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●刑事裁判…武藤類子さん《「裁判所はこれでいいのか」事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》

2023年02月04日 00時00分50秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


・大寒波 (20230124[])
未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない》…《巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。》?? 一体どんな論理か? 
 《東京電力福島第一原発事故について被害者が国の賠償責任を問うた訴訟で、最高裁が6月に、「責任がない」という判断を示し》た時と同じ論理...《史上最大の公害事件》、核発電人災。《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国の日本で原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》…なはずなのに。東京高裁は正気か? そんな論理が許されるのならば、二度と核発電所の稼働など許されない。さっさとすべて廃炉作業に入るべき。(琉球新報)《電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる》べきなのに…。

   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の刑事裁判で
         永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底
     から覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

 政権党の誰も責任を取らない。ましてや、再稼働したい、停止期間控除で老朽核発電所を60年以上も運転したい…。GXの名の下に、核発電所を新規建設したい…。一方、人災の当事者・東電は、自公政権や経産省の後押しの下、柏崎刈羽核発電所を運転したいという…。
 沖縄新報の【社説[東電旧経営陣再び無罪]責任問う仕組み必要だ】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1090811)によると、《巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。被害の大きさを考えれば釈然としない判決だ。東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3被告に対し、東京高裁が一審の東京地裁に続き再び無罪判決を言い渡した》《刑事訴訟で個人の責任が否定されても、東電や国の責任は残ったままだ。岸田文雄政権は「原発回帰」を打ち出すが、電力需要や電気産業の都合ばかりが目立つ。リスクの大きさを考えれば、責任の重さに向き合わないままの推進は許されない》。

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
   『●東京高裁・細田啓介裁判長…《市民の判断で強制起訴された東京電力
        旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された》でいいのですか?

 東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくていいのか」? 「市民の正義無き国ニッポン。(東京新聞)《海渡雄一弁護士は「裁判官は現場に行くこともなく、原発事故の被害に向き合おうとしなかった」と振り返り、「具体的な危険がなければ対策しなくていいという判断政府が再稼働を進めようとする中、司法が歯止めになっていない」と非難した》。
 刑事裁判においても、《未曽有の事故を風化させないためにも、人災を起こした責任を明確に問うべきだ》。《「福島原発告訴団」の武藤類子団長…は、判決後に東京都内で開いた集会で「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」と憤り、「悔しい」と何度も繰り返して声を震わせた》そうだ。さらに、《「裁判所はこれでいいのか」 事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》と。

   『●脱アクションウィーク、5万人集会
    「最後の福島の被災市民として武藤類子さんが
     訴えておられる映像がとても印象に残りました。
     その文章おこしされたものはCML
     (http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011909.html
     にありますので、一読して頂きたいです」

   『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
              五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
    《団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らない
     と大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず
     文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、
     私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る》

   『●「東電元幹部の罪と罰」
     『週刊金曜日』(2014年9月19日、1008号)についてのつぶやき
    《武藤類子氏【これでも罪を問わないのか】。
     明石昇二郎さん【東電関係者の「不起訴」理由 検察は、いかに
     原子力ムラに丸め込まれたか】、「告発人として主任検事から
     詳細な説明を受けていた筆者が、その詳細を暴露する……
     御用電力学者の言い訳を鵜呑み……原子力ムラにしてやられた検察」》

   『●原状回復が損害賠償の基本: 東京電力原発人災で
             「ふるさとをなくした痛み」は全く癒えていない
    《「東京電力福島第一原発事故で国と東電の刑事責任を
     追及している福島原発告訴団の武藤類子団長は「原発事故が
     解決していない中での再稼働は信じ難い」と強調。川内原発建設
     反対連絡協議会の鳥原良子会長は「民意を反映しない
     鹿児島県や薩摩川内市の再稼働同意に住民は大きな怒りを
     感じている」と述べた》
    《原発事故被害者団体連絡会が設立された。被災者の悲しみ、
     怒りは、激しく、深く。共に訴え、助け合うため団結した。
     それは私たちとも無関係ではあり得ない。福島が求めている
     のは、当然そうあるべきことだけだ。謝罪と被害の完全賠償、
     暮らしと生業の回復、詳細な健康診断と医療保障、
     および被曝(ひばく)低減策、そして、事故の責任解明-》

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
    《長い困難な裁判になるのだろうが、みんな裁判にかけている。
     団長の前いわき市議佐藤和良さんは「有罪に持ち込むため、
     スクラムを組もう」と訴えた。副団長の武藤類子さんも
     「最悪の事故を経験した大人として、未来に対して何ができるか」
     と問うた。私も、市民の正義を求める人びととともに
     「われらゆるがず」の歌声に連なりたい。(佐藤直子)》

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…「国を相手に
        ケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》
    「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 250回/
     原発事故に翻弄された14人~土井敏邦監督『福島は語る』】
     …。《映画は、生活を根こそぎ奪われ、人生を翻弄された
     14人の被災者に焦点を当てている。…暮しの中から被災後の困難を
     浮かび上がらせているのが特徴だ》」
    《こういった人々の語りから「病めるフクシマ」という言葉がじわり
     と浮かんでくる。福島原発告訴団武藤類子団長が登場する章では、
     「自分たちは理不尽な被害者なのに、黙っていていいの?
     と問いかける武藤団長が、沖縄で闘っている人の言葉を紹介する。
     「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ。
     それが尊厳なんだ。プライドなんだ」 胸に響く。》

   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》
    《「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──
     2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた
     武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を
     揺さぶりました…》

   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》

 以前も引用しました ―――――― 武藤類子さん《避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違うふるさとになってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います》。《本来ならその人たちにとっても…まったく違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》。
 東電や国はさっさと「原状回復」して見せてほしい…11年も経ってしまったではないですか。さらに、かつて、武藤類子さん《ひとりひとりの市民が… 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です》とも。――――――

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1090811

社説[東電旧経営陣再び無罪]責任問う仕組み必要だ
2023年1月20日 9:00

 巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。被害の大きさを考えれば釈然としない判決だ。

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3被告に対し、東京高裁が一審の東京地裁に続き再び無罪判決を言い渡した

 3人は勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長。原発事故後の長期避難で入院患者ら44人を死亡させるなどしたとして、いずれも禁錮5年を求刑されていた。

 高裁での争点は3人が巨大津波を予測できたか(予見可能性)と、対策を取っていれば事故を回避できたか(結果回避可能性)の二つだ。

 予見可能性では、一審が信頼性を否定した政府の地震予測「長期評価」を「重みがある」としたものの、3人に津波の可能性を認識させる情報ではなかったと判断した。

 一審では触れられなかった防潮堤建設などの津波対策についても検証されたが、事故が防げたとする証明は不十分で「後知恵によるバイアス」として排除した。

 災害予測を軽んじるような判断で納得できない。

 避難者の集団訴訟で昨年6月に出た最高裁判決でも災害は予見できず、対策しても事故は防げなかった可能性があるとして、国の責任が認められなかった

 災害予測には不確実な点があり、対策を講じてもリスクをゼロにすることは難しい。しかし、それを理由に企業の責任者を問えないなら同じ惨事が起きる不安は拭えない

■    ■

 一方、昨年7月、旧経営陣に計13兆円超の賠償支払いを命じた訴訟では、今回の刑事訴訟とほぼ同じ証拠を基に長期評価の信頼性が認められ、「浸水対策で事故は回避できた」とする判断が出た。

 異なる判断の背景には、個人の責任を問う刑事訴訟における立証ハードルの高さがある。

 3人は市民が参加する検察審査会によって強制起訴された。

 しかし、2009年に導入された強制起訴制度による有罪は、起訴された10件のうち2件にとどまっている

 制度の課題を踏まえ、業務上過失致死傷罪を企業に適用する「組織罰」の導入を目指す動きもある。

 重大事故で企業の責任を問うことができれば経営者も問われ、事故の再発防止につながることが期待できるのではないか。検討が必要だ。

■    ■

 原発事故を検証した国会事故調査委員会は12年、東電や政府が対策を怠ったとして事故は「人災」とした。

 事故から12年たつが、廃炉作業は遅々として進まず、いまだに事故の避難者2万7千人余が福島県内外で避難生活を送っている

 刑事訴訟で個人の責任が否定されても、東電や国の責任は残ったままだ

 岸田文雄政権は「原発回帰」を打ち出すが、電力需要や電気産業の都合ばかりが目立つ。リスクの大きさを考えれば、責任の重さに向き合わないままの推進は許されない
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コメント
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●東京高裁・細田啓介裁判長…《市民の判断で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された》でいいのですか?

2023年02月01日 00時00分46秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


(20230120[])
東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくていいのか」? 「市民の正義無き国ニッポン。(東京新聞)《海渡雄一弁護士は「裁判官は現場に行くこともなく、原発事故の被害に向き合おうとしなかった」と振り返り、「具体的な危険がなければ対策しなくていいという判断政府が再稼働を進めようとする中、司法が歯止めになっていない」と非難した》。

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン

 《東京電力旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された》…呆れかえる。まさに「恥を知れ」だ。《判決は後知恵によるバイアスという強い言葉で退けた》って、酷過ぎる判決文。
 小野沢健太山下葉月両記者による、東京新聞の記事【「恥を知れ」と怒声が飛んだ…高裁が出した無罪判決に被災者から怒りの声 東電旧経営陣の刑事裁判】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/226005)によると、《市民の判断で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された。検察官役となった弁護士らは、福島第一原発事故後の原発政策を転換した政府への「忖度(そんたく)」を指摘。事故から12年がたとうとする中、今も避難生活を続ける被災者からは怒りの声が上がった。(小野沢健太山下葉月)》。

   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
      東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令

 刑事裁判においても、《未曽有の事故を風化させないためにも、人災を起こした責任を明確に問うべきだ》。
 琉球新報の【<社説>東電旧経営陣無罪 責任の所在があいまいだ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1649225.html)によると、《だが、同じく津波を予見できたかどうかが焦点となった民事訴訟では、津波による事故は予見できたとして、浸水対策をとらなかった旧経営陣に賠償を命じる判決が出ている。刑事裁判は過失立証のハードルが高いとはいえ、司法判断が正反対に分かれることは納得し難い》。

 《「福島原発告訴団」の武藤類子団長…は、判決後に東京都内で開いた集会で「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」と憤り、「悔しい」と何度も繰り返して声を震わせた》そうだ。さらに、《「裁判所はこれでいいのか」 事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》。

   『●脱アクションウィーク、5万人集会
    「最後の福島の被災市民として武藤類子さんが
     訴えておられる映像がとても印象に残りました。
     その文章おこしされたものはCML
     (http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011909.html
     にありますので、一読して頂きたいです」

   『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
              五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
    《団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らない
     と大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず
     文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、
     私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る》

   『●「東電元幹部の罪と罰」
     『週刊金曜日』(2014年9月19日、1008号)についてのつぶやき
    《武藤類子氏【これでも罪を問わないのか】。
     明石昇二郎さん【東電関係者の「不起訴」理由 検察は、いかに
     原子力ムラに丸め込まれたか】、「告発人として主任検事から
     詳細な説明を受けていた筆者が、その詳細を暴露する……
     御用電力学者の言い訳を鵜呑み……原子力ムラにしてやられた検察」》

   『●原状回復が損害賠償の基本: 東京電力原発人災で
             「ふるさとをなくした痛み」は全く癒えていない
    《「東京電力福島第一原発事故で国と東電の刑事責任を
     追及している福島原発告訴団の武藤類子団長は「原発事故が
     解決していない中での再稼働は信じ難い」と強調。川内原発建設
     反対連絡協議会の鳥原良子会長は「民意を反映しない
     鹿児島県や薩摩川内市の再稼働同意に住民は大きな怒りを
     感じている」と述べた》
    《原発事故被害者団体連絡会が設立された。被災者の悲しみ、
     怒りは、激しく、深く。共に訴え、助け合うため団結した。
     それは私たちとも無関係ではあり得ない。福島が求めている
     のは、当然そうあるべきことだけだ。謝罪と被害の完全賠償、
     暮らしと生業の回復、詳細な健康診断と医療保障、
     および被曝(ひばく)低減策、そして、事故の責任解明-》

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
    《長い困難な裁判になるのだろうが、みんな裁判にかけている。
     団長の前いわき市議佐藤和良さんは「有罪に持ち込むため、
     スクラムを組もう」と訴えた。副団長の武藤類子さんも
     「最悪の事故を経験した大人として、未来に対して何ができるか」
     と問うた。私も、市民の正義を求める人びととともに
     「われらゆるがず」の歌声に連なりたい。(佐藤直子)》

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…「国を相手に
        ケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》
    「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 250回/
     原発事故に翻弄された14人~土井敏邦監督『福島は語る』】
     …。《映画は、生活を根こそぎ奪われ、人生を翻弄された
     14人の被災者に焦点を当てている。…暮しの中から被災後の困難を
     浮かび上がらせているのが特徴だ》」
    《こういった人々の語りから「病めるフクシマ」という言葉がじわり
     と浮かんでくる。福島原発告訴団武藤類子団長が登場する章では、
     「自分たちは理不尽な被害者なのに、黙っていていいの?
     と問いかける武藤団長が、沖縄で闘っている人の言葉を紹介する。
     「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ。
     それが尊厳なんだ。プライドなんだ」 胸に響く。》

   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》
    《「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──
     2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた
     武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を
     揺さぶりました…》

   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》

 以前も引用しました ―――――― 武藤類子さん《避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違うふるさと」になってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います》。《本来ならその人たちにとっても…まったく違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》。
 東電や国はさっさと「原状回復」して見せてほしい…11年も経ってしまったではないですか。さらに、かつて、武藤類子さん《ひとりひとりの市民が… 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です》とも。――――――

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/226005

「恥を知れ」と怒声が飛んだ…高裁が出した無罪判決に被災者から怒りの声 東電旧経営陣の刑事裁判
2023年1月18日 21時34分

     (福島第一原発事故を巡る東京電力の旧経営陣3人の
      控訴審判決後、「不当判決」などと書かれた紙を掲げる
      女性(左端)ら告訴団と支援者ら=東京・霞が関の東京高裁前)

 市民の判断で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された。検察官役となった弁護士らは、福島第一原発事故後の原発政策を転換した政府への「忖度(そんたく)」を指摘。事故から12年がたとうとする中、今も避難生活を続ける被災者からは怒りの声が上がった。(小野沢健太山下葉月

【関連記事】福島第一原発事故の刑事裁判 東電元会長ら旧経営陣3人、二審も無罪 「津波の可能性は予測できない」


◆勝俣恒久元会長は体調不良で出廷せず

 「控訴を棄却する」

 18日午後2時すぎ、細田啓介裁判長が判決主文を言い渡すと、傍聴人で満席の東京高裁の法廷は静まり返った。証言台の前に立った武藤栄元副社長(72)と、武黒一郎元副社長(76)は身動きせずに主文を聞いた後、武藤元副社長だけが裁判長に一礼をして席に戻った。勝俣恒久元会長(82)は体調不良のため出廷しなかった。

 主要な争点となった国の地震予測「長期評価」について、細田裁判長が「当時は、信頼度がかなり低いとする評価だった」と述べると、武藤元副社長は満足そうに軽く2、3度うなずいた。武黒元副社長は、細田裁判長をじっと見つめたままだった。

 判決の読み上げは約1時間40分に及んだ。閉廷後、2人は被災者らも座る傍聴席には目を向けずに退出。静かだった傍聴席からは「恥知らず」と怒声が飛んだ。


◆思わず書き込んだ「裁判所はこれでいいのか」

     (判決後の報告集会で無念の表情を見せる原発事故被害者の
      武藤類子さん=東京・霞が関の弁護士会館で)

 旧経営陣を告訴・告発した「福島原発告訴団」の武藤類子団長(69)=福島県三春町=は、判決後に東京都内で開いた集会で「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」と憤り、「悔しい」と何度も繰り返して声を震わせた。

 傍聴席で判決の読み上げを聞いた。「一審判決を再現しているような早口で、東電側の主張を全部うのみにして言っているようだった」。聞いているうちに絶望感が高まり、メモを取っていたノートに思わず書き込んだ。「裁判所はこれでいいのか」 事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない。「原発事故はまだ終わっていない。裁判を続けたい」と話した。

 集会には全国から避難者が集まった。新潟県から来た女性は「無罪判決が出るなんて」とぼうぜんとした様子。県内には、再稼働の準備を進める東電柏崎刈羽原発がある。大雪になるだけで立ち往生するため、「原発事故が起きれば、避難どころではないはずだ」と訴えた。

 北海道千歳市の地脇聖孝さん(51)は事故時、福島県西郷村で被災した。「事実を見ない不当判決。最高裁での逆転有罪を目指したい」と前を向いた。


◆「結論ありき」検察官役が批判

 「結論ありきの判決国の原子力政策に呼応した政治的な判断をした」。判決後に記者会見をした検察官役の指定弁護士、石田省三郎弁護士は、昨年末に政府が原発推進の基本方針を決めたことを踏まえ、この日の判決を厳しく批判した。

 最高裁への上告は「検討する」と述べるにとどめた。

 控訴審で指定弁護士側が求めた証拠や現地調査などを東京高裁が却下し、実質的な審理をほとんどしないまま出された判決。石田弁護士は「証拠申請を却下しておきながら、こちらの主張が不十分というのは論理が破たんしている」と憤った。

 判決は「現実的な可能性という言葉を繰り返し、被害が発生する確実性が見込めるかを重視した。石田弁護士は「津波のような自然災害に対してこのような見解を取れば、過失責任自体が問えなくなり、極めて不合理」と指摘。「(国の地震予測の)長期評価を全面否定することが先にある恣意的な判断だ」と強調した。

 被害者参加代理人の弁護士らも会見。海渡雄一弁護士は「裁判官は現場に行くこともなく、原発事故の被害に向き合おうとしなかった」と振り返り、「具体的な危険がなければ対策しなくていいという判断政府が再稼働を進めようとする中、司法が歯止めになっていない」と非難した。
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1649225.html

<社説>東電旧経営陣無罪 責任の所在があいまいだ
2023年1月20日 05:00

 東京電力福島第1原発事故を巡り、東電旧経営陣の刑事責任が問われた裁判の控訴審判決で、東京高裁は一審に続き、無罪を言い渡した。10メートルを超える津波が襲来する可能性は予測できなかったとして、旧経営陣の過失を再び否定した。

 だが、同じく津波を予見できたかどうかが焦点となった民事訴訟では、津波による事故は予見できたとして、浸水対策をとらなかった旧経営陣に賠償を命じる判決が出ている。刑事裁判は過失立証のハードルが高いとはいえ、司法判断が正反対に分かれることは納得し難い

 東日本大震災から12年がたとうとする今も福島県では2万7千人余りが県内外で避難生活を送り、約322平方キロが帰還困難区域として原則立ち入り禁止のままだ多くの人の人生を狂わせた過酷事故で法的責任の所在があいまいになれば、同じ過ちを繰り返しかねない

 控訴審で検察官役の指定弁護士側は「津波の対策工事などをすれば事故は回避できた」と訴えたが、判決は後知恵によるバイアスという強い言葉で退けた

 だが、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づき、東電内では福島第1原発に最大15・7メートルの津波が到達すると試算していた。事故を回避できていたかどうかは、決して「後知恵」で片付けられるものではない

 一審は長期評価の信頼性を否定したが、二審は「専門家の審査を経て、見過ごすことのできない重みを有していた」と一定の信頼性を認めた。にもかかわらず、信頼性に異論を唱える専門家もいたとして、「現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報であったとは認められない」と結論づけた。

 当初、検察は旧経営陣3人を不起訴にしたが、国民の中から選ぶ検察審査会の判断で3人は強制起訴された。立証の壁の高さは、原発事故の法的責任を明らかにすべきだという被災者や市民の感覚とかけ離れている

 ひとたび事故を起こせば取り返しのつかない被害を出すだけに、原発事業者や国の安全責任は重大だ。事故前に文部科学省と経済産業省が作成した小中学生向け副読本には「大きな地震や津波にも耐えられるよう設計されている」と記述していた。最悪の自然災害を想定した安全対策を放置したことにより起きてしまった福島第1原発事故は、明らかな「人災」だ。

 一方で、原子力規制委員会が昨年12月、60年を超える原発の長期運転を可能にする安全規制の見直し案を了承した。原発推進を打ち出す政府の方針を規制委が追認し、福島第1原発事故を教訓に定められた規制制度を転換しようとする動きが進んでいる。

 未曽有の事故を風化させないためにも、人災を起こした責任を明確に問うべきだ
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●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令

2022年07月27日 00時00分09秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


 (2022年)07月15日[金])
デモクラシータイムスの映像記事【【白井聡 ニッポンの正体】原発事故はまた起きる!最高裁、驚愕の無責任判決 ゲスト:馬奈木厳太郎さん】(https://www.youtube.com/watch?v=dIljdGNGO9s)、《東京電力福島第一原発事故について被害者が国の賠償責任を問うた訴訟で、最高裁が6月に、「責任がない」という判断を示しました。この判決をどう見るのか。また、今後再び事故が起きうる可能性について福島の事故を基に再検証しました。2022年7月10日 収録》。


【【白井聡 ニッポンの正体】原発事故はまた起きる!最高裁、驚愕の無責任判決 ゲスト:馬奈木厳太郎さん】
 (https://www.youtube.com/watch?v=dIljdGNGO9s

 《史上最大の公害事件》、核発電人災。《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国の日本で原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》…なはずなのに。最「低」裁。そんな論理が許されるのならば、二度と核発電所の稼働など許されない。さっさとすべて廃炉作業に入るべき。(琉球新報)《電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる》べきなのに…。

   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(1/2)
   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(2/2)
   『●やはり最「低」裁(第2小法廷・菅野博之裁判長)でした、というオチ
     …《原発事故で国の責任認めない判決 避難者訴訟で最高裁が初判断》
   『●「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」
     ので国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁?

   『●《史上最大の公害事件》…最「低」裁は《仮定に仮定を重ねて…国の
     責任を否定した。被害者が何を裁判に求めていたかに…向き合わず…》
    《原発避難者訴訟で最高裁が初判断「国の責任認めず」 
     争点は「津波の予見」できたのか添田孝史
     …この史上最大ともいえる公害事件を、誰が引き起こしたのか
     防げなかったのか
      それを追及するため、大きくわけて3種類の訴訟が起こされている。
     当時の東電幹部を業務上過失致死傷罪で強制起訴した
     刑事裁判(1審無罪)。東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう
     株主が求めた株主代表訴訟。そして17日に最高裁で判決があった
     のは、住民らが国や東電に損害賠償や原状回復を求めた
     訴訟(集団訴訟)だ》

   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》





[↑ 朝日新聞朝刊 (2022年07月14日[木])]

 さて、《史上最大の公害事件》、核発電人災についての《東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟、東京地裁は《13兆3210億円の賠償を命じた》。当たり前な判決だと思う。漸く、地裁・高裁レベルではまともな判決も出るようになった。
 田中恭太記者による、アサヒコムの記事【東電旧経営陣4人に13兆円の賠償命令 原発事故めぐる株主代表訴訟】(https://www.asahi.com/articles/ASQ7F3Q0DQ76UTIL03D.html)によると、《朝倉佳秀裁判長は勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の4人に13兆3210億円の賠償を命じた。取締役としての注意義務を果たしていれば原発事故は防げたという判断で、原発事業者の経営責任の重さを示した画期的な判決となる》。
 琉球新報の【<社説>原発事故株主訴訟 経営陣の責任は当然だ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1549669.html)によると、《東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁は13日、勝俣恒久元会長や清水正孝元社長ら旧経営陣4人に計13兆円余りの支払いを命じた。安全対策を怠った当時の経営トップの責任を司法として初めて認めた》。

 《だが、原発事故で住む土地を失い避難生活を続ける人がいる。廃炉の見通しは立たず、大量の汚染水が日々生じている。どんな金額を積んでも取り返せる被害ではない》。そんなに核発電を続けたければ、国や電力会社は福島を《原状回復》して見せて下さい。100兆歩譲って、《原状回復》して見せてくれたら、再稼働について議論して下さい。《原状回復》なんてできないわけですから、さっさと全炉の廃炉作業に移るべき。11年間超、なにをゴチャゴチャ言っているのか。電力が足りない? この11年間以上、国や電力会社は何をやっていたのか?

   『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」 
            …では、何が原因なのか?、を説明して下さい!
   『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で 
     放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
    《とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる
     疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、
     とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を
     改めようと思う》

   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ご
     せる未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●子ども甲状腺がん裁判《東電側…弁護団…「原告らは…甲状腺の健康
     リスクの上昇には関わりがない」などと因果関係を否定》…血も涙も無し
   『●3.11から11年で、この有様…《配管は…事故直後…炉内の汚染蒸気を
     放出する排気(ベント)で使われた。11年が過ぎても、人が近づけない》

 《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ…安倍晋三》様だ。そのアベ様もいまは亡い。キシダメ氏は、国会での議論も無く、国葬をぶち上げた。正気とは思えない。リテラ《3.11に改めて問う安倍首相の罪! 第一次政権で福島第一原発の津波、冷却機能喪失対策を拒否した張本人だった》。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
       “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき


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https://www.asahi.com/articles/ASQ7F3Q0DQ76UTIL03D.html

東電旧経営陣4人に13兆円の賠償命令 原発事故めぐる株主代表訴訟
田中恭太 2022年7月13日 15時07分

     (東京地裁に入る東電株主代表訴訟の原告や弁護士ら
      =2022年7月13日午後2時30分、東京都千代田区、
      井手さゆり撮影)

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主48人が旧経営陣5人に対し、「津波対策を怠り、会社に巨額の損害を与えた」として22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟の判決が13日、東京地裁であった。朝倉佳秀裁判長は勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の4人に13兆3210億円の賠償を命じた。

 取締役としての注意義務を果たしていれば原発事故は防げたという判断で、原発事業者の経営責任の重さを示した画期的な判決となる。

13兆円の賠償命じた朝倉佳秀裁判長とは 原発訴訟で初の現地視察も
識者「他の電力会社にも影響」東電株主訴訟、原告勝訴の意味合いとは
「過去最高」の22兆円、払える? 原発事故の東電株主訴訟、判決へ
【そもそも解説】株主代表訴訟、勝っても賠償金入らず でも闘う理由

 被告は、経営の2トップだった勝俣元会長、清水元社長、原発を担う「原子力・立地本部」の責任者だった武黒元副社長、武藤元副社長、小森明生元常務の5人。


賠償や廃炉の費用、22兆円を請求

 原告は事故前から脱原発を求めてきた東電の個人株主らで、2012年3月に提訴した。被害者への賠償、廃炉、除染など、原発事故で東電に生じる費用を総額22兆円と算出し、東電に支払うよう求めていた。株主側は、22兆円の請求額は国内の株主代表訴訟で過去最高額とみていた。

 株主らは、02年に国が公表した地震予測「長期評価」や、これを元に東電子会社が08年に計算した最大15・7メートルの津波予測には信頼性や合理性があったと指摘。旧経営陣は、巨大津波の到来を予見できたのに、原発事故を防ぐ防潮堤の建設や原子炉建屋の浸水対策を怠り取締役が負うべき「善良な管理者」としての注意義務に違反したと主張した。

 特に武藤元副社長については、15・7メートルの計算結果の報告を受けたのに、妥当性の検討を土木学会に委ねることで対策を先送りしたと強調した。武黒元副社長に対しても、この方針を了承して何の措置も講じなかったと訴えた。


5人の被告、いずれも反論

 一方、武黒、武藤、小森の3氏は「長期評価には津波対策に採り入れるべき信頼性はなかった」と反論した。長期評価の取り扱いについて社外の専門家である土木学会に検討を依頼したのは「合理的」で、むしろ注意義務は尽くしていたとも主張した。

 勝俣氏と清水氏は、会社全体をみる立場で原発の専門的な知識はなく、「対策が必要になれば担当部署から報告・提案があると認識していた」と反論した。会長については、業務上の執行権限もなかったともしていた。

 株主代表訴訟では、取締役らの違法行為や経営判断の誤りで会社が被った損害について、会社が責任を追及しない場合株主が会社に代わって賠償を求める。東電は被告側の立場で補助参加していた。


刑事裁判では一審無罪

 東電旧経営陣の個人の責任を問う裁判としては、勝俣、武黒、武藤の3氏が、検察審査会の議決に基づき、業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事事件もある。東京地裁は19年に無罪判決を言い渡し、東京高裁の控訴審判決が23年1月に予定されている。

 また、事故で被害を受けた住民らが国を訴えた集団訴訟では、最高裁が6月に責任を認めない判決を出していた。(田中恭太)
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1549669.html

<社説>原発事故株主訴訟 経営陣の責任は当然だ
2022年7月15日 05:00

 東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁は13日、勝俣恒久元会長や清水正孝元社長ら旧経営陣4人に計13兆円余りの支払いを命じた。安全対策を怠った当時の経営トップの責任を司法として初めて認めた

 未曽有の被害をもたらした原発事故で、責任の所在を明確にした判決の意義は大きい。原発は安全でも低コストでもない。経営者個人が負担するにはあまりに巨額な責任を負うことになる原発の経営は、事業として破綻していると言っていい。脱原発を進めなければならない

 訴訟は、廃炉や汚染水処理の費用などで会社に巨額の損害を与えたとして、一部株主が旧経営陣5人に対して総額22兆円を東電へ賠償するよう求めた。2012年3月の提訴以来、巨大津波による事故を予見できたかどうかが焦点となってきた。

 予見可能性を巡り、政府の地震調査研究推進本部が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づき、東電子会社は福島第1原発に最大15.7メートルの津波が到達する試算を出していた。13日の判決は、長期評価は科学的信頼性が認められるとし、大津波が来ることは予見できたと結論付けた

 試算を得ながら対策を先送りした東電の対応について、朝倉佳秀裁判長は「いかにできるだけ現状維持できるか、有識者の意見のうち都合の悪い部分を無視ないし顕在化しないようにするかということに腐心してきた」と厳しく批判。試算に基づき建屋や重要機器室の浸水対策工事を実施していれば、事故を避けられた可能性があったと判断し「事故対策を速やかに指示すべきだったが、取締役としての注意義務を怠ったと旧経営陣の賠償責任を認めた

 原発事故が起きるまで、国も電力会社も原発は「安全」だと強調して設置を推進してきた。その内側では、対策工事の費用がかさむことを嫌がり、現場任せの対応で適切な対策を先送りしていた。発電コストを抑えることが経営者の関心であり、原子力事業者としての徹底した安全意識は根本から欠けていた

 今回の賠償額は国内の民事訴訟で最高とみられる。津波対策を放置した経営判断のつけは巨額の代償となった。だが、原発事故で住む土地を失い避難生活を続ける人がいる。廃炉の見通しは立たず、大量の汚染水が日々生じている。どんな金額を積んでも取り返せる被害ではない

 旧経営陣3人が強制起訴された刑事裁判では、大津波の予見可能性はなかったとして一審は無罪となった。だが、今回の判決は東海第2原発(茨城県)を運営する日本原子力発電が浸水対策を取っていたことなどを挙げ、東電も「浸水対策を発想することは十分に可能だった」とした。経営陣が責任を負うのは当然だ

 電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる
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●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》

2019年10月14日 00時00分52秒 | Weblog


小野沢健太記者による、東京新聞のシリーズ記事【<原発事故「無罪」>(上)判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092002000175.html)と、
【<原発事故「無罪」>(中)後悔と怒り今も 双葉病院「東電 無責任体質分かった」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092202000114.html)と、
【<原発事故「無罪」>(下)公判記録 民事の力に 賠償訴訟 避難者・被災者の救済期待】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092302000117.html)。

 《裁判長が閉廷を宣告すると、三人は遺族もいる傍聴席には目を向けず、立ち止まることもなく、無表情のまま法廷を後にした。「こんなの間違っている」。傍聴人の悲鳴が、法廷にこだました》。
 《「東電の無責任体質がよく分かった刑事裁判が開かれた意義は大きい」と皮肉る。「私はおやじも古里も失った。それなのに事故を起こした張本人は誰も責任を取らないなんて、おかしいよ」》。
 《「東電や国は都合の悪い資料を隠そうとしてきたが、刑事裁判になったことで検察当局が収集した証拠が公になった公判が開かれた意義は大きい」と語る》。

   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
    不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》
     ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

   『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
      中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

 永渕健一裁判長の「無罪」の「判決当日午前、大谷直人最「低」裁長官がアベ様を御訪問…事前に政治判断をご報告ですか? 〝つぶやき〟上では、田中耕太郎長官を想起する、というものもありました。大谷直人最高裁長官は…」どのような方かも知っておいたほうが良いようです。

 アベ様らに忖度した裁判所による「政治判断」とブログ主は思います。難しいことは理解できますが、「司法判断」しているとは思えない。

 永渕健一裁判長は「無罪」の判決を下されましたが、東京電力には「原状回復」の責任があると思います。少なくとも、上層部はその責任を果たす努力をすべきで、全く試みようとしないのであれば、また、「原状回復」しないのならば、大変な罪を負うと考えます。
 「原状回復」していないのに、核発電所を再稼働させたいだの、核発電所を輸出したいだの、許されるはずがありません。核発電「麻薬」中毒患者の暴走を許してはいけない。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092002000175.html

<原発事故「無罪」>(上)判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴
2019年9月20日 朝刊

 未曽有の被害をもたらした原発事故の刑事責任について、司法は「無罪」と判断した。東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(79)ら東電の旧経営陣三人に対する刑事裁判。本当に事故は防げなかったのか。刑事裁判が開かれた意義を考える。 

 「被告人三人は、いずれも無罪

 十九日午後一時十五分、永渕健一裁判長が読み上げる判決主文が、東京地裁の法廷内に響いた。証言台の前に並んだ勝俣元会長、武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)の三人は判決が言い渡されると、そろって裁判長に向かって一礼。被告人席に戻った武藤元副社長は、着席と同時に軽く二度うなずき、二人は硬い表情を崩さなかった。

 無罪判決の一報を伝えようと、記者たちが一斉に席を立ち上がり慌ただしく出て行く。傍聴席からは「うそーという叫び声が上がり、あちこちからため息が漏れた。

 「(旧経営陣に津波対策の方針が了承された、とする元社員の供述調書は)推測で述べている可能性があり、疑義がある」「(対策を指示しなかった)三人の対応は特異なものとは言えない」

 永渕裁判長が、検察官役の指定弁護士側の主張を次々と否定していく。争点となっていた「最大一五・七メートルの津波が原発を襲う可能性」を示す試算結果についても、その根拠となった国の地震予測「長期評価」について「事故前の時点では、十分な根拠を示していたとは言い難い」と信頼性に疑問を投げかけた。

 これまでの公判で、部下から試算の報告を受けながら対策工事などを指示しなかった武藤元副社長は、検察官役の指定弁護士から「対策の先送りだ」と批判されると「心外だ」と色をなして反論。武黒元副社長も試算通りの津波を想定しなかったのかと問われ仮定の話に意味はないと不快感を示し、勝俣元会長も「技術的なことは分からない」といら立ちをあらわにする場面があった。

 この日、裁判長が「長期評価の信頼性には限界があった」と読み上げると、それまで眼鏡を外してメモを取っていた武藤元副社長は軽くうなずき、顔を上げて勝俣元会長、武黒元副社長の様子を確認。再び眼鏡をかけ、深々といすの背にもたれ掛かった。勝俣元会長は、判決を読み上げる裁判長の姿を見つめ、武黒元副社長はうつむいたままだった。

 約二時間四十分間続いた判決の読み上げの終盤、永渕裁判長は「事故前は、絶対的な安全確保は求められていなかった」とした上で、「三人の罪は認定できない」と締めくくった。

 裁判長が閉廷を宣告すると、三人は遺族もいる傍聴席には目を向けず、立ち止まることもなく、無表情のまま法廷を後にした。「こんなの間違っている」。傍聴人の悲鳴が、法廷にこだました。 (この連載は、小野沢健太が担当します)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092202000114.html

<原発事故「無罪」>(中)後悔と怒り今も 双葉病院「東電 無責任体質分かった」
2019年9月22日 朝刊

     (雑草が茂った双葉病院の入り口=福島県大熊町で)

 門扉を覆い隠すように雑草が生い茂っていた。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後、避難が困難を極め多数の死者を出した福島県大熊町の「双葉病院」周辺は、時が止まったようにひっそりとしていた。

 原発から約四・五キロ、町の許可がなければ立ち入れない帰還困難区域を九月上旬に訪れた。病院は入り口も中庭も雑草ばかり。約三百メートル離れた系列の老人介護施設「ドーヴィル双葉」の玄関内には、パンクした自転車や車いすが無造作に放置されているのが見えた。

 道路脇の茂みの放射線量は毎時〇・八九マイクロシーベルト。東京都内の三十倍だった。入院患者らは当時、今よりはるかに高かった線量から逃れようとして命を落とした

 事故時、両施設には計四百三十六人が入院や入所をしていた。医療設備のない観光バスで九時間半の移動を強いられるなどしたお年寄りたち。四十四人を死亡させるなどしたとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人は十九日、東京地裁で無罪判決を受けた

 「あのとき違った行動をしていれば」。病院の向かいに住んでいた片倉勝子さん(77)=同県いわき市=は今も自責の念にかられる。

 地震の翌朝、避難を呼びかける町の防災無線を聞き表に出た。かつて看護師として勤めていた双葉病院の様子が気になり、玄関に向かうと、元同僚が慌てふためいていた。人手が足りていないと思い、「じゃあ私、手伝うわ」と声を掛けたが、「構わず避難して」と強く言われ、その場を後にした。

 それから数カ月後。一時帰宅した片倉さんは、病院前の路上に多くのベッドが置きっ放しになっているのを目にした。「寝たきりのお年寄りたちが、こんな場所で避難バスを待つしかなかったなんて」。涙が止まらなかった。

 「病院に残って看護に当たっていれば、少しは違う結果になったかもしれない」。立ち去ってしまったことへの後悔が消えない。

 病院から約二キロ離れた商店街。ガラス窓が割れた店舗が並ぶ中、シャッターが閉まったままの「かんの精肉店」があった。

 この店を営んでいた菅野正克さん(75)=水戸市=は、事故時に双葉病院に入院していた父健蔵さん=当時(99)=を長時間の避難の末に失った。

 判決公判を傍聴した菅野さんは、「旧経営陣の三人は『無罪は当然』という表情だった」と振り返る。旧経営陣は公判で、「知らない」「覚えていない」と繰り返した。菅野さんは「東電の無責任体質がよく分かった。刑事裁判が開かれた意義は大きい」と皮肉る。

 「私はおやじも古里も失った。それなのに事故を起こした張本人は誰も責任を取らないなんて、おかしいよ」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092302000117.html

<原発事故「無罪」>(下)公判記録 民事の力に 賠償訴訟 避難者・被災者の救済期待
2019年9月23日 朝刊

     (「東電の責任逃れは許さない」と話す石井優さん
                    =千葉県南房総市で)

 「やっぱりあるじゃないか

 東京電力福島第一原発事故の避難者らが東電や国を相手取った損害賠償請求訴訟の代理人、栗山博史弁護士は今春、東電の旧経営陣三人が強制起訴された刑事裁判の記録を仲間の弁護士から見せられ、驚いた。

 民事訴訟の過程で、津波対策関連の報告資料がないか尋ねた際、国には「ない」、東電には「必要ない」と突っぱねられていた。しかし、刑事裁判の証拠の中には数値や図面も載った詳細な報告資料があった。

 「東電や国は都合の悪い資料を隠そうとしてきたが、刑事裁判になったことで検察当局が収集した証拠が公になった。公判が開かれた意義は大きい」と語る。

 複数の避難者訴訟を担当する林浩靖弁護士は、刑事裁判の証拠が訴訟の「武器」になると思い、訴訟の当事者として東京地裁から、東電社員らの証人尋問調書などを取り寄せた。

 刑罰を科すかを審理する刑事裁判は、紛争解決を目的とした民事訴訟よりも厳格な立証が求められるため、証拠も詳細になる。林弁護士は「東電の社内では津波対策が議論されていたにもかかわらず、何も対策を取らなかったことが刑事裁判で明らかになった悪質性は高く、賠償責任が今までよりも重く認定される可能性がある」と期待を寄せる。

 千葉県南房総市の石井優(ゆたか)さん(72)は、仙台地裁で審理されている集団訴訟の原告。自身の訴訟で、東電と国の責任を明らかにしたいと強く思っている。

 千葉県で教諭として働いていた石井さんは退職後、自然に囲まれた暮らしを望んで、夫婦で福島県富岡町に移住した。近所の人は温かく、用事がなくても遊びに来てくれた。「庭仕事も楽しく、すっかりなじんじゃってね」。しかし、新たな古里は原発事故であっけなく失われた

 事故後は夫婦で各地を転々。知人を頼って仙台市に避難していたとき、訴訟に加わった。弁護団は、避難生活による損害のほか「ふるさと喪失に対する慰謝料も求めている。

 今月九日未明の台風15号で、自宅は十日間にわたって停電した。猛暑の中、エアコンが使えず、エンジンをかけた車の中で過ごす不自由な生活が続いた。東電は当初、停電は早期に復旧する見通しを示していたが、何度も延期し、そのたびに被災者を落胆させた。「当事者意識が低く、見通しが甘い原発事故から何も学んでいない」と憤る。

 東電の不誠実さは、刑事裁判での上層部の姿にもはっきりと表れていたと感じる。それだけに、無罪判決には納得がいかない。

 「このまま責任逃れをさせてはいけない刑事裁判で新たに分かったことを訴訟で突きつけ、私たち避難者や被災者のより一層の救済につなげたい」 (この連載は、小野沢健太が担当しました)
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●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》

2019年10月05日 00時00分28秒 | Weblog


桐島瞬氏の、週刊朝日の記事【東電旧経営陣に無罪判決 被災者から失望の声が相次ぐ】(https://dot.asahi.com/wa/2019092400076.html)。

 《事故の影響で生活が一変した被災者からは怒りや失望の声が上がった…無罪判決を聞いた福島県須賀川市の樽川和也さん(44)は「全く納得できない」と憤る。樽川さんの父、久志さん(当時64)は、事故直後に自慢のキャベツが出荷停止になり、もう福島で農業はできないと悲観して自ら命を絶った》。


   『●言葉が見つかりません…
    《須賀川市の野菜農家の男性(64)は、福島産野菜の一部に国の
     出荷停止指示が出された翌日の二〇一一年三月二十四日に自殺した。
     遺族によると、男性は原発事故後福島の百姓は終わりだ
     と話していたという》

   『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」:
          東京電力原発人災と自殺には因果関係あり

   『●「原発事故で奪われた生業と地域を返せ」…人災を
      起こした東京電力や政府は「原状回復」してみせたのか?
    《福島県須賀川市で八代続く農家の樽川和也さん…▼だが、
     福島第一原発の事故は、久志さんと先祖代々の
     情熱が染み込んだ土を汚した。地元産のキャベツが出荷停止に
     なったとの知らせが入った翌朝、久志さんは自ら命を絶った》

   『●原状回復できない現実: 「12万円で、あとはもう黙ってろ、
                 自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」
    《とても、そんなんで済む損害じゃねえべ
     「《もう取り戻せない、償うことなどできない現実》…「原状回復」なんて
     決してできない「現実」だ。一体誰が「こういうふうにした者たち」なのか、
     こんなとんでもない「現実」を生み出した者たちなのか?
     誰一人、責任をとろうともしない」
    《土と生きる豊かな暮らしは、あの日、一変した。福島県須賀川市で
     農業を営む樽川和也さんは、東京電力福島第一原発の
     事故後まもなく父親を自死により失った。田畑も放射能で汚染された。
     東京で20日公開のドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」で
     苦悩を訴えている。もう取り戻せない、償うことなどできない現実を聞いた》

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《福島第一原発事故から5年。あの時、父親を自死により失った樽川和也さんが
     語るドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」…。制作者らが映画に込めた
     思いとは――。井上淳一監督、企画した馬奈木厳太郎弁護士、
     出演した白井聡・京都精華大専任講師(政治学)…》

   『●3.11東京電力原発人災から4年: 虚しき
     「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
    《基地、原発「子に継ぐものでない」 久保田さん辺野古集会で訴え
     「裁判に加わるのは、すごく怖かった」。福島第1原発事故の
     発生直後、2人の子どもを連れて水戸市から那覇市に避難した
     久保田美奈穂さん(36)は2年前の3月11日、国と東京電力を
     福島地裁に訴えた。「巨大組織」を相手に原状回復や慰謝料を
     求める集団訴訟。家族や友人からは「嫌がらせされる」などと
     反対された。だが、「誰も原発事故の責任を取らないのは許せない
     との思いで参加に踏み切った。久保田さんら沖縄に住む原告たちは
     「福島と沖縄の問題を互いに理解を深めていきたい」と》

 誰も責任をとらない…。《誰も事故の責任を取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》。いまの政治状況と全く同じ。アベ様らの《無責任体質》、腐敗が連鎖。
 核発電「麻薬」中毒患者の皆さんのやることはデタラメばかり。最「低」裁を頂点とした裁判所も「司法判断」を放棄し、アベ様らに忖度した「政治判断」を繰り返す。

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
    不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》
     ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」


 《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…訴えられた側の論理。《原状回復》して見せてくれれば、喜んで皆さんは元の福島の生活にに戻られるでしょうよ。それに、そもそもこんな核発電人災などなければ、福島を出た人は誰もいなかった

   『●言葉が見つかりません…
   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」
   『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』: 
         「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ…」
   『●「「3.11」から2年② 原発という犯罪」
          『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)
   『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」: 
         東京電力原発人災と自殺には因果関係あり
   『●「原発さえなければ…」:  
      それでも川内原発や伊方原発を再稼働したいの?

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https://dot.asahi.com/wa/2019092400076.html

東電旧経営陣に無罪判決 被災者から失望の声が相次ぐ
桐島瞬 2019.9.25 07:00 週刊朝日 #原発

 2011年3月の東京電力福島第一原発事故を巡り、旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁は9月19日、無罪判決を言い渡した。事故の影響で生活が一変した被災者からは怒りや失望の声が上がった。

 被告は勝俣恒久・元会長(79)、武黒一郎・元副社長(73)、武藤栄・元副社長(69)の3人。裁判の焦点は、巨大津波が予見できたかどうかだった。

 原発事故が起きる3年前、東電は最大15.7メートルの津波が来襲する可能性があることを試算し、3被告とも知っていた。検察官役の指定弁護士は、経営者として事故の責任があるとして禁錮5年を求刑。一方、3被告は無罪を主張していた。

 この日の判決で、永渕健一裁判長は「原発の運転を停止するほど巨大な津波が来るとは予測できなかった」とし、刑事責任は負えないとした。

 無罪判決を聞いた福島県須賀川市の樽川和也さん(44)は「全く納得できない」と憤る。樽川さんの父、久志さん(当時64)は、事故直後に自慢のキャベツが出荷停止になり、もう福島で農業はできないと悲観して自ら命を絶った

「原発事故以降、放射性物質に汚染されない米や野菜を作るために農家がどれだけの努力をしてきたか事故が起きなければ必要なかったこと。津波は予測できなかったというが、私たちでも何か事故を起こせば無罪では済まされない。県民を苦しめたのだから、経営者が責任を取るのは当然だ

 その上で、「誰も事故の責任を取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる」と指摘する。

 茨城県水戸市から2人の子供を連れて沖縄県那覇市に避難した久保田美奈穂さん(40)は、判決を聞いてやっぱりと思った。

「原発を推進する政府の下では、大事故を起こした責任者さえも守られてしまう。津波が予見できないならまた事故が起きる危険性がある。それなら再稼働するべきではないし、今ある原発も廃炉にしたほうがいい

 判決を受け、国と東電に事故被害の回復を求める裁判を起こしている「生業を返せ、地域を返せ!」の原告・弁護団は、「最も重視される価値が地域住民の生命、健康であるという事実軽視するもの」などとする声明を発表した。指定弁護士の5人は控訴するかどうかを今後検討するという。(桐島瞬

※週刊朝日  2019年10月4日号
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●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した

2019年09月24日 00時00分58秒 | Weblog


沖縄タイムスの【社説[東電旧経営陣に無罪]誰も責任問われぬとは】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/473853)。
琉球新報の【<社説>東電旧経営陣無罪 原子力ムラ擁護の判決だ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-993462.html)。
東京新聞の社説【東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092002000193.html)。

 《未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない。市民感覚とのずれに驚くほかない…東京電力の旧経営陣3被告に対し東京地裁(永渕健一裁判長)は無罪判決を言い渡した》。
 《原子力ムラ寄り添った判決と断じざるを得ない。2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に、東京地裁が無罪の判決を言い渡した。事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかったと判示した》。
 《事故の三年前まで時計の針を戻してみよう。国の地震予測である「長期評価」に基づく津波の試算が最大一五・七メートルにのぼるとの報告がなされた。…◆電源喪失予測もあった …原発ありきの発想に立った判決ではないか。「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである》。

   『●「砂川事件の再審問題は、司法の歴史の闇を
      照らす意味を持つ」…相変わらずの最「低」裁かな?
    「《五九年の一審東京地裁の無罪判決を破棄した最高裁の
     田中耕太郎長官(故人)が、上告審判決前に駐日米大使らに
     裁判の見通しなどを伝えたとする米公文書が二〇〇八年以降に
     見つかった》…ということで、「三権の長でありながら米国の
     干渉を受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」をしていた訳です」

   『●最「低」裁判断に失望し、砂川事件の伊達秋雄裁判長は
      程なく退官…《わが国の司法にとって大きなマイナス》

 永渕健一裁判長のお名前を記憶しておかねば。
 一方、時事通信の記事【首相動静(9月19日)】(https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091900314&g=pol)によると、《午前9時35分から同50分まで、大谷直人最高裁長官。…》とある。
 判決当日午前、大谷直人最「低」裁長官がアベ様を御訪問…事前に政治判断をご報告ですか? 〝つぶやき〟上では、田中耕太郎長官を想起する、というものもありました。大谷直人最高裁長官は、以下のような方。

   『●《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り
      続けるのか?》 核発電「麻薬」中毒なアベ様に忖度する九電
    《ツイッターに不適切な投稿をしたとして東京高裁が懲戒を申し立てた
     岡口基一裁判官(52)の分限裁判で、最高裁大法廷
     (裁判長・大谷直人長官)は十七日、投稿内容が「裁判官の品位を
     辱める行状」にあたると判断し、同高裁の岡口裁判官を戒告とする
     決定をした。裁判官十四人全員一致の意見
    「《さまざまな社会事象への裁判官の考えは、個人として
     発信していいのではないか》に賛成です。《問題の核心は、
     高裁長官が「ツイートを続ければ、分限裁判を検討する」
     と岡口氏に言ったことではないのか。もし私的な表現行為の
     自由を封殺する意図ならゆゆしき問題だ》…《今回の決定で、
     裁判官たちが萎縮しないか閉鎖的環境の中に逼塞するのを
     懸念する
》」

 《事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかった》ってどんな論理? アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断をまたしても見せつけられた。

   『●アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断
       …捏造された「社会通念」で核発電所再稼働を容認

 日刊ゲンダイの記事【司法が「絶対的安全」を否定 この判決で原発再稼働の狂気】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262181)によると、《原発国家の三権は原子力ムラの腐臭塗れ 台風15号が直撃した千葉県のインフラ寸断は3週目に入ろうとしている。安倍首相は「内閣総理大臣の最も重要な責務は、国民の命を守り、平和な暮らしを守ることであると考えています」などとペラペラ言っているが、安全・安心な国民の暮らしは置き去り。改めてそれがハッキリしたのが、東京電力福島…》。

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
    「《07年の新潟県中越沖地震では想定を大きく超える揺れを
     記録した》。いま、つぶやき空間では、木村俊雄氏の指摘が話題に。
     これは、2013年9月段階で、すでに指摘されていた。やはり
     「人災」だった…《木村俊雄さんが、フクイチ地震時のデータの
     解析を終えて、結論としては、地震で圧力容器に繋がる配管
     (小口径配管)から冷却水が漏れた…》」

 地震によって破断などの致命的な事故が発生した人災である。

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」

 アベ様らは「“棄民”政策」がお好きだ。冷酷、冷血。
 日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/安倍政権もメディアも国民のことなどなんにも考えていない】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262080)によると、《「棄民という言葉があります。(中略)台風15号による被害と同時並行でにぎやかに発足した安倍改造内閣、災害と組閣2つのことを一緒に見ますと棄民の意味がわかります」(金平茂紀・ジャーナリスト) これは9月14日のTBS報道特集で金平さんが語った言葉だ。金平さんは(中略)の部分で、棄民の意味も説明している。「災害や戦争などで酷い目にあっているのに、国やメディアから見捨てられた人々のことです」と。彼がいってることは正しい、国とメディアの罪だ。…なぜならば今回のやらかしは安倍政権にとって、相当にヤバいことだからだ。国民のことなどなんにも考えていないグロテスクな集団だということが露わになってしまった。その証左だった。右に倣えのメディアもおなじだ》。

 東京新聞の社説【東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る】…しかも、前述の通り地震によって破断などの致命的な事故が発生した人災だった。
 吉井英勝議員が再三提言・警告、それを無視したのはアベ様だ。「メルマガ事件」の裏に居たのもアベ様。最悪な無責任な責任者がアベ様。「棄民」政策を繰り返している。

   『●『DAYS JAPAN』
      (2013,SEP,Vol.10,No.9)の最新号についてのつぶやき
    「さらに、斎藤美奈子さんの二つの指摘。「第一次安倍内閣時代…
     吉井英勝…「巨大地震の発生…原発の危機から国民の安全を守る
     ことに関する質問主意書」…提言を無視した結果がご覧の通りの事故である」」

   『●福島第一原発海水注入中断事件の裏にいたヒト
    《結果は大丈夫だったが、海水注入を中断していれば再臨界が起こる
     可能性があり、このネタが本物なら菅首相はすでに辞任していたかも
     知れない。自民党、安倍元首相の背後には原発を今後も推進したい
     経産省が付いており、この谷垣総裁質問の本質は、菅降ろしのための
     「原発クーデータ」計画
だったといっていいだろう》

   『●「メルマガ事件」東京地裁判決、アベ様の
     「息吐く様に嘘つく」典型例が無罪に、そして、はしゃぐメディア
    《数々の「ニセ情報」を発信して政策を捩じ曲げ、「捏造」によって
     「日本の名誉」を傷つけてきたのは、むしろ安倍首相ご本人》
    《メディア報道や他人の発言を「捏造」「でっち上げ」
     「ウソをばらまいた」と声高に批判する安倍だが、その安倍こそが
     過去に数々のニセ情報を捏造し、発信し、大ウソを拡散させてきた》

   『●福島第一原発海水注入中断事件の裏にいたヒトは、 
           いま、熊本大分大地震に際して何をしている?
   『●鈴木耕さん、核発電人災等々々々々々…
       「自民党内閣だったら解決できただろうか。とてもそうは思えない」
    「同感。そして、例えば、核発電人災で誰か一人でも自民党議員が
     責任をとったという話を聞いたことが無い。デマまで流して
     (アベ様による「メルマガ事件」)、当時の政権に責任を押し付ける、
     しかも、それを司法までが助ける」

   『●「安倍ちゃん…○○の象徴じゃない?…あれぐらいのさ、
            ■■な人じゃないと、多分あんなことやれない…」
    「マツコ・デラックスさん、すばらしい。…《インスタとかSNSっていうのは、
     ようはああいうのって、ものすごい操作できるってこと》…本当に。
     直ぐさま、《菅降ろしのための「原発クーデータ」計画》アベ様の
     デマメルマガ事件」を思い出した。《都合のいい》ことの羅列に
     終始するに決まっていますね、アベ様のインスタ。《安倍首相のほうこそ
     いたるところで見境なくデマを乱発してきた自らのイメージ向上や
     政策ゴリ押しのために「デマ拡散装置」として利用してきた実績》がある訳
     ですし。息吐く様に噓をつく

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
       “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

 支離滅裂な東京地裁・永渕健一裁判長の無罪判決。《「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである》。

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/473853

社説[東電旧経営陣に無罪]誰も責任問われぬとは
2019年9月21日 11:00

 未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない。市民感覚とのずれに驚くほかない。

 2011年3月の福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に対し東京地裁(永渕健一裁判長)は無罪判決を言い渡した。

 勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3被告。いずれも禁錮5年を求刑されていた。

 公判では大津波を予見できたか対策を取れば事故を回避できたかどうかが最大の争点となっていた。

 検察官役の指定弁護士は、国が02年に公表した地震予測「長期評価」を基に、東電が08年に最大15・7メートルの津波が原発を襲う可能性があるとの試算結果を得ており、予見できたと主張。安全対策を取る義務があったのに怠ったと訴えた。弁護側は「長期評価に信頼性はなく、予見できなかった」と無罪を主張した。

 判決は3被告に「予見可能性がおよそなかったとは言い難い」としながら、「信頼性、具体性のある根拠を伴った認識ではなかった」と判断。その上で、「原発の運転を止めるには相当な負担と困難があり、津波を予見し、対策工事が終了するまでは運転を停止すべき法律上の義務は認められない」と結論付けた。

 これに納得ができる人がどれだけいるだろうか。安全より運転を重視。予見可能性を指摘しながら、東電が具体的対策を取らなかったことを追認したのである。長期評価の信頼性も否定した。これを生かさないでは何のための長期評価なのか。判決は「無責任体制」を認めたようなものであぜんとするほかない

    ■    ■

 福島第1原発事故の責任を巡っては民事訴訟も提起されている。避難者が国や東電に損害賠償を求めた集団訴訟は各地で約30件起こされ、原告は1万人以上に上る。

 「東電は津波を予見でき、事故を防げた」と評価した判決も多い。

 例えば初めての判決となった17年の前橋地裁判決では国の地震予測の長期評価は合理的とし、これを基に試算すれば、東電は大津波の予見が可能で、08年5月ごろには実際に「予見していた」と指摘した。電源設備の高台移転などの対策を取れば、事故を容易に回避できたとして東電の過失を認めている。電源設備の高台移転など具体的だ。

 刑事は民事より立証のハードルが高いとの声があるのも事実だが、今回の無罪判決には大いに疑問がある。

    ■    ■

 未曽有の原発事故が招いた結果は極めて重大だ。今なお約4万2千人が福島県内外で避難生活を強いられている。

 強制起訴制度は司法に市民感覚を反映させる目的で裁判員制度とともに導入された。今回の無罪判決は市民感覚との乖(かい)離(り)が甚だしい。

 重大事故で個人を超えた企業や法人の「組織罰」を問うための法整備を進める必要があろう。

 東電や旧経営陣は無罪判決によって社会的責任を免れたわけではないことを肝に銘じるべきである。
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-993462.html

<社説>東電旧経営陣無罪 原子力ムラ擁護の判決だ
2019年9月21日 06:01

 原子力ムラ寄り添った判決と断じざるを得ない。

 2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に、東京地裁が無罪の判決を言い渡した。事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかったと判示した。

 避難者が集団で国や東電に損害賠償を求めた民事訴訟では、津波を予見でき事故を回避できたとする判決が多い

 刑事裁判では過失立証のハードルが高い。そうだとしても、未曽有の被害をもたらした原発事故で誰も刑事責任を負わないのは納得し難い

 国は「絶対安全」と強調し、各地で原発の設置を推進した。万全の用意があって初めてそう言える。現実には、「絶対安全」だから最高水準の対策は不要という、倒錯した理屈がまかり通った。

 原子力政策を所管する経済産業省、原発を運転する東電など、産官学から成る原子力ムラは本来、原発事故に対して連帯して責任を負わなければならない立場にある規制等を担う国と東電は共犯関係にあったと言えよう。

 「事故が起きないように、また起こったとしても人体や環境に悪影響をおよぼさないよう、何重にも対策が取られています」「大きな津波が遠くからおそってきたとしても、発電所の機能がそこなわれないよう設計しています」

 文部科学省と経産省が10年に発行した小学生・中学生向けのエネルギー副読本「わくわく原子力ランド」「チャレンジ!原子力ワールド」に、このような記述がある。

 政府は、教育現場を含め、さまざまな機会をとらえて安全神話を植え付けようとした

 今回の判決は、自然災害に対し、事故が絶対に起きないレベルの安全性が求められたわけではない―と指摘している。政府の主張がうそ偽りだったことを改めて浮かび上がらせた。

 「あらゆる可能性を考慮して必要な措置を義務付けられれば、法令上は認められた運転が不可能になる」とも判決は断じた。事故当時、「絶対安全」を確保しつつ原発を稼働させることなどできなかったわけだ。ここでも政府の欺瞞(ぎまん)が浮き彫りになる。

 起訴状によると、3被告は大津波を予測できたのに対策を怠り、原発事故によって長時間の搬送、待機を伴う避難を余儀なくさせるなどして、44人を死亡させたとされる。

 電源設備を高台に移し浸水しないように適切な対策を講じていれば、事故は回避できたはずだ。遺族、被害者の無念はいかばかりだろうか。市民感覚から懸け離れた東京地裁の判決である。

 本をただせば、「絶対安全」を掲げて原発建設を推し進めた、政府の国策詐欺同然の手法にたどりつく。原子力ムラの責任を曖昧にしたままでは禍根を残す。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092002000193.html

【社説】
東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る
2019年9月20日

 東京電力の旧経営陣は「無罪」-二〇一一年の福島第一原発事故で検察審査会が強制起訴した裁判だった。本当に予想外の事故だったのか疑問は残る。

 事故の三年前まで時計の針を戻してみよう。国の地震予測である「長期評価」に基づく津波の試算が最大一五・七メートルにのぼるとの報告がなされた。東電社内の会合で元副社長に「『(津波想定の)水を下げられないか』と言われた」-担当していた社員は法廷で驚くべき証言をした。元副社長は否定し、「そもそも長期評価は信頼できない」と反論した。


◆「力が抜けた」と証言

 社員は「津波対策を検討して報告するよう指示された」とも述べた。だから、その後、防潮堤を造る場合は完成までに四年を要し、建設に数百億円かかるとの報告をしている。元副社長は「外部機関に長期評価の信頼性を検討してもらおう。『研究しよう』と言った」と法廷で応じている。

 てっきり対策を進める方向と思っていた社員は「想定外の結論に力が抜けた」とまで証言した。外部機関への依頼は、対策の先送りだと感じたのだろう。実際に巨大津波の予測に何の対策も講じないまま、東電は原発事故を引き起こしたのである。

 この社員は「時間稼ぎだったかもしれないと思う」「対策工事をしない方向になるとは思わなかった」とも証言している。

 社員が認識した危険性がなぜ経営陣に伝わらなかったのか。あるいは対策の先送りだったのか。これはぬぐえぬ疑問である。

 旧経営陣の業務上過失致死傷罪の責任を問うには(1)原発事故との因果関係(2)大津波などが予見できたかどうか(3)安全対策など結果回避義務を果たせたか-この三点がポイントになる。


◆電源喪失予測もあった

 東京地裁は争点の(2)は「敷地高さを超える津波来襲の予見可能性が必要」とした。(3)は「結果回避は原発の運転停止に尽きるが、原発は社会的有用性があり、運転停止だと社会に影響を与える」ため、当時の知見、社会通念などを考慮しての判断だとする。

 原発ありきの発想に立った判決ではないか。「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである

 宮城県に立地する東北電力女川原発との違いも指摘したい。女川原発が海抜一五メートルの高台に建てられたのは、八六九年の貞観地震を踏まえている。だから東日本大震災でも大事には至らなかった。

 〇八年の地震予測「長期評価」が出たときも、東北電力は津波想定の見直しを進めていた。ところが、この動きに対し、東電は東北電力に電子メールを送り、津波対策を見直す報告書を書き換えるように圧力をかけた。両社のやりとりは公判で明らかにされた。

 「危険の芽からは目をそらすな」-それは原発の事業者にとって常識であるはずだ。旧ソ連のチェルノブイリ事故が示すように、原発でいったん事故が起きれば被害は極めて甚大であり、その影響も長期に及んでしまう

 それゆえ原発の事業者は安全性の確保に極めて高度な注意義務を負う。最高裁の四国電力伊方原発訴訟判決でも「(原発の)災害が万が一にも起きないように」と確認されていることだ。

 「最大一五・七メートルの大津波」という重要なサインが活(い)かされなかったことが悔やまれる。〇四年にはスマトラ沖地震の津波があり、インドの原発で非常用海水ポンプが水没し運転不能になった。〇五年の宮城県沖地震では女川原発で基準を超える地震動が発生した。

 これを踏まえ、〇六年には旧経済産業省原子力安全・保安院と電力会社による勉強会があった。そのとき福島第一原発に敷地高一メートルを超える津波が来襲した場合全電源喪失から炉心損傷に至る危険性が示されている

 勉強会が活かされたらとも悔やむ。防潮堤が間に合わなくとも電源車を高台に配備するなど過酷事故対策が考えられるからだ。福島第一原発の非常用電源は地下にあり、水没は容易に発想できた。国会事故調査委員会では「明らかな人災」と厳しく非難している。

 今回の刑事裁判は検察が東電に家宅捜索さえ行わず、不起訴としたため、市民の検察審査会が二度にわたり「起訴すべきだ」と議決したことによる。三十七回の公判でさまざまな事実関係が浮かんだ意義は大きい。


◆地震の歴史は繰り返す

 安全神話が崩れた今、国の原発政策に対する国民の目は厳しい。歴史は繰り返す。地震の歴史も繰り返す。重大なサイン見落としによる過酷事故は、やはり「人災」にも等しい。繰り返してならぬ。苦い教訓である。
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●《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り続けるのか?》 核発電「麻薬」中毒なアベ様に忖度する九電

2018年10月28日 00時00分29秒 | Weblog


東京新聞の蜘手美鶴・小野沢健太両記者の記事【「不適切投稿」裁判官を戒告 最高裁、ツイートで初懲戒】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018101802000134.html)と、
社説【ツイートで戒告 裁判官の声が聞きたい】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018101902000170.html)。
リテラの鈴木耕さんのコラム【言葉の海へ/第48回:九電の太陽光発電遮断から見えたこと】(https://maga9.jp/181017-5/)。

 《ツイッターに不適切な投稿をしたとして東京高裁が懲戒を申し立てた岡口基一裁判官(52)の分限裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は十七日、投稿内容が「裁判官の品位を辱める行状」にあたると判断し、同高裁の岡口裁判官を戒告とする決定をした。裁判官十四人全員一致の意見》。
 《最高裁判事は十五人いるが、戸倉三郎裁判官は岡口裁判官が厳重注意された当時、東京高裁長官だったため今回の審理から外れた》。
 《ツイッターへの不適切な投稿問題で東京高裁の岡口基一裁判官が戒告となった。「品位を辱めた」が理由だ。だが、さまざまな社会事象への裁判官の考えは、個人として発信していいのではないか》。
 《電力が余っちゃうから、太陽光発電の接続を遮断する。それが10月13、14日に、九州電力がとった手段だった。ああ、なるほどね。もう、電力が余っちゃう時代になったんだ、それも再生可能エネルギーの増加で…と、ぼくはとても感心をしたのだ》。

 いきなり、話はわき道にそれますが…東京新聞の社説が言う《さまざまな社会事象への裁判官の考えは、個人として発信していいのではないか》に賛成です。《問題の核心は、高裁長官が「ツイートを続ければ、分限裁判を検討する」と岡口氏に言ったことではないのか。もし私的な表現行為の自由を封殺する意図ならゆゆしき問題だ》…《今回の決定で、裁判官たちが萎縮しないか閉鎖的環境の中に逼塞(ひっそく)するのを懸念する》。

   『●「国民の信頼を傷付け」ているのは?
     …「米軍基地という面倒な施設は沖縄に…。そして日本本土は…」
    《岡口基一裁判官…は謝罪したが…。「米軍基地という面倒な施設は
     沖縄にもっていく。そして日本本土は平和と繁栄を維持した」と
     言及したことも。公平な視線は信頼に値しそうだ
    「《国民の信頼を傷付け》ている「司法」は岡口裁判官でしょうか、
     それとも、沖縄で辺野古破壊や高江破壊に貢献している司法関係者
     でしょうか? まさか、沖縄の市民の皆さんはこの《国民》には
     含まれていない、とでも思っているの?」

 「司法」判断しない最「低」裁のアベ様忖度な政治」判断乱発…その行状こそが、十分に《品位を辱める行状》です。
 特に、戸倉三郎最「低」裁裁判官の《品位》はどうか? 戸倉氏は、最高裁事務総局事務総長時代に核発電再稼働推進人事を推進していたお方です。相当に辱められた《品位》な裁判官。

   『●「上告断念は、最高裁への抗議と不信任「最高裁には
         もはや何も期待できない」」…アベ様支配の最「低」裁
    《そして注目すべきは、今回の大飯原発訴訟を巡っても、同様の
     “再稼働推進人事”がなされていたたことだ。2014年5月の樋口判決後、
     控訴審の審理が始まる前の進行協議で、当時の高裁裁判長は関電側に
     厳しい態度を取ったがほどなくその裁判長は転勤となり、
     次に着任してきたのが今回の判決を下した内藤裁判長だった。
     内藤裁判長は、当時の最高裁事務総局のトップである事務総長で現在は
     最高裁判事の戸倉三郎氏の司法修習同期の裁判官で、かつ大学の
     同窓でもある間柄なのだ。つまり電力会社や政府が“国策”として目指す
     再稼働に都合の悪い裁判所や裁判官に対し人事権を発動し、
     その後釜として自分たちのコントロールのきく人物を、原発訴訟の
     担当として送り込んだということだ》

   『●アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断…
          捏造された「社会通念」で核発電所再稼働を容認

 さて、前置きの後の本題…核発電「麻薬」中毒な九電のデタラメなやり口。
 《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り続けるのか》? 核発電「麻薬」中毒なニッポン国のアベ様らのおかげで、《主電力を再生可能エネルギーで賄い、もし不足した場合には火力で補うというのが世界的な流れ》、《世界の脱原発、再生エネの主力電源化という潮流には、完全に乗り遅れているもう1周遅れだよ》。な~にが技術大国か。

 《すなわち、他の給電源がすべて停まった後でなければ原発は停められない。簡単に言えば、何があっても原発は停めない、というのが政府の方針》…これを核発電「麻薬」中毒と言わずして何という。
 「電力の地産地消」、内橋克人さんのFECは目の前にあるというのに、この国は何をやっているだろうか。

   『●今頃ようやく福島第二原発の廃炉を決断、
      一方、「あとは野となれ山となれ」な玄海原発4号機の再稼働…

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018101802000134.html

「不適切投稿」裁判官を戒告 最高裁、ツイートで初懲戒
2018年10月18日 朝刊

     (記者会見で処分理由を批判する岡口基一裁判官
      =17日、東京・霞が関の司法記者クラブで)

 ツイッターに不適切な投稿をしたとして東京高裁が懲戒を申し立てた岡口基一裁判官(52)の分限裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は十七日、投稿内容が裁判官の品位を辱める行状にあたると判断し、同高裁の岡口裁判官を戒告とする決定をした。裁判官十四人全員一致の意見。インターネットへの投稿を巡り裁判官が懲戒を受けるのは初めて。 (蜘手美鶴、小野沢健太

 東京高裁によると、岡口裁判官は五月、高裁で判決があった犬の所有権を巡る民事訴訟に関し、自身のツイッターで訴訟について書かれたネット記事を引用し、「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?」などと投稿。元の飼い主である原告の感情を傷つけたとして懲戒を申し立てた。

 大法廷は決定で、憲法が保障する「表現の自由」を踏まえても「裁判官に許容される限度を逸脱したものと言わざるを得ない」と指摘。裁判官の品位を辱める行為に当たると判断した。

 岡口裁判官は、二〇一六年六月と今年三月にもツイッター投稿を巡り厳重注意を受けている。

 戒告の決定を受け、岡口裁判官は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、「懲戒申立書に記載されていない過去の行為も含めて判断するなど、最高裁の事実認定には問題がある。がくぜんとしている」と不満を述べた。

 東京高裁は「裁判官が戒告されたことは遺憾であり、重く受け止めている」とコメントした。

 最高裁判事は十五人いるが、戸倉三郎裁判官は岡口裁判官が厳重注意された当時、東京高裁長官だったため今回の審理から外れた。


<分限裁判> 裁判官を懲戒すべきか否かを決める手続き。対象者が高裁判事の場合、最高裁大法廷が担当する。懲戒となるのは、職務上の義務に違反したり職務を怠ったりした場合か、品位を辱める行状があったときで、戒告か1万円以下の過料とされる。最高裁によると、懲戒は岡口基一判事が62人目で、内訳は戒告が54人、過料が8人。他に3人が懲戒を申し立てられたが、退けられている。裁判官を罷免する場合に開かれる弾劾裁判は別の手続き。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018101902000170.html

【社説】
ツイートで戒告 裁判官の声が聞きたい
2018年10月19日

 ツイッターへの不適切な投稿問題で東京高裁の岡口基一裁判官が戒告となった。「品位を辱めた」が理由だ。だが、さまざまな社会事象への裁判官の考えは、個人として発信していいのではないか

 官僚的裁判官像が望ましいか。市民的裁判官像が望ましいか。どちらかに立つことで、この問題の考え方も変わってくる。

 前者は世間と交わらず、ひたすら裁判所の中で裁判に取り組む。後者は積極的に世間と交わり、交流を深めることによって、裁判に取り組む。

 前者は確かに世間と隔絶するから、外観的には公正で中立に見える。だが、後者のように世間のさまざまな意見の中で裁判を考えた方が、より公正で中立な結果が出るともいえるのだ。

 岡口氏はツイッターで不特定多数の人々に「つぶやき」を発信する裁判官として有名だった。身近な法的話題から、裁判に興味を持ってもらおうという趣旨で書いた軽妙な短文である。

 問題にされたのは、今年五月のツイートである。拾われた犬の所有権が元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判をめぐっての内容だ。

 原告の名前などは明らかにしていないから、一般市民の投稿ならば、さして問題にならないであろう。だが、投稿者は裁判官。原告からの抗議を受けて、東京高裁が岡口氏を懲戒すべきかどうかの分限裁判を申し立てたのだ。

 「表現の自由を踏まえても、裁判官に許容される限度を逸脱した」-。これが最高裁大法廷の判断だった。同時に「裁判所に対する国民の信頼を損ね、裁判の公正を疑わせる」とも述べた。

 実は岡口氏は過去にもブリーフ一枚の半裸写真を投稿したこともある。そして厳重注意。これが二回あった。最高裁が「品位を辱めた」と言ったのはそれだ。確かに品位に欠ける。裁判所が顔をしかめたのは当然であろう。

 だが、問題の核心は、高裁長官が「ツイートを続ければ、分限裁判を検討する」と岡口氏に言ったことではないのか。もし私的な表現行為の自由を封殺する意図ならゆゆしき問題だ。

 歴史と文化は異なるが、欧米なら裁判所の門を出れば一私人である。日本でも原則的に私人として表現の自由があるはずだ。裁判官の声を聞きたい人は多い。今回の決定で、裁判官たちが萎縮しないか閉鎖的環境の中に逼塞(ひっそく)するのを懸念する
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https://maga9.jp/181017-5/

言葉の海へ
第48回:九電の太陽光発電遮断から見えたこと鈴木耕
By 鈴木耕  2018年10月17日

 電力が余っちゃうから、太陽光発電の接続を遮断する。それが10月13、14日に、九州電力がとった手段だった。ああ、なるほどね。もう、電力が余っちゃう時代になったんだ、それも再生可能エネルギーの増加で…と、ぼくはとても感心をしたのだ。
 でも、考えてみると、どうも腑に落ちない。なぜ他の電源ではなく、再生可能エネルギーの遮断なのか。そうか、原発だな


電力が余った、再生エネを停めろ!

 九州電力は、他の電力会社に先駆けて、次々と原発を再稼働させてきた。現在、川内原発1、2号機(鹿児島県)、玄海原発3、4号機(佐賀県)の計4基の原発を稼働させている。約410万kwが原発電力だ。
 10月13日の九電管内の電力需要は約850万kw。つまり、ほぼ半分は原発で賄うことができるわけだ。ところがこの日の供給量は約1200万kw。どうしたって供給量が需要を上回る。そうすると、電力が溢れてしまい、大規模停電が起きる可能性が出てくるのだという。
 それが九電の言い分だった。
 しかし、ではなぜ原発ではなく再生エネを抑えたのか
 九州は他地域と比べて日照量に恵まれており、太陽光発電は急速に伸びた。太陽光発電の九電への接続量は、今年8月の時点で約800万kwに達している。13日の電力需要量を、ほぼ満たせるほどの供給量がある
 こうなれば、なぜ4基もの原発を急いで再稼働させたのか、わけがわからなくなる。
 ぼくははっきりと「脱原発」の立場であるけれど、百歩譲ってどうしても原発を再稼働させなくてはならないことを認めたとしても、なぜ4基410万キロワットもの原発が必要なのか、まったく理由がわからない。余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り続けるのか?

 日本政府は、いまだに「原発は重要なベースロード電源」と位置付けている。それへの批判をかわす意味で、仕方なく「再生エネも主力電源」と認めざるを得なくなっているが、それでも政府の「新エネルギー基本計画」は、相変わらず旧態依然、「原発は2030年には20~22%、再生エネは22~24%」と、原発依存を諦めていないその先兵としての九州電力の原発再稼働なのだから、どうしたって原発優先、再生エネは抑制、ということにならざるを得ないわけだ。世界の脱原発、再生エネの主力電源化という潮流には、完全に乗り遅れているもう1周遅れだよ
 それでも、原発容認派という旧勢力はまだいるわけで、「再生可能エネではなく原発を停めるべきではないか」という主張には、当然のように罵声が飛んでくる


再生エネはほんとうに不安定なのか?

 もう耳タコだけれど、「太陽光や風力は安定しないから、主要電源にはなり得ない。雨の日や夜間はどーすんだ!」である。もう何度説明しても、聞く耳をもたないからおんなじ批判を繰り返すのだ。

 例えば、最近の家庭用太陽光発電では、蓄電池と併用しているケースが多い。昼に発電して余った分を蓄電しておき、夜間に使用する。こうすることによって、電力会社からの買電量は下がり続け、電力会社の供給量も減り続けているのだ。
 蓄電技術の進展も著しく、例えば容量30万kwで出力5万kwという巨大蓄電池がすでに実用化されている。価格は約200億円で、これを20基備えれば、出力は100万kwで原発1基に相当する。
 原発の建設費は安全対策等で高騰を続けており、いまや1基1兆円を超えるほどだ。それを考えれば、4000億円でほぼ原発1基分の蓄電が可能なら、安いものではないか。しかもこれは太陽光だから燃料費はタダ。さらに廃炉費用や放射性廃棄物処理を考える必要もない原発よりもはるかに安価でしかも安全だ
 また、節電技術も飛躍的な進歩だ。あの福島事故以来、全国でほぼ2割以上の電力節減となっていて、電力は足りている電力供給不足による停電など、一度も起きていない

 1年でいちばん大量の電力を必要とするのは真夏の昼間だが、当然のことながら、この時間は太陽光発電が最大の威力を発揮できる。太陽が照れば照るほど発電量は増す。したがって、このところの日本の酷暑でクーラーがフル回転しても電力は足りていたのだ。

 太陽が照らない雨の日などは発電量も減るけれど、その分、使用量も下がるし、最近のパネルは曇りや雨でもそれなりの発電は可能だという。パネル技術も進歩している。
 それでも太陽光だけでは不安だというのであれば、例えば風力や地熱、バイオマスなどの再生エネと組み合わせれば、そうとう程度まで不安は解消できる。それこそが、本来の意味での「ベストミックス」だ
 「主電力を再生可能エネルギーで賄い、もし不足した場合には火力で補うというのが世界的な流れであり、それで不具合を起こしたという話はほとんど聞かない。
 エネルギー関連技術の日進月歩は著しく、飯田哲也さんによれば「1年前は考古学」とまで言われているそうだ。それほど技術の進歩は速い。これからも、電力が余る傾向は加速する。
 原発は、出力調整が難しく、停止や再開を簡単にはできないから、再生エネの制限をする、というのが九電や原発容認派の言い分だが、実際にはドイツやフランスでは需要に応じて原発の出力調整をした例もある。その際にも、何の不都合もなかったという。
 九州と本州をつなぐ「関門連係系」という送電システムがある。これを使って余剰電力を本州側へ送るという手もある。つまり、電力会社間で電力を融通し合うということだ。北海道と本州を結ぶ「北本連係系」もあったのだが、これをうまく使うことができなかったために、あの北海道のブラックアウトが起きたのは、記憶に新しい。
 やれることはたくさんあるのだが、それを怠り原発依存の体質を温存してきたために、今回のような再生可能エネルギーの遮断というあり得ない事態を引き起こしてしまったのだ。


巨大な蓄電池がある…

 もうひとつ、太陽光発電で余った電力をきちんと使う方法はある。それが「揚水発電」だ。これは、ある高さに大きな貯水池を作り、余剰電力で水を汲み上げ、電力不足のときにその水で発電して補うというもの。
 本来は、夜間に余ってしまう原発電力の有効活用を目的としたシステムだった。しかし、福島事故以来、全国的に原発はほとんどが停止状態にある。したがって、原発余剰電力では揚水発電は使えない。
 今回の九電のように、太陽光発電が大量に余るなら、これを貯水池への水の汲み上げに使うことも可能だろう
 ぼくがそうツイートしたら「これからまたダムを造る気か、笑わせるな。問題は今だ。間に合うわけがない」と嫌味たっぷりの反論(とはとても言えないおバカ発言)が来た。少しは調べろよ、である。
 現在、九電管内には3基の大きな揚水発電所がある。大平発電所(熊本県八代市)、天山発電所(佐賀県唐津市)、小丸川(宮崎県木城町)で、合計発電量は実に230万kwに達する。
 九電のHPには、以下のような記述がある。


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「揚水発電所は大きな蓄電池」

  通常の発電機が燃料等の持つエネルギーを、電気エネルギーに変換する「エネルギー変換装置」であるのに対し、揚水発電所は電気エネルギーの蓄積(充電)と放出(放電)を繰り返す「エネルギー蓄積装置」です。

 すなわち、基本的に蓄電池と同じです。(略)

(参考)揚水発電の特徴と主な用途
◎電力使用量の大きな時間帯(ピーク時)への対応とともに、時々刻々と変化する電力の使用量にあわせて発電量を調整でき、効率的な電力の安定供給に寄与
◎迅速な軌道能力
通常の火力機では起動~最大出力まで半日~数日程度要するが、揚水発電機は緊急起動~最大出力まで2分程度
◎他の発電機がトラブル等で発電できなくなった場合に、緊急起動することによって電力需給面での迅速な対応が可能(頼りになる予備電力)
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 確かに揚水発電は、原発の補完システムとして造られたものだがそれが余剰の再生エネの利用にも使えるのだ。しかも、電力会社が自ら認めているように、原発や火力に比べて、その小回りの速さは圧倒的だ。ほんの2分程度で自由に出力調整ができる“蓄電池”ならば、どんな場合でも対応ができるはず。これを有効活用しない手はない。
 しかし「原発優先政策」がそれを妨げている。
 今回の九電の措置は、この点から見てもおかしい。電力供給過剰で大停電の恐れがあるということを九電はかなり前からアナウンスしていた。分かっていたのなら、最初にやるべきは、原発2基を停めることだったはずだ。けれど、九電にはそれができなかった。
 なぜなら、安倍政権のエネルギー政策に抵触してしまうからだ。
 国は「優先給電ルール」というのを定めており、それによれば、出力制限はまず再生可能エネが最初であり、次に火力等で、原発の制限は最後の最後である。すなわち、他の給電源がすべて停まった後でなければ原発は停められない。簡単に言えば、何があっても原発は停めない、というのが政府の方針なのだ。
 九電は安倍政権に逆らえない。だからまず、太陽光発電を遮断したのだ。


原発はベースロード電源とは言えない

 もうひとつ問題がある。九電がどういう基準で再生エネ業者を選んだのかという点だ。どこの発電所を遮断したか分からない。遮断対象業者のリストを九電が公開していないのだ。これでは再生エネ業者はたまらない。いつ、自分のところが遮断されるか分からないのでは、企業としては成り立たなくなる可能性もある。せっかく伸び始めた自然エネルギーの未来を、まるで踏みにじるようなものだ。
 東京新聞こちら特報部(10月16日付)で、自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は、次のように語っている。


*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
 再生可能エネルギーの普及が進む欧米では、需要と供給の予測をITにより正確に行い、供給電のマネジメントをきちんとやることで、再生エネで日本のベースロード需要に相当する電力を賄っている。停止すると一気にエリアが停電しかねない原発など大規模発電所はベースロード電源とは言えない
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 大規模発電に頼ったシステムが崩壊したのが「北海道ブラックアウト」ではなかったか。なぜそれに学ばないのか
 エリアを適度な広さに細分化し、その規模に応じた電力需給システムを構築すること。それはすでに欧米では行われていることだ。しかも、それほど難しいシステムではないとされる。
 さらに、その細分化した地域に先述の「巨大蓄電池」を設置すれば、電力供給は安定するし、「電力の地産地消」という自然エネルギーに適したシステムがうまく回っていく。


原発は「領土」を奪う

 最後に付け加えておこう。
 10月16日、福島第一原発事故で「強制起訴」された東京電力の旧経営陣3名(勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長)の公判が開かれた。その場で、武藤元副社長は冒頭、次のように謝罪した。


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 事故で亡くなられた方々、ご遺族、ケガをなさった方々、故郷をなくされ今の避難生活を送られている方々、とても多くの方に、言葉では表せないご迷惑をおかけしました。まことに申し訳ございませんでした…。
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 原発容認派の中には、いまだに「原発事故そのもので亡くなった人はいない。原発は安全性を確かめた上で、早急に再稼働すべきだ」などと言う愚かな連中がいる。むろん、これは悪質なデマだ。
 放射線障害で労災認定を受けた人たちは複数いるし、武藤元副社長でさえ認めざるを得なかったように、「事故で亡くなられた方々」はたくさんいるのだ。そしてなによりも、故郷を奪われた人たちの悲しみは、決して癒えることがない
 原発推進派は、なぜかその多くがネット右翼と重なる(むろん、すべてではない)。ぼくは不思議でならない。ネット右翼諸士は「愛国」を語り「領土を守れ」と主張するならば、故郷という「領土」をこの日本から消し去った原発になぜ反対しないのだろうか?
 原発はひとたび事故を起こせば、この国の大切な「領土」を奪い去る存在なのだ。
 愛国者なら、原発に反対しようよ
 原発はもう時代遅れなのだから。
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●②福井地裁「高浜仮処分」取消の背景《政府の意向》に従う《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》

2016年03月19日 00時00分04秒 | Weblog


※『●①福井地裁「高浜仮処分」取消の背景…《政府の意向》に従う《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》』からの続き。


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177093
http://blogs.yahoo.co.jp/kotyannomama/18326291.html

高浜原発差し止めはヌカ喜び 日本の司法と政治はグルである
2016年3月11日

     (画期的なのは間違いないが…(C)日刊ゲンダイ)

 これを機に脱原発の動きが広がるのか。大津地裁が9日、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した一件のことだ。

   「福島原発事故の原因も解明されていない中で、高浜原発の
    再稼働は地震や津波への対策や避難計画にも疑問がある。
    もともと4号機は先月末のトラブルですでに停止しているし、
    関電は高浜原発が動かなくても『電力不足にはならない』
    と言っている。原発がなくてもやっていけることは、ここ数年の
    電力需給を見れば明らかです。今回の仮処分は、福島原発事故の
    教訓を忘れたかのように、原発再稼働に突っ走る政府と
    原子力ムラへの強烈な警告であり、再稼働ありきの方針自体を
    転換しろと政府に迫る決定なのです。電力会社や政府は
    重く受け止める必要があります」(政治学者・五十嵐仁氏)

 決定を受け、関電は10日夜、年明けから営業運転を続けていた3号機を停止させた。運転中の原発が司法判断によって停止したのは初めてで、そういう意味では、たしかに画期的な決定といえる。だが、ヌカ喜びは禁物だ。

 このニュースを伝えた10日の朝日新聞の記事によれば、エネルギー政策を担う経産省のある幹部は「福井地裁のケースと同じ。この先ひっくり返る可能性が高い」と話したという。まるで、地裁の決定など屁のカッパといった態度なのである。聞き捨てならない発言だが、残念ながら、その通りになるのだろう。


人事介入してでも原発を守る

 原子力ムラには、強気を裏付ける“実績”がある。高浜原発に関しては、昨年4月にも、福井地裁の樋口英明裁判長が再稼働差し止めを命じる仮処分を出している。これを不服として関電が異議を申し立てたところ、昨年12月24日に後任の福井地裁・林潤裁判長によって仮処分決定はあっさり取り消された住民側が差し止め請求をしていた大飯原発3、4号機についても請求を却下。それで関電は大手を振って、高浜原発を再稼働させたという経緯がある。

 元裁判官で明大法科大学院教授の瀬木比呂志氏が言う。

   「今回、大津地裁が稼働差し止めを命じた決定は、昨年4月に
    福井地裁の樋口裁判長が出した仮処分決定の内容をさらに
    深化させ、原子力規制委員会の基準自体にも疑問を投げかけた。
    実にまっとうで、勇気ある決定だと思います。司法の役割を
    きちんと果たしたと言える。これまで原発稼働差し止めを
    求める住民側の仮処分申請がことごとく裁判所に
    退けられてきた中で、こうした仮処分決定が積み重なることには
    大きな意味があります。とはいえ、今回も保全異議審で
    別の裁判官が決定を覆すようなことになる可能性は
    否定できません。原発訴訟の今後には注意すべきです」

 原発は、政府が音頭を取って進める国策事業だ。一般国民が国家権力に抗するのは容易なことではない。だから、過去の原発訴訟でも、住民側の権利が認められたことはほとんどなかった

 実は、14年に大飯原発の運転差し止め決定を下したのも福井地裁の樋口裁判長だったが、高浜の差し止め申請の審理が昨年3月11日に終了した直後、裁判所は4月1日付で名古屋家裁に異動させる人事を発動した。高裁ならまだしも、家裁への異動左遷とみられても仕方がない。それでも樋口裁判長は「職務代行辞令」を利用して、異動後も審議を担当し、再稼働を差し止める仮処分を決定した。ただ、異議申し立ての審議に関わることはできなかった


高浜差し止めも辺野古和解も単なるガス抜き

   「原子力ムラに歯向かうとこうなるという見せしめでしょう。
    そういう懲罰人事を見ていれば、ますます裁判官は政府に
    とって不利になる判断を下しづらくなる。それに、実は判事や検事が、
    原発メーカーや電力会社に天下りした例も数多いのです。
    信念を持った裁判官は一握りで、正義や国民の安全より、
    権力の顔色をうかがう方が大事。出世や保身を第一に考える
    裁判官だらけなのが問題です。しかも、上級審になるほど
    ヒラメ裁判官ばかりで、権力に都合のいい判断を下そうとする。
    自民党政権との長年の癒着があるから、最高裁は違憲判決なんて
    絶対に出さない。政権交代しないかぎり、司法と政治の闇にメスを
    入れることはできません」(政治評論家・本澤二郎氏)

 そもそも政府は地裁の運転差し止め決定を尊重する気などサラサラない。菅官房長官は9日の会見で「原子力規制委の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない」と宣言

 安倍首相も昨夕の会見で「地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に変わりはありません」と言っていた。

   「要するに、地裁の差し止め決定はガス抜きでしかない。
    国民の間で脱原発を望む声が多いから、選挙への影響を考えて、
    今は差し止め決定を出させておくどうせ異議審や上級審で覆せる
    という権力側の思惑が見え隠れします。残念ながら、この国には
    三権分立なんて存在しないのです。司法と行政がグルになって、
    政権に都合のいい判断を積み上げ、国民の利益は最終的に
    無視される。特権層の側に有利な判断を下すのが上級裁判所の
    仕事になっている。法の下の平等という憲法の理念は踏みにじられ、
    民主主義がないがしろにされているのです。法治国家として、
    こんな恥ずかしいことはありません」(本澤二郎氏=前出)


■司法判断を都合よく使う姑息

 それは、辺野古の問題も同じだ。政府は4日、米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部の和解案を受け入れると表明。メディアは「電撃的和解」などと報じたが、こんなもの、ただの先送りでしかない沖縄の意見を聞く姿勢があるかのように見せる選挙向けの目くらましだ選挙後に再び強権的に移設を推し進めるのは目に見えている

 その証拠に、安倍は和解勧告の受け入れを表明したその場で「辺野古への移設が唯一の選択肢であるとの国の考え方に何ら変わりありません」と断言結論は決まっているのだ。しかも、すぐさま埋め立て承認取り消しを撤回するよう、沖縄県の翁長知事に迫った。話し合いをする気などサラサラない。これのどこが和解なのか。

 さらに怪しいのは、安倍が「司法判断が下された場合には、国も沖縄県もその判断に従う。そして互いに協力して誠実に対応することで合意した」と言ったことだ。

 裁判所は必ず国に有利な判断を下すそれに沖縄は従わなければならない。司法判断をタテに、辺野古移設を強行する魂胆が見てとれる

   「一般論として、統治と支配の根幹に触れるような裁判では、
    権力寄りの判断をする裁判官が多い。本来は個々の裁判官が
    法と良心に従って判断すべきなのですが、残念ながら、
    そういう勇気ある裁判官は少数派なのが現状で、それは、
    この国の司法の構造的な問題でもあります」(瀬木比呂志氏=前出)

 憲法を無視し、他方では司法判断を都合よく使うそういう政権に任せておいていいのかそこが国民の側にも問われている。
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http://lite-ra.com/2016/03/post-2066.html

裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が選り抜き裁判官を福井地裁に送り込んでいた
【この記事のキーワード】 伊勢崎馨, 原発, 癒着 2016.03.15

 福島第一原発事故から5年。事故当時の東京電力の幹部、勝俣恒久会長、武藤栄副社長、武黒一郎副社長の3人の刑事責任がようやく問われることになった。

 といっても、検察が起訴したわけではない。検察はこの3人について2度に渡り不起訴処分という信じがたい決定を下したが、それに対し検察審査会が2度とも「起訴すべき」との議決をした結果、強制起訴になったのだ。

 今後は裁判で審理されるが、彼らが刑事罰を受けることになるかというと、残念ながらその確率は低いだろう。本サイトでも何度も指摘したように、政府と原子力ムラと裁判所の間には明らかな“癒着”があるからだ。

 それは、この間の高浜原発に関する裁判所の対応を見れば明らかだ。高浜原発については、3月1日、大津地裁(山本善彦裁判長)が3、4号機の運転差し止めの仮処分を命じる決定を下した。3号機は今年1月29日から、そして4号機は2月26日から再稼働していたが、運転中の原発が裁判所命令で停止したのは史上初めてのことだ。

 だが、高浜原発に関しては、これまで裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、昨年4月14日に福井地裁が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定した。この際、樋口英明裁判長(当時)は想定を超える地震が各地で起こっていることを挙げて、原子力規制委員会の新基準が「合理性を欠く」と政府の原発政策の根本に異を唱えている

 ところが、その画期的な判決を下した樋口裁判長は、その後名古屋家裁に“左遷されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせないための追放人事でもあることは明白だった。

 そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だった。林裁判長は昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを覆し、事実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定をした。

 この林裁判長の人事について、今週発売の「週刊現代」(講談社)3月26日・4月2日合併号が露骨すぎる政治的背景を暴露している。

 問題は林裁判長の経歴だ。1997年に任官した林裁判長は最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も宮崎地裁勤務以外、東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任している。


 「現代」では明治大学政治経済学部の西川伸一教授がその経歴についてこんなコメントをしている。

   「任官して初の赴任地が東京地裁という点で、人事権を
    握っている事務総局から、目をかけてもらっていること
    窺えます。その上、初任明けと呼ばれる2ヶ所目の赴任地が
    事務総局。これは、林裁判官の同期108人の中でも
    6名しかいません。実際、任官から18年で部総括判事の役職に
    就くのもかなり早い出世です」

 この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署で、将来は最高裁判官を狙えるようなエリートが集まるところだという。林裁判長は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙えるようなエリートだったのだ。

 いや、林裁判長だけではない。昨年12月、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった

 中村裁判官は一度も遠隔地赴任がなく、東京、横浜、大阪で過ごし、事務総務局総務局付で国会対策などを担当したエリート

 また山口裁判官も大阪高裁や出向で外務省の花形ポジションである国連日本代表部2等書記官の肩書きを持っていたという。

 そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井に赴任し、原発政策に関わる決定に関与したこれは異例のことだ。「現代」では元裁判官の弁護士がこうコメントしている。

   「本来、福井地裁は名古屋高裁内でも比較的ヒマな裁判所で、
    アブラの乗った裁判官が来るところではない。しかも、
    この3人は東京や大阪など、他の高裁管内からの異動で、
    この人事には、各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が
    反映されていると見るべきです」

 ようするに、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。

 こうした最高裁による露骨な原発推進人事という“意思”の背景にはもちろん、政府の意向がある。前出の元裁判官の現役弁護士はこう語っている。

   「いくら独立が保障されているとはいえ、裁判所も上層部へ
    行けばいくほど政権との接触は増えるため、考え方が政権の
    意向に沿ったものになる。彼ら3名を含め、事務総局に
    勤務経験のある裁判官は、そうした阿吽の呼吸
    最もよく心得た人々なのです」

 いや、政府だけではない。本サイトでも以前、指摘したように、裁判所は電力会社や原子力産業とも直接癒着している。これまで数多くの電力会社と住民との訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているのだ。

 こうして見れば、原発事故当時の東電幹部たちが公正な裁きを受けることなど、到底期待できないことが分かるだろう。同時に現在“かろうじて”停止している高浜原発に対しても、3月14日、関西電力は仮処分に対し異議と執行停止を求めて大津地裁に申立てた。これで三たび、高浜原発再稼働に関する審議が行われることになるが、予断は許さない状況だ。またぞろ政権の“意向”を受けた裁判所人事が行われ、もしかしたら今回の停止決定を下した山本裁判長が“左遷”されたり審議から外され、別のエリート裁判官が送り込まれる可能性もある

 国民の生命の安全を無視して原発再稼働政策を押し進める安倍政権と、それを後押しする法務省、裁判所に対して、より一層の監視とチェックが必要だ。

(伊勢崎馨)
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●東京電力原発人災、「被災者の「怒り」と「慟哭」の声」が心に響かない哀しい人達

2015年08月19日 00時00分05秒 | Weblog


nikkan-gendaiの記事【東電元会長らを強制起訴に 原告弁護団の執念と“裁判の行方”】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162323)。

 「安全対策そっちのけで拝金主義に走った「東電のドン」は被告席で何を語るのか。裁判ではあらためて被災者の「怒り」と「慟哭」の声を思い知ることになる」。
 もう4年半近くが経過して、電力会社の誰もが罪に問われない異常。自民党議員も反省や懺悔を口にする者はほとんど皆無。

 ましてや、「原発事故調書 原因不明、責任不在」でも再稼働できる電力会社やアベ様らの神経を疑う。「安全対策そっちのけで拝金主義」に走る九州電力やアベ様ら、そして、経団連などの財界、「地元」の政治家達、それをサポートする田中俊一委員長はじめ原子力「ムラ寄生」委員会の面々。「寄生」委は誰ひとり反旗を翻せないのか? 「被災者の「怒り」と「慟哭」の声」が心に響かない哀しい人達。

   『●東電原発人災の3.11を再び目前に:
     「原発事故調書 原因不明、責任不在」でも再稼働できる神経を疑う


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162323

東電元会長らを強制起訴に 原告弁護団の執念と裁判の行方
2015年8月2日

    (2011年3月会見時の武藤元副社長(右端)と
      勝俣元会長(右から2番目)(C)日刊ゲンダイ)

 今も約11万人が避難生活を余儀なくされている未曽有の大惨事から約4年4カ月。ようやく“戦犯”が法廷に引きずり出されることが決まった。31日公表された東京第5検察審査会(検察審)による勝俣恒久元会長(75)ら旧東電経営陣3人に対する2回目の「起訴相当」議決。今後、東京地裁が指定する検察官役の指定弁護士が3人を「強制起訴」し、原発事故の責任を問う初の刑事裁判が始まる

 議決日は7月17日付で、「強制起訴」されるのは勝俣元会長と、武藤栄(65)、武黒一郎(69)の両元副社長。東京地検は2度にわたる不起訴の理由として、「想定外の規模の津波を予測するのは困難で、回避措置を講じても事故は防げなかった」と判断していたが、検察審は真っ向から反論。議決では「原発事業者は『万が一にも』『まれではあるが』発生する津波による災害にも備えなければならない」と指摘し、勝俣元会長らが「過酷事故が起きる具体的な予見可能性があった」と認定。「運転停止を含めたあらゆる措置を講じるべきだった」「ひとたび重大事故が起きると、放射性物質の大量排出により、人類の種の保存にも悪影響を及ぼしかねないという事柄の重大さを忘れた誤った考えだ」と痛烈に批判したのだ。

 原告側のほぼ主張通りの議決内容だ。

   「原告弁護団の執念勝ちですよ。13年9月に東京地検が
    勝俣元会長らを不起訴にし、検察審に審査を申し立てて
    以来、弁護団は上申書という形で何度も追加資料を
    検察審に提出してきました。02年の
    政府地震調査研究推進本部による予測で、
    福島沖をM8クラスの地震が発生する可能性が
    指摘
されていたこと。指摘をもとに東電が08年6月に
    15・7メートルの津波が福島原発に押し寄せる危険性を
    認識
していたこと……。中でも『起訴議決』の決定打と
    なったのは、6月に提出した上申書です。東電役員に
    対する株主訴訟で、東電が08年9月の会議で
    津波対策は不可避という文書を作成していた事実が
    判明。弁護団は早速、その内容を検察審に伝えるとともに、
    『原発の安全対策を対応せず、そのことを十分に
    認識しながら、会社の最高機密として内外に
    隠し通していた
』と批判しました」
    (司法ジャーナリスト)

 気になる裁判の行方はどうなるのか。原告代理人の海渡雄一弁護士はこう言う。

   「東電が、緊急かつ必要な津波対策を怠っていたことを
    裏付ける社内資料はたくさん残っています。私は
    有罪判決が出る可能性は十分あると考えています。
    (検察官役の)指定弁護士を物心両面で支えるとともに、
    我々(弁護団)も被害者参加制度を利用して裁判に
    加わりたいと思います」

 安全対策そっちのけで拝金主義に走った「東電のドン」は被告席で何を語るのか。裁判ではあらためて被災者の「怒り」と「慟哭」の声を思い知ることになる。
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●泥縄の果て ~一旦拡散してしまった放射性汚染物質を環境から移染することは可能か?~

2013年09月17日 00時00分13秒 | Weblog


毎日新聞の記事【検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半】(http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130907ddm010040006000c.html ~ http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130907ddm010040006000c15.html)。

 東京電力原発人災での汚染水漏えい問題・地下水汚染問題は、当初から、小出裕章さんらにより指摘され、早くから原発を囲むように地下水環境を隔離するように提言がなされてきた。ところが、この毎日新聞の記事によると、結論として、これまた「泥縄の果て・・・」であったことが分かる。五輪誘致に際して、「状況はコントロールされていて」、「2020年までに解決する」と世界に向けて断言し、「公約」したわけだが、現実は、「コントロールされている」とは言い難く、「2020年までに解決できる」と断言できる根拠が見つからない。メルトダウン・メルトスルーした核燃料が今どこにあるのかが分からず、このまま冷却を数十年(ここも政府の見積もりは非常に甘く、田中三彦さんは30年かかると仰っている[http://www.videonews.com/on-demand/641650/002931.php])続けねばならない。猛烈に汚染された400トンの水が毎日、30年間発生するかもしれない。一方、一旦、水環境中に広く拡散した放射性物質を水環境から分離し、移染するためには、膨大な手間・時間・コスト・・・・・・。この2.5年の「泥縄の果て・・・」は命取りになってはいまいか?

   『●原発の「国民的議論」を「アリバイ作り」で終わらせないために・・・
   『●日本は泥縄で溢れている
   『●泥縄: 「安全神話」に次ぐ「規制(委)神話」の創造

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http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130907ddm010040006000c.html
 ~【http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130907ddm010040006000c15.html

検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半
毎日新聞 2013年09月07日 東京朝刊

 東日本大震災からまもなく2年半。メルトダウンを起こした東京電力福島第1原発では放射性汚染水漏れが止まらず、事故収束がいまだに見えない。汚染水問題がここまで深刻化した背景は何かを検証した。


 ◆11年6月 「東電つぶせぬ」

 ◇しぼんだ遮水壁構想

 「緊急措置として低濃度汚染水を海に流すことになりました」

 枝野幸男官房長官は秘書官からの連絡に驚いた。2011年4月4日。細野豪志首相補佐官が事務局長を務める政府・東電の事故対策統合本部の決断だった。

 福島第1原発1~3号機はメルトダウン(炉心溶融)していた。原子炉を冷却するため大量に注入された水が高レベル放射性物質に触れて高濃度汚染水になり、原子炉建屋に流出。海にも漏れ出している。細野氏は3日前の東電との会議で「汚染水の放出は絶対あり得ない」と主張し、その方針を決めたばかりだった。

 しかしこれ以上の高濃度汚染水の流出を防ぐには限られたスペースに移して保管し、場所をとる低濃度汚染水を代わりに海へ流すしかなかった。全国漁業協同組合連合会は東電や経済産業省に「事前に連絡がなかった」と抗議し、不信を募らせた。

 馬淵チームは5月11日付で作った「地下水汚染防止対策報告書」で「地下水が汚染水と混ざれば(建屋真下を通る地下水流が汚染水を洗い流し)早ければ半年で海に到達する可能性がある」と警告。海への直接の流出を防ぐため、すでに検討されていた海側の遮水壁に加え、建屋の四方を粘土の壁で囲う陸側遮水壁の設置を提言した。検討過程で、粘土式より施工期間が短く、初期費用が安い凍土式も俎上(そじょう)にのぼった。しかし、土を凍らせて壁にする凍土式の大規模な施工例は海外にもない。効果に疑問があるとして、候補から消えた

 当時、放射性物質による海洋汚染が判明し、漁業は県全域で自粛を余儀なくされていた。馬淵氏は6月11日、福島第1原発に入り、粘土遮水壁の配置計画を固め、14日に記者発表する段取りだった。だが、11年3月期に1兆2000億円を超える最終赤字を出した東電は遮水壁の建設負担を恐れた。政府に文書で「1000億円規模のさらなる債務計上となれば、市場から債務超過の方向と評価される可能性が大きい。ぜひ回避したい」と伝え、再考を迫った。

 「東電が経産相に発表の先延ばしを求めているそうです」。13日朝、スタッフから報告を受けた馬淵氏は、海江田万里経産相の部屋に駆け込んだ。とはいえ、東電が債務超過と見なされて困るのは政府も同じ。国が東電の賠償を支援する「原子力損害賠償支援機構法案」にも影響する。財務省幹部は「東電が破綻すれば賠償責任を国がかぶることになる」と心配した。馬淵氏は「建設費は国が出すしかない」と考えたが、それには国民の厳しい批判が予想された。

 「国が負担することになれば担当府省や予算費目を決めなければならない」。協議の結果、14日の発表は見送られた。事故収束に向けた工程表でも、実現の可能性を調査する「中期的な検討課題」にとどまり、着工時期や費用は明示されなかった

 「遮水壁は進めてください」。馬淵氏は東電を訪れ、武藤栄副社長に念押ししたが、確約は得られなかった

 馬淵氏は6月末、首相補佐官を外れた。


 ◆8月 予算措置、政府動かず

 ◇「国が主導」空回り

 細野首相補佐官が原発事故収束・再発防止担当相に起用された6月27日、循環注水冷却システムが本格稼働した。原子炉建屋などにたまる高濃度汚染水をセシウム吸着装置など四つのプロセスで浄化し、原子炉の冷却水として再利用する。増え続ける高濃度汚染水への対応で当面の切り札になるはずだった。

 しかし、システムは米仏日3カ国の企業が2カ月弱の突貫工事で構築したもの。初日から原子炉に注水するホースで水漏れが見つかるなどトラブルが続発した。

 「汚染水の処理をきちんとしなければ、海が汚れて福島県の漁業が壊滅してしまう。すぐにでも(遮水壁の工事をしてほしい」。7月11日の衆院東日本大震災復興特別委員会。福島県選出の自民党議員、吉野正芳氏は地下水の建屋流入を食い止める陸側遮水壁の着工前倒しを求めた

 これに対し、細野氏は「遮水壁は極めて重要なプロセス。(原子炉の冷温停止を実現する)ステップ2(期間中)の早い段階で検討を終了し、できるだけ早く着手できないか検討を始めた」と説明。14日の参院内閣委員会では、東電が遮水壁建設による負担で債務超過になる可能性も念頭に「国が一歩踏み出して予算措置する必要性はある」と踏み込んだ。

 細野氏はこのころ、国の原子力政策を担う内閣府原子力委員会の近藤駿介委員長に原発廃炉に向けた中長期措置に関する検討を要請している。近藤氏は「(1979年に起きた)アメリカのスリーマイル島(TMI)原発事故を思い出せば、廃炉の仕事は大変だとすぐに分かる。見通しを立てておくべきだ」と5月末ごろから専門家を集めて勉強会を始めていた。細野氏もこの勉強会に参加しており、近藤氏から「政府が本腰を入れなければ、事故収束は望めない」と助言されていた。

 近藤勉強会では、TMI事故処理対策を徹底的に分析。汚染水対策が廃炉に向けた大きなハードルになると認識していた。TMIでも汚染水からセシウムなど大半の放射性物質は除去したものの、トリチウム(三重水素)は分離できず、最終的には地元の了解を得て、大気中に蒸発させて処分した。

 だが、日本の場合「湿度が高く放射性物質が拡散しにくいことや、風評被害を広げる恐れがあり、蒸発処分は困難」(原子力委幹部)だ。このため、近藤勉強会では、汚染水の処分について「トリチウムを規制値以下に薄めた上で海洋に放出するしかない」との考えが支配的だった。それには福島県など地元の理解が不可欠で、近藤氏は政府・東電が事故処理の進み具合などを地元に丁寧に説明し、対話ルートをつくるように進言していた。

 しかし、国や東電と地元の対話ルートは細かった。近藤勉強会に参加した会津大(福島県会津若松市)の角山茂章学長は「TMIのケースでは米規制当局がタウンミーティングまで開いて地元の意見を事故処理に反映させたというが、福島の場合、意見を言う機会はあまりなく、議論がオープンでなければ不信につながる」と指摘する。TMIの教訓が生かされることはなかった

 政府・東電が7月19日に発表した事故収束と被災者支援の総合工程表には、遮水壁について初めて「設計・着手と明記。細野氏は26日の参院内閣委で「政府の意思として前倒しした。東電がやるというよりは、政府として関与する体制だ」と強調した。東電は8月1日、遮水壁の工事をステップ2の期間中に始めると発表。海側=図中<1>=を陸側に先駆けて造り、陸側はステップ2期間内に検討することを盛り込んだ。

 細野氏の周辺は遮水壁への国費投入について「必要があれば出せる仕組みは作った」という。しかし、政府が予算措置に動いた形跡はない。当時の政権幹部は取材に「なぜだか分からない」「経緯は知らない」と言うばかり。財務省にも「事故処理費用は事故を起こした企業が負担するのが原則」との慎重論が根強く、結局、遮水壁着工の是非は東電の判断に委ねられた


 ◆12月 首相「事故収束」宣言

 ◇「何とかなる」過信

 阿武隈山地の集めた豊かな伏流水は、福島県沿岸から10キロ沖合で海に湧き出ているといわれ、一帯は恵まれた漁場だ。原発敷地内を1日1000トンの地下水が流れ、そのうち400トンが原子炉建屋に流れ込む。この地下水流入が汚染水対策の最大の障害であることは誰の目にも明らかだった。

 汚染水からセシウムなど一部の放射性物質を除去して再び原子炉への注水に利用する循環注水冷却システムは9月から安定して稼働した。東電は、トリチウムを除くほとんどの放射性物質を取り除ける新装置「アルプス」=図中<6>=の導入計画も進め、事故収束への道具立ては一応そろっているかに見えた。

 野田佳彦首相は12月16日の記者会見で「原子炉は冷温停止状態に達した。事故そのものは収束に至った」と事故収束を宣言する。政府・東電の対策本部は廃止され、細野担当相と枝野経産相を共同議長とする「中長期対策会議」を設置。国の役割は東電の廃炉工程表に基づく作業をチェックすることへと変容していく。

 バイパス計画や海側遮水壁はまだ計画段階だったが、東電や経産省は楽観論に傾いた。「アルプスが完成すれば海に流せる」(東電幹部)との思いは共通していた。当面は、汚染水をためる地上タンク=図中<5>=を造ってしのぐ。

 しかし、翌年の稼働をめざした頼みのアルプスは動かなかった


 ◆今年4月 「推定120トン漏水」

 ◇貯水槽、破れた信頼

 汚染水をためる地上タンク増設が追いつかなくなる中、東電は12年4月、地下貯水槽=図中<7>=の建設に着手。同時に、地下水が建屋に流れ込む前にくみ上げて海へ流すバイパス計画を実行する準備に入った。

 地下貯水槽は穴を掘ってポリエチレンやベントナイトでできた3層の防水シートを敷く。東電が設計し、ゼネコンの前田建設工業が施工した。アルプスで浄化した低濃度汚染水を入れる予定だった。しかし設備の強度不足などで本格稼働できず、地下貯水槽には高濃度汚染水が約2万7000トン流し込まれた。東電は「貯水槽の安全性は鋼鉄製タンクと差はない」と説明した。

 「こんなもので、本当にいいんですか」。汚染水対策に今も携わる東電協力会社の会長(72)は貯水槽の耐久性に疑問を感じ、東電の技術幹部に何度も尋ねた。「時間の余裕がない」−−そんな返事ばかりで、納得できる答えはない。「タンクは納期があってすぐに増やせない。造っている業者もくたびれていた。東電は相当に切羽詰まっていた」

 協力会社の会長は貯水槽の構造を「コイを飼う庭の池」だと言う。「池も水が減らないようにシートを敷く。あれに毛の生えたようなもんだ

 もう一方の地下水バイパス計画で、東電は流入量を1日100トン減らせると計算。漁協の組合長を集め補償問題を話し合う定期的な会合の場で、6月から計画の進み具合を説明した。海へ流すのは汚染前の地下水であり、反対の声はおろか質問すら出なかった。10月、地下水をくみ上げる井戸を掘った時も、異論は出なかった。東電や経産省は「汚染水対策の一筋の光明」と期待をかけた。

 バイパスの実現まであと一歩というところで、協力会社会長の不安が的中する。東電は今年4月5日、地下貯水槽から汚染水が推定120トン漏れたと発表した。「あれだけの(大規模な)貯水槽をビニールシートで造るのは普通じゃない」。原子力規制委員会の田中俊一委員長は現地を視察し、東電へのいらだちをあらわにした。東電は貯水槽をあきらめ、2カ月間で地上タンクにすべて移し替えることを決めた

 漁業関係者の不信感は一気に高まった。前月に、配電盤にネズミが入り込んだことによる第1原発の大規模停電があったばかりだ。

 福島県漁連の野崎哲会長ら幹部は苦悩した。地下水の海への排出を認めず、このまま汚染水が増え続ければ最後は汚染水自体の海への放出を迫られかねない。「自分で自分の首を絞めることになる」。4月26日の組合長会議で、野崎会長がバイパス計画容認の姿勢を示すと、翌日新聞やテレビが「漁連が放出合意へ」と大きく報じた。漁連事務所は組合員からの抗議電話が鳴りっぱなしになった。

 漁連幹部は進退窮まった。「もう理屈じゃない。地下水は国の排水基準を下回っていると伝えてもだめ。組合員は濃度ゼロ、放出ゼロを要求している」。バイパス計画は事実上、頓挫した。汚染水の漏えい量はわずかだったと修正されたが、地元の信用を取り戻すすべはなかった。

 東電の現場は批判にさらされ、疲弊していく。地元出身で、第1原発の収束作業に当たる男性社員は「社員がどんどん辞めている。同じ職場の仲間は10人が辞めた」と声を落とす。11年夏から月給は5%カットされ、夏冬のボーナスはなし。自分は養う家族がいるので辞められないが、会社のロゴ入り制服を洗濯した時は、ロゴが見えないよう裏返して干す。妻も病院に行くのを嫌がる。健康保険証に社名が入っているからだ。

 「士気が下がり続け、汚染水対策も廃炉作業もやり遂げられるのか」。不安を抱えながら働いている。


 ◆7月 後出しの「海洋流出」

 ◇泥縄の果て、遮水壁

 「汚染水問題が重大局面です。政府が対策委員会を作るので、トップを引き受けていただけませんか」

 地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚した今年4月上旬。地下水に詳しい京都大の大西有三名誉教授の携帯電話が鳴った。汚染水対策の破綻を心配した経産省資源エネルギー庁担当者からのSOSだった。

 ためていた汚染水が漏れたことで地下貯水槽7基の使用停止が決まり、エネ庁幹部は「これは決定的な痛手だ」と嘆いた。対策は大幅な見直しを迫られた。

 結局、地中の土を凍らせて1~4号機を土の壁で囲う「凍土式」=図中<3>=が採用された。くいを打ち込む大規模工事が必要な粘土式と違い、土を凍らせるため、地中にある複雑な配管も施工の支障にならない。工期も18~24カ月と短く、コストも数百億円で済むとされる。一度は見送られた工法だ。効果は確かなのか。大西委員長は毎日新聞の取材に「ベターだがベストではない」と語った。

 その後、事態は一段と悪化する。東電は「可能性は考えていない」としていたが、汚染水は、対策で工事を進めていた水ガラス=図中<2>=による壁の上を越えた。東電は参院選投開票日の翌日の7月22日に海洋流出を認め、タンクからの汚染水漏れもほどなく明らかになった。

 福島県漁連が9月上旬に計画していた相馬双葉漁協といわき市漁協の試験操業延期を決定した8月28日。茂木経産相は、佐藤雄平知事と面会した。

 茂木経産相「タンクの増設は急がせるよう指示しています」

 佐藤知事「分かりました。しかし本当に、こうやって会談している間にも汚染水が海に流れていますから……」

 茂木経産相は佐藤知事の話を遮るように「ですから(海側だけでなく)陸側に凍土遮水壁をまず造り、それから建屋内をしっかりやり、そして……」と対策を並べ立てた。いらだちが明らかに見て取れた。

 政府はこれまでの失敗を取り戻そうと「前面に出る」とアピールし始める。自民党幹部は「司令塔機能が弱かった」と悔やんだ。

 9月3日、政府は陸側遮水壁整備などへの国費投入を柱とする汚染水対策の基本方針を発表した。だが党内には「国費ではなく、あくまで東電の責任でやるべきだ」という声は少なくない。財務省幹部は「税金を使って対策に失敗したら誰が責任を取れるのか」と冷ややかだ。

 国の迷走はいつまで続くのか。このままでは廃炉計画全体に大きな影響が出るのは必至だ。

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 この特集は竹川正記、上野央絵、田中泰義、尾中香尚里、井上英介、清水憲司、大久保渉、鳥井真平、奥山智己、袴田貴行、乾達、栗田慎一、中尾卓英、神保圭作、笈田直樹が担当しました。(グラフィック 菅野庸平、編集・レイアウト 藤沢宏幸)
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●放射能汚染水処理装置の評判

2011年06月27日 04時20分51秒 | Weblog

gendai.netの記事のコピペ(http://gendai.net/articles/view/syakai/131148)。相変わらず辛辣です。

 

 原子力の「平和」利用なんてしなければ、こんな取り返しのつかない汚染事故など無く、皆が平和に暮らせていたはずなのに。子供を犠牲にするようなことは無かったはずなのに。こんな「ポンコツに巨額のマネー」なんて必要なかったはずなのに。

 でも、原子力の「平和」利用を模索している人がまだまだたくさんいて、悲しくなってきます。

 

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http://gendai.net/articles/view/syakai/131148

役立たずの日米仏汚染水浄化システムは誰がどういう経緯で決めたのか!?

【政治・経済】

2011年6月23日 掲載


こんなポンコツに巨額のマネー


専門家は「最初からムリ」
「責任者出てこい!」ではないか。福島第1原発で汚染水の浄化装置がトラブル続きだ。仏アレバの除去装置は稼働後、わずか5時間でダウンしたし、米キュリオン社製は、汚染水処理が想定の20分の1しかないことがわかり、またドタバタ。汚染水を浄化し「循環注水システム」を稼動させることは原発安定化の肝だ。ここがうまくいかなければ、汚染水があふれてしまう。「水棺」方式が失敗し、「循環注水システム」もダメなら、工程表は完全破綻なのだが、専門家の多くは「もともと循環注水方式には無理がある」と指摘する。
 なにしろ、10万トンを超える高濃度汚染水を浄化するなんて世界でも経験がないのに、複雑怪奇なシステムで、440基のタンク、4キロメートルの配管をつなぎ合わせるのである。浄化装置は東芝製が油分を除去し、米キュリオン社製がセシウムを除去、仏アレバ社のシステムが撹拌(かくはん)、沈殿させ、日立製の淡水化装置を経て仮設タンクに戻す。
 素人目にも「大丈夫か……」というシステムで、案の定、10日には配管の接続部から漏水し、ポンプ制御のプログラムミスも見つかった。どうなることか、と思っていたら、あっさり、キュリオン社製がダウンした。
 京大元講師で物理学者の荻野晃也氏はこう言う。
「この装置には無理が多すぎます。まず、放射性物質を除去するにしても、これほど高濃度の放射性物質を扱ったことがあるのか。汚染水には油や金属片、汚泥などが大量に含まれているのです。試運転ではうまくいって、想定では1カ月持つとされたフィルターが5時間しか持たなかったのは、マンガみたいな話です。今後、頻繁にフィルターの交換が必要になってくるだろうが、誰がやるのか。想像以上にたまる汚泥はどこに処理するのか。難題は山積しているのに何も決まっていないのです」

このままでは数百億円がパーになる
 そこで疑問は、誰がこんな無謀な計画をゴリ押ししたのか、ということだ。細野首相補佐官は「アイデアは東電」と言い、東電の武藤栄副社長は「世界中で利用可能なものは何か、システムとして実績があるものは何かという観点で選んだ」とか言っていたが、仏、米が国を挙げて売り込みに来て、政府が全面バックアップしたのは間違いない。そうした政治的駆け引きの末に、前代未聞の日、米、仏の設備を複雑につなぎ合わせる奇々怪々のシステムになり、それが5時間でぶっ壊れた。ちなみに東電は仏アレバに約531億円を支払う。これで稼働しなければ、丸損だ。
「契約書はどうなっているのでしょうか。日本は弱みに付け込まれたのではないか。トラブルがあった場合、誰の責任で、どう負担するのか。国民の税金に跳ね返ってくるわけですから、契約書の中身や交渉過程も公開すべきです」(荻野晃也氏=前出)
 システムが稼働しなければ、あと1週間ほどで汚染水があふれ出す。その場合、誰が補償するのか。これ以上のゴマカシは許されない。

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