこの国でもうやっている的な、〝世界標準〟的な…、どこの国でやってんのか、是非、教えてほしい。「1/4」の自公お維支持者や「2/4」の選挙に行かない自公の間接支持者を洗脳しないでほしい。軍事費倍増、核発電所強制、汚染水海洋放出…キシダメ政権のやりたい放題は許されない。海洋放出の前に、福島をさっさと《原状回復》して見せて下さい。全ての《生業なりわい)》を返して見せて下さい。

   『●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則
     40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽原発」
        「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?

 まずは、福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから…全ての核発電所の廃炉作業を始めるべきだったのに、12年近くが過ぎてしまった。
 長周新聞の記事【世界に類のない原発運転70年 地震列島で実行する無謀さ 岸田政府が運転期間延長に舵】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25306)によると、《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は、福島原発事故がもたらした大惨事の教訓を根底から覆し、またウクライナ戦争における原発がミサイル攻撃の標的になるという教訓も考慮せず福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 ミサイル攻撃の《標的》に加えて、この記事で指摘されている重要なことの一つは《使用済み核燃料》のこと。《使用済み核燃料プール》が攻撃を受けた際の被害のみならず、《あと何年で満杯になるのか》? それに、核燃料サイクルという「環」は閉じたのか? 「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」。《原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのか》?

   『●使用済み核燃料プールが満杯になったらどうするの??
   『●リラッキングとオンカロ
   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
    《敷地内の使用済み核燃料プールはあと何年で満杯になるのか。現在
     発電中の原発は3基。そのうち高浜4号機・大飯(おおい)4号機と、
     発電中の原発2基を抱える関西電力は、このまま発電を続けると
     高浜原発はあと「6年程度」、大飯原発はあと「8年程度」で満杯になる
     と回答。対策については、こう答えた。
     「六ケ所再処理工場が順調に稼働することにより、
     使用済み燃料ピット(竪穴)の満杯は回避できるものと考えています」》

   『●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と
      「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25306

世界に類のない原発運転70年 地震列島で実行する無謀さ 岸田政府が運転期間延長に舵
社会2022年12月21日

 福島第一原発事故による世界にも例を見ない甚大な犠牲を経て、日本政府は「原発への依存度をできるかぎり低減する」とのエネルギー政策をとってきた。しかし、岸田首相は8月にそれを覆し、原発最大限活用の方針を示した。経済産業省は8日、次世代型原子炉への建て替えや、「原則40年最長60年」と定められている運転期間の延長を盛り込んだ「行動指針」を明らかにした。日本列島にはおもに1970年代以降に54基の原発が建設されてきた。狭い国土にこれほどの原発が密集して林立している国は日本だけだ。この厳然たる現実は、日本が原発をめぐって指摘されているさまざまな危険性に真剣に向き合うことを要求している。老朽原発の運転は事故の危険性を高めるだけだ。2011年の東日本大震災時の福島原発事故は「原発の安全神話」を吹き飛ばした。日本は世界でも有数の地震・火山列島であり、近年地震や火山活動が活発化する時期に入っている。さらに今年に入ってからのロシアのウクライナ侵攻で、原発が武力攻撃の標的になることが突きつけられた。日本の原発もまた有事のさいにはミサイル攻撃の格好の標的にされることは明らかだ。

 日本では、54基の原発を40年近く運転してきたことによって膨大な量の使用済み核燃料が溜まっているが、処理方法は決まっていない。これ以上原発を増やし、老朽原発の運転を続けることは福島原発事故の再来を近づけ、ミサイル攻撃の標的とされ原爆投下と同様の惨事をもたらすもので、日本を滅亡の淵に立たせる亡国政治以外のなにものでもない

 最新の原発関連のトラブルは、9日の関西電力高浜原発1、2号機の海水処理施設での火災だ。冷却用に海からとり入れる水の一部を処理するための施設で、関電は原因はわかっていないとしている。1、2号機とも運転開始から50年近くを経過した老朽原発であり、想定外のトラブルである可能性も高い。

 経産省の行動指針は、福島原発事故を経て2012年に法律で定めた「(原発の運転期間)原則40年、最長60年」とするルールをなし崩し、運転の停止期間+60年とし、最大では運転開始から70年の老朽原発の運転も可能になる。

 世界的に見ると、60年以上運転した原発はなく、経産省の行動指針の異常さが際立っている。国際原子力機関(IAEA)の調べでは、すでに廃炉になった原発を含めても、運転期間が世界最長なのは、インドのタラプール原発1、2号機の53年1ヶ月だ。同原発から約1カ月遅れてアメリカのナインポイント1号機とスイスのベツナウ1号機が運転を開始しており、ともに運転期間は53年だ。

 また、IAEAによると2021年12月末までに世界で廃止予定の原発は199基あるが、平均寿命は29年だ。

 たとえばアメリカは運転期間を40年と規定し、規制当局の審査をクリアすれば20年間の延長が可能で、延長回数に制限はない。80年運転を認められた原発も6基ある。ただ多くの原発は設計時に耐用年数を40年間と想定してつくられており、老朽化が進むと維持コストも高くなり、事業者が長期運転よりも廃炉を選択するケースが多い。

 そもそも原発の設計は耐用年数を30~40年と想定している。設計段階で想定した原発の寿命を設計寿命としているが、当初原発の寿命は30年とされていた。30年はもつようにという計算による設計だ。

 それを日本政府はずるずると延長してきていた。事故を起こした福島第一原発1号機は1971年3月に営業運転を開始しており、事故当時は運転開始から41年を経過した老朽原発だった。当初運転期間は30年を目安としており、本来なら廃炉に向け運転が停止されているべき原発だった

 政府は1999年に福島第一原発1号機など、1970年前後に運転を開始した3基の寿命延長計画を認め、2005年には原発の運転を60年間とすることを想定した対策をまとめ、その後運転開始から40年を迎える原発を認めるなど老朽原発を積極的に酷使する方針をとってきた。

 老朽原発の運転は危険性が高まる。原発の機器は運転中、高温高圧、高い放射線という過酷な状況に置かれ、振動などによる金属疲労、温度がくり返し激しく変化することで起きる熱疲労、加えて冷却水や蒸気による侵食・腐食が発生する。

 さらに原発特有の問題として、放射線の問題がある。原子炉では運転中に発生する高エネルギーの中性子を受けて、鋼鉄の「粘り気」が弱くなる脆性劣化が起きる。原子炉圧力容器の鋼鉄も長時間の運転にともなって、粘り強さが減少し、もろく亀裂が入りやすくなる


老朽原発で事故が多発 専門家も危険性指摘

     (電源喪失で炉心溶融を起こした福島第1原発(2011年3月))

 老朽原発の事故は多発している。1999年には福島第一原発1号機で、原子炉内にある非常用炉心冷却系の配管にひびが入っていることが見つかっている。

 2004年には美浜原発三号機蒸気噴出事故が起こり、5人が死亡し6人が重傷を負った。当時同3号機の運転年数は30年に満たなかったが、点検リストから漏れて一度も確かめられなかった配管が経年劣化で薄くなって破れ、熱水と蒸気が噴出した。原発の部品数は約1000万点にのぼるとされ、見落としのリスクはつきまとい、老朽原発ほど配管などの劣化は激しい。

 また、東京電力柏崎刈羽原発では、福島事故後停止した7号機(運転開始から25年)のタービン建屋の配管が11年間点検されず、腐食で穴があいていたことが今年10月に明らかになった。

 このほかにも老朽化による問題は多発している。加圧水型原子炉では、格納容器を開口して蒸気発生器を丸ごととりかえる工事をよぎなくされる原発が続出した。沸騰水型では水流仕切り版(シュラウド)にひび割れが発生し、多くの原発でとり換えがおこなわれた。

 これらの補修工事はいずれも建設当初には想定されていなかった。しかも交換は非常に強い放射線のもとでおこなわれる作業で、労働者の被曝の危険性も高い。

 専門家は、原子炉の劣化状況を調べることは技術的に難しく、長期運転で劣化が進むと、点検漏れしたときのリスクが増し、重大な事故につながると指摘している。また、老朽原発の原子炉は技術的にも古く、耐震性の科学的評価も最新の知見にもとづくものではなく、事故のリスクが高いとしている。

 「あらゆる重大事故の多くは欠陥の見落としが原因だ。点検をしていても電気系統や制御装置はいつ劣化して故障するか予見できない。設計寿命はきわめて大事だ」と設計寿命をこえた運転の危険性を指摘する専門家もいる。

 原発の運転期間の延長は科学的な根拠にもとづくものではなく、廃炉には費用がかかるなど電力会社の利益追求の都合によるものであり、岸田政府が世界にも例のない70年もの運転を認める方針を出したことは福島事故をふたたび引き寄せかねないものだ


溜まる使用済み核燃料 10万年の保管可能か

 おもに70年代以降、54基の原発を建設・運転し続けてきた結果、日本列島には使用済み核燃料が溜まりに溜まっている。使用済み核燃料とはいっても高い放射線を放ち、保管・処理方法を間違えば重大事故を引き起こす。また、ウクライナの原発では使用済み核燃料の保管施設が砲撃されており、IAEAも使用済み核燃料の防護強化をうち出している。

 原発では、ウラン鉱石を原料にした燃料集合体を使用する。原子炉の中で4~5年使用したのち、新しい燃料集合体と交換する。使用後に残った「使用済み核燃料」は高い放射能をおび、人が近づけば数十秒で死亡するほど危険なものだ。使用済み核燃料の放射能が、もとのウラン鉱石と同じレベルに下がるまでにかかる時間は10万年で、その期間は安全に保管する必要がある。現在最適だとされている方法は「地層処分」で、地下数百㍍の穴を掘り保管する計画だ。

 スウェーデンでは今年1月、政府が使用済み核燃料の最終処分場建設計画を承認した。スウェーデンでも1970年代から使用済み核燃料の処分についての研究をおこなってきた。今回承認した計画は、地表から深さ500㍍のところに500本のトンネルを掘り、6000個の銅製保存容器で1万2000㌧の使用済み核燃料を、放射能が減衰する10万年後まで保管するというものだ。

 なお、建設に約10年かかり、最終処分場が完成して使用済み核燃料の貯蔵が始まるのは70年後だ。日本の場合、地震列島での「地層処分」の危険性も指摘されている。10万年ものあいだ安全に保管できるという保証はない。

 福島原発事故前の2010年段階での日本の使用済み核燃料の累計は1万6330㌧。これは世界第3位の累積量だ。ちなみに当時世界合計は約25万㌧。原発が動き続けていれば毎年1000~1200㌧の使用済み核燃料が発生する。

 使用済み核燃料は、崩壊熱を発生させるので水を循環させて冷やし続けなければならず、原子炉建屋内の貯蔵プールで数年間冷やすが、福島原発事故前の2010年段階ですでに各原発の貯蔵プールは満杯状態になっていた。たとえば東京電力の福島第一原発はあと2年で満杯、同第二原発はあと1・9年、柏崎刈羽原発はあと3年、関西電力の美浜原発はあと6・4年、大飯原発はあと6・1年、高浜原発はあと5・7年といった具合だった。

 福島原発事故の後、ほとんどの原発は停止したが、かりに通常運転が続いていれば、ほとんどの原発は現段階で使用済み核燃料プールは満杯になっていた

 国の計画では各原発敷地内での使用済み核燃料の保管は一時的なもので、ゆくゆくは青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場に運ぶというものだったが、再処理工場の完成が26回も延期され、完成のめどがたっていないため、原子炉建屋内の貯蔵プールに溜まり続けている。現在日本国内で貯蔵されている使用済み核燃料は1万8000㌧という。

 これは国内の貯蔵容量約2万4000㌧の75%をすでに占めており、満杯になるのは時間の問題になっている。

 大量の使用済み核燃料が日本中の原発敷地内に保管されているということの危険性は高い。

 ウクライナ危機において、使用済み核燃料の保管施設が砲撃の対象となったことで原発防護強化が喫緊の課題となっている。原子炉は鋼鉄製で、格納容器に守られ、意図的な航空機の激突にも耐えられるなど外部からの攻撃に一定の頑強さを有しているが、使用済み核燃料の保管施設は多重防護の仕組みになっていない場合が多い。IAEAが今年9月サポリージャ原発に調査団を派遣し、国連に提出した報告書のなかで、使用済み核燃料の保管施設に砲撃痕があったことをとりあげ、大規模な放射性物質の放出に至るおそれがあると警鐘を鳴らした。

 日本では、行き場を失った使用済み核燃料が、防護体制がほぼない各原発のプールに溜まり続けている。使用済み核燃料は膨大な熱を出し続けるため、冷却保管する必要があるが、原子炉と比較して保管施設、とくに冷却のためのプールは外部攻撃に脆弱だ。使用済み核燃料が大気にむき出しになれば、高濃度の放射能が広範囲に放出される使用済み核燃料プールが標的になった場合、大惨事になることは必至だ

 使用済み核燃料プールの破損によって甚大な被害を被ることは福島第一原発事故でも経験している。福島第一原発4号機は地震発生時、定期点検中であったため原子炉には核燃料はなかったにもかかわらず水素爆発を起こした。貯蔵プールの冷却水が循環できなくなり、冷やせなくなったために、水が高温になって蒸発し、燃料が露出して水素が発生して爆発したのだ。爆発によって施設が倒壊し、大量の鉄筋やコンクリート片がプールに落下し、使用済み核燃料の状況を確認できなくなった。

 ちなみにアメリカ政府は、この事態に対しプールに穴が開いて水が抜けたため、使用済み核燃料がむき出しになり、外気にさらされた可能性があると判断し、福島原発から半径50マイル(約80㌔㍍)に住む米国人に避難勧告を出した。日本政府の避難指示範囲は原発から半径30㌔㍍で、これを上回る異例の措置だった。後日、プールの水が保たれていることが確認され大惨事は回避されたが、アメリカ政府が使用済み核燃料プールの機能喪失の深刻さを認識していたことは明らかだ

 ウクライナでの使用済み核燃料保管施設の砲撃を受けて、国際機関は各原発に使用済み核燃料が溜まり続ける日本に対し、その防護を強化するための対策を強く求めている。

 原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのかという新たな問題が出てくるが、そうした問題の解決策もないまま岸田政府は原発最大限活用に舵を切った

 老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は、福島原発事故がもたらした大惨事の教訓を根底から覆し、またウクライナ戦争における原発がミサイル攻撃の標的になるという教訓も考慮せず福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ


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●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)

2021年07月26日 00時00分14秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


(2021年07月04日[日])
マガジン9の記事【伊藤塾 明日の法律家講座レポート なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明氏】(https://maga9.jp/210630-6/)。

 《2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]》。
 《3・11を経験した私たちの責任 最後に責任について話したいと思います。…最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める〉》。

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから…。《これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できること》。《全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です》。
 (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。…ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
    《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
     大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
     今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
     (耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
     単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
     関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
     原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
     開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
     なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
     という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
     不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
     日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
     ロシアンルーレット状態だった。日本の国策は「安全な原発
     動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
     危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
     と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
     差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
     基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか
     これは他の原発と共通の問題だ》

   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから

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https://maga9.jp/210630-6/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明
By マガジン9編集部 2021年6月30日

2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]
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大飯原発差し止め判決の理由

 2014年5月21日、私は福井県にある大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を下しました。当日、判決内容を事前に知っていたのは、裁判官3人と書記官1人だけです。福井地方裁判所の所長も、最高裁判所の長官も、原告側も、どんな判決が出るか知りませんでした。しかし、被告側は弁護士も含めて誰一人として法廷に来ませんでした自分たちが負けると分かっていたから来なかったのです
 私は訴えが提起された当初から「大飯原発が危険だと思ったら止める。思わなかったら止めない」と言っていました。その言葉に従って裁判を進めてきました。関西電力の弁護士たちは、大飯原発が危険かどうかで判断されたら負けるとわかっていたんです
 みなさんは「原発が危険かどうかで再稼働の可否を判断するのは当たり前」と思うでしょう。しかし、多くの裁判では「原子力規制委員会が定める規制基準に施設や地盤が適合しているかどうか」で判断していて、原発が危険かどうかで判断しているわけではありません。私は「大飯原発が危険かどうか」を考えて運転差し止めを決めました。極めて当たり前の裁判をしただけだと思っています。
 「危険」には2つの意味があります。たとえばお母さんが子どもに「そこの交差点は見通しが悪くて危険だから気をつけてね」と言う場合の危険は、「事故発生確率が高い」ということです。他方、「自転車で行くんだったら、危険だからヘルメットをかぶってね」と言うときの危険は、先ほどとは違います。ヘルメットをかぶってもかぶらなくても事故発生確率は変わらない。お母さんが心配しているのは、事故で子どもが頭を打って大怪我をすることです。要するに「被害が大きい」ことを危険と言ってるんです。「危険」というときには、この2つのどちらの意味かを考えなくてはいけません。
 福島第一原発事故で明らかになったことは、被害の大きさでした。しかし、本当の意味での被害の大きさを知っている人は多くありません。いったい何が起きていたのか、これは原発の仕組みに関係しています。


原発は停電しても断水してもダメ

 原発には牛乳瓶みたいな形をした格納容器があり、そのなかに原子炉圧力容器があります。この圧力容器のなかにウラン燃料が入っていて、水に漬けてあります。ウラン燃料の熱で水が沸騰して蒸気が発生し、それでタービンを回して発電しています。
 火力発電所も仕組みは一緒です。石油を燃やして水を沸騰させて蒸気でタービンを回しています。しかし、原発と火力発電所では大きな違いが2つあります。ひとつは、原発の格納容器の中には広島型原爆1千発分の「死の灰」が含まれていることです。これが大きな違いです。もう一つはエネルギー量の違いですね。
 火力発電所であれば、地震に襲われたら火を止めます。火を止めたら、その瞬間に沸騰しなくなります。原発は、制御棒をウラン燃料の間に差し込んで核分裂反応を止めても、沸騰が続いてしまいます。沸騰が続くとどうなるか。ウラン燃料が頭を出して、溶け落ちてしまいます。溶け落ちないようにするには、ウラン燃料を水と電気で冷やし続けなければいけない
 要するに、火力発電所は地震が来ても火を止めた瞬間に安全になります。しかし、原発は停電してもダメ、断水してもダメ。水と電気でウラン燃料を冷やし続けない限りメルトダウンするのです。ですから、福島第一原発は津波で停電しただけで、あんな大事故になったのです。これが原発の一番厄介なところです。


運よく助かったのは、欠陥があったから

 福島第一原発では最悪の事故が起きた、とほとんどの人が思っていますが、実はそうではありませんでした。数々の信じられないような奇跡に救われていました
 まずは「2号機の奇跡」です。2号機はメルトダウンして格納容器が水蒸気と水素でいっぱいになりました。そうなると、「ベント」といって圧力を抜くしかありません。圧力を抜けば放射性物質が出てしまいますが、圧力を抜かなければ格納容器ごと破裂してしまうからです。しかし、当時は停電していたので自動ではベントができません。放射能を浴びてしまうので人間が行ってバルブを回すこともできない。要するに何もできませんでした。
 3月15日になると、2号機の格納容器には設計基準の倍ほどの圧力がかかっていました。当時の福島第一原発の吉田所長は、「2号機の格納容器が爆発すれば、放射性物質をまき散らしてしまう。そうなれば東日本壊滅だろう」と思ったそうです。しかし、格納容器は爆発しませんでした。その理由は「よく分からない」のです。
 どこか格納容器に弱い部分があって、そこから圧力が抜けたのでしょう。そんなことは絶対にあってはいけないことです。格納容器というのは放射性物質を閉じ込めるために本当に丈夫なものでなければいけません。だけど丈夫ではなかった。いわば2号機は欠陥機であったが故に助かった。これが「2号機の奇跡」です。


奇跡が重なって免れた「東日本壊滅」

 さらに4号機でも奇跡がありました。4号機は当時発電しておらず、核燃料が装着されていませんでした。長年の運転で核燃料のエネルギー量が落ちていて、シュラウドという核燃料を入れておく場所も傷んできたので、取り替え工事を行っていました。その工事のために、原子炉ウェルというところに、水がいっぱい張ってありました。
 3月11日に停電して、4号機の使用済み核燃料を冷やすための循環水がうまく回らなくなりましたが、エネルギー量が落ちていたために、その日のうちにはメルトダウンしませんでした。しかし、4日もすれば貯蔵プールの水が減って使用済み核燃料が頭を出します。そうなればメルトダウンする。そうなると、福島第一原発から250kmが避難区域になる可能性がありました。東京も含まれています。
 しかし今、我々は東京に住めます。なぜかというと、原子炉ウェルと貯蔵プールの仕切りがずれたからです。ずれたことで原子炉ウェルの水が貯蔵プールに入り、メルトダウンを防ぎました。仕切りがずれた原因は今も不明です。本来は震災4日前に原子炉ウェルの水を抜き取る予定だったのですが、工事が遅れていたので水があったのです。ほとんど神がかり的です。さらに、貯蔵プールの上で水素爆発が起きて屋根が吹き飛んだために、放水車を使って破れた天井から水を注入することができました。
 実際には、ほかにもさまざまな奇跡が重なりました。いくつも起きた奇跡のうち、ひとつでも欠けていれば東日本は壊滅していたのです。これが、本当の福島原発事故の被害の大きさです。


原発は地震に耐えられるのか

 こういう話をすると、多くの人は「それだけ被害が大きなものなら、それなりに事故発生確率も抑えてあるはずだ」と思ってしまいます。たとえば時速300キロで走る新幹線がトラックなどと衝突したら大惨事になりますよね。ですから、そうならないように踏切をなくしています。世の中のものは大抵そうなっているので、「原発での大きな事故は滅多に起きないだろう」と考えてしまうのです。でも、本当にそうでしょうか。
 先ほど話したように、原発は停電しても断水しても過酷事故につながります。停電や断水をもたらす一番大きな要因は地震です。配電や配管に関する耐震性が高ければ、原発の事故発生確率も低くなります。では、2000年以降の主な地震の強さと原発施設の耐震性で確認してみましょう。地震の大きさは「マグニチュード」、強さは「震度」で表すことが多いですが、震度は7までしかないので耐震設計では「ガル」という単位を使います。ガルは震度と同じく地震の揺れの強さを測る単位です。
 2000年以降の地震でいうと、2016年の熊本地震はマグニチュード7.3、1740ガルでした。一番高いものは2008年の岩手宮城内陸地震で、マグニチュード7.2、4022ガルです。わが国は地震大国ですが、2000年まで地震観測網がありませんでした。全国に地震計を置くようになったのは阪神・淡路大震災以降なので、それ以前はまともな資料がないのです。
 次に、原発施設の耐震性ですが、私が判決した大飯原発3・4号機の耐震性(基準地震動)は405ガルで設計されていました。3・11当時には、なぜか700ガルに上がっています。大飯原発だけではありません。福島第一原発は建設当時270ガル3・11当時は600ガルです。東海第二原発は、建設当時270ガル3・11のときは600ガルで、今は1009ガルです。いずれも老朽化するに従って耐震性が上がっていくという不思議な現象が起きてます。それでもこの程度の耐震性しかありません。巨大地震が原発を襲ったらもう絶望的です。
 巨大地震というのは大体マグニチュード8以上をいいますが、この耐震性ではマグニチュード7あるいは6や5でも直撃すれば危ない。つまり、原発は「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険だということです。ですから運転を止めるのは当たり前なのです。しかし、3・11以降でも原発を止めなかった裁判は数えきれないくらいあります。


原発容認派の弁解

 原発容認派は、原発は硬い岩盤の上に建っているので、地震計が置いてある地表面より揺れが小さいと弁解します。たしかに岩盤の上に直接建っている原発もありますが、そうではないものもあります。たとえば東海第二原発の場合は、岩盤は地下深く300メートルのところにあり、その上に関東ローム層があり、その上に原発が建っています。
 また、岩盤の揺れが普通の地面の揺れより小さいとも言いきれません。石川県にある志賀原発は硬い岩盤の上に直接建っていますが、能登半島地震に襲われたときの揺れは490ガルでした。一方、志賀町の地震計は540ガルを記録しています。ほとんど変わりませんでした。柏崎刈羽原発はもっと極端で、地下の岩盤で1699ガルでしたが地上では1000ガルくらいでした。硬い岩盤では揺れが小さいとは言いきれず、例外はいくらでもあります。
 もうひとつの弁解に、強震動予測という方法に則って計算すると、原発敷地に限っては将来にわたって震度6や7の地震は来ないというものがあります。しかし、それは本当に信用できるのでしょうか。東大地震研究所の纐纈一起先生が、地震はものすごく複雑な現象で、「地震は観察できない、実験できない、資料がない」と「地震学の三重苦」について話しています。観察と実験と資料というのは科学の基礎ですが、その基礎がないのに地震予知ができると考えるのには無理があります
 日本は列島全体が4つのプレートの境目に位置している世界で唯一の国。非常に複雑な地盤構造があり、世界の地震の10分の1以上が日本で起きています。日本には地震の空白地帯はありません。2000年以降だけでも、日本で1000ガル、2000ガルの地震はいくらでも起きています。こうした科学的事実に基づいて裁判をしなくてはいけません。


なぜ裁判官は原発を止めないのか

 では、なぜ多くの裁判官は原発を止めないのでしょうか。理由は簡単です。多くの裁判官は、大飯原発を例にとると700ガル以上の地震が過去に何回起きたのか、700ガルは震度いくつなのか、700ガルでは住宅が倒れるかどうか、といったことを知らないのです。それは原告側の弁護士が教えないからです。
 弁護士も裁判官も前例に従って「原子力規制委員会の独立性が高いのか」「原発の施設や敷地が規制基準に合致しているのか」ばかりに関心を払っていて、実際に起きている地震に対して原発の耐震性が高いか低いのかということには関心がなく、そのことについてまったく審理されていません
 ここに、愛媛県の伊方原発について住民らの原子炉設置取消請求を棄却した1992年の最高裁判所判決の骨子があります。法律家というのは最高裁判決を尊重するものですが、この判決では
 ①原発訴訟は高度の専門技術訴訟であり、
 ②裁判所は原発の安全性を直接判断するのではなく、規制基準の合理性を判断すればよく、
 ③その判断は最新の科学技術知見による
 と言っています。
 たとえば①では、プルトニウムと普通のウラン燃料を混ぜたMOX燃料を原発で使うと危険かどうかの判断は素人にはわからないことです。あるいは、その原発が本当に3000ガルに耐えられるかどうかが訴訟の争点だとしたら、それはとてつもなく難しい専門技術訴訟といえます。しかし「この原発敷地に限っては700ガル以上の地震は来ない」という主張が信用できるかどうか――これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できることです。
 ②も間違いではありません。私はこれを「裁判所は原発の安全性を直接判断する必要まではない。規制基準が国民の安全を図る内容になっているかどうかを審査するのだ」と理解します。規制基準というものは、福島第一原発事故を踏まえて原発の安全性を高めるために設けられました。ですから、「規制基準の合理性」というのは、国民の安全を守れる内容になっているかどうかを考えればいいのです。
 今の規制基準は、原発ごとの最大地震動が予測できるという前提で成り立っています。しかし、先ほども話したように地震予測は不可能ですから、地震予測が可能だという前提で作られている規制基準は不合理であり、それでは国民の安全は守れません
 次に③ですが、「最新の科学技術知見」とは何でしょうか。2000年以降、1000ガル2000ガルの地震はいくらでも日本に起きています。これこそが「最新の科学技術知見」です。
 多くの法律家がこのように考えることができないのは、極端な権威主義だといえます。権威主義とは、「何を言ってるかの内容ではなく誰が言っているかを尊重することです。最高裁判所が言うのなら原発訴訟は難しい専門技術訴訟に違いない、と争点の設定まで最高裁に委ねてしまうんです。ほかにも科学より科学者を信じる「科学者妄信主義」や「頑迷な先例主義」によって、正当な判断ができなくなっています。
 もっと普通に、審判の対象となる「訴訟物」から考えればいいのです。つまり、人格権が侵害されそうになったら、人格権に基づいてその予防措置を求めることができるということです。この場合、人格権が侵害されるというのは原発事故が起きることです。そして、原発事故は停電や断水でも起こり得る。つまり配電・配管の耐震性が低ければ人格権が侵害される危険が高いということなので、それについて調べましょうという発想です。
 しかし、多くの裁判ではそのように訴訟物から考えるのではなく、過去の裁判例をみて、学者が支持しているからとか、規制基準の辻褄が合っているから、などの先例主義で判断してしまうのが現状です。


私が大飯原発を止めた4つの理由

 私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています。
 従前の裁判では、裁判官も弁護士も、電力会社が設定した「専門技術訴訟」という土俵に自ら乗り込んでいました。一部の弁護士が多くの専門書を読み、専門家に意見を聴いて、電力会社との間で専門技術論争をする。たとえば「地震動の計算方法は、武村式がいいか、入倉式がいいか」といったことです。しかし、それは学会で議論することです。原告はもちろん、裁判官やほとんどの弁護士にも分かるはずがありません。その結果、「原子力規制委員会がそう言うなら、尊重しましょう」という結果になるんです。
 武村式か入倉式か、ということは本当の争点ではありません。そういう論争はもう止めて、これからの原発差止め裁判は「理性と良識」という土俵で戦いましょう。そうすれば誰でも理解できるし、誰でも議論に加われるし、誰でも確信を持つことができます。
 昨年3月11日、樋口理論に基づき、広島地裁で伊方原発3号機の運転差し止め仮処分の申し立てがありました。この申し立て書は、住民が書いています。昔は地震観測記録がなかったのですが、今はインターネットで気象庁の地震観測記録、K-NET(防災科学技術研究所の強震観測網)などを見ることができますし、原発の設計基準がいかに低いのかも調べられます。原発の耐震性が低いということを簡単に立証できるので、住民本人でも訴状を書くことができるのです。
 その訴訟の中で、大変なことがわかりました。日本で一番恐れられている「南海トラフ地震が原発直下で起きたとしても、伊方原発の敷地には181ガルしか来ない」と四国電力が言っているのです。181ガルというのは震度5弱です。震度5弱は「棚から物が落ちることがあり、希に窓ガラスが割れて落ちることがある」という揺れです。マグニチュード9の地震というのは、3・11東北地方太平洋沖の地震と同じ。あのとき震源から380km離れた新宿でも、200ガルを超えました。普通に考えればとてつもなくおかしなことですが、専門技術訴訟にのめり込むとこういうことを見逃してしまいます。普通に考えて普通に裁判すれば、勝てると思います。


3・11を経験した私たちの責任

 最後に責任について話したいと思います。
 私が大学に入学した1972年(昭和47年)当時は、田中角栄内閣の時代でした。そのとき日本は、電源三法を作って原発を各地に誘致しました。その人たちの責任より3・11を経験した私たちの責任は、はるかに重いのです
 その理由は3つあって、一つ目は「死の灰」の問題です。30、40年前の人たちは死の灰の問題を、後世の人たちが科学的に処理してくれるのではないかと考えていました。しかし、それが不可能だということが40年の間にはっきりわかりました。二つ目は、昔の人は、原発事故は滅多に起きないし、起きたところで被害は30キロ圏内で済むだろうと思っていました。しかし、3・11を経験して、そうではないことがわかりました。
 そして、三つ目ですが、昔は地震観測網がなかったので、関東大震災の規模でも400ガルを超える程度だろうと考えられていました。大飯原発も405ガルの耐震性で建てられています。しかし、実際には日本には1000ガルどころか4000ガルの地震も起きています全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。
 こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です。
 最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。
 〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める





ひぐち・ひであき 1952年生まれ。三重県出身。京都大学法学部卒業後、83年4月に福岡地方裁判所判事補任官。85年4月より静岡、宮崎、大阪など各地の地方裁判所・家庭裁判所の判事補・判事を経て、2006年4月より大阪高裁判事、09年4月より名古屋地家裁半田支部長、12年4月より福井地裁判事部総括判事を歴任。14年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決、15年4月14日には高浜原発3、4号機の差し止め仮処分決定を出した。17年8月、定年退官。主な著書に『私が原発を止めた理由』(旬報社)。
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●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか? 無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき

2019年09月02日 00時00分02秒 | Weblog


東京新聞の記事【柏崎刈羽 一部廃炉検討 東電、6・7号機再稼働条件に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082702000130.html)。

 《東京電力の小早川智明社長は二十六日、新潟県柏崎市の桜井雅浩市長と面会し、柏崎刈羽原発について「6、7号機の再稼働後五年以内に、1~5号機のうち一基以上の廃炉も想定したステップを踏む」と伝えた》。

 《一部廃炉》以外は再稼働する気なの? ご冗談を! しかも、廃炉は《検討》段階で、かつ、《条件》付き。無条件、即時、全て廃炉作業に入るべきです。東京電力に、再稼働の資格などあるわけがない。《規制》しない原子力「推進」委員会・核発電「寄生」委員会の面々は、ニッポンを、地球を破壊するつもりか? 8年以上の無為な時が過ぎ、いまだに核発電に依存…アベ様政権も含め関係者全員、あまりに無能すぎる。自公やお維、その他核発電〝麻薬中毒〟議員を支持している「1/4」の皆さん、あるいは、眠り猫な「2/4」の皆さん、こんなデタラメが許されていいのか?
 《柏崎刈羽原発はもともと耐震性に大きな問題があり、2007年7月16日の新潟県中越沖地震では、火災や放射能漏れを伴う重大な事故を引き起こしている。…6号機でも使用済み核燃料貯蔵プールの放射能を含んだ汚染水が海にまで流失した。さらに7号機では主排気筒から放射性物質が大気中に放出され、低レベル廃棄物入りのドラム缶約400本が倒れて放射性物質が床から検出されている。…当時の東京電力の発表だけでも実に50件ほどの様々なトラブルが生じていた》…これでも、《東電、6・7号機再稼働》って、正気なのだろうか?

   『●様々な意味で人災である
     「ブラックアウトと云う人災である。しかもそれを想定しもしなかった、
      何も対処しようとしなかった二重三重の人災。でも、津波による浸水が
      無くても、地震によって破断などの致命的な事故が発生していなかった
      のだろうか。さらに、適切に避難させなかった地域に加えて、
      避難させてはならないところに避難させて被爆させてしまっている。
      原発など造ってはならない国に造ってしまった当然の帰結か。
      原発をまだ動かし続けようとしているわが国は、輸出までも行おうと
      している。地震など災害の多い我国でなくとも、こんな
      制御困難で未完成な技術を行える場所がこの地球上にあるとは思えない」

   『●東京電力原発人災:
      津波による天災ではなく、地震で破断していた?
    《元東京電力社員で福島 第一原発で炉心設計(燃料棒を効率的に
     燃やすために、燃料棒の配置を設計する原子炉の中心を担う仕事)
     に携わっていた木村俊雄さん「結論としては、地震で圧力容器に
     繋がる配管(小口径配管)から冷却水が漏れた。そのことが事故の
     進展を加速させるキカッケとなる。しかも運転員は気づかない。
     やがて津波がくる。3月11日17時19分(東電報告書P.125より)、
     原子炉建屋に入ろうとするがその時にはもうすでに放射能が充満して
     入れない。津波無くとも、重大事故に進展していた
     これでも再稼動新基準は妥当なのか? 気づかないなら、
     もう手のほどこしようはないです…」》

 《07年の新潟県中越沖地震では想定を大きく超える揺れを記録した》。いま、つぶやき空間では、木村俊雄氏の指摘が話題に。これは、2013年9月段階で、すでに指摘されていた。やはり「人災」だった…《木村俊雄さんが、フクイチ地震時のデータの解析を終えて、結論としては、地震で圧力容器に繋がる配管(小口径配管)から冷却水が漏れた…》。

   『●東電原発人災の3.11を再び目前に: 
      「原発事故調書 原因不明、責任不在」でも再稼働できる神経を疑う
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は 
                 十分に責任を果たしたのか?
   『●「東京電力が、飛散した放射性物質について…
          「無主物」だと主張」…「その無責任さに衝撃」
   『●東電柏崎刈羽原発再稼働!?: 
     《第一原発事故を検証しない限り…》とする泉田裕彦新潟県知事の正論
   『●残念な「泉田裕彦新潟県知事「出馬撤回」事件」:  
       「原子力ムラはニンマリ」「東電の高笑い」で良いの?
   『●NHK解説委員長、原発は人間の手に負えないモンスター
             …「アベ様のNHK」発の核発電政策への波紋
   『●新潟県知事選: 自公推薦候補者に騙されてはいけない
             …確実にあの東京電力のアレを再稼働させる
   『●米山隆一知事…「ニンマリできなかった原子力ムラ」
       「高笑いできなかった東電」の相当なイヤガラセが予想
   『●環境倫理を『虚構新聞』から学ぶ…「原発導入を許してしまった
                 世代の一人として、恥ずかしく申し訳ない」
   『●「日本壊滅を救った新潟県民」…「インチキと不備だらけ」…
               「このまま再稼働されたら、福島原発の二の舞」

    《柏崎刈羽原発はもともと耐震性に大きな問題があり、2007年
     7月16日の新潟県中越沖地震では、火災や放射能漏れを伴う
     重大な事故を引き起こしている。3号機近くの変電器付近で火災が
     発生、消火用水の給水管は破損して水漏れを起こし、6号機でも
     使用済み核燃料貯蔵プールの放射能を含んだ汚染水が海にまで
     流失した。さらに7号機では主排気筒から放射性物質が大気中に
     放出され、低レベル廃棄物入りのドラム缶約400本が倒れて
     放射性物質が床から検出されている。ダクトのずれ、
     最大1メートル以上の地盤沈下など、当時の東京電力の
     発表だけでも実に50件ほどの様々なトラブルが生じていた》

   『●アレが「もし再稼働しても、電力は
     首都圏向けに提供される」のみ…新潟県知事選=県民投票で否決
   『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
     「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ
   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
      救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
    《原子力規制委員会は二十七日午前の定例会合で、東京電力
     柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原発の新規制基準に
     「適合」しているとした審査書案を正式決定した》
    《柏崎刈羽原発は、福島第一と同じで東電が所有する沸騰水型だ。
     福島原発事故は、津波が原因とされるが、地震や津波の襲来から
     メルトダウン(炉心溶融)、水素爆発へと至る経緯は、
     現場で十分な調査ができず、不明な点が多い。
     原因究明が終わっていないのに住民の安全が保証できるのか。
     東電に任せられるのか。規制委は、もっと慎重でもよかった》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082702000130.html

柏崎刈羽 一部廃炉検討 東電、6・7号機再稼働条件に
2019年8月27日

 東京電力の小早川智明社長は二十六日、新潟県柏崎市の桜井雅浩市長と面会し、柏崎刈羽原発について「6、7号機の再稼働後五年以内に、1~5号機のうち一基以上の廃炉も想定したステップを踏む」と伝えた。東電が同原発の廃炉の可能性に言及したのは初めて。桜井氏が再稼働の条件として、1~5号機の廃炉計画の提出を求めていた。

 桜井氏は面会後、記者団に「廃炉のステップを踏む時期が少し遅くなり、満点の回答ではない。落第点ではないが、平均点までいっていない」と長期化に不満を示した。

 小早川氏は廃炉の確約はせず、基数や号機の具体的な特定も避けた。6、7号機は安全対策工事中だが、7号機の終了予定は二〇二〇年十二月、6号機は未定で、再稼働時期の見通しは立っていない

 東電の回答では、1~5号機は現時点で必要な電源だと強調。その上で、計画中の青森県の東通原発や千葉県銚子沖の洋上風力発電など、温室効果ガスをほとんど出さない非化石電源を十分に確保できる見通しが付くことに加え、柏崎刈羽原発6、7号機が再稼働することを廃炉検討の条件に挙げた。

 桜井氏は今後一カ月程度かけて東電の回答を検討し、6、7号機の工事への地元企業の参入状況の開示など、再稼働に新たな条件を付ける考えを明らかにした。

 桜井氏は一七年六月、廃炉計画を二年以内に提出するよう東電に求めると表明。「基数、号機、期限の三つとも入らないのは計画とは呼ばない」とし、数字を明記するよう求めていた。

 6、7号機は一七年十二月、再稼働に必要な原子力規制委員会の審査に合格している。


柏崎刈羽原発> 東京電力が所有し、新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地する。福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉が計7基あり、総出力821万2000キロワットは世界最大規模。6、7号機についての原子力規制委員会の審査では、設備の安全性に加え、事故を起こした東電に原発事業者としての適格性を認めるかどうかが議論となった。2017年12月に審査に合格し、再稼働に必要な地元同意を得られるかどうかが焦点。07年の新潟県中越沖地震では想定を大きく超える揺れを記録した。以後約12年間、2~4号機は稼働していない。
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●今頃ようやく福島第二原発の廃炉を決断、一方、「あとは野となれ山となれ」な玄海原発4号機の再稼働…

2018年07月02日 00時00分12秒 | Weblog


東京新聞の記事【「使用済み核燃料」「廃炉」 課題山積】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061602000239.html)と、
社説【福島第二原発 目の前の廃炉に全力を】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061602000162.html)。

 《経営上は大きな前進だが、使用済み核燃料の扱いや安全性を確保した廃炉作業など原発を巡る課題は山積している》。
 《東京電力が福島第二原発廃炉を表明。遅きに失した感はある。だがこの上は計十基の廃炉事業に全力を傾注し、速やかに成果を上げること。東電という企業に残された恐らく最後のチャンスである。「(福島第二原発が)復興の妨げ、足かせになる」と、東京電力の小早川智明社長は言った。そこへたどりつくまでに七年以上もかけたとすれば驚きだ》。

   『●お見舞い申し上げます・・・
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年: 
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」… 
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                  人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」

 あの玄海原発4号機の再稼働で、腐れっぷりが半端ではない九州電力は《経営上は大きな前進》?って、バカな~!! 福井地裁の名判決《経済活動よりも生存に関わる人格権を優先》…熟慮すべきではないのか?

   『●映画「チャイナシンドローム」のマネ!?
        ~玄海原発にはジャック・レモンは居るか?~
    「検査会社が、九州電力 玄海原発4号機の配管溶接の検査を
     行ったかのように偽装だってさ! 映画「チャイナシンドローム」に
     写真を偽装しての、同じような話が出てきます。
     映画をマネたようにさへ感じます。映画では、ジャック・レモン扮する
     原子炉の管理責任者が激怒し、管理会社の担当者に怒鳴り込む場面が
     あります。結局、彼は命をかけて、原子炉の危険性を若き
     ジェーン・フォンダやマイケル・ダグラスが扮するジャーナリストを介して
     告発し、原子炉を停止しようとします。玄海原発には、さて、
     「ジャック・レモン」は居るでしょうか?
     …玄海原発4号機、配管溶接検査せず記録も改ざん

   『●再稼働ありきの「世界最高水準の規制基準」という「世界一の無責任」さ
   『●原発再稼働という恥ずべき選択 ~「新基準は世界一」
           「世界最高レベル」ではなく、「世界一の無責任」~

   『●関西電力の「原発再稼働」への言い訳にさせてはいけない
    「原発の稼働が発電コストの低減になるという関電側の主張も退ける
     極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が
     高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない
と、怒りさえ
     にじませているようだ。経済神話の否定である」
    「大飯再稼働、差し止め命じる 生存と電気代、同列許さず
    「また、生存権と電気代のコストを並べて論じること自体が法的には
     許されない
ことで、原発事故で豊かな国土と国民生活が取り戻せなく
     なることが「国富の喪失」だと指摘。福島事故は「わが国が始まって
     以来、最大の環境汚染」であり、環境問題を原発推進の根拠とする
     主張を「甚だしい筋違い」と断じた」
    「「極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの
     問題とを並べた議論の当否を判断すること自体、法的には許されない

     として、経済活動よりも生存に関わる人格権を優先した」

   『●関電による執行停止の申し立てを却下:  
     相変わらず「「安全より効率、命より経済」を優先」を関電は主張
   『●普通の社会通念: 「安全性の立証責任は電力会社側にあり…
                   原発の安全性の欠如が直ちに人格権侵害」
    「「地元」市民「命」より「経済性、経済神話」を優先、
     「安全より効率、命より経済」を優先、そう云った「社会通念」で
     良いのでしょうか? 今回も、大津地裁山本善彦裁判長は、
     「「安全より効率、命より経済」を優先」という関電の主張を退けました。
     《安全性の立証責任は電力会社側にあ現実に起きた東京電力
     福島第一原発事故と被害を目の当たりにした国民の社会通念は、
     原発の安全性の欠如が直ちに人格権侵害を推認させるものになっている》。
     関電の「社会通念」を明確に否定。山本善彦裁判長の
     至極真っ当な判断で、ここまでは期待通りです。問題はここからでしょう。
     大阪高裁で、骨のある裁判官に恵まれるか? 期待薄…

   『●予想されたこととはいえ、大津地裁山本善彦裁判長の
       「国民の命を守る司法からの重いメッセージ」を破棄…

 それに使用済み核燃料の問題をどうするつもりか? 「あとは野となれ、山となれ」か! 核発電「麻薬」中毒患者につける薬なし。

   『●使用済み核燃料プールが満杯になったらどうするの??
   『●「超巨大噴火が、100年以内に起こり得るというのは大変なこと」:
                         九州電力川内原発再稼働という無謀
   『●「大切なのは「信頼」だ」…
       だからもう病気なんですってば!? 核発電「麻薬」患者
    「東京新聞の記事【核のごみ 行き場見えず 9府県の知事、
     中間貯蔵施設受け入れ「拒否」】… 《受け入れを「前向きに検討する」
     とした知事はなく、九府県が「拒否」と答えた。高浜原発は再稼働後、
     使用済み核燃料の貯蔵プールが七~八年で満杯になる見通しで、
     中間貯蔵施設の建設は喫緊の課題だが、実現の難しさが浮き彫りに
     なった》。
       「あとは野となれ、山となれ」とは、呆れるね。1分、1秒も再稼働なんて
     やってはいけないというのに」

 一方、あの東京電力は柏崎刈羽核発電所なんて再稼働している場合なのか? そんな資格はあるのか?

   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」! 
       東京電力に柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
   『●新潟県知事選: 「中央の紐付き忖度官僚候補
       VS再稼働反対の民意に寄り添う県議候補」という与野党激突
   『●花角英世新潟県新知事…「柳瀬氏同様、
      安倍政権下で出世してきた元官僚」…女性差別発言隠蔽は体質の体現


 東京新聞の記事【福島第二、全基廃炉へ 東電社長、知事に方針伝達】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018061490135726.html)によると、《小早川智明社長は…福島県庁を訪れ、内堀雅雄知事に、福島第二原発(同県楢葉町富岡町)の全四基を廃炉とする方向で検討すると伝えた。「このままあいまいでは復興の足かせになる」と理由を説明した》。
 何を今頃。3.11東京電力核発電所人災直後に、廃炉宣言するのが当たり前でしょっ。さっさと廃炉作業に着手しておくべきだった。

 東京新聞の記事【東電、他社原発を支援 東海第二再稼働へ資金 東北電と対策費】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201804/CK2018040602000145.html)によると、《福島第一原発事故の賠償を続ける東電が他社の原発を支援することに、批判が集まるのは確実…千七百四十億円のうち、原電が自社で賄えない分について東電と東北電に協力を求め、両社は三月三十日にそれぞれ社長名の文書で支援の意向を表明◆廃炉・賠償 援助の余裕なし 東電が原電を援助する意向を示した。だが東電は利用者の電気代や国からの支援がなければ、福島第一原発の廃炉や賠償費用などを賄えない身他社を援助している場合ではない》。
 フザケルなー!! 柏崎刈羽核発電所の再稼働やよその核施設への投資なんてやっている暇とカネがあるのか?

   『●「故郷の川に身を投げたい衝動に駆られた」
       「早く浪江に帰りたい」…「原状回復」することも無く…
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:  
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061602000239.html

「使用済み核燃料」「廃炉」 課題山積
2018年6月16日 夕刊

<解説> 佐賀県の玄海原発4号機の再稼働で、九州電力は目標としていた稼働原発の四基体制を達成した。経営上は大きな前進だが、使用済み核燃料の扱いや安全性を確保した廃炉作業など原発を巡る課題は山積している。

 使用済み核燃料を巡っては、核燃料サイクルの中核となる青森県六ケ所村の再処理工場がトラブルなどで稼働が遅れている。玄海原発でも使用済み核燃料の保管プールは4号機が五~六年、3号機が六~七年でそれぞれ満杯となる計算だ。

 九電は再稼働後、燃料の間隔を狭めてプールの貯蔵容量を増やす「リラッキング」や、燃料を金属容器で密封し空気冷却する「乾式貯蔵」の導入を原子力規制委員会に申請する構えだが、実現の時期は見通せていない

 1号機で始まった廃炉作業は二〇四三年度まで続く長丁場。九電としても初めての経験で、今後の作業も手探りの状態だ。稼働中の原子炉の近くで廃炉作業も並行して進むことになるが、いかに安全を確保するかが重要になる。

 玄海3、4号機でトラブルが相次ぎ、周辺住民が注ぐ視線は厳しい。課題にどう向き合うのか、再稼働後こそ丁寧な説明が求められている。 (共同・比嘉慧)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061602000162.html

【社説】
福島第二原発 目の前の廃炉に全力を
2018年6月16日

 東京電力が福島第二原発廃炉を表明。遅きに失した感はある。だがこの上は計十基の廃炉事業に全力を傾注し、速やかに成果を上げること。東電という企業に残された恐らく最後のチャンスである。

 「(福島第二原発が)復興の妨げ、足かせになる」と、東京電力の小早川智明社長は言った。

 そこへたどりつくまでに七年以上もかけたとすれば驚きだ。

 福島第二も第一同様、地震と津波の被害を受けて電源を喪失し、メルトダウン(炉心溶融)の危機に陥った。

 唯一生き残った外部電源を頼りに、何とか冷温停止に持ち込んだ。紙一重の僥倖(ぎょうこう)だった

 サイトは二つ、しかし外から見れば同じ「福島原発」、誰がどう見ても福島で原発を動かすことは不可能だこの決断は遅すぎる

 第一の六基に加えて第二の四基。東電は世界史上例のない、原発十基の廃炉事業を背負うことになる並大抵のことではない

 メルトダウンを起こした第一原発の三基は、溶け落ちた核燃料の状態もまだ把握できていない。机上の工程表は示されてはいるものの、作業自体はスタートラインに立ったとも言い難い状況。地下水の流入、汚染水の処理にさえ、いまだ手を焼く状態だ。

 廃炉、賠償にかかる費用は推計二十一兆円恐らくさらに膨らむことになるだろう。東電がどれだけ大企業だったとしても、到底背負いきれるものではない。

 その上さらに、第二の廃炉費用がのしかかる。

 「東電に原発運転の資格なし」と考えるのは、福島県民だけではない。

 東電は唯一残った新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働に意欲を見せる。十日の新潟県知事選で与党の支持する新知事が誕生したが、新潟県民の原発不信、東電不信が解消されたわけではない。

 原発の安全を維持するには、膨大な費用がかかると教えてくれたのも東電だが、今の東電に、余力があるとは思えない

 いくら「国策」だからと言って、血税の投入にも電気料金の値上げにも限度というものがあるはずだ。

 第二原発の廃炉を契機に東電は、今度こそ本当に生まれ変わるべきではないか再稼働へのこだわりも、きっぱり捨てて

 福島や新潟の不安や不信を受け止めて、目の前の巨大な課題を直視して、そこに全力を注ぐ姿勢をまず示すべきだろう。
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●「日本壊滅を救った新潟県民」…「インチキと不備だらけ」…「このまま再稼働されたら、福島原発の二の舞」

2016年10月25日 00時00分55秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の伊勢崎馨氏の記事【新潟県知事選で原発再稼働反対の米山隆一候補が当選した理由…官邸の謀略と東電のデタラメに県民が怒り】(http://lite-ra.com/2016/10/post-2627.html)。

 《安倍官邸と自民党が原発再稼働のために手段を選ばない謀略を仕掛けていた。当初、4選出馬を表明していた再稼働反対派の現職知事・泉田裕彦氏が突如、出馬を撤回したのも、裏で官邸と原発ムラがスキャンダルを使った揺さぶりを仕掛けたためといわれている》。

 「ニンマリできなかった原子力ムラ」住人が裏で何をやっていたのか? 「暗殺」の「噂」まで出る始末。米山隆一・新・新潟県知事も十分に気をつけていただきたい。
 《新潟の危機、いや、日本壊滅を救った新潟県民》の皆さんに、改めて、感謝しなければいけない。《インチキと不備だらけ》のアレ…《このまま再稼働されたら、福島原発の二の舞》になるところでした。

   『●東電柏崎刈羽原発再稼働!?: 
     《第一原発事故を検証しない限り…》とする泉田裕彦新潟県知事の正論
   『●残念な「泉田裕彦新潟県知事「出馬撤回」事件」:  
       「原子力ムラはニンマリ」「東電の高笑い」で良いの?
   『●NHK解説委員長、原発は人間の手に負えないモンスター
             …「アベ様のNHK」発の核発電政策への波紋
   『●新潟県知事選: 自公推薦候補者に騙されてはいけない
             …確実にあの東京電力のアレを再稼働させる
   『●安孫子亘監督映画「『知事抹殺』の真実」の
     佐藤栄佐久元知事冤罪…泉田裕彦新潟県知事「事件」の背景に?

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http://lite-ra.com/2016/10/post-2627.html

新潟県知事選で原発再稼働反対の米山隆一候補が当選した理由…官邸の謀略と東電のデタラメに県民が怒り
伊勢崎馨 原発 2016.10.17

     (米山隆一公式ホームページより)

 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が争点となった新潟県知事選は、共産、自由、社民党推薦で、再稼働反対の米山隆一氏が、自民、公明党推薦の再稼働容認派の森民夫前長岡市長を破って当選をはたした。
 新潟県知事選をめぐってはこの間、本サイトでも指摘したように、安倍官邸と自民党が原発再稼働のために手段を選ばない謀略を仕掛けていた。
 当初、4選出馬を表明していた再稼働反対派の現職知事・泉田裕彦氏が突如、出馬を撤回したのも、裏で官邸と原発ムラがスキャンダルを使った揺さぶりを仕掛けたためといわれている

   「泉田知事が出馬撤回の理由としてあげたのが、地元紙『新潟日報』から
    フェリー購入問題で県の責任を追及するキャンペーンを仕掛けられた
    ことでした。ところが、新潟日報は、その前年に東京電力の広告が5回も
    掲載されていた。そんなところから、東京電力が新潟日報にこの追及を
    やらせたんじゃないかという見方も流れました。また、それに加えて、
    官邸と自民党が泉田知事の周辺を徹底的に調べ上げ、もっと決定的な
    身内の不祥事をつかみ、人を介して、泉田知事にそれをちらつかせた
    という情報もあります」(全国紙新潟支局担当記者)

 こうして、県民に人気のあった泉田氏は出馬撤回に追い込まれ、自民、公明の知事候補は原発再稼働に理解のある森氏に決まったのだ。そして、原発ムラの一翼を担っている電力労連も森氏支持を表明し、民進党に圧力をかけて米山氏の推薦を阻止。自主投票に追い込んだ
 さらに、米山氏が優勢という情勢が判明すると、安倍官邸はより露骨な作戦に出た。13日に安倍首相が自ら泉田知事と会談し、森氏を後継指名するように要請したのである。

   「これについては、泉田知事がさすがに拒否したようですが、
    安倍首相と会談したという事実だけでも、森氏に有利に働く
    そのへんを見越して官邸が仕掛けたのでしょう」(全国紙政治部記者)

 しかし、それでも、県民は再稼働反対派の米山氏を支持し、知事に選んだ。当然だろう。いま、政府と東京電力が再稼働を推し進めている柏崎刈羽原発は、客観的に見ても、とてつもなく危険な原発だからだ。
 その理由としてまずあげられるのは、現在、審査中の同原発6号機、7号機が、あの福島第一原発と同じ沸騰水型であり、もし認められれば、沸騰水型としては東日本大震災以来はじめての再稼働となるということだろう。福島原発の事故原因もきちんと検証していない段階で、同じ型の原発を再稼働させようとするのは正気の沙汰とは思えない。

 しかも、柏崎刈羽原発はもともと耐震性に大きな問題があり、2007年7月16日の新潟県中越沖地震では、火災や放射能漏れを伴う重大な事故を引き起こしている。3号機近くの変電器付近で火災が発生、消火用水の給水管は破損して水漏れを起こし、6号機でも使用済み核燃料貯蔵プールの放射能を含んだ汚染水が海にまで流失した。さらに7号機では主排気筒から放射性物質が大気中に放出され、低レベル廃棄物入りのドラム缶約400本が倒れて放射性物質が床から検出されている。ダクトのずれ、最大1メートル以上の地盤沈下など、当時の東京電力の発表だけでも実に50件ほどの様々なトラブルが生じていた。
 運よく免れただけで、福島原発2号機と同じように、非常用の冷却装置がその機能を失い、メルトダウンを起こす危険性があったと指摘する専門家もいるほどだ。
 ところが、中越沖地震、そして東日本大震災があっても、政府や東京電力の安全軽視、再稼働優先の姿勢は変わっていない。原子力規制委と東電は、6、7号機における、耐震評価のための基準地震動を中越沖地震前の450ガルから1209ガルに引き上げたが、これは、活断層の可能性の高い東縁断層を活断層でないとして、想定地震を小さく見積もったものだ。地震学の権威である石橋克彦神戸大学名誉教授は、この判断を耐震偽装だと厳しく追及している。
 また、東京電力は、原発の建物や原子炉格納容器、使用済み核燃料を収納しているラックなどについて、地震の揺れの影響を計算する数式を、これまでと別の数式に変えようとしていることも発覚した。これまでの数式では、基準地震動よりも余裕のある耐震設計が必要だったが、新しい数式を使えばギリギリの設計ですむのだという。明らかに、甘い耐震設計ですむよう工作を行おうとしているのだ。
 他にも、新規制基準で義務化された火災対策として、原子炉の緊急停止などに必要な安全系のケーブルは、他のケーブルと分けて設置することが定められているのに、柏崎刈羽原発ではそれに違反して1〜7号機すべてで、2種類のケーブルを混ぜて敷設していたことが判明。さらに、他の原発に比べて、地下水のくみ上げ量が異常に多いのに、液状化や事故後の地下水流入対策が不十分であることも指摘されている。
 とにかく、どこをとってもインチキと不備だらけ。もし、このまま再稼働されたら、福島原発の二の舞になる可能性は極めて高いはずだ。
 そういう意味では、今回の米山隆一氏の当選は、新潟の危機、いや、日本壊滅を救った新潟県民の英断だったと言っていい。
 しかし、まだ油断はできない。本サイトでも何度も指摘しているが、政府と原子力ムラは、原発再稼働に反対する地方自治体の首長にはかたっぱしから圧力をかけ、時にはスキャンダルを仕掛けて潰してきた
 たとえば、1980年代終わりから2000年代初めまで、5期にわたって福島県知事をつとめてきた佐藤栄佐久元知事はプルサーマル導入反対に転じたとたん、東京地検特捜部に収賄容疑であまりに不自然なかたちで逮捕され、司法記者の間でも“明らかな国策逮捕”という声が上がった。
 また、高浜原発では、2000年代前半、プルサーマル導入に反対する高浜町長に対し、なんと暗殺計画までもちあがっていたことが明らかになっている。冗談のような話だが、当時、高浜原発の警備を担当していた警備会社社長が「週刊現代」(講談社)で、関西電力の幹部である同発電所副所長から依頼を受けたと告発したのだ。そして、新潟でも前述したように泉田知事が出馬断念に追い込まれた
 新たに新潟県知事に就任する米山隆一氏も、確実に官邸や原子力ムラからの圧力にさらされ、嫌がらせや揺さぶりを受けることになるだろう。
 すでに東京電力は、15 年4月に「東京電力新潟本社」を設立し、東京本社からメディア担当を集結させ、以降、新潟で放送される民放各社に複数のCMを復活させている。雑誌や広報誌、そして全国紙の新潟県版にも広告を出稿するなど原発マネーをバラまき、“メディア包囲網”を着々と築いている
 再稼働を阻止するためにも、国民はこうした謀略の動きを徹底的にチェックし、批判していく必要がある。

伊勢崎馨
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●「大切なのは「信頼」だ」…だからもう病気なんですってば!? 核発電「麻薬」患者

2016年02月01日 00時00分31秒 | Weblog


 東京新聞の記事【核のごみ 行き場見えず 9府県の知事、中間貯蔵施設受け入れ「拒否」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012802000137.html)。

 《受け入れを「前向きに検討する」とした知事はなく、九府県が「拒否」と答えた。高浜原発は再稼働後、使用済み核燃料の貯蔵プールが七~八年で満杯になる見通しで、中間貯蔵施設の建設は喫緊の課題だが、実現の難しさが浮き彫りになった》。
 「あとは野となれ、山となれ」とは、呆れるね。1分、1秒も再稼働なんてやってはいけないというのに。

   『●「電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)」:
                         あとは野となれ、山となれ

   『●狂気の伝染、連鎖: 原子力「ムラ寄生」委員会が
      お墨付きを与えるのはあの関電の高浜プルサーマル原発
   『●狂気・凶器「プルサーマル発電は新規制基準下では初」
               ……もう何でもアリな原子力ムラの大暴走

 東京新聞の社説【浜原発再稼働 信頼を結べぬままに】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016013002000131.html)によると、《絶対の安全などないという。だとすれば、大切なのは「信頼」だ。その信頼を結べぬままの関西電力 高浜原発(福井県)再稼働。何をそんなに急ぐのか》? ……だからもう病気なんですってば!? 核発電「麻薬」患者。

   『●使用済み核燃料プールが満杯になったらどうするの??
   『●2030「年代」原発ゼロと原発建設再開
   『●ネズミ騒動、それともタコの足か? 原発の想定不適当事故!?
   『●当事者能力がなくなっても原発を動かしたいという中毒症状
   『●「原発事故調書 原因不明、責任不在」:  
       川内原発再稼働なんてやってる場合か!

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012802000137.html

核のごみ 行き場見えず 9府県の知事、中間貯蔵施設受け入れ「拒否」
2016年1月28日 朝刊

 関西電力が二十九日に予定する高浜原発3号機(福井県高浜町)の再稼働を前に、本紙は全国四十七都道府県の知事に、原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の受け入れについてアンケートした。受け入れを「前向きに検討する」とした知事はなく、九府県が「拒否」と答えた。高浜原発は再稼働後、使用済み核燃料の貯蔵プールが七~八年で満杯になる見通しで、中間貯蔵施設の建設は喫緊の課題だが、実現の難しさが浮き彫りになった。

 「拒否」の九府県は山形、福島、新潟、京都、徳島、香川、高知、熊本、沖縄。残りは「どちらでもない」が茨城、神奈川、埼玉、千葉、静岡など十六道県で、「無回答」が東京、群馬、栃木、大阪など二十二都府県だった。

 回答理由としては、「拒否」では自然災害に対する懸念や、福島第一原発事故後に高まった原発に対する住民の不安などを挙げる意見があった。

 「どちらでもない」では「現時点で想定しておらず、受け入れに関する検討も行ったことはない」(秋田)との声があり、判断するための議論すらまったく進んでいない現状が浮かぶ。

 「無回答」では「国が責任をもって進めるべきだ」(愛知)などと、判断を避けるケースが目立った。

 高浜原発が立地する福井県の西川一誠知事は再稼働に同意する際、施設の県外立地に向けた国の関与を挙げていた。西川知事はアンケートではすべての質問に回答せず、その理由も示さなかった。

 アンケートは今月八~二十日に書面で実施した。
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●「原発事故調書 原因不明、責任不在」: 川内原発再稼働なんてやってる場合か!

2014年12月05日 00時00分59秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【原発 国民負担続く 電力会社を優遇、収益保証】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014111402000126.html)、
【原発損失料金上乗せ 自由化後の中間案】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014111302000248.html)、
そして、社説【原発事故調書 原因不明、責任不在】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014111502000170.html)。

 「原発を持つ電力会社の収益を保証したり、廃炉にする場合の損失計上についての優遇策などを盛り込んだ」・・・・・・散々甘い汁を吸っておいて、いまさら何を言っているのでしょうか。安い・安全と喧伝し、「死の灰」「プルトニウム」をこれだけ集積しておいて、今頃何を言ってるのか!
 「損失が生じたら電気料金に上乗せし回収して穴埋めできるようにする」・・・・・・全原発を廃炉にしてから言え! 川内高浜大間で、一体何をやっているのか!!

   『●狂気の伝染、連鎖: 原子力「ムラ寄生」委員会が
       お墨付きを与えるのはあの関電の高浜プルサーマル原発

   『●「世界初のフルMOX原発で、年に約一トンのプルトニウム」を
                     燃焼させて「安全」と言い得る自信に慄く

   『●60年間稼働させたい高浜原発: 「電気代が高い低いの問題とを
                         並べて論じること自体、許されない」


 「事故の原因も責任の所在も明らかにできないまま、再稼働になだれを打ってもいいのだろうか・・・・・・統括する安全委が米国に比べると月とスッポンくらいの危機管理能力しかない」。あ~川内原発再稼働なんてやってる場合か!

   ●「超巨大噴火が、100年以内に起こり得るというのは大変なこと」:
                         九州電力川内原発再稼働という無謀
   『●川内原発再稼働問題: 火山学会は、
       原子力寄生委員会から売られたケンカは買うべきだ!


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014111402000126.html

原発 国民負担続く 電力会社を優遇、収益保証
2014年11月14日 朝刊

 経済産業省は十三日、原子力政策について話し合う有識者会議「原子力小委員会」で、今後の議論の方向性を示す「中間整理」の素案を提示した。原発を持つ電力会社の収益を保証したり、廃炉にする場合の損失計上についての優遇策などを盛り込んだ。事故が起きた場合の国と電力会社の責任をあいまいにしたまま国民負担につながる議論が着々と進んでおり、委員からは反対の意見も上がった。 (吉田通夫)


 委員会は年内に「中間整理」をまとめ、年明けから優遇策の制度設計を議論する。

 素案は原発事業者の「損益を平準化する」措置を導入すると明記、参考に英国の制度を挙げた。国と電力事業者が原発の設置、運営などの費用を基に電気の基準価格を決定。想定より高い利益が生じた場合は国に納めるが、損失が生じると電気料金に上乗せして回収、収益を保証する仕組み。二〇一八~二〇年をめどに始まる電力料金の完全自由化後も電力会社が利益を確保しやすくする狙いだ。

 また、現在の原発は、古くても廃炉費用を積み立て終わっていないケースが多く、廃炉を決めた場合に電力会社に巨額の損失や費用負担が生じる。このため廃炉費用を一定期間かけて損失計上できる会計の優遇措置などを検討する。

 実現のめどが立たずに国民負担が増え続けている核燃料サイクル(再利用)計画や、高速増殖原型炉「もんじゅ」の実用化を目指す方針も盛り込んだ。委員で原子力資料情報室伴英幸共同代表は「(電気)利用者の負担が増えないようにすべきだ」と求めた。

 一方、事故が起きた場合の国と電力会社の賠償責任については国会が約束した原子力損害賠償法の見直し期限を二年以上過ぎているものの、素案では「ほかの省庁が所管する事項」とするにとどめた。

 委員を務める吉岡斉(ひとし)九州大教授は「事故前の原子力政策と九割変わっていない」と批判した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014111302000248.html

原発損失料金上乗せ 自由化後の中間案
2014年11月13日 夕刊
 

写真

[↑ブログ主注: すいません勝手にコピペさせて頂いております
 (http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/images/PK2014111302100134_size0.jpg)]

 経済産業省は十三日、原子力政策について話し合う有識者会議「原子力小委員会」を開き、今後の方針をまとめた「中間整理案」を提示した。電力事業が自由化された後も国が原発事業による収益を保証し、損失が生じる場合は電気料金に上乗せできるようにするなど、原発優遇策の必要性を盛り込んだ。詳細は年明けから詰める。大事故が起きた場合の国と電力会社の責任をめぐる議論は進んでいないが、国民負担を増やす議論は着々と進んでいる。

 優遇策は八月に委員会に示された英国の制度を参考にした。国の認可制度の下、電力会社が原発などの発電費用を全て回収できるよう設定できる総括原価方式の撤廃後も、日本の政府と電力会社が原発の建設費や使用済み核燃料の処分など、全ての費用を基に電気の価格を決定、損失が生じたら電気料金に上乗せし回収して穴埋めできるようにする。

 さらに計画より早く原発を廃炉にする場合の費用負担も電気料金などに転嫁、原発を持つ電力会社が損をしないようにする

 このほか「中間整理案」には、原発が廃炉になった場合の立地自治体への財政支援や、実現のめどが立たずに国民負担が増え続けている核燃料サイクル(再利用)計画、高速増殖炉「もんじゅ」の実用化を目指す方向なども盛り込んだ。

 電力自由化後、電気料金は二〇一八~二〇年をめどに総括原価方式が廃止され、小売り会社が自由に決められるようになる。経産省がモデルにした英国では、料金競争で火力発電が安くなり、高コストの原発は担い手がいなくなるため、優遇制度を導入した経緯がある。

 日本でも原発が割高だという民間の試算は多いが、政府は「原発は安い」という公式見解を変えておらず、優遇策の導入と矛盾する。

 また、国民負担を増やす議論が進む一方で、大事故が起きた場合の賠償責任の在り方など、原子力政策の責任をめぐる議論は進んでいない


無責任体質そのまま

解説 経済産業省が示した原子力政策をめぐる中間整理案は、原発についての国や電力会社の無責任体質を放置したまま国民負担を増やし、原発を維持する姿勢を明確に打ち出した。さらに中間整理案は、国が「安い」と言い続けてきた原発が本当は高コストだと認める形にもなっている

 政府は原発によって一キロワット時当たり最低八・九円で電気をつくることができるとして「ほかの電力と比べて安いとの主張は変えずこれを再稼働を進める根拠の一つにしてきた本当に安いなら自由化後も電力会社が原発による発電に参入するはずで、優遇策が必要な理由が成り立たない

 さらに国民負担を増やす議論が進む一方、原子力政策をめぐる国と電力会社の無責任体質は変わっていない。

 国会は、原子力損害賠償法を二〇一二年八月までに見直し、あいまいになっている国と電力会社の責任をはっきりさせると決議。だが具体策についてはいまだに議論中だ。経産省は九州電力川内(せんだい)原発を再稼働するために鹿児島県に「万が一の事故の場合は国が責任を持って対処するとする文書を渡したものの、宮沢洋一経産相は十一日の記者会見で「責任は一義的には事業者(電力会社)にあるというのが法律上の規定だ」とぼかした。

 原発を再稼働する場合に三十キロ圏内にある自治体の同意が必要かどうかも国と自治体、電力会社の思惑はばらばら。東京電力は国会で「必要」と答えたが、同意が必要な関係者を増やすと再稼働のハードルが上がるため、政府がこれを打ち消すという無責任な対応が続いている。

 原発再稼働のために国民負担を増やす議論は着実に進むが、だれが原発に対して責任を負うのかという根本的な議論は三年前から一歩も進んでいない。 (吉田通夫)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014111502000170.html

【社説】
原発事故調書 原因不明、責任不在
2014年11月15日

 新たに公開された政府の原発事故調査・検証委員会での証言は、現場の混乱と恐怖をよく物語る。事故の原因も責任の所在も明らかにできないまま、再稼働になだれを打ってもいいのだろうか。

 新たに公開の五十六人分の調書から、今何を読み取ればいいのだろうか。

 原子力安全・保安院の西山英彦審議官(当時)は「(会見で)あえて炉心の溶解や溶融などの言葉は使わないようにした」という。

 混乱回避という言い訳はもはや通じない。政府には、国民に真実を伝えようという意思が欠けていたようだ

 寺田学首相補佐官(同)は「統括する安全委が米国に比べると月とスッポンくらいの危機管理能力しかない」と述べた。

 そして、それは改善されたのか。

 3・11からすでに三年八カ月。福島原発事故については、いまだ知らされていないこと、分からないことが多すぎる

 そもそも、事故の原因さえ、判明したとは言い難い。政府事故調も国会事故調も、原因を特定できないままである。貴重な証言が公表されても、その内容を事故原因の究明や、新たな事故の防止につなげなければ、意味はない原発の是非論にも深く関わる。

 国会事故調は、揺れによる配管損傷など、地震そのものが原因になった恐れを指摘して、調査継続の必要性を訴えた。津波が到達する前に電源が喪失していた可能性があり、1号機の原子炉建屋で出水が目撃されていたからだ。

 ところが原子力規制委員会の分析検討会は、東電の独自調査の結果を踏襲し、電源喪失は津波による浸水の時刻とおおむね一致しており、出水は配管ではなく、燃料貯蔵プールからの水漏れによるものと断じている

 このような見解に基づいて、川内原発は災害に対する備えが整ったと認められ、3・11後の新たな審査基準に適合すると判断された。その判断を基にして、高浜や伊方など同じタイプの原発の審査が、“合格”に近づいているという。

 地震の揺れに対する備えは、本当に十分だといえるのか。

 事故原因が十分解明されず、責任の所在をあいまいにしたままで、なし崩しに再稼働を急ぐのは、理性的といえようか。いつかまた、過ちを繰り返しかねない。

 現場の混乱を伝える調書から読み取るべきは、事故原因の調査がさらに必要だという警告だ。
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●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)

2014年03月30日 00時00分38秒 | Weblog


magazine9.jpの記事【いま、東電で起きていること、原子力規制委員会の危うい動き】(http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/)。
asahi.comの記事【原発事故と規制委―教訓いかす改革続けよ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p、3月9日)。
東京新聞の記事【3・11から3年 まだ知らないフクシマ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html)。
asahi.comの記事【原発政策―問題先送りを続けるな】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)。
最後に、peacephilosophy.blogspot.jpの記事【原子力規制委「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点: 反核医師会より抗議声明】(http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/03/blog-post_7.html)。

 「政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。それに呼応するように、原子力規制委員会の動きもかなり以前とは変わってきている。各原発の安全審査を、「再稼働」の方向へ導こうとしているように見えるのだ」・・・・・・露骨な原子力「推進」委員会っぷり。

 アベ自公政権と協力しての原発再稼働への動き、それを後押しする原子力「推進」委員会。「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、むしろ「寄生」委。「原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、最初のヤマ場を迎えつつある。新しい規制基準に比較的早く適合しそうな原発の絞り込みが進み、最初の再稼働の候補原発が「優先審査」の対象として近く公表される見込みだ。再稼働に前のめりな政治家らからは「世界一厳しい規制」といった言葉も聞かれる。基準を満たしさえすれば問題ない、と言いたげだ。だが、それは違う」。

   『●覆水盆に返らず、3.11から3年も経って今頃言っている愚かさ

 「地元」民や「地元」首長にも大いに問題あり。自公政権や「寄生」委等々に「騙されること」そして「無関心」の責任。「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる--。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない・・・・・・政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ・・それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる・・・・・・福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう」。

   ●無関心の責任: 自公は「原子力に依存しなくてもよい経済・
                 社会構造の確立」、「原発ゼロ」を公約

 最後に、暴走する原子力「推進」「奇声」「寄生」委員会への抗議・・・・・・「1,100ミリシーベルト以下の被ばくでも健康被害の可能性を認めるのが、現在の国際的動向である・・・・・・2,ICRPの勧告でも、積極的な住民参加による意思決定や健康管理の充実を強調している・・・・・・・3,個人線量計による計測結果を重視することで、被ばくに対する個人責任や新たな社会的問題を生み出す危険がある・・・・・・4,健康相談員による相談だけでは、住民に安全・安心の健康管理は不可能である」。

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http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/

時々お散歩日記
鈴木耕
170


いま、東電で起きていること、
原子力規制委員会の危うい動き

 安倍政権のあまりに極右的な突っ走りぶりに目を奪われている間に、原発再稼働への動きが露骨になってきた。舛添要一氏の東京都知事当選で、まるで「再稼働承認」の錦の御旗を得たとでも言わんばかりに、政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。

 それに呼応するように、原子力規制委員会の動きもかなり以前とは変わってきている。各原発の安全審査を、「再稼働」の方向へ導こうとしているように見えるのだ。

 東電は、相変わらず超高濃度汚染水の垂れ流しを単純な機器の不具合でごまかそうとする。

 さらに、米倉経団連会長からも「原発新規建設」を求める声が公然と上がり始めたし、事故後しばらくは顔を見せなかった原子力ムラ(小出裕章さんは「原子力ムラではない、あれはもっとたちの悪い原子力マフィアです」と常々言っておられる)の面々も、最近では恥ずかしげもなくマスメディアに顔を出すようになってきた。出すほうも出すほうである。

 政府の原発関連の審議会や懇談会のメンバーには、原発マフィアの連中がいつの間にか復帰。それを土台にして、政府の「エネルギー基本計画」なるものは、言葉遊びで国民をたぶらかそうとする。

 NHKへの安倍支配は制作現場にまで及び、原発関連のラジオ放送を事前チェックでやめさせたりもする。NHK側は「都知事選の最中なので、政治的議論のあるものは避けてほしいと要請しただけ」と弁解したが、それならば、TPPも集団的自衛権も憲法も秘密保護法も社会保障もアレもコレも…すべて避けなければならない理屈になる。

 賛否の議論がある社会問題を取り上げられないのなら、それはもはや“報道機関”ではない。あまりにトンチンカンで呆れるほど面白い籾井会長や某作家もいることだし、NHK丸ごと吉本へでも払い下げるがいい…吉本も迷惑だろうが。と、皮肉のひとつも言いたくなるのだ。

 最近の原発をめぐる危うい状況を見てみよう。

 昨年末以来、原子力規制委員会は、泊原発3号機(北海道、北海道電力)、大飯原発3,4号機(福井、関西電力)、高浜原発3,4号機(福井、関電)、伊方原発3号機(愛媛、四国電力)、川内原発1,2号機(鹿児島、九州電力)、玄海原発3,4号機(佐賀、九電)など4電力6原発10基の安全審査に入っている。

 そして1月26日には、女川原発2号機(宮城、東北電力)の安全審査も規制委が開始した。

 これらの審査について、規制委の更田豊志委員は早々と(1月9日)、「安全審査の新基準に不適合とされる原発が出てくるとは、考えていない」と語り、大飯原発については「夏になってまだ安全審査をやっているとは思わない」。さらに、高浜原発についても「夏までの再稼働は不可能ではない」と、ほぼ審査合格のお墨付きを与えてしまった。

 審査途中で「不適合の原発は出てこない」と語る。これはそうとうな問題発言だ。きちんとした審査報告書が作られる前に、規制委員がこんな発言をしてしまう。結論ありきの上での審査だと言われても仕方ないではないか。ところが、この更田発言に対する批判がほとんど聞かれない。逆に、政府筋からは更田発言を評価する声が上がっている始末。

 なお、更田委員は、原子力ムラのど真ん中に位置する日本原子力研究開発機構の副部門長という要職にあった人。委員就任当初から「中立であるべき原子力規制委員としては、偏った人事ではないか」との批判を受けていたが、その批判が当たっていたというべきだろうか。

 アベノミクスの重要な柱である原発再稼働に、規制委そのものも飲み込まれ始めたのかもしれない。

 そのことは、政府の「エネルギー基本計画」にあからさまだ。「原発を重要なベース電源とする」という当初の内容が、都知事選前には原発という争点隠しのためにウヤムヤにされていたが、舛添氏が当選したと見るや「原発は重要なベースロード電源」というわけの分からない言葉に置き換えられてゾンビ復活。官僚たちの言葉遊びも度が過ぎる。

 「ベース電源」を「ベースロード電源」に書き直して、いったい何が変わるというのか。舛添当選で、官僚も政治家も「国民の程度はこんなもの」と高を括ったとしか思えない。

 規制委は1月20日、敦賀原発2号機(福井、日本原電)の断層の再調査に入った。しかし、この再調査はどうも不可解だ。なぜなら、規制委はこの断層が「活断層である」とすでに判断していたからだ。

 それに対し日本原電が「独自調査した結果、活断層ではない」と言い出した。原子炉建屋の下に活断層があれば原発稼働は許されない。確かに日本原電にとっては死活問題だろう。だが、一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば、いつまで経っても調査は終わらない。再稼働への道はいつでも開かれている、ということになる。

 同じことが東通原発(青森、東北電力)の安全審査でも起きている。実はこの原発も、2013年2月に「敷地内にある断層群の多くが活断層である可能性が高い」と、規制委の調査団が認定する報告書をまとめていたのだ。

 ところが、東北電力側が反論、「これは地層が水を吸って膨張するいわゆる『膨潤現象』で形成されたもの」という、かなり無理な主張の追加調査書を提出。それをもとに調査団が再議論。

 一度、規制委として結論を出したものを、電力会社側が反論すれば再調査する。これでは、いつまで経っても終わらない。

 なぜこんなことが起るのか。原子力関連ではよくあることだが、審議会や調査団のメンバーがいつの間にか入れ替わっていて、最初の結論とは違う方向へ議論が誘導される。電力会社側が、それを画策している。そして、規制委はまんまとその電力側の意図に乗った…?

 最近、どうも規制委に微妙な危うさを感じているのは、そんな動きが垣間見られるからだ。現在の規制基準では、原発の重要施設の下に活断層が認められれば、その原発は廃炉としなければならないことになっている。だから、電力会社としてはどんな手段を使おうと、とにかく「活断層」を認めるわけにはいかない。すでにある原発を廃炉とせざるを得なくなれば、確かにそれだけで莫大な赤字となるからだ。

 しかし、ほんとうにそうなのか。むしろ、危険な原発を延命させることのほうが膨大な損失を生むのではないか。

 考えてみれば、今のうちに廃炉への道筋を作っておけば、再びの大事故は何とか回避できる可能性が高い。凄まじい事故賠償金と除染費用、事故収束への気の遠くなるような時間とカネ…。もう一度、過酷事故が起きた場合を想定すれば、廃炉のほうがずっと安くつくと思うのだが、甦りつつある原子力ムラの村民たちは、崩壊したはずの「安全神話」に今でもすがりついている。東電福島原発事故からいったい何を学んだのか。

 かつて『塀の中の懲りない面々』(安部譲二)という面白い小説があったけれど、まったく「原子力ムラの懲りない面々」には、手の施しようがない。

 東京電力福島事故原発の高濃度汚染水漏れは、もはや絶望的な域に達している。もう「高濃度汚染水漏れ」と聞いても、こちらも不感症気味になってしまったが、実は大変なことなのだ。

 東電が2月20日に公表したところによれば、福島事故原発のタンクから、なんと100トン以上もの高濃度汚染水が漏れていた。それも並みの「高濃度」ではない。放射性ストロンチウムなどベータ線を放出する放射性物質が、2億4千万ベクレル/リットル検出されたという。むろん、これまでで最高値。国が定めた放出限度の数百万倍にも相当するという。

 昨年夏にも高濃度汚染水の漏洩事故があったが、このときは規制委が「原子力事故の国際基準で5番目に深刻なレベル3に相当する」との厳しい評価を下している。それに準拠すれば、今回の事故は、もっと深刻といわなければならないはずだ。だが、それにしてはマスメディアがおとなしい。

 いつものことだが、東電の事故発表は必ず大きな話題の陰に隠れるように行われる。今回も見事に「オリンピックのバカ騒ぎ」に乗じた。「感動」や「美談」の大報道の中で、この恐ろしい値の汚染水漏れ事故は、なんとなくかき消されてしまった。いつもながらの手法。

 もうひとつ、この汚染水漏れで見逃してはならないことがある。

 東電は当初、この事故は「警報は出たが、水位計の不具合と判断し、水位を確かめなかった」と言っている。つまり、機器の故障によるものだったとの判断である。しかしその後、「汚染水の移送先のタンクに続く配管の弁以外はすべて閉じられているはずなのだが、3つの弁のうち、ミスで2つの弁が開いたままだった。そこから汚染水が漏れた可能性がある」と訂正した。だがこれでは収まらず、訂正は続く。24日、「2つの弁が開いたままだったのは、作業を簡単にするために東電の指示で開けておいた」ということを発表せざるを得なくなった。つまり、東電は2度にわたってウソの発表をしたのだ。東電の虚偽・隠蔽体質はまったく改善されていない。

 さて、ではなぜ、これが大きな問題なのか。

 東電は「機器の不具合なのだから、直せば問題はない」と言いたかったのだ。もし人為的ミスだとすれば、人員の増強や作業手順の教育などを根本からやり直す必要が出てくる。東電は、それを避けたい。

 ただでさえ福島原発での作業員の数は減少傾向。特に熟練作業員は被曝許容量を超えたために現場から離れつつあるという。さらに、安倍が「アンダー・コントロール」と世界に向けて大ウソをついた揚句の果ての東京オリンピックで、土木関連の作業員は東京へ流れ始めているという。福島原発で人員不足に陥るのは当然だ。

 これではもっと人為ミスが起きかねない。人為ミスであることがはっきりすれば、ベテラン作業員の補充が急務となる。そこで、柏崎刈羽からベテランを福島へ応援に行かせるべきだ、との声が上がり始めた。

 東電は、こんな汚染水漏れの末期症状の中で「柏崎刈羽原発再稼働へ向けた安全審査」を規制委に申請している。もし、福島事故原発での汚染水対策が進まなければ、柏崎刈羽原発からベテランを福島へ回さざるを得ない。そうなれば、肝腎の柏崎刈羽原発の再稼働に支障が出てくる。

 だから何としてでも、東電は「人為ミス」ではなく「機器の不具合・故障」ということにしておきたかったのではないか。多分、この推測は当たっているだろう。

 そんな中で東電は25日、今度は福島第一の4号機の使用済み核燃料プールでの冷却が停止したと発表。電源ケーブルを作業員が誤って切断したのが原因ではないかという。これもまた人為ミスなのは明らか。

 このプールには1500体以上の核燃料があるが、プールは地震で脆弱化。もし再度の地震や台風などでプールが崩壊したら東日本は全滅、とまで言われる危険な部分だ。早急にこの核燃料を運び出さなければならないが、現在のところ運び出し完了したのは、まだ396体。そこでまたもや人為ミス。柏崎刈羽原発再稼働などと言っているのは正気の沙汰ではない。東電は、ありとあらゆる力を福島へつぎ込むのが当然だろう。

 柏崎刈羽原発再稼働を言うのなら、最低限、福島原発事故を収束させてから言え! である。

 もうひとつ指摘しておきたい。

 これは前にも書いたことだが、どんなに精密な機械を造ろうと、「神ならぬ人間」がそれを操作する限り、事故は“絶対に”防げない。何度も何度も繰り返す東電の事故を見ていると、なぜそんなにしてまで原発にこだわるのか、僕にはとうてい理解できない。

 繰り返すが、どんなに素晴らしい技術と理解力を持った人間だって、絶対にミスを犯す。人間はミスを重ねながら進歩する。だからミスは歓迎すべきだ、という人もいる。それは正しいだろう。けれど、それを原発へ適用することだけは“絶対に”してはならない。

 原発での事故は、自分の世代だけではなく、数百年数千年…いや数万年の彼方まで影響を及ぼす。なぜ、原子力ムラの村民たちはそれを想像できないのか。それとも、自らが神の座にある、とでも思い上がっているのだろうか。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p、3月9日】

原発事故と規制委―教訓いかす改革続けよ
2014年3月9日(日)付

 原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、最初のヤマ場を迎えつつある。

 新しい規制基準に比較的早く適合しそうな原発の絞り込みが進み、最初の再稼働の候補原発が「優先審査」の対象として近く公表される見込みだ。

 再稼働に前のめりな政治家らからは「世界一厳しい規制」といった言葉も聞かれる。基準を満たしさえすれば問題ない、と言いたげだ。

 だが、それは違う。

 周辺住民の避難計画や使用済み核燃料の行き先など、規制基準には含まれない大きな問題が横たわっている。それだけではない。規制委による審査そのものも改革途上であるからだ。

 規制委の審査はまだ、福島第一原発事故の反省を十分に反映しているとはいえない。狭い範囲に多くの原発がある集中立地の問題など、重要課題がいくつも残されている。


■集中立地は未検討

 思い起こそう。3年前、福島第一では1、2、3号機が次々に炉心溶融を起こし、大量の放射性物質をまき散らした。

 「どこまでひどいことになるのか」。日本中が底知れない恐怖に襲われた。

 4号機の燃料プールが過熱して使用済み核燃料が大規模に破損すれば、放射能汚染で近づけなくなる恐れがあった。

 そうなれば、停止中の5、6号機や12キロほどしか離れていない福島第二の4基まで、最大10基の原発から次々に放射能が放出されることもありえたのだ。

 運転員の懸命な努力や4号機燃料プールに大量の水が流れ込んだ幸運などで、「最悪のシナリオ」はかろうじて免れた。

 それでも、世界の原子力規制当局には衝撃を与えた。主流になっている軽水炉で放射能を大量放出する過酷事故が起き、さらに燃料プールや集中立地のリスクまで浮上したためだ。

 日本を含む各国とも、自然災害対策などを見直し、複数基の同時事故に対応できる態勢を事業者に求めるようになった。

 ただ、7基を抱える柏崎刈羽原発(新潟県)があり、福井県内には14基の原発・高速増殖炉が集まるなど、日本は集中立地では世界的にも突出している。それを考えると、規制委の取り組みは甘い。

 規制委の田中俊一委員長は「いずれ議論しなければいけないが、まだしていない」という。1カ所でいくつもの原発が同時に動く状況はまだ先と考えているからのようだ。

 しかし、燃料が入った原発は止まっていても危険がある。運転は1基でも、近くに原発があれば事故拡大の危険がつきまとう。特に複数の事業者が絡むと事業者任せではすまない。

 日本こそ率先して検討すべき問題だ。集中立地のリスクに正面から向き合わずに、審査結果をどう説明するつもりなのか。


■訓練も抜き打ちで

 新規制基準は、地震や津波などの自然災害に備えた設備面では格段に厳しくなった。

 過酷事故も想定させ、各原子炉で炉心損傷事故の確率を1万年に1回程度以下に抑えるなどとする「安全目標」も定めた。目標を満たすように構造や設備を強化させる。

 欧米では広く採用されている手法で、日本でも10年以上前から議論されながら安全神話に阻まれて導入されずにきた。

 安全目標で比べれば、各国とほぼ同水準であり「世界一」ではない。設備の追加要求に事業者は不満顔だが、自然災害の多い日本では最低限の水準と考えるべきだ。

 一方、運転時の事故対応などソフト面の規制はまだ弱い。航空機の衝突しか考慮していないテロ対策も含め、抜本的な見直しが必要だ。訓練の立ち会いで済まさず、事故やテロ時の対応を事前の打ち合わせなしで実地で審査するなど、海外の実践例にも学んで強化すべきである。


■周回遅れ取り戻せ

 福島での事故は事業者に都合のいい規制のもとで起きた。規制強化は欧米から周回遅れであり、早く追いつく必要がある。

 国民への説明にはもっと意をつくすべきだ。委員長会見や審査会合をインターネットで中継したりしているが、審査や規制について社会にどこまで伝わっているだろうか。避難計画への関与も強めてもらいたい。

 実務にあたる職員の能力と意欲を高めることも不可欠だ。

 原子力規制庁は原子力安全基盤機構を統合し、職員が約千人に倍増した。機構は事故前も審査実務を担い、「事業者寄り」との批判を浴びた。新生規制庁は意識を改め、事業者と健全な緊張関係を持ち、規制の質を高めなければならない。

 それには規制委が原発推進派から独立を保ち、規制の意義を職員に浸透させる必要がある。

 安倍政権や事業者は再稼働を急ごうとしている。しかし、規制委はあくまで厳格な審査を貫き、常に改善策を追究していく姿勢が求められる。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html

【社説】
3・11から3年 まだ知らないフクシマ
2014年3月9日

 過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる-。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない。

 忘却が神話を復活させるのか。

 政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。

 一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ。


◆忘却とは少し違う

 「忘却というのは、ちょっと違うかな…」

 写真家の島田恵さんは、少しの間考え込んだ。核燃料サイクル施設が集中する青森県六ケ所村で十二年間生活し、変わっていく村の様子、変われない村の暮らしをつぶさに記録し続けたことがある。

 3・11の後、六ケ所と福島を結ぶ記録映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」を製作し、自主上映会を経て先月、東京・渋谷の映画館で初公開した。

 核燃料サイクルとは、原発で使用済みの核燃料を再利用する計画だ。エネルギー政策の根幹ともされてきた。

 核のごみが全国から集まる六ケ所村も、福島同様、国策に翻弄(ほんろう)されながら、都市の繁栄を支えてきた。いわば入り口と出口の関係だと、島田さんは考える。

 巨額の交付金と引き換えに推進派と反対派に分断された寒村は、列島の縮図にも映る。

 この三年、おびただしい活字と映像が、フクシマを伝えてきた。周囲から「公開のタイミングを外したのでは」と指摘されたこともある。

 それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる。


◆事故報告書は未完成

 私たちは福島をまだ知らない。

 福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう。

 国会事故調の調査期間は、実質約三カ月だったという。

 報告書は「破損した原子炉の現状は詳しくは判明しておらず、今後の地震、台風などの自然災害に果たして耐えられるのか分からない」などと、冒頭で未完成であることを吐露している。

 例えば、こんな事実もある。

 震災発生当日、福島第一原発4号機は定期点検中で、核燃料はすべて使用済み燃料の貯蔵プールに移されていた。

 プールの中では約千五百体の核燃料が高い崩壊熱を発しており、最も危険な状態だったとされている。放射線量が高く建屋の中に入ることは不可能だったと、作業員は語っている。

 燃料を冷やす手だてがなかったということだ。

 ところが、貯蔵プールの横にある「原子炉ウェル」と呼ばれる縦穴に、大量の水がたまっていた。

 津波か地震の衝撃で仕切り板がずれ、そこから貯蔵プールに水が流れて冷やしてくれた。

 そして皮肉にも爆発で建屋の屋根が飛び、外部からの注水が可能になった。

 点検作業の不手際があり、四日前に抜き取られていたはずの水がそこに残されていた。もし“不手際”がなかったら-。私たちは幸運だったのだ。

 チェルノブイリ原発事故の原因について、当時のソ連当局は、規則違反の動作試験が行われたため、運転出力が急上昇したことによると発表した。

 しかし、事故から五年後、「主因は人為的なものではなく、原子炉の構造的な欠陥である」という内容の報告書をまとめている。

 米スリーマイル原発事故が起きたのは、作業員が誤って非常用冷却装置を止めてしまったからだと、調査の結果判明した。

 事故原因が解析され、判明し、防止策を講じた上で、原発は再び動き始めた。しかし、福島の場合はどうか。世界史にも例がない多重事故は極めて複雑だ。

 原因解明が不十分なまま再稼働だけを急いで、本当に大丈夫なのだろうか。根源的な疑問は、やっぱり残る。


◆無事故の保証ではない

 3・11以前への回帰を目指すエネルギー基本計画が、間もなく正式に決定される。

 政府は、積極的に再稼働を認める姿勢を隠さない。

 だが、原子力規制庁自身が明確に認めているように、世界一の規制基準とは、たとえそうであれ、無事故を保証するものではない。 地震国日本に、安全な場所はない。なし崩しの再稼働を受け入れるか、受け入れないか。フクシマを知り、フクシマの今を踏まえて、決めるのは私たち自身である。
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原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会』(2/2)へつづく)

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●当事者能力がなくなっても原発を動かしたいという中毒症状

2013年08月15日 00時00分01秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013071902000108.html)と記事【湯気発生の3号機5階 最大2170ミリシーベルト計測 福島第一】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072402000123.html)。asahi.comの記事【「水抜けても燃料溶けない」敦賀原発2号機、原電が報告】(http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY201307310555.html)。nikkansports.comの記事【汚染水1日300トン福島第1原発から流出】(http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130807-1169805.html)。そして、asahi.comの【社説】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1、8月9日)ともんじゅくんによる記事【(もんじゅ君のエネルギーさんぽ)ストッパー少なすぎ】(http://www.asahi.com/culture/update/0808/TKY201308080280.html?ref=comtop_fbox_d1)。

 近々、大飯原発が停止する。でも、誰も困らない。節電等で十分に電力は足りている。
 一方、福島第一原発周辺では汚染水が垂れ流し状態である。東電も原子力規制委員会も自公政権も当事者能力が無いことが明白。断層が在ろうが無かろうがお構いなしで、色々な原発を再稼働したくてしょうがないし、輸出先の環境が汚染されようがお構いなしで、色々な国に原発を輸出したくてしょうがない、ようだ。こういうのは「中毒症状」やね。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013071902000108.html

【コラム】
筆洗
2013年7月19日

 歴史上の人物一人と会って、話が聞けるとしたら、誰を選びますか。日本では、卑弥呼(ひみこ)や織田信長あたりを挙げる人が多いだろうか。自然と人間の全史を一冊にまとめた『137億年の物語』(文芸春秋)の著者クリストファー・ロイドさんは、進化論を生んだダーウィンに会いたいそうだ▼「彼は世界を俯瞰(ふかん)し、自然とどういうつながりを持っていけるか、提言できる人です。タイムマシンで彼に現代社会を見せてあげたい。ともに福島を訪れたいし、日本の選挙も見てほしい」▼ロイドさんは昨年、衆院選が始まる直前に来日して、福島へ足を延ばした。そこで「二十、三十年先も今と同じ経済モデルでは通用しない。化石エネルギーや原子力に頼らない新しいモデルをどうつくるか。日本にこそチャンスがある」と確信した▼そのロイドさんが再来日した。今度はちょうど参院選の真っ最中だ。「電力供給など短期的不安があるのは分かります。でも、どうも多くの政治家は福島のことを早く忘れさせようとしている日本はチャンスを失いつつあるそれは世界にとって大きな損失です」▼自然界で人類だけが特別な存在だと考えられていた時代に、ダーウィンは、人はあくまでも自然の一部として進化してきたと説いた▼彼に会うことはかなわぬが、「ダーウィンの目」で今の日本を眺めようとすることは、可能だ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072402000123.html

湯気発生の3号機5階 最大2170ミリシーベルト計測 福島第一
2013年7月24日 朝刊

 東京電力は二十三日、福島第一原発3号機の原子炉建屋五階で湯気が発生した場所の周辺で、最大毎時二一七〇ミリシーベルトを計測したと発表した。人が数時間もいれば確実に死亡する高い線量。3号機はこれまでも放射線量が高く、事故収束作業の足を引っ張ってきたが、あらためて汚染度のひどさが明らかになった。

 3号機原子炉建屋五階では十八と二十三の両日、格納容器の上部と機器貯蔵プール境目付近で、湯気の発生が確認された。

 東電は、クレーンで建屋上部から線量計をつるし、湯気の発生場所近くの二十五カ所で放射線量を計測。毎時一三七~二一七〇ミリシーベルトを計測した。湯気が出た直近の場所では五六二ミリシーベルトだった。

 東電は、湯気の原因を、雨水が熱を持った格納容器のふたに触れて蒸発したとみているが、原子力規制委員会が詳細な調査を指示していた。

 3号機ではこれまで、格納容器近くの床で毎時四七八〇ミリシーベルトを計測するなど現場の高線量が作業の障壁となっている。

 水素爆発による建屋上部のがれきはほぼ片付けられたが、最上階の五階に近づくほど線量が高い状態。作業員は放射線を遮る重いタングステン板入りのベストを装備して作業に当たる。それでも一人が現場で作業できる時間はわずかしかない。
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http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY201307310555.html

2013年8月1日0時0分
「水抜けても燃料溶けない」敦賀原発2号機、原電が報告

 日本原子力発電は31日、原子力規制委員会が原子炉建屋直下に活断層があると判断した敦賀原発2号機(福井県)の使用済み核燃料プールについて、冷却水が抜けても燃料は壊れないと評価し、規制委に報告した。

 停止中の2号機は現在、原子炉内に燃料はなく1645体の燃料集合体は原子炉建屋内のプールで保管している。規制委は5月、活断層による地震で事故が起きないか評価するよう、原電に命じていた。

 原電によると、冷却水がなくなった場合でも燃料同士のすき間に空気が流れて冷やされるため、燃料を覆う金属管の温度は420度にとどまり、燃料が溶けないという。原電は「新たな対策は不要」としている。

 原電は今回、単純に水が漏れたり無くなったりした場合を想定。地震の揺れで、燃料が倒れたりする場合を想定していない。規制委は今後、評価のやり直しを命じる可能性がある。

 原電は、2号機の直下の断層は活断層ではないと主張。規制委の判断に異議を申し立てている。今回の報告について、原電は命令に従わずに罰則を受けないための措置としている。
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http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130807-1169805.html

汚染水1日300トン福島第1原発から流出

 東京電力福島第1原発から汚染水が海に流出している問題で、政府の原子力災害対策本部は7日、流出量は1日約300トンに上るとの試算を初めて明らかにした。

 地下水が敷地内で汚染されて流出しているのが原因で、完全に防ぐのは困難とみられる。

 政府と東電は護岸付近で地下水をくみ上げて流出量を減らす対策を急ぐ。くみ上げ量は来年9月までに計約4万トンに達するという。経済産業省資源エネルギー庁の担当者は「事故直後から流出している可能性を否定できない」としている。

 一方、原子炉建屋への地下水流入を防ぐため経産省が国費の投入を検討していることが7日、明らかになった。建屋周辺の土を凍らせる「凍土遮水壁」の関連費用を2014年度予算の概算要求に盛り込む方向だ。

 政府はこれまで廃炉に向けた研究開発費を支援してきたが、汚染水対策として予算計上すれば初めてとなる。安倍晋三首相は7日午後の原子力災害対策本部の会議で「東電に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じる」と述べ、早急な対策を実施するよう茂木敏充経産相に指示した。

 政府の試算によると、第1原発1~4号機周辺では1日約1000トンの地下水の流れがあり、このうち約400トンが原子炉建屋地下などに流入。残り約600トンのうち約300トンは、建屋地下とつながるトレンチ(海水配管や電源ケーブルが通る地下道)にたまっている高濃度の汚染水と混ざって汚染され、海に流出している。残る約300トンは汚染されずに海に流れ込む。

 試算は東電が検討している護岸付近でのくみ上げ量などを基に算出したが、詳細な根拠は示さなかった。東電は「流出の可能性は否定しないが、300トン流出していると考えているわけではない」としている。

 政府と東電はトレンチ内の汚染水抜き取りを今月中旬から開始するとともに、護岸付近での地下水くみ上げを9日に始める。1~4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水流入を防ぐ凍土遮水壁は抜本対策として挙げられているが、工事完了までに1~2年かかる。工事費は300億~400億円と見積もられている。

 第1原発の敷地海側では5月24日に観測用井戸から採取された水で、高濃度の放射性物質が検出され、その後、周辺の井戸や護岸に近い海水でも検出が相次いだ。東電は当初、汚染水の海への流出を否定していたが7月22日に一転して認めた。(共同)

 [2013年8月7日23時56分]
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1、8月9日】

2013年8月9日(金)付
汚染水対策―東電処理策の見直しを

 東京電力福島第一原発の汚染水問題で、政府が国費を投入して対策に乗り出す。

 1日300トンの汚染水が海に流出している可能性があるという。対応が後手に回り続けている状況を見れば、東電に当事者能力がないのは明らかだ。

 国が前面に出るのは当然だろう。遅すぎるぐらいだ。

 もちろん、政府が主導すれば解決するという単純な話ではない。経験のない作業は、今後も困難を伴うはずだ。不測の事態も起こりうる。

 あらゆる知恵とできる限りの技術を投入し、事態の深刻化を食い止める必要がある。

 それには、現場で把握された情報が関係者の間で速やかに共有される体制が不可欠だ。

 政府は実際の作業も東電任せにせず、状況を常に監視・把握し、関係機関や地元自治体などと連絡を密にしながら、必要な決断がくだせる仕組みを構築しなければならない。

 もうひとつ、早急に取り組むべきは、東電の経営再建計画の抜本的な見直しである。

 政府は汚染水対策の費用を来年度予算に盛り込むが、これは東電にのしかかる巨額の費用の一端にすぎず、その場しのぎの手当てでしかない。

 事故処理、被災者への賠償・生活支援、除染、今後の廃炉にかかる費用をすべて東電に負担させる現在の枠組みは、とっくに行き詰まっている。

 東電は、現行の経営再建計画に沿って、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働まで申請しようとしている福島の現状を考えれば論外だそんな余裕がどこにあるのか

 東電の責任は決して軽減されるべきものではない。ただ、能力をはるかに超えた負担を放置しておけば、かえって被災地の再建や首都圏の電力供給に支障が出かねない。

 現行計画のどこに無理があるのか。今後どのような費用がどれぐらいかかり、誰がどう負担すべきか。現実を直視し、情報を公開しながら改めて議論し直すときだ。

 いずれにせよ税金の追加投入は避けられないだろう。そうである以上、東電の破綻(はたん)処理という議論の原点に立ち返り、貸手である金融機関の責任などを問う必要がある

 あらためて、原発事故が国民生活に与える負担の大きさを思う。その厳然たる事実を踏まえれば、安倍政権が対処すべきことは明らかだ。

 原発推進の姿勢を改め、原発を減らしていく道筋をはっきりと示すことである。
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http://www.asahi.com/culture/update/0808/TKY201308080280.html?ref=comtop_fbox_d1

2013年8月9日9時23分
もんじゅ君のエネルギーさんぽ)ストッパー少なすぎ

■汚染水、さっそく壁を乗り越える

 こんにちは。もんじゅ君ですだよ。

 先週のこのコラムではふくいち君の汚染水問題についておつたえしたんだけど、そのときに心配していた「水ガラスで地面をかためて壁をつくっても、壁の脇から汚染水がもれちゃうんじゃないか?」という懸念はさっそくあたってしまったみたいで、「どうも壁の上から汚染水が漏れているみたい」とあっさりと東電さんが認めていますだよ。

 なんだか泣けてくるね。

■海側の壁だけでは不十分

 ものすごくらんぼうなイメージでおはなしすると、これは浜辺に建っている原子炉のほうへ、じゃーじゃーと地下水が流れ込んでいる感じなのね。だから海側の地中にだけ「壁」をつくったところで、手のひらで水の一部を受け止めているだけ。手のひらをよけてお水は海へと流れ込んでしまうの。

根本的解決には、四方と底を覆うこと

 根本的になんとかしようとするなら、原子炉のあるエリアをすっぽりと側面も底も覆うようにして、コップに入れるような感じにしないとダメなんじゃないかな。

 もし海側の壁をもっと大きく、広いものにしたところで、増えつづける地下水がどんどんたまってしまえば、建屋そのものがぷかぷか浮いてしまう危険性もあると思うの。

■汚染水のそばにいると被曝してしまう

 そしてもし、海への流出をとめることができたとしても、すでにたまっている汚染水、増えつづける汚染水をどうするのかという問題も大きいよね。

 汚染水はそれそのものが放射性物質を大量にふくんでいて、放射線を出しつづけるものなの。そのそばで働く人たちが被曝してしまうし、地震や津波がまた起きれば汚染水がこぼれたり波にさらわれたりするリスクもあるんだよ。どうやって安全に保管、処分するのか、ぜんぜん道筋がみえていないんだ。

東電さんのもくろむ再稼働

 そんなふうに汚染水の問題ひとつとっても、ふくいち君の現場はなにひとつ進展がないどころか、問題が雪だるまのようにごろごろと大きくなっているの

 いっぽうで政府は各地の原発の再稼働をすすめようとしているし、当の東電さんまでも「新潟の柏崎刈羽くんをそろそろ再稼働申請したいんだなぁ」といっているんだ

■新潟県知事さんは事故の検証をもとめる

 「ちょっと変じゃない?」と、その東電さんに待ったをかけているのが新潟の泉田県知事さん。「安全性の問題とかももちろんあるけどさ、そもそもふくいち君の事故がどうして起きたのか、どうしたらおなじような事故が二度と起きないのか、そういう振り返りがちゃんとできてないのに再稼働したいってどういうこと?」とツッコミを入れているんだね。

 このために、東電さんは柏崎刈羽くんを再稼働したいけれども、まだその申請を原子力規制委員会さんへ出せないでいるんだ。

■規制委員会さんは活断層にばかり注目?

 この泉田知事のツッコミはとてもまっとうなものなんじゃないかなぁ。

 というのは、再稼働の審査にあたって規制委員会さんは「活断層のあるなし」にかなりフォーカスしてしまっているような印象もあるんだけど、なにも問題はそこにだけあるんじゃないよね。福島でこんな大事故が起きているのにその検証がきちんとなされていない、ということを飛ばしちゃいけないと思うんだ。

■再稼働のストッパー役がすくない

 心配なのは、新潟県内でもこんなふうに再稼働に疑問を投げかけているのは知事さんだけで、柏崎市さんや刈羽村さんも「再稼働? うん、いいよ」といっているの。これは全国的にみてもおんなじで、立地自治体でハッキリと「動かして大丈夫なの? ちょっと待って」といっているところはほかにはみあたらないんだ。

 去年はすくなくとも、関西のほうで福井の大飯くんの再稼働に反対する声がおおきかったけれど、いまはそういうストッパー役になっている自治体が新潟県さん以外、目立たないんだよ。

来月にはまた原発ゼロに

 ふくいち君の手のつけようのない状況とはうらはらに、再稼働への動きはしゅくしゅくとすすんでいてなかなかもどかしいけれど、じつは来月には福井の大飯くんが定期点検に入って止まるから、また日本じゅうで動いている原発はゼロになるんだ。

 日本はこれまで発稼働のすくない状況で2度の夏を乗り切っているから、じっさいにはなくてもなんとかなるようだということが実感として社会に浸透してきていると思うの。

 つぎの原発ゼロの期間がどれくらい長く持つのかについては、去年からつづく金曜日の抗議活動のような全国的な動きもだいじだけど、それぞれの立地自治体での「ほんとに動かして大丈夫なの?」という声がますますだいじになってくる気がしているよ。
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