Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●《万が一にも大事故が起きれば…。そのようないたってシンプルな理由から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》

2023年09月05日 00時00分21秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(2023年09月01日[金])
「デブリに触れた排水のALPS処理水」を単純に「処理水」と表現してもいいのか。
 「下水処理水」と云う時、有機物の除去率やSSの除去率が95%程度であり、「下水処理水」中に有機物やSSが5%程度残っていることを前提としているし、通常(二次処理)、無機の窒素やリンなどは7割程度が「下水処理水」に残存していることを含意している。その上で、「下水処理水」と呼ぶ。
 「デブリに触れた排水のALPS処理水」を単純に「処理水」と云う時、トリチウムは除去されず残存していること(希釈により濃度を下げていると云う〝引っ掛け〟もあり〝安心感〟も無駄に増量)までは想像できても、(核燃料とは遮断されているので、通常の核発電所排水には含まれない)多様な放射性物質が除去できずに残存していることを人々に想像させない。「デブリに触れた排水」の一部を「ALPS処理」しただけという点も強調されることが少ない。
 濃度ではなく、ポイントは排出される放射性物質の総量。半減期の長いものは、生物濃縮され、内部被ばくのリスクも上昇するから。タンクの貯留水(原水)のトリチウムや各放射性物質のそれぞれの」を明らかにすること。海水でいくら希釈しても、「量」は不変。トリチウムについて、検出限界以下に希釈した「処理水」の濃度を測っても何の意味も無い。検出限界以下となるように大幅に「薄めて」いるのだから。タンクの貯留水(原水)中にはトリチウムだけしかなく、それが検出限界以下なのであれば、希釈して排水する意味がない。海に放流すればさらに希釈されるのだから。
 「想定外」とした、アノ無能な農水相は「汚染水」と口にしてしまい、キシダメ首相から「処理水」と修正するように、お叱りを受けたらしい。馬鹿な話しだ。不毛。あれは、「汚染水」です。「下水処理水」とは意味が違う、#RadioactiveContaminatedWater

 さて、元福井地裁判事・樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです》。

   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【関東大震災から100年の節目に考える地震と原発と日本/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1168回)】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1168)。《ゲスト 樋口英明 (ひぐち ひであき)元裁判官》、《そもそも原発は巨大地震に耐えられるようには設計されていない。そして、大地震で原発が何らかの形で損傷を受ければ、そこから先は何が起きてもおかしくない。そして、万が一にも大事故が起きれば、取り返しのつかないほどの国富が失われ、おびただしい数の人の人生が根底から狂わせられる。そのようないたってシンプルな理由から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》。

   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽

     原発」「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?
   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から
               沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
         超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう必要などない
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
        …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》
   『●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、
     菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」
   『●【全責任持つという無責任】…《漁業関係者は…反対…岸田文雄首相が
       「漁業が継続できるよう、全責任を持って対応する」として押し切った》
   『●《30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続ける

     ことにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性》

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1168


【樋口英明×宮台真司×神保哲生:関東大震災から100年の節目に考える地震と原発と日本【ダイジェスト】】
https://youtu.be/I7qgJGTKPJA


2023年08月26日公開
関東大震災から100年の節目に考える地震と原発と日本
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1168回)


ゲスト 樋口英明(ひぐち ひであき) 元裁判官
1952年三重県生まれ。京都大学法学部卒業。83年福岡地裁判事補に任官。大阪高裁判事、福井地裁判事などを経て2017年退官。著書に『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』、『私が原発を止めた理由』など。


概要
 9月1日で関東大震災から100年の節目を迎える。関東大震災では10万人以上が犠牲になっているが、日本は今ふたたび、向こう30年の間に8割の確率で関東大震災をしのぐ巨大地震に見舞われることが地震調査委員会によって予測されている。果たしてわれわれは大地震への備えはできているのだろうか。

 日本は地震大国であると同時に世界有数の原発大国だ。国内にある57基の原発のうち、現在稼働している原発は11にとどまるが、休止中の原発の中にも核燃料は保存されており、大地震の際のリスクは残る。また稼働中の原発も、大地震が起きると燃料棒の中に制御棒が挿入され自動的に緊急停止するよう設計されている。しかし、原発が止まった後も核燃料は冷やし続けなければならない。しかし、原発自体は発電を停止しているため、引き続き冷却システムを稼働させるためには原発以外から電源を確保する必要がある。福島第一原発の場合も原子炉は正常に緊急停止したが、周辺一帯も停電していたことに加え、バックアップ用のディーゼル電源が津波で水没し使い物にならなかったために、核燃料を冷やし続ける方法がなくなってしまい、メルトダウンという最悪の事態に至ったのだった。

 そもそも原発は巨大地震に耐えられるようには設計されていない。そして、大地震で原発が何らかの形で損傷を受ければ、そこから先は何が起きてもおかしくない。そして、万が一にも大事故が起きれば、取り返しのつかないほどの国富が失われ、おびただしい数の人の人生が根底から狂わせられる

 そのようないたってシンプルな理由から原発の停止を命じた裁判官いる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ

 福井地裁の裁判官だった樋口氏は2014年5月21日、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め訴訟において、運転を差し止める判決を下している。その理由はいたってシンプルだ。判決の中で樋口氏は、原発の耐震基準が実はとても低いという事実に基づき、耐震基準を超える地震が来る可能性が否定できない以上、原発を動かすことを認めることはできないと結論している。

 国策である原発政策に水を差す判決を裁判官が下すのは決して容易なことではない。しかし、樋口氏はそれは難しい話ではないと平然と言ってのける原発裁判では高度に科学的、技術的な評価が求められると考えられているため、専門家ではない裁判官は自身では踏み込んだ判決を出そうとせず、政府や規制当局が設定した基準を満たしていればそれでよしとする判断に傾きやすい。しかし、難しい科学論争に引き込まれれば、一般市民の常識的な判断が働かなくなると樋口氏は言う。市民感覚で普通に考えた時におかしいものをおかしいと言い切れる感性が、裁判官には必要だと樋口氏は言うのだ。

 樋口氏が原発を止める判断をした根拠は明確だ。まず、日本の原発は意外にも耐震性がとても低い。これは実際のデータに基づいている事実だ。原発の近くである程度の大きさの地震が起きると、簡単に耐震設計基準を超えてしまう。日本では震度6強に相当する1,000ガル程度の地震は珍しくないが、例えば大飯原発の2018年段階での耐震基準は、856ガルとされている。関東大震災や阪神淡路大地震、そして東日本大地震規模の震度7クラスの地震は1,500ガルを超える。正式な耐震基準からみても、日本のどの原発もスペック上、そのクラスの地震に耐えられるようになっていないのだ。それがわかっていながら、原発の稼働を継続させる判断を下すことの方がおかしいというのが、樋口氏の立場だった。

 実際、日本の原発の耐震基準はいずれも1,000ガルまでだ。ところが日本では震度7、1,500ガル以上の南海トラフ巨大地震が30年以内に発生する確率が70~80%と見積もられている。降水確率が80%と言われれば、普通の人は傘を持って家を出るのではないだろうか。

 今、福島第一原発では、破損した原子炉内の溶け出した核燃料デブリに触れた汚染水が毎日90トンペースで増え続け、今週はいよいよそれを海に放出しなければならなくなっている。ALPSという機械を使って放射性物質の大半は取り除かれ、更に汚染水は安全基準以下に希釈した上で放出しているというが、ALPSではトリチウムのほか12種類の放射性核種が取り除けないこともわかっている。

 事故から12年たった今日にいたっても、福島第一原発では廃炉はおろか溶け出した核燃料デブリを1グラムたりとも取り出すことができていないし、取り出せるメドもまったくたっていない。原発は一度事故が起きると取り返しがつかないことは、われわれが現在進行形で経験しているはずだ。

 樋口氏の指摘を待つまでもなく、地震大国の日本で原発を続けることのリスクは計り知れない。樋口氏はなぜ原発を止めたのか、そしてなぜ樋口氏にはそれができたのか、それでも日本の裁判官がなかなか原発を止められないのはなぜかなどについて、元裁判官の樋口英明氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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コメント (2)
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●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?

2023年01月14日 00時00分35秒 | Weblog

(2023年01月02日[月])
こんな簡単なことも理解できない裁判長…《生き物にも機械にも「不老不死」はあり得ない》、ましてや地震大国ニッポンで。
 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。
 (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。

   『●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則
     40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…

 東京新聞の【<社説>老朽原発の追認 不老不死はあり得ない】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/221218?rct=editorial)によると、《老朽化による危険があるとして、全国で唯一、四十年を超えて稼働する関西電力 美浜原発3号機(福井県美浜町)の運転差し止めを求めた地元住民の訴えを、大阪地裁は退けた。「原発復権」を加速する政府の方針を追認するような判断だ》。
 ギロチン破断事故 (蒸気噴出事故) の美浜原発3号機を稼働って、正気なのかね、関電や原子力〝寄生〟委員会、経産省、自公政権やお維。そして、司法。

   『●大飯原発再稼働の恐〝負〟の連鎖:
      40年間も動かした美浜原発2号炉をさらに10年稼働延長
   『●東京電力人災が続く中、なに寝ぼけてんだか!?
    《11人が死傷した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の
     蒸気噴出事故から丸8年となった9日、同原発で追悼式典が開かれ、
     八木誠社長が慰霊碑の前で「事故の反省と教訓を風化させることなく、
     安全の実績を積み重ねるべく全力を尽くす」と再発防止を誓った》

   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに……
    《「判決を聞いて5人の仲間のことを思った」 
     原告の一人で元原発作業員の山本雅彦さん…=福井県敦賀市=は
     判決後の記者会見でそう話し、04年にあった美浜原発3号機の
     蒸気噴出事故で亡くなった5人の作業員を悼んだ》

   『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」
   『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?  
      関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!
    《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
     ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》

   『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
                    …どんどん壊れ行くニッポン
   『●関西電力美浜原発3号機再稼働に同意した戸嶋秀樹美浜町長や
     竹仲良広町議会議長らは、《大阪地裁訴訟の原告》達の声を聞いたのか?
   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所
       の稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走

 そして、核発電人災を起こした東電。はぁぁ…正気なんだろうか? まず、福島を「原状回復」して見せてよ。全ての《生業なりわい)》を返して見せてくれよ。出来ないのならば、即時、全炉で廃炉作業に入るべきだ。この11年間、何やってたの?
 小野沢健太増井のぞみ両記者による、東京新聞の記事【原発賠償基準を9年ぶり見直し 東京電力の不誠実な姿勢に「警告」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/221175)によると、《◆東電社長、それでも「柏崎刈羽原発の再稼働目指す」 指針改定が決まった20日、経済産業省は東電の小早川智明社長を呼び出し、迅速な賠償を求めた。「福島への責任を果たす」と、沈痛な表情の小早川氏。報道陣の取材で、政府の原発活用策への対応を問われ「柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指したい」と答えた。果たしてこれが被災者に寄り添う姿勢なのか、疑問は尽きない。(小野沢健太増井のぞみ)》。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれ」です。
     「あれだけの事故を起こして被害を出してだれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
    《40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が
     増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、
     ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も
     過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあった
     ではないか。
      美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に
     配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。
     その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を
     起こさないと懲りないのか!

   『●核発電の《オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが
     不可欠》? まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから
   『●東電核発電人災の被害者が「私たちは生きている限り、原発の時代を
     背負ったということ」と強調、一方、政府や電力会社は核発電の継続と…


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https://www.tokyo-np.co.jp/article/221218?rct=editorial

<社説>老朽原発の追認 不老不死はあり得ない
2022年12月21日 07時00分

 老朽化による危険があるとして、全国で唯一、四十年を超えて稼働する関西電力 美浜原発3号機(福井県美浜町)の運転差し止めを求めた地元住民の訴えを、大阪地裁は退けた。「原発復権」を加速する政府の方針を追認するような判断だ。

 美浜原発3号機は、一九七六年十二月に運転開始。福島第一原発事故後の停止期間を経て、二〇一六年十一月、原子力規制委員会に運転延長を認められ、二一年六月に再稼働した。

 裁判では、四十年超の長期運転による原発設備への影響が争点になった。

 原告住民は、炉内で発生する中性子の照射によって原子炉圧力容器がもろくなるなど設備の劣化が進み、「事故の恐れが飛躍的に高まる」と訴えた。

 これに対して関電側は、劣化状況を適切に把握し、改修を施した上で、3・11後の新規制基準に「適合」とされており「高経年化に問題はない」と主張した。

 大阪地裁は「関電による経年劣化対策に不合理な点はなく、耐震性にも問題はない」と、関電側の主張をそのまま受け入れた。

 ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機と脱炭素の要求を背景に、政府は原発復権に大きくかじを切った

 3・11の教訓を踏まえて定めた「原則四十年最長六十年」の運転期限を撤廃し、三十年目から十年以内ごとの審査に通れば、無期限に運転が可能になるような仕組みづくりを進めている。政府の方針にお墨付きを与えたような大阪地裁の判断は疑問である。

 そもそも原発の“健康管理”には限界がある。原子炉の本体である圧力容器の交換は不可能だ

 配管延長は数十キロにも及び、部品数は一千万点に上るという。点検漏れのリスクも付きまとう。

 美浜原発3号機でも〇四年、長年点検リストから漏れていた配管が劣化して破れ、噴き出した熱水と蒸気を浴びた作業員五人が死亡する惨事が起きている。

 「六十年超」の原発は、現在世界にない。規制手法にも前例がなく、「老朽化」を高経年化と言い換えて延命を図るのは、危険である。

 生き物にも機械にも不老不死はあり得ない。そんな基本に立ち返り、原発の運転期限を維持しつつ、依存を弱めていくべきだ。
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●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…

2022年12月29日 00時00分14秒 | Weblog

[※↑ 双葉町での聖火リレーに際しての大沼勇治さん(報道特集 2021年03月27日[土])]


(2022年12月14日[水])
まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、全ての《生業なりわい》を返して見せてくれ、議論はそれからだ。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれ」です。
     「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
    《40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が
     増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、
     ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も
     過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあった
     ではないか。
      美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に
     配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。
     その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を
     起こさないと懲りないのか!

   『●核発電の《オープンな議論を通じて国民の幅広い理解を得ることが
     不可欠》? まずは福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから
   『●東電核発電人災の被害者が「私たちは生きている限り、原発の時代を
     背負ったということ」と強調、一方、政府や電力会社は核発電の継続と…

 日刊ゲンダイの記事【世界の原発の“平均寿命”は29年…日本政府がもくろむ「運転期間60年超」は世界の非常識】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/315564)によると、《政府が年内の取りまとめを目指す原発の運転期間について、なし崩しで延長に踏み切ろうとしている。政府は現行の運転期間「原則40年最長60年」を堅持する方針だが、再稼働に必要な審査などで停止した期間を追加実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる》。
 この地震大国ニッポンで正気なのかね? さっさと廃炉作業に入ることも無く、核発電所が今も稼働中であることだけでも、また、再稼働したいということだけでも神経を疑うのに、《実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる》ってどんな神経なのか?

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。
 (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
      承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 増井のぞみ記者による、東京新聞の記事【運転60年超の原発、世界で実例なし 設計時の耐用年数は40年 配管破れ、腐食で穴...トラブル続発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/218838)によると、《8日の経済産業省の有識者会議で議論を終えた原発活用の行動指針案は、運転期間の制限は維持した上で「最長60年」との現行規定を超える運転を可能にし、将来的な上限撤廃も視野に入れる。しかし、原発が60年を超えて運転した実例は、世界中に一つもない。国内では設備劣化によるトラブルが相次ぎ、原子力規制委員会も「未到の領域」の規制に手間取っている。(増井のぞみ)》。

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/315564

世界の原発の“平均寿命”は29年…日本政府がもくろむ「運転期間60年超」は世界の非常識
公開日:2022/12/07 13:40 更新日:2022/12/07 13:40

     (「停止期間+60年」は異常…(廃炉作業が続く福島原発)
      /(C)共同通信社)

 政府が年内の取りまとめを目指す原発の運転期間について、なし崩しで延長に踏み切ろうとしている。政府は現行の運転期間「原則40年最長60年」を堅持する方針だが、再稼働に必要な審査などで停止した期間を追加実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる。

 6日の参院環境委員会で、立憲民主党の辻元清美議員が延長問題を追及。過去の環境相の国会答弁や福島第1原発の設置変更申請などを引き合いに出しながら、「(原子炉の)想定年数は40年」と指摘した。

 政府方針では最長60年に加え、停止期間が運転期間に上乗せされる原子力規制委員会は、運転期間から停止期間を除外できないとの立場を貫いているが、延長の可否については環境委でも、「利用政策側が判断されることと考えている」(山中委員長)と繰り返し強調。“高い独立性をうたっているはずなのに、運転期間をめぐっては政府に及び腰だ

 原子力利用に目を光らせるべき立場の規制委がこんな調子だから、原発政策の旗振り役である経産省は「さまざまな意見があり、審議会で科学的な見地で議論を進めている」(中谷副大臣)などとノラリクラリ。規制委の立場を「さまざまな意見」のひとつに過ぎないとみなしている。


■「技術者の視点」が抜け落ちた議論

 世界に目を向けると、「停止期間+60年」の運転期間は異様だ。IAEAによると、21年12月末までに世界で廃止予定の原発は199基。平均寿命は29年だ。現在稼働する原発の中でも最長は、1969年に運転を始めたスイスのベツナウ原発1号機の53年間である。

 元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏(工学博士)はこう言う。

「運転期間延長の議論には、技術者の視点が抜け落ちています。現存の原発の設計寿命は30~40年。設計段階で想定した寿命があるにもかかわらず、『点検したら大丈夫』というのはあまりに乱暴です。特別点検を実施するにしても、見落としやエラーはつきものですし、あらゆる重大事故の多くは欠陥の見落としが原因です。点検をしていても電気系統や制御装置は、いつ劣化して故障するか予見できません。設計寿命は極めて大事なのです

 のど元過ぎれば何とやらである。原発事故の惨事を再び繰り返すつもりなのか
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/218838

運転60年超の原発、世界で実例なし 設計時の耐用年数は40年 配管破れ、腐食で穴...トラブル続発
2022年12月9日 06時00分

     (運転開始から53年がたったベズナウ原発
      =2012年、スイス北部で)

 8日の経済産業省の有識者会議で議論を終えた原発活用の行動指針案は、運転期間の制限は維持した上で「最長60年」との現行規定を超える運転を可能にし、将来的な上限撤廃も視野に入れる。しかし、原発が60年を超えて運転した実例は、世界中に一つもない。国内では設備劣化によるトラブルが相次ぎ、原子力規制委員会も「未到の領域」の規制に手間取っている。(増井のぞみ)

【関連記事】原発「60年超」の行動指針案を了承 経産省の有識者会議 将来的な「上限なし」にも道

 国際原子力機関(IAEA)によると、既に廃炉になった原発を含め、世界最長の運転期間はインドのタラプール原発1、2号機の53年1カ月間。同原発から約1カ月遅れで運転を始めた米国のナインマイルポイント1号機とスイスのベツナウ1号機が続く。4基とも現役だ

 米国も日本と同じく運転期間を40年と規定するが、規制当局の審査をクリアすれば20年間の延長が可能で、延長回数に制限はない。80年運転を認められた原発も6基ある。英国とフランスは運転期間に上限はなく、10年ごとの審査が義務付けられている。

 ただ、多くの原発は設計時、耐用年数を40年間と想定して造られた。老朽化が進むと維持管理コストも高くなり、事業者が長期運転よりも廃炉を選択するケースが多いとみられる

 国内では40年に満たない原発でも、劣化によるトラブルが起きている

 運転年数37年の関西電力高浜3、4号機(福井県)は2018年以降、原子炉につながる蒸気発生器内に長年の運転で鉄さびの薄片がたまり、配管に当たって傷つけるトラブルが相次ぐ。定期点検で6回も確認され、蒸気発生器を洗浄しても再発した。

     (高浜原発4号機の蒸気発生器内の配管(右下)に刺さった
      鉄さびの薄片(中央の三角形)=福井県で(関西電力提供))

 さらに深刻なのは、点検漏れだ。原発の部品数は約1000万点に上るとされ、見落としのリスクはつきまとう。04年には、運転年数が30年に満たない美浜3号機で、点検リストから漏れて一度も確かめられなかった配管が経年劣化で薄くなって破れ、熱水と蒸気が噴出して5人が死亡、6人が重傷を負った。

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)では、福島第一原発事故後まもなく停止した7号機タービン建屋の配管が11年間点検されず、腐食で穴が開いたことが今年10月に判明した。

 井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)は「劣化状況を調べる超音波検査は、配管の陰では測定が難しい。長期運転で劣化が進むと、点検漏れした時のリスクが増し、重大な事故につながる」と警鐘を鳴らす。

 運転延長の可否を安全性の側面から審査する規制委は、60年超の原発をどのように規制するのかについて、具体策の検討を始められないでいる

 大きなハードルとなっているのは、原子炉が実際にどう劣化していくのか、データが不足していることだ。運転延長の審査で先行している米国とは、劣化具合のとらえ方が異なるという。山中伸介委員長は記者会見で「(60年超は)未知の領域。日本独自のルールをつくる必要がある」と、検討の難しさを認める。

 規制が不透明なまま、60年超を可能にする仕組みだけが先行していく。井野氏は強調する。「日本は地震が多く、人口密度も高い。外国とは状況が違う。原発の運転は設計目安の40年を守るべきだ」
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●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

2022年09月17日 00時00分02秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(20220830[])
映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』。


【映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』】
 (https://saibancho-movie.com/
 (https://youtu.be/AlLlePkIcdE

   『●泊核発電所の運転差し止め…一方、札幌地裁は《廃炉請求については
     「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却》ってどういうこと?

 タイトルから、『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二、朝日新聞出版)を思い浮かべました。3人のお一人が、樋口英明・元福井地裁裁判長。

 週刊朝日のコラム【『原発をとめた裁判長』の教え 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2022082500104.html)によると、《この秋にお勧めの映画がある。『原発をとめた裁判長』(監督・脚本:小原浩靖)というドキュメンタリーだ。関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め判決と同高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分決定を出した樋口英明元福井地方裁判所裁判長が主人公である》。

 古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を。反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」

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https://dot.asahi.com/wa/2022082500104.html

『原発をとめた裁判長』の教え 古賀茂明
政官財の罪と罰
2022/08/30 06:00

 この秋にお勧めの映画がある。『原発をとめた裁判長』(監督・脚本:小原浩靖)というドキュメンタリーだ。関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め判決と同高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分決定を出した樋口英明元福井地方裁判所裁判長が主人公である。

 今年の冬、夏と日本では電力危機が叫ばれた。老朽化した火力発電所の稼働などで幸い停電には至らなかったが、次の冬は、さらに深刻だと政府は危機感を煽っている。さらに、2050年にカーボンニュートラルという日本の目標達成には、火力発電を増やすのは好ましくない。再生可能エネルギーを数カ月で大幅に増やすのも困難だ。

 こうなると、原子力発電が切り札だという議論が勢いづく。ついに、岸田文雄首相も老朽原発の運転期間のさらなる延長や次世代原発の建設などの検討を宣言した。岸田政権のある関係者は、7月の参議院選挙前にこう語った。「今、原発について前のめりになることは厳禁だが、選挙に勝てば新増設も含めて原発推進に踏み込んで行く

 だからこそ、政府は再エネ拡大策をまじめにやらず、あえて電力不足を演出した。今や政府の思惑通り、世論調査でも原発再稼働に反対する意見は少数派になった。実は、そこには、「原発は『それなりに安全』なはずだという根拠なき思い込みがある。しかし、原子力規制委員会は、常に「審査基準を満たしても安全とは言えない」と言っている。本当はどうなのか。

 昨年3月の本コラムでも紹介した原発の安全に関する「樋口ドクトリン」がある。1)原発事故のもたらす被害は極めて甚大。2)それ故に原発には高度の安全性が求められる。3)地震大国日本において原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性があるということに他ならない。4)わが国の原発の耐震性は極めて低い5)よって、原発の運転は許されない(樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社))。

 11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる

 冬に電力が足りないと言っても、ピーク時に一部の地域で数%不足するというだけの話で、節電などで対応すれば、経済に影響が出ても大した話ではない。それに比べて、原発事故は日本の広範な地域に壊滅的打撃を与える。しかも、毎年日本のどこかで起きるある程度大きな地震が原発の敷地付近で起きれば、大事故になる可能性があるのだ。冬の数日間数%の電力が不足するというのとは全く次元が違う比較すること自体ナンセンスだ。さらに、原発は戦争で敵に狙われたらほとんど防御不能であることは規制委も認めている。

 「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい。

※週刊朝日  2022年9月9日号
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●泊核発電所の運転差し止め…一方、札幌地裁は《廃炉請求については「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却》ってどういうこと?

2022年06月23日 00時00分14秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


(20220605[])
東京新聞の記事【泊原発、運転差し止め命令 札幌地裁、津波対策で初判断】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/180634)によると、《北海道電力泊原発1~3号機(泊村)で事故が起きれば生命や身体の安全が脅かされるとして、周辺住民ら約1200人が北海道電に運転差し止めや廃炉を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は31日、「津波に対する安全性の基準を満たしていない」などとして、現在定期検査中の3基の運転差し止めを命じた。原告側によると、津波への安全対策が不十分として運転差し止めを命じるのは初めて。2011年の東京電力福島第1原発事故後、運転差し止めの判決は3例目。初の司法判断となった廃炉請求については「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却した》。

   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から
               沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
      いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●核発電「麻薬」中毒患者・経産省の教育介入と
      大きな勘違い…《学校の授業とは国策をPRする場ではない》
   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)

 東京新聞の記事【<解説>泊原発再稼働を認めない判決 安全性を説明できない電力会社にNO】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/180645)によると、《北海道電力は保有する原発の安全性を説明する能力に欠けている―。泊原発1〜3号機の運転禁止を命じた札幌地裁判決を端的にまとめると、こうなる》。
 また、【<社説>泊原発差し止め 万が一に備えなくては】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/180982?rct=editorial)によると、《北海道電力泊原発を巡る訴訟で札幌地裁は「津波への対策が不十分」として運転差し止めを命じた。泊原発は再稼働に向けて審査中だが、万が一に備えた安全確保策の審査を迫る判決だ。…焦点となったのは津波だ》。

   『●シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは
      国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 核発電「寄生」委員会は、何をデッカイ面をしているのか? 《規制》するのが委員会の役目でしょ? シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な北海道電力を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を。反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 《原発の安全性》、「安全な核発電」…形容矛盾。「安全」と「原発」「核発電」、対局にある言葉だ。《万が一に備えた安全確保策》…《万が一》といった低いリスクではないのは明白です。《岸田文雄首相はウクライナ危機を背景に、「安全性の確認された原発の再稼働を進める」と強調》、キシダメ氏ときたらアホ丸出しだ。
 《津波への対策が不十分》…その大元にあるのはアベ様だ。アベ様は3.11東京電力人災の《最大の戦犯》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

 司法も酷いよなぁ。苦しむ市民を救わない司法、最「低」である

   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(1/2)
   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(2/2)
   『●やはり最「低」裁(第2小法廷・菅野博之裁判長)でした、というオチ
     …《原発事故で国の責任認めない判決 避難者訴訟で最高裁が初判断》
   『●「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」ので
          国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁?

 そして、最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

 一方、あ~ぁな事件…。丸山知事、どうしたらそんな判断に…。
 東京新聞の記事【島根県の丸山知事が再稼働に同意「原発はなくしていくべきだが…現状では一定の役割」 中国電力島根原発2号機】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/181030)によると、《島根県の丸山達治知事は2日の県議会本会議で、中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働について「やむを得ないと考え、容認することとします」と同意を表明した。既に松江市も再稼働に同意しており、地元自治体による手続きがこれで終わった。中国電は2023年度中の再稼働を目指す。丸山知事は午前10時に始まった本会議で、45分にわたって再稼働の理由を説明した。その中では「不安のない生活をするには原発はないほうがよく、なくしていくべきだと私も思います。一方で、必要な電力は供給される必要がある。現状では原発が一定の役割を担う必要があると考えます」「県民の皆さんに不安や心配が残るものであり、苦渋の判断です」と述べた。島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地。避難計画の策定が義務づけられる30キロ圏内には島根、鳥取両県の6市があり、人口は約45万7000人。そのうち、寝たきりの高齢者や障害のある人ら避難時に支援が必要な住民は約5万2000人。30キロ圏内人口が約94万人と最多の日本原子力発電東海第2原発(茨城県)周辺の要支援者約3万8000人を上回り、避難計画の実効性が課題となっている。中国電は2015年に1号機の廃炉を決め、18年には建設中の3号機の審査を申請。3号機はほぼ完成している。2号機は21年9月に原子力規制委員会の審査で、東京電力福島第一原発の教訓を踏まえて策定された新規制基準に適合した。(小野沢健太)》。

 つぶやきで知りました。映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』(https://saibancho-movie.com/)を教えて頂きました。


【映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』】
 (https://saibancho-movie.com/
 (https://youtu.be/AlLlePkIcdE

 タイトルから、『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二、朝日新聞出版)を思い浮かべました。3人のお一人が、樋口英明・元福井地裁裁判長。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/180645

<解説>泊原発再稼働を認めない判決 安全性を説明できない電力会社にNO
2022年5月31日 16時50分

 北海道電力は保有する原発の安全性を説明する能力に欠けている―。泊原発1〜3号機の運転禁止を命じた札幌地裁判決を端的にまとめると、こうなる。

 この判断には予兆があった。北海道電は再稼働を目指した原子力規制委員会の審査で、原発敷地内の断層が地震を引き起こす活断層であるかどうかについて、何度も説明能力に疑問を持たれてきた。規制委の更田豊志委員長は、社長に人材をてこ入れするよう要求する異例の事態にもなった。

 北海道電の対応は、裁判でも同じだった。規制委の審査が進まず、住民側への反論を十分に用意できなかった。提訴から10年を超えた訴訟は、業を煮やした裁判長の「結審します」というひと言が流れを決めた

 岸田文雄首相はウクライナ危機を背景に、「安全性の確認された原発の再稼働を進める」と強調している。北海道電は規制委の審査だけではなく、裁判の場でも安全性を説明することさえできていない。原発を動かすだけの資格と能力があるのか。答えは明らかだ。(小川慎一

【関連記事】泊原発、運転差し止め命令 札幌地裁、廃炉請求は棄却
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/180982?rct=editorial

<社説>泊原発差し止め 万が一に備えなくては
2022年6月2日 07時03分

 北海道電力泊原発を巡る訴訟で札幌地裁は「津波への対策が不十分」として運転差し止めを命じた。泊原発は再稼働に向けて審査中だが、万が一に備えた安全確保策の審査を迫る判決だ。

 北海道唯一の原発である泊原発は二〇一一年の東日本大震災後、1号機から3号機まで全てが定期検査のため順次停止した。北海道電力が国の新規制基準に基づいて再稼働を申請しており、原子力規制委員会で審査が続いている。

 周辺住民ら約千二百人が原告となって訴訟を起こしたのは、端的に言えば、泊原発が安全性を欠くと考えたからだ。原発周辺や積丹半島沖の活断層などにより「想定以上の地震や津波が襲うのでは」との心配があった。

 焦点となったのは津波だ。

 原発の敷地は海面から十メートルの高さにある。大震災後に防潮堤の高さを一六・五メートルにかさ上げしたが、規制委は地盤が液状化する可能性を指摘。同電力側は「堅固な地盤に造り直す」と言うが、具体的な構造などは決まっていない。

 このため、判決は「液状化が生じる可能性がないことを相当な資料で裏付けていない」とし、「津波への安全性の基準を満たしていない」と結論づけた。

 一般的に原告側にある立証責任についても、判決は、電力会社側が主張立証を尽くさない場合「原発が安全性を欠くと事実上推定される」と述べた。

 判決は、確定しない限り再稼働を止める効力はないものの、今後の同種の裁判や、規制委の再稼働を巡る審査にも大きな影響を与えるのは必至だ。

 ロシアのウクライナ侵攻や原油高騰などで、各国のエネルギー政策が「原発回帰」に向かう可能性はあるが、日本では大震災後、原発運転を認めない判決が今回の泊のほか、大飯(福井)や東海第二(茨城)でも出ている。司法判断を軽んじてはならない。

 最新の科学的知見に基づいて常に安全性が証明、確保された状態でない限り、原発を稼働すべきでないのは当然だ。今回の判決を機に、福島第一原発事故の教訓を改めて胸に刻みたい。
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●経産省内閣復権でいいの? …デモクラシータイムス【総選挙の争点③どうするエネルギー EVと原発(古賀茂明×飯田哲也×山田厚史)】

2021年10月29日 00時00分31秒 | Weblog

[※ 野党共闘 市民連合と政策合意 (週刊金曜日、2021年9月17日1345号)↑]


――――――  [#投票倍増委員会 会員]  まだ自公お維トファを直接的・間接的に支持するのですか? ニッポンの未来をこれ以上ぶっ壊さないで! 4野党による #政権交代で命を守る新しい政権を!、実現しましょう。


アベにスガるキシダメ内閣】(https://www.youtube.com/watch?v=HGCPFYVO2jk
ヨナオシフォーラム2020
《2021年10月4日、岸田文雄氏が第100代の首相に指名された。
 岸田新首相は「国民の声」を聞くというが、「安倍・麻生の声」ばかり聞いていると評される。
 なぜなのか。
 この9年間を9分弱に凝集して考えてみました。
 ヨナオシフォーラム2020が知恵と力を振るって作成した動画「アベにスガるキシダメ内閣」を是非ご覧下さい。》



(2021年10月22日[金])
デモクラシータイムスの映像資料【総選挙の争点③どうするエネルギー EVと原発(古賀茂明×飯田哲也×山田厚史)20211019】(https://www.youtube.com/watch?v=ws20C5FDb-E)。

 《総選挙の争点③ 古賀茂明さんと飯田哲也さんに聞く選挙で問われるもの。日本の産業はどうなるのか 世界のエネルギーと産業の歴史的転換期に日本は周回遅れもいいところで、挽回の芽さえ見つかりません。エネルギー転換、化石燃料車の規制とEV車へのシフト、その背後にある日本の政治と経済の構造の宿痾こそが問われているのではないでしょうか。収録は 2021年10月19日》。

 経産省内閣復活…産業の破壊と凋落、核発電推進、ホントにいいんですか? #投票倍増委員会 会員として訴えます。当然、 #わたしも投票します …  #政権交代で命を守る新しい政権を!、叶えたい。

   『●《人材の宝庫》のはずが…《「経産省内閣」と揶揄される
     安倍政権は歴史に残る犯罪者集団と言われても仕方あるまい》

 かつて ――― 自称《人材の宝庫》のはずが…《悪夢の安倍政権》《腐ったみかん箱》《「経産省内閣」と揶揄される安倍政権は歴史に残る犯罪者集団と言われても仕方あるまい》。人様の政権を《悪夢のような》などと、よくも言えたものだね。―――― それが再び、復権しているらしい。《政権中枢の高官が民間企業に便宜供与を打診し、行政をゆがめた》方・和泉洋人氏も…。

 化石燃料車は、ドイツでさえ、2025年頃に前倒しされて消えてしまうかもしれない…。北欧では言うまでもない。で、ニッポンの自動車メーカーは、一体、何をやっているのか…。
 さらに、核発電なんて、最早、成立し得ない。《世界は電力タダの時代に》…核発電を続けたい、という「麻薬」中毒者達の気が知れない。「復興五輪」どころか、「復興原発」などというふざけた言葉や「経済性を度外視して、核発電をやらなけらばならない」といった支離滅裂な言説までも。正気か? 再エネに関するデマを振りまき、再エネに舵を切らなかった自公お維の間抜けさよ。【【金子勝の言いたい放題】NO5 世界は電力タダの時代に エネ転が拓く経済転換(飯田哲也さんと) 20191230】
https://www.youtube.com/watch?v=eMDjFFFo3qY&t=186s)。

 もう一点、核発電を止める簡単な方法がこのデモクラシータイムスでも、古賀茂明さんの口から語られている。ポイントは4つ。樋口理論に繋がるもの。

   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 週刊朝日のコラム【動かせと言って原発を止める方法 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2021092500022.html?page=1)によると、《まず、原発はどうぞ動かしてくださいというと議論を始める。その場は国会が望ましい。大手の電力会社の社長を呼んで国民の前で議論するのだ。原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。そこで、最初に、安全性について質問する。日本には地震が多いから耐震性を高めることが重要だということに同意を求めたうえで、パネルを使って、日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの強さを表す単位)、七百ガル以上は31 回起きていることを示す。そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発650ガル高浜原発700ガル日本の原発の耐震性は非常に低いからだ。国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られていると信じている。そこで、電力会社の社長がどんなに難しい言葉を使って、原発の敷地だけは安全ですと叫んでみても、国民は「なんだ、これは!」と驚き憤る。こんな原発は止めろということになるのは確実だ》。さらに、保険、避難計画の策定、廃棄物処理計画の提出が続く。
 反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

 ちなみに、「樋口理論」とは? ―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》。

 自公お維の議員の皆さん、その支持者の皆さん、それでも核発電やりたいの? ならば、最早、議員の皆さんは退場して下さい。



総選挙の争点③どうするエネルギー EVと原発(古賀茂明×飯田哲也×山田厚史)20211019
https://www.youtube.com/watch?v=ws20C5FDb-E

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●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

2021年10月27日 00時00分55秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(2021年10月03日[日])
週刊朝日のコラム【動かせと言って原発を止める方法 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2021092500022.html?page=1)。

 《まず、「原発はどうぞ動かしてくださいというと議論を始める。その場は国会が望ましい。大手の電力会社の社長を呼んで国民の前で議論するのだ。原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。そこで、最初に、安全性について質問する。日本には地震が多いから耐震性を高めることが重要だということに同意を求めたうえで、パネルを使って、日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発650ガル高浜原発700ガル日本の原発の耐震性は非常に低いからだ。国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られていると信じている。そこで、電力会社の社長がどんなに難しい言葉を使って、原発の敷地だけは安全ですと叫んでみても、国民は「なんだ、これは!」と驚き憤る。こんな原発は止めろということになるのは確実だ》。

 反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

 樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです。…ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》:

――――――――――――――――――――――――――――――
https://maga9.jp/210630-6/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明
By マガジン9編集部 2021年6月30日

……

私が大飯原発を止めた4つの理由

 私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています。……
――――――――――――――――――――――――――――――


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https://dot.asahi.com/wa/2021092500022.html?page=1

動かせと言って原発を止める方法 古賀茂明
政官財の罪と罰
2021/09/28 07:00

     (古賀茂明氏)

 自民党の新総裁が9月29日で決まる。その結果によって大きく影響を受けるものがある。それは、原発政策だ。

 今回の総裁選では河野太郎氏の脱原発政策が揺らいだと話題になった。

 河野氏は、再生可能エネルギー最優先を唱えるが、再エネだけでは足りない間は、安全が確認された原発の再稼働は認めると述べた。これが脱原発からの変節だと批判されたのだ。確かに、これまでの自民党の政策と大きくは違わないように聞こえる。だが、それは本心ではないというのが私の見立てだ。

 実は、私はかねてより、「原発を動かせと言いながら廃炉にする方法を提唱している。これは、河野氏にも提案している(返事はないが気に入ってもらえると思う。)簡単に解説しよう。

 まず、原発はどうぞ動かしてくださいというと議論を始める。その場は国会が望ましい。大手の電力会社の社長を呼んで国民の前で議論するのだ。

 原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。そこで、最初に、安全性について質問する。日本には地震が多いから耐震性を高めることが重要だということに同意を求めたうえで、パネルを使って、日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発650ガル高浜原発700ガル日本の原発の耐震性は非常に低いからだ。

 国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られていると信じている。そこで、電力会社の社長がどんなに難しい言葉を使って、原発の敷地だけは安全ですと叫んでみても、国民は「なんだ、これは!」と驚き憤る。こんな原発は止めろということになるのは確実だ。

 次に、万一事故が起きた時に損害をすべて賠償するために民間の保険に入ってくださいと要求する。「極めて安全で事故が起きる確率が極めて低いなら、非常に安い保険料で保険を引き受けてくれるはずではないか。安く引き受けてくれないということは、市場では、安全ではないと評価されているからだ」と言えば、やはり社長たちは答えに窮する。国民は、損害賠償できないのに原発を動かすべきではないと思う。

     (再稼働に向けた動きが進む島根原発2号機(左)
      (C)朝日新聞社)

 三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には審査されていないからだ。国民は「えっ?避難計画は規制委の審査を受けたんじゃないの?」と驚き、審査してもらえとなる。だが、専門家が審査したら、絶対に今の避難計画では通らない

 四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、と社長に聞く。社長が頷いたら、「では、1カ月以内に最終処分までの計画を出してください」と言う。それは無理だというだろうから、では1年待つと言って、議論を終わる。

 これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる

 国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ。新政権には、是非そうした議論をして欲しい。

※週刊朝日  2021年10月8日号


古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など
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●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

2021年08月20日 00時00分57秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年07月18日[日])
マガジン9のコラム【言葉の海へ 第170回:原発の今(鈴木耕)】(https://maga9.jp/210630-5/)。

 《処理汚染水海洋放出決定 …しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから


 1兆3700億円!? デブリの一欠片をほんの少し摘み上げてバカ騒ぎ…デブリがどんな状態で何トンあるのかも不明、どこで隔離・管理するのかも不明、かつ、《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》。後藤さんらは持ち出せないし、持ち出すべきではない、という主張。いわゆる石棺方式で、その場で隔離・管理すべきだ、と。
 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No16】福島第一のデブリ取出しを断念せよ 20210701】(https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ)によると:
《デモクラシータイムス 
 希望的観測のデブリ取り出し計画
 不透明な計画に、増え続ける汚染水と撤去費用
 仮にデブリを取り出せても、資材等と絡み合った核廃棄物の処理方法や
 管理場所すら何も決まっていない

 デブリ取り出しの難しさ、空冷化による管理を筒井さんが解説
 なし崩しの原子力政策はもういらない

 ゲスト:筒井哲郎(プラント技術者の会)
     後藤政志(元東芝 原発設計技術者)
     菅波完(高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
 司会:鈴木 耕(デモクラシータイムス)
 収録は、2021年7月1日》


https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の
     廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》。
 同じ週のマガジン9の記事【福島第一原発の「廃炉」を考える――廃炉制度研究会レポート 第2回:「事故炉廃炉」と住民参画――スリーマイルではどう決めたか⑴――①「処理水」処分決定プロセスの日米比較】(https://maga9.jp/210630-4/)によると、《作家の尾松亮さんは、法規制や政策決定プロセスなどをテーマに、東京電力福島第一原発を含む世界中の原発の廃炉について調査しています。その尾松さんが、ジャーナリストや研究者らと立ち上げた「廃炉制度研究会」の第2回オンライン報告会が5月31日に実施されました。意思決定プロセスにおける民主性の担保という観点から、福島第一原発とアメリカのスリーマイル島原発の事故後対応を比較する尾松さんのお話の内容を、2回にわけて紹介します。1回目は、処理水処分決定にいたるまでの意思決定プロセスの違いについてのお話をまとめました。(田上了子)》。

   『●「国際的に一番厳しい基準を設けている」し、
      そして「原状回復」したのならば、「そこ」に住んでみては?
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:
     「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●今村雅弘復興相、「本人の責任」
     「裁判でも何でもやればいい」と…「死の町」にした者こそ糾弾されるべき
   『●今村雅弘復興相「問題は激高よりも「自主避難は自己責任」発言」
                …ココで「自己責任」論に出くわすとは…
    「それにしてもこんなところで「自己責任」論が出てくるとは、
     唖然としました。《誰が好き好んで自主避難などするだろうか》!」

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ
        企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない
           …「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」
    「《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に
     迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…
     何という無慈悲。自主避難者を《被告》にする? デタラメ」

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
      違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

 さらに、〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの?
 これもマガジン9のコラム【一枝通信 第7回:「原発避難者住宅追い出し裁判」傍聴記 「『戻る権利』があるように『戻らない権利もあって然るべき」(渡辺一枝)】(https://maga9.jp/210623-1/)。《5月14日、福島地方裁判所で開廷された「原発避難者住宅追い出し裁判」の傍聴に行ってきました。2011年3月11日の東日本大震災と原発事故によって、多くの人が居住地を離れて避難しました。避難者は災害救助法によって避難先で仮の住居を得ましたが、自然災害と違って原発事故による被害は、災害救助法では救済しきれない問題が多々あります被害も長期に亘ります。それなのに、福島県はたった6年で住宅支援を打ち切り、行き場がなくそのまま居住する人に対しては2倍の家賃を請求、更に裁判に訴えてまで追い出そうとしています県民を守ろうとしないばかりか、逆にいたぶっているのです。どうぞ、この裁判にご注目を。》
 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。

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https://maga9.jp/210630-5/

言葉の海へ
第170回:原発の今鈴木耕
By 鈴木耕 2021年6月30日

ぼくの「原発ファイル」

 コロナとオリンピックに頭を汚染されて、しばらくこのコラムでも「原発」に触れていなかった。むろん、原発を忘れていたわけじゃない。ぼくの切り抜き「原発ファイル」は、もう47冊目に入っている。

 新聞記事を主体に、週刊誌月刊誌などの雑誌記事、ネット情報のプリントアウト、官報からのデータや、信頼できる筋から入手した文書など、その時々の情報をピックアップして集めているものだ。今も毎朝、新聞4紙(朝日、毎日、東京、沖縄タイムス=電子配信)を読んで、目についたものは切り抜きプリントアウトする。

 原発のほかに、沖縄や憲法、その他の重要な記事は「沖縄・憲法・その他」というファイルを作っていて、こちらはもう62冊目になっている。

 自分でも、これらはかなり貴重な資料集だと思っている。なにしろ、2011年3月から始めたファイルだから、最初のころの紙面はもう茶色く褪せている。そう、あれから10年以上も過ぎたんだな。

 今めくってみると、例えば「原子力安全・保安院の人員構成」「原子力安全委員会役員名簿」「原子力発電所の災害評価」「東京電力本店会議録」「放射能を正しく理解するために・文部科学省パンフ」「第23回原子力安全委員会速記録」などなど、どこから入手したかも憶えていないものも目につく。あの頃、福島事故から1年ほど、ぼくが必死になって集めていたものだ。だから第1冊目は、こんなに分厚い。

 ファイルが47冊ということは、1年に4冊以上のファイルを作成しているということだ。その時々の、ぼくの関心のありようが伝わってくる。

 ぼくの本棚は雑多な本で溢れ返っているが、いずれぼくが死んだら、これらの本はあっさりと処分されるだろう。どう処分してもいいよ、とカミさんには伝えてある(ま、ぼくのほうがカミさんより先に逝くのは確かだと思うから)。

 しかし、このファイルだけはどこかに寄付したいなあ。きっと、それなりの資料的な価値はあると思うのだ。

 昔話はさておき、最近、まるで「コロナ禍」をチャンスとばかり、原発ムラの妖怪たちの動きが激しい。みんなの目がコロナやオリンピックに向いているのを勿怪(もっけ)の幸い、不審な動きが激しさを増している。

 目についたものを順不同でピックアップしてみよう。


処理汚染水海洋放出決定

 これは菅政権の原発に対する考え方を、そのまんま表したような決定である。

 汚染水は溜まりにたまって、貯蔵タンクは2023年には満杯になるとされる。もはや貯蔵しておくのが限界だとして、海へ流すというのだ。

 ALPSという放射性物質除去装置で、多くの放射性物質は取り除かれているという。だが、放射性物質であるトリチウムは除去できないし、他も完全処理には程遠く、多くの放射性物質の取り残しがあるとされる。しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。

 何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 むろん、地元のみならず科学者や漁業関係者からは絶対反対の声が上がっている。さらには、国連の独立特別報告者(3名)が「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに大きな影響を与えかねない」として深い遺憾の意を表明している(4月15日)。国際的にも強い批判を浴びているのだ。


事故処理費の試算21.5兆円

 福島第一原発事故処理費は、2016年時の試算では21.5兆円になったという。費用の内訳は、廃炉=8兆円、賠償=7.9兆円、除染=4兆円、汚染土等保管費=1.6兆円。これは2016年の試算だ。政府による試算は、年が経つたびにどんどん増えていく。多分、もうじき政府が「もっと増えました」と言いだすに決まっている。

 例えば、沖縄辺野古米軍基地の建設費用は、当初(2013年)の防衛省計画では2310億円とされていた。だが沖縄県による現時点での試算では2兆5千億円ほぼ10倍に増え、工期も13年以上かかるとされている。それだって無理だとぼくは思うけれど。

 原発事故処理費はまだまだ増えるだろうし、期間も100年単位になるのは必至だ。それでもなお、原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい。多分、連中はオレの生きているうちには終わらないし、死んだ後のことなど知らねえよ。それまでは税金でいい目を見せてもらうぜとせせら笑っているのだろう。


自民原発推進派の動き

 国の基本的なエネルギー政策をまとめる「エネルギー基本計画」は、この夏に改定される予定。それに影響を及ぼそうとして自民党内に「最新型原子力リプレース推進議員連盟」なる組織が動きを活発化させている。

 要するに、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現」という菅首相の空疎なスローガンに乗っかって、「原発は脱炭素だから、新増設や建て替え(リプレース)を推進する」というヘリクツ集団である。稲田朋美会長に安倍晋三最高顧問という布陣の、政治的思惑だらけの組織だ。他に「電力安定供給推進議連(細田博之会長)」という議連も原発推進の動きを活発化させている。これらの「議連」というのは、それなりのスローガンは掲げるが、結局は、派閥絡みの利権集団なのだ。

 最近突然旗揚げした「『自由で開かれたインド太平洋』推進議連」というわけの分からない議連は二階俊博会長だが、安倍晋三と伊吹文明の両氏を最高顧問に祭り上げて発足。もはやこうなると、不仲を噂される二階と安倍のパフォーマンス。まるで抗争中のヤクザの組同士の手打ち式だ。でもまあ、そんなのはほっとけばいい。

 だが、「女性初の首相」を狙うという稲田朋美が動き出し、後ろ盾に安倍がつくとなると「原発推進議連」はかなり胡散臭いし、危険な臭いがするのだ。


原発事故の真相

 旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故から、今年の4月26日で丸35年が過ぎた。その事故に関する機密文書の一部をウクライナ保安庁(情報組織)が公開した。ソ連の情報機関の国家保安委員会(KGB)などの報告書だ。

 同原発は事故前からトラブルが相次ぎ、かなり危険視されていたが住民に知られることを恐れて、すべて隠蔽されていたという。事故後も隠蔽が続き、放出された放射性物質の量や構成、被害者や傷病者、死者などの詳細は隠されたままだった。今回公開されたのは、残念ながら、そのほんの一部に過ぎないけれど。

 原発に関しては、どこの国もやることは同じだ。最近、中国広東省台山原発1号機で放射能漏れ事故があったのではないかとの報道があり、事実、かなりの放射性ガスが放出されていたことが判明した。だが建設に携わったフランス電力は、例によって「多少のガス漏れはあったが環境に影響はない」とコメントしただけだった。

 日本列島は最近、やたらと地震が多い。その度に原発会社は「原発に影響はありません」と発表する。だが今年の2月13日の震度6の地震では、福島第一原発では格納容器内のデブリ冷却水の水位低下が起きていた。しかも、ここでは地震計が壊れたまま放置されていたことも判明。東電の体質は事故後も変わっていない

 電力会社の「原発に支障はない。環境に影響はない」を信じちゃいけない


40年超老朽原発、再稼働

 もう腹立たしいのも通り越して、バカ野郎!と叫びたい。

 あの「40年ルール」ってのは、いったい誰が何のために作ったのだ!

 40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあったではないか。

 美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を起こさないと懲りないのか!

 関西電力は、福島事故以前は発電量の約5割を7基の原発に頼っていた。しかし関電の原発は老朽化が進み、2025年には5基が40年超となる。だから是が非でも再稼働したいのだ。電源のシフトチェンジを怠ってきたツケを、原発再稼働で補おうというのだから虫が良すぎる。というより、いったいこの10年間、何をやって来たのだ!

 こんな原発に、新規制基準適合というお墨付きを与える「原子力規制委員会」にも、ぼくは不信感いっぱいである。なお、この美浜3号機再稼働に関しては、住民たちが「運転差し止め仮処分」を大阪地裁に申し立てている。地裁では勝つ可能性もあるが、日本の司法は、上級審になるにしたがって「政権忖度判決」に堕ちていく


福島第二原発、廃炉開始

 東京電力は、福島第二原発(4基)の廃炉作業を開始した。廃炉終了までには44年間かかると見積もっているという。これで、第一(6基)と併せて、東電は全10基の廃炉作業を同時並行で行うことになる。

 だが、燃料デブリ(溶融核燃料等の融合物)は致死に至る放射能を帯びており、近づくことさえできず状況すら把握できていない。第一原発は廃炉工程さえ作れない状況にあり、それと同時並行の第二廃炉など、絵に描いた餅以上だ44年どころか、100年後の日本をも汚し続けているだろう

 しかも、取り出した放射性廃棄物の行き先は決められないままだ

 よく「原発はトイレなきマンション」と譬えられるが、この強烈な「排泄物」を、東電(すべての電力会社や自民党政府)は、いったいどうしようというのだろうか。再稼働など、デブリや使用済み核燃料の廃棄処分が終わってから言え

 なお、伊方3号機(愛媛)はこの10月に再稼働、また島根2号機には規制委が新規制基準適合を与えた。もはや、原発は規制を失ったかに見える


核燃料再処理工場の闇

 みなさん、核燃料再処理工場って知っていますか? そして、この事業にいったいいくらの金が注ぎ込まれているか知っていますか?

 青森県六ケ所村にある日本原燃の「六ケ所再処理工場」のこと。要するに、使用済み核燃料を各電力会社がここへ持ち込んでガラス固化体にして処理するという触れ込みで、1993年に建設が開始された。だが、固化体は何度試みても成功しない。したがって、工場そのものも完工には程遠い。

 これまで28年間で、すでに25回も稼働延期が繰り返され、費用も当初は7600億円だったものが、いまや総事業費14兆4千億円に膨れ上がっているなんと20倍だぜ。こんなデタラメな会社が存続しているのがニッポンだ。一般の会社ならとっくに倒産、社長らは責任取って腹切りものだろう。しかも、これで収まるという可能性はほぼゼロだ。これもまた、あの辺野古基地と同じ構造である。

 また、使用済み核燃料を加工してMOX燃料(抽出プルトニウムとウランの混合燃料)にする工場の総事業費も2兆4千億円と増え続けている。まるで金をドブに捨てるようなものだが、それでも止めようとしない。いったいどこからそんな金が出てくるのか。

 とにかく、最初は低い見積もりで、完成するかどうかわからないものに予算をつける。それが何度も延期を繰り返し、工期も費用も膨大にかさんでいく日本政府や官僚の、これがやり口なのだ。一度決めたことは何があっても引き返さない。誰も責任を取らない。そのうち、立案者や実行者たちは消えていく

 日本的無責任体系の典型的な例がここにある。そう、東京オリンピックの惨状を見ていれば、これが「ニッポン病」だということがよく分かる。


その他の諸問題

 とりあえずここまで書き進めてきたが、まだ原発に関する問題は山積みだ。

 例えば、事故による障害、白血病やその他の癌の発生、原発作業員の労災の問題、子どもたちの甲状腺検査縮小への批判、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書、避難者たちへの補償の問題、同じく住宅補助の打ち切り、再生エネルギー問題、九州電力による出力制御、風評被害……などなど、触れなければならない問題は限りがない。

 しかし、今回はここまでにしておこう。原発問題となると、ぼくの文はどうしても長くなってしまうのだ。

 とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を改めようと思う。


鈴木耕 すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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コメント
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●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)

2021年07月26日 00時00分14秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


(2021年07月04日[日])
マガジン9の記事【伊藤塾 明日の法律家講座レポート なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明氏】(https://maga9.jp/210630-6/)。

 《2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]》。
 《3・11を経験した私たちの責任 最後に責任について話したいと思います。…最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める〉》。

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから…。《これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できること》。《全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です》。
 (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。…ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
    《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
     大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
     今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
     (耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
     単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
     関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
     原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
     開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
     なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
     という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
     不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
     日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
     ロシアンルーレット状態だった。日本の国策は「安全な原発
     動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
     危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
     と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
     差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
     基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか
     これは他の原発と共通の問題だ》

   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから

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https://maga9.jp/210630-6/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明
By マガジン9編集部 2021年6月30日

2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]
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大飯原発差し止め判決の理由

 2014年5月21日、私は福井県にある大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を下しました。当日、判決内容を事前に知っていたのは、裁判官3人と書記官1人だけです。福井地方裁判所の所長も、最高裁判所の長官も、原告側も、どんな判決が出るか知りませんでした。しかし、被告側は弁護士も含めて誰一人として法廷に来ませんでした自分たちが負けると分かっていたから来なかったのです
 私は訴えが提起された当初から「大飯原発が危険だと思ったら止める。思わなかったら止めない」と言っていました。その言葉に従って裁判を進めてきました。関西電力の弁護士たちは、大飯原発が危険かどうかで判断されたら負けるとわかっていたんです
 みなさんは「原発が危険かどうかで再稼働の可否を判断するのは当たり前」と思うでしょう。しかし、多くの裁判では「原子力規制委員会が定める規制基準に施設や地盤が適合しているかどうか」で判断していて、原発が危険かどうかで判断しているわけではありません。私は「大飯原発が危険かどうか」を考えて運転差し止めを決めました。極めて当たり前の裁判をしただけだと思っています。
 「危険」には2つの意味があります。たとえばお母さんが子どもに「そこの交差点は見通しが悪くて危険だから気をつけてね」と言う場合の危険は、「事故発生確率が高い」ということです。他方、「自転車で行くんだったら、危険だからヘルメットをかぶってね」と言うときの危険は、先ほどとは違います。ヘルメットをかぶってもかぶらなくても事故発生確率は変わらない。お母さんが心配しているのは、事故で子どもが頭を打って大怪我をすることです。要するに「被害が大きい」ことを危険と言ってるんです。「危険」というときには、この2つのどちらの意味かを考えなくてはいけません。
 福島第一原発事故で明らかになったことは、被害の大きさでした。しかし、本当の意味での被害の大きさを知っている人は多くありません。いったい何が起きていたのか、これは原発の仕組みに関係しています。


原発は停電しても断水してもダメ

 原発には牛乳瓶みたいな形をした格納容器があり、そのなかに原子炉圧力容器があります。この圧力容器のなかにウラン燃料が入っていて、水に漬けてあります。ウラン燃料の熱で水が沸騰して蒸気が発生し、それでタービンを回して発電しています。
 火力発電所も仕組みは一緒です。石油を燃やして水を沸騰させて蒸気でタービンを回しています。しかし、原発と火力発電所では大きな違いが2つあります。ひとつは、原発の格納容器の中には広島型原爆1千発分の「死の灰」が含まれていることです。これが大きな違いです。もう一つはエネルギー量の違いですね。
 火力発電所であれば、地震に襲われたら火を止めます。火を止めたら、その瞬間に沸騰しなくなります。原発は、制御棒をウラン燃料の間に差し込んで核分裂反応を止めても、沸騰が続いてしまいます。沸騰が続くとどうなるか。ウラン燃料が頭を出して、溶け落ちてしまいます。溶け落ちないようにするには、ウラン燃料を水と電気で冷やし続けなければいけない
 要するに、火力発電所は地震が来ても火を止めた瞬間に安全になります。しかし、原発は停電してもダメ、断水してもダメ。水と電気でウラン燃料を冷やし続けない限りメルトダウンするのです。ですから、福島第一原発は津波で停電しただけで、あんな大事故になったのです。これが原発の一番厄介なところです。


運よく助かったのは、欠陥があったから

 福島第一原発では最悪の事故が起きた、とほとんどの人が思っていますが、実はそうではありませんでした。数々の信じられないような奇跡に救われていました
 まずは「2号機の奇跡」です。2号機はメルトダウンして格納容器が水蒸気と水素でいっぱいになりました。そうなると、「ベント」といって圧力を抜くしかありません。圧力を抜けば放射性物質が出てしまいますが、圧力を抜かなければ格納容器ごと破裂してしまうからです。しかし、当時は停電していたので自動ではベントができません。放射能を浴びてしまうので人間が行ってバルブを回すこともできない。要するに何もできませんでした。
 3月15日になると、2号機の格納容器には設計基準の倍ほどの圧力がかかっていました。当時の福島第一原発の吉田所長は、「2号機の格納容器が爆発すれば、放射性物質をまき散らしてしまう。そうなれば東日本壊滅だろう」と思ったそうです。しかし、格納容器は爆発しませんでした。その理由は「よく分からない」のです。
 どこか格納容器に弱い部分があって、そこから圧力が抜けたのでしょう。そんなことは絶対にあってはいけないことです。格納容器というのは放射性物質を閉じ込めるために本当に丈夫なものでなければいけません。だけど丈夫ではなかった。いわば2号機は欠陥機であったが故に助かった。これが「2号機の奇跡」です。


奇跡が重なって免れた「東日本壊滅」

 さらに4号機でも奇跡がありました。4号機は当時発電しておらず、核燃料が装着されていませんでした。長年の運転で核燃料のエネルギー量が落ちていて、シュラウドという核燃料を入れておく場所も傷んできたので、取り替え工事を行っていました。その工事のために、原子炉ウェルというところに、水がいっぱい張ってありました。
 3月11日に停電して、4号機の使用済み核燃料を冷やすための循環水がうまく回らなくなりましたが、エネルギー量が落ちていたために、その日のうちにはメルトダウンしませんでした。しかし、4日もすれば貯蔵プールの水が減って使用済み核燃料が頭を出します。そうなればメルトダウンする。そうなると、福島第一原発から250kmが避難区域になる可能性がありました。東京も含まれています。
 しかし今、我々は東京に住めます。なぜかというと、原子炉ウェルと貯蔵プールの仕切りがずれたからです。ずれたことで原子炉ウェルの水が貯蔵プールに入り、メルトダウンを防ぎました。仕切りがずれた原因は今も不明です。本来は震災4日前に原子炉ウェルの水を抜き取る予定だったのですが、工事が遅れていたので水があったのです。ほとんど神がかり的です。さらに、貯蔵プールの上で水素爆発が起きて屋根が吹き飛んだために、放水車を使って破れた天井から水を注入することができました。
 実際には、ほかにもさまざまな奇跡が重なりました。いくつも起きた奇跡のうち、ひとつでも欠けていれば東日本は壊滅していたのです。これが、本当の福島原発事故の被害の大きさです。


原発は地震に耐えられるのか

 こういう話をすると、多くの人は「それだけ被害が大きなものなら、それなりに事故発生確率も抑えてあるはずだ」と思ってしまいます。たとえば時速300キロで走る新幹線がトラックなどと衝突したら大惨事になりますよね。ですから、そうならないように踏切をなくしています。世の中のものは大抵そうなっているので、「原発での大きな事故は滅多に起きないだろう」と考えてしまうのです。でも、本当にそうでしょうか。
 先ほど話したように、原発は停電しても断水しても過酷事故につながります。停電や断水をもたらす一番大きな要因は地震です。配電や配管に関する耐震性が高ければ、原発の事故発生確率も低くなります。では、2000年以降の主な地震の強さと原発施設の耐震性で確認してみましょう。地震の大きさは「マグニチュード」、強さは「震度」で表すことが多いですが、震度は7までしかないので耐震設計では「ガル」という単位を使います。ガルは震度と同じく地震の揺れの強さを測る単位です。
 2000年以降の地震でいうと、2016年の熊本地震はマグニチュード7.3、1740ガルでした。一番高いものは2008年の岩手宮城内陸地震で、マグニチュード7.2、4022ガルです。わが国は地震大国ですが、2000年まで地震観測網がありませんでした。全国に地震計を置くようになったのは阪神・淡路大震災以降なので、それ以前はまともな資料がないのです。
 次に、原発施設の耐震性ですが、私が判決した大飯原発3・4号機の耐震性(基準地震動)は405ガルで設計されていました。3・11当時には、なぜか700ガルに上がっています。大飯原発だけではありません。福島第一原発は建設当時270ガル3・11当時は600ガルです。東海第二原発は、建設当時270ガル3・11のときは600ガルで、今は1009ガルです。いずれも老朽化するに従って耐震性が上がっていくという不思議な現象が起きてます。それでもこの程度の耐震性しかありません。巨大地震が原発を襲ったらもう絶望的です。
 巨大地震というのは大体マグニチュード8以上をいいますが、この耐震性ではマグニチュード7あるいは6や5でも直撃すれば危ない。つまり、原発は「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険だということです。ですから運転を止めるのは当たり前なのです。しかし、3・11以降でも原発を止めなかった裁判は数えきれないくらいあります。


原発容認派の弁解

 原発容認派は、原発は硬い岩盤の上に建っているので、地震計が置いてある地表面より揺れが小さいと弁解します。たしかに岩盤の上に直接建っている原発もありますが、そうではないものもあります。たとえば東海第二原発の場合は、岩盤は地下深く300メートルのところにあり、その上に関東ローム層があり、その上に原発が建っています。
 また、岩盤の揺れが普通の地面の揺れより小さいとも言いきれません。石川県にある志賀原発は硬い岩盤の上に直接建っていますが、能登半島地震に襲われたときの揺れは490ガルでした。一方、志賀町の地震計は540ガルを記録しています。ほとんど変わりませんでした。柏崎刈羽原発はもっと極端で、地下の岩盤で1699ガルでしたが地上では1000ガルくらいでした。硬い岩盤では揺れが小さいとは言いきれず、例外はいくらでもあります。
 もうひとつの弁解に、強震動予測という方法に則って計算すると、原発敷地に限っては将来にわたって震度6や7の地震は来ないというものがあります。しかし、それは本当に信用できるのでしょうか。東大地震研究所の纐纈一起先生が、地震はものすごく複雑な現象で、「地震は観察できない、実験できない、資料がない」と「地震学の三重苦」について話しています。観察と実験と資料というのは科学の基礎ですが、その基礎がないのに地震予知ができると考えるのには無理があります
 日本は列島全体が4つのプレートの境目に位置している世界で唯一の国。非常に複雑な地盤構造があり、世界の地震の10分の1以上が日本で起きています。日本には地震の空白地帯はありません。2000年以降だけでも、日本で1000ガル、2000ガルの地震はいくらでも起きています。こうした科学的事実に基づいて裁判をしなくてはいけません。


なぜ裁判官は原発を止めないのか

 では、なぜ多くの裁判官は原発を止めないのでしょうか。理由は簡単です。多くの裁判官は、大飯原発を例にとると700ガル以上の地震が過去に何回起きたのか、700ガルは震度いくつなのか、700ガルでは住宅が倒れるかどうか、といったことを知らないのです。それは原告側の弁護士が教えないからです。
 弁護士も裁判官も前例に従って「原子力規制委員会の独立性が高いのか」「原発の施設や敷地が規制基準に合致しているのか」ばかりに関心を払っていて、実際に起きている地震に対して原発の耐震性が高いか低いのかということには関心がなく、そのことについてまったく審理されていません
 ここに、愛媛県の伊方原発について住民らの原子炉設置取消請求を棄却した1992年の最高裁判所判決の骨子があります。法律家というのは最高裁判決を尊重するものですが、この判決では
 ①原発訴訟は高度の専門技術訴訟であり、
 ②裁判所は原発の安全性を直接判断するのではなく、規制基準の合理性を判断すればよく、
 ③その判断は最新の科学技術知見による
 と言っています。
 たとえば①では、プルトニウムと普通のウラン燃料を混ぜたMOX燃料を原発で使うと危険かどうかの判断は素人にはわからないことです。あるいは、その原発が本当に3000ガルに耐えられるかどうかが訴訟の争点だとしたら、それはとてつもなく難しい専門技術訴訟といえます。しかし「この原発敷地に限っては700ガル以上の地震は来ない」という主張が信用できるかどうか――これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できることです。
 ②も間違いではありません。私はこれを「裁判所は原発の安全性を直接判断する必要まではない。規制基準が国民の安全を図る内容になっているかどうかを審査するのだ」と理解します。規制基準というものは、福島第一原発事故を踏まえて原発の安全性を高めるために設けられました。ですから、「規制基準の合理性」というのは、国民の安全を守れる内容になっているかどうかを考えればいいのです。
 今の規制基準は、原発ごとの最大地震動が予測できるという前提で成り立っています。しかし、先ほども話したように地震予測は不可能ですから、地震予測が可能だという前提で作られている規制基準は不合理であり、それでは国民の安全は守れません
 次に③ですが、「最新の科学技術知見」とは何でしょうか。2000年以降、1000ガル2000ガルの地震はいくらでも日本に起きています。これこそが「最新の科学技術知見」です。
 多くの法律家がこのように考えることができないのは、極端な権威主義だといえます。権威主義とは、「何を言ってるかの内容ではなく誰が言っているかを尊重することです。最高裁判所が言うのなら原発訴訟は難しい専門技術訴訟に違いない、と争点の設定まで最高裁に委ねてしまうんです。ほかにも科学より科学者を信じる「科学者妄信主義」や「頑迷な先例主義」によって、正当な判断ができなくなっています。
 もっと普通に、審判の対象となる「訴訟物」から考えればいいのです。つまり、人格権が侵害されそうになったら、人格権に基づいてその予防措置を求めることができるということです。この場合、人格権が侵害されるというのは原発事故が起きることです。そして、原発事故は停電や断水でも起こり得る。つまり配電・配管の耐震性が低ければ人格権が侵害される危険が高いということなので、それについて調べましょうという発想です。
 しかし、多くの裁判ではそのように訴訟物から考えるのではなく、過去の裁判例をみて、学者が支持しているからとか、規制基準の辻褄が合っているから、などの先例主義で判断してしまうのが現状です。


私が大飯原発を止めた4つの理由

 私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています。
 従前の裁判では、裁判官も弁護士も、電力会社が設定した「専門技術訴訟」という土俵に自ら乗り込んでいました。一部の弁護士が多くの専門書を読み、専門家に意見を聴いて、電力会社との間で専門技術論争をする。たとえば「地震動の計算方法は、武村式がいいか、入倉式がいいか」といったことです。しかし、それは学会で議論することです。原告はもちろん、裁判官やほとんどの弁護士にも分かるはずがありません。その結果、「原子力規制委員会がそう言うなら、尊重しましょう」という結果になるんです。
 武村式か入倉式か、ということは本当の争点ではありません。そういう論争はもう止めて、これからの原発差止め裁判は「理性と良識」という土俵で戦いましょう。そうすれば誰でも理解できるし、誰でも議論に加われるし、誰でも確信を持つことができます。
 昨年3月11日、樋口理論に基づき、広島地裁で伊方原発3号機の運転差し止め仮処分の申し立てがありました。この申し立て書は、住民が書いています。昔は地震観測記録がなかったのですが、今はインターネットで気象庁の地震観測記録、K-NET(防災科学技術研究所の強震観測網)などを見ることができますし、原発の設計基準がいかに低いのかも調べられます。原発の耐震性が低いということを簡単に立証できるので、住民本人でも訴状を書くことができるのです。
 その訴訟の中で、大変なことがわかりました。日本で一番恐れられている「南海トラフ地震が原発直下で起きたとしても、伊方原発の敷地には181ガルしか来ない」と四国電力が言っているのです。181ガルというのは震度5弱です。震度5弱は「棚から物が落ちることがあり、希に窓ガラスが割れて落ちることがある」という揺れです。マグニチュード9の地震というのは、3・11東北地方太平洋沖の地震と同じ。あのとき震源から380km離れた新宿でも、200ガルを超えました。普通に考えればとてつもなくおかしなことですが、専門技術訴訟にのめり込むとこういうことを見逃してしまいます。普通に考えて普通に裁判すれば、勝てると思います。


3・11を経験した私たちの責任

 最後に責任について話したいと思います。
 私が大学に入学した1972年(昭和47年)当時は、田中角栄内閣の時代でした。そのとき日本は、電源三法を作って原発を各地に誘致しました。その人たちの責任より3・11を経験した私たちの責任は、はるかに重いのです
 その理由は3つあって、一つ目は「死の灰」の問題です。30、40年前の人たちは死の灰の問題を、後世の人たちが科学的に処理してくれるのではないかと考えていました。しかし、それが不可能だということが40年の間にはっきりわかりました。二つ目は、昔の人は、原発事故は滅多に起きないし、起きたところで被害は30キロ圏内で済むだろうと思っていました。しかし、3・11を経験して、そうではないことがわかりました。
 そして、三つ目ですが、昔は地震観測網がなかったので、関東大震災の規模でも400ガルを超える程度だろうと考えられていました。大飯原発も405ガルの耐震性で建てられています。しかし、実際には日本には1000ガルどころか4000ガルの地震も起きています全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。
 こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です。
 最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。
 〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める





ひぐち・ひであき 1952年生まれ。三重県出身。京都大学法学部卒業後、83年4月に福岡地方裁判所判事補任官。85年4月より静岡、宮崎、大阪など各地の地方裁判所・家庭裁判所の判事補・判事を経て、2006年4月より大阪高裁判事、09年4月より名古屋地家裁半田支部長、12年4月より福井地裁判事部総括判事を歴任。14年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決、15年4月14日には高浜原発3、4号機の差し止め仮処分決定を出した。17年8月、定年退官。主な著書に『私が原発を止めた理由』(旬報社)。
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●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから

2021年06月30日 00時00分08秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


 (2021年06月20日[日])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290370)。

 《コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年までの原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。》

   『●60年間稼働させたい高浜原発:
     「電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない」
   『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」:
      「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…
   『●「仏様のおかげ」はもう期待しない方がいい: 
     高浜原発、「このゴジラが最後の一匹だとは思えない」
   『●なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために 
     核発電する必要があるのか? 次も神様・仏様は居るか?
   『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
                 …どんどん壊れ行くニッポン
   『●高浜「寿命核発電所」延命、「安全より
      経済優先の時代へと逆戻り」…「規制緩和」委員会(©東新)
   『●寿命核発電所再稼働:「世界は既に廃炉時代
        時代の先端を行く方が、地域の実りははるかに多い」
   『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
         どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…
   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
         稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走

 「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」さえ、再稼働したいそうだ。処理水という名の汚染水を海洋放出したいそうだ。新規原発さえ、作りたいそうだ。
 狂っています、核発電「麻薬」中毒者ら

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
    《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
     大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
     今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
     (耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
     単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
     関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
     原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
     開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
     なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
     という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
     不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
     日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
     「ロシアンルーレット状態だった。日本の国策は「安全な原発
     動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
     危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
     と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
     差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
     基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか
     これは他の原発と共通の問題だ》



[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

   『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
      中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

   『●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故
      「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
   『●伊方原発3号機、広島高裁(森一岳裁判長)が運転差し止めの
     仮処分決定…種々の問題に加えて《約10秒》《2~3秒》全電源喪失
   『●森一岳裁判長《原発の危険性検証には『福島原発事故のような
     事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要…』》
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く
   『●東京電力核発電人災の刑事裁判: 東京地裁永渕健一裁判長の
     判決は、あまりに酷い理由も含めて《司法犯罪とも言える不当判決》
   『●「イチケイのカラス」第2話 ――― 裁判官らの謝罪と憲法第76条
     「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この…」
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290370

注目の人 直撃インタビュー
樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」
公開日:2021/06/14 06:00 更新日:2021/06/14 06:00

     (樋口英明氏(撮影)タカオカ邦彦)

樋口英明(元福井地裁裁判長)

 コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年までの原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。

 ◇  ◇  ◇

 ――再稼働する美浜3号機の運転開始は1976年。45年も昔です。

 45年前の家電を今も使いますか? 大量生産の家電は壊れても最新技術の製品に買い替えればいいけど、原発は大量生産できない。技術は旧態依然で、1つの計器が故障しただけで原発の「止める・冷やす・閉じ込める」の安全3原則は綻び、重大事故が起きかねません


 ――再稼働にあたり国は、1発電所につき25億円の新たな交付金を立地地域にぶら下げました。

 何を考えているのか、理解不能です。


 ――福井県知事の合意表明が4月28日。たった2カ月足らずのスピード再稼働にも驚きます。

 住民が差し止め訴訟を起こすにも、手続きには月単位の時間がかかる。それを見越した上での素早い動きでしょう。


 ――老朽原発が「高い安全性」を確保できるか否かが最大の危惧です。

 地震大国の日本で原発の高い安全性を担保するのは、信頼できる強度な耐震性に尽きます。原発の耐震設計基準を「基準地震動」と呼び、施設に大きな影響を及ぼす恐れがある揺れを意味します。美浜3号機の基準地震動は993ガル(揺れの強さを示す加速度の単位)。しかし、この国では1000ガル以上の地震が過去20年間で17回も起きているのです。


 ――具体的には?

 2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)は最大4022ガル、11年の東日本大震災(M9)は最大2933ガルなどです。誤解して欲しくないのは「17カ所」で観測されたわけではないこと。東日本大震災では、震源地から離れた数多くの観測点で1000ガルを超えました。


■「原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱」

 ――基準地震動を超える地震がいつ襲ってきてもおかしくはない、と。

 しかも、美浜3号機の基準地震動は建設当時の405ガルからカサ上げされています。建物の耐震性は老朽化すれば衰えるのに、原発だけは時を経るにつれて耐震性が上がるとは不可思議です。電力会社は「コンピューターシミュレーションで確認できた」と言い張りますが、計算式や入力する数値でどうにでも変わる。住宅メーカーの耐震実験は建物を実際に大きな鉄板の上で揺さぶります。その結果、三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。2社が飛び切り高いのではなく、改正後の建築基準法は一般住宅も震度6強から震度7にかけての地震に耐えられるよう義務づけています。ガルで言うと1500ガル程度の地震には耐えられます。一方、日本の原発の基準地震動は、ほぼ600ガルから1000ガル程度です。つまり、原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣るのです。


 ――衝撃です。

 政府は福島の原発事故後の新規制基準を「世界一厳しい」と自負していますが、耐震性に関しては当てはまりません。


 ――いつ、その事実に気づかれたのですか。

 2012年11月に福井県の住民が中心となって関西電力を相手に提訴した「大飯原発3、4号機の運転差し止め請求訴訟」を担当した際です。原発の耐震性に着目し、調べてみると、すぐ分かりました。当時は大飯原発を含め、大半の原発の基準地震動は700ガル程度。700ガル以上の地震は過去20年間で17回どころではなく30回に跳ね上がります。毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です

     (2014年に福井地裁で大飯原発の運転差し止め判決
                     (C)共同通信社)


■電力会社の「地震は来ない」は虚妄

 ――それにしても、基準地震動の設定が低すぎませんか。

 地震学者の間では長年、関東大震災(震度7)でも400ガル程度との認識が主流で、地球の重力加速度(980ガル)以上の地震は来ないとも推測されていました。この考えに従い、昭和時代の原発は建設されたと思います。しかし、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、2000年頃には全国の約5000カ所に地震計が設置され、観測網が整備されました。すると、震度7が1500ガル以上に相当することが科学的に判明したのです。


 ――震度の過小評価に気づけば、原発の運転は諦めるべきでは?

 そこで電力会社が「不都合な真実」を隠すのに持ち出すのが「地震予知」です。差し止め訴訟で「原発の敷地に700ガル以上の地震は来るんですか」と聞くと、関西電力は「まず来ません」と答えた。科学で一番難しいのは将来予測。中でも地震の予知は困難を極めます。考察に資するリソースも20年分しかない。「来ない」と断言できっこないのです。地震予知は「予言」に等しく、信じるか否かは「理性と良識」の問題です。だから速やかに差し止め判決を出せたのです。


 ――その2014年の福井地裁判決を、2018年には名古屋高裁金沢支部の控訴審判決が取り消しました。

 退官翌年です。あの確定した判決は、原審で指摘した危険性を認めながら突然、論旨を変えて「原発の是非は司法の役割を超えているので政治的判断に委ねる」と結論づけた。運転停止を求める住民に対して、さも「政治活動」をしているかのレッテルを貼り、論点をスリ替え、司法の役割を放棄したのです。こんな粗雑な判決を放置するわけにはいかないと思い、原発の危険性を広く訴えようと決意しました。


 ――元同僚の方々の反応は?

 特に悪い評判は聞きません。「裁判官は弁明せず」との格言を持ち出すような頭の固い人とは、あまり付き合ってこなかったからかなあ? 裁判官への政治圧力もないですよ。昔は政府方針に従わなかった裁判官が、ひどいドサ回りをさせられたのは事実。けれど、最近は露骨な左遷などありません。


■学術論争の“魔法”から目を覚ませ

 ――福島の事故後も、原発の運転差し止めを認めた司法判断は必ず上級審で覆ります。その理由をどう考えますか。

 先例主義の悪弊です。裁判官が原発訴訟を扱うのは、まれです。滅多に当たらない訴訟を担当すると、裁判官はつい過去の判決を調べてしまう。いくら司法修習生の頃に「自分の頭で考えろ」と叩き込まれても、自分の頭で考えなくなる。判例に頼れば通常は大きな間違いをせずに済むし、何より楽ですから。その傾向は上級審の裁判官ほど強い。そして、ある“魔法”も効いています。


 ――魔法とは?

 1992年に確定した伊方原発訴訟の最高裁判例です。原発訴訟を「高度の専門技術訴訟」とし、今でも最高裁は原発差し止め訴訟を「複雑困難訴訟」と呼ぶ。あくまで一般論に過ぎないのに、最高裁に言われると、住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう。法廷は理解不能な専門用語が飛び交う学術論争の場となり、もともと文系の裁判官はロッカーいっぱいの専門資料にチンプンカンプン。だから、過去の判例を踏襲する判決を出しがちになるのです。

 ――困ったものです。

 裁判官を“魔法”から解き放つには、まず住民側の弁護士が目を覚まさなくてはいけない。熱意ある弁護士でも先例に縛られ、複雑な学術論争を繰り出すのが実情です。住民側弁護士が原発の危険性をシンプルかつ論理的に伝えれば、裁判官も認めざるを得ません。伊方最高裁判例には「原発の安全性の適否判断は規制基準に不合理な点があるかという観点から行うべき」と記してある。はたして地震予知を許す規制基準は合理的なのか。20年間の詳細な地震観測による新たな知見、すなわち「1000ガルを超える地震はいくらでも来ますという動かしがたい事実に基づく判断こそが合理的であり、「真の科学」と言えます


 ――なるほど。

 現在、広島地裁で係争中の伊方原発3号機の運転差し止め仮処分申し立て事件では、住民側の弁護団が耐震性に着目。四国電力の「南海トラフ地震が原発直下で起きても、伊方原発敷地には181ガル震度5弱相当しか来ない」との試算を追及し、原発訴訟にパラダイムシフトを起こすと宣言しました。あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます

(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)


樋口英明(ひぐち・ひであき) 1952年生まれ、三重県出身。京大法学部卒。司法修習第35期。各地裁・家裁の判事補・判事を歴任。2006年に大阪高裁判事、09年に名古屋地家裁半田支部長を経て、12年から福井地裁判事部総括判事。14年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を下した。17年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官。現在は原発の危険性を訴える講演活動にいそしむ。今年3月出版の「私が原発を止めた理由」(旬報社)がベストセラーに。
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