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ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

映画『ふたつの名前を持つ少年』

2015-11-06 20:41:34 | Movie
生き残るために少年は…!映画『ふたつの名前を持つ少年』予告編


監督:ペペ・ダンカート
原作:ウーリー・オルレブ 「走れ、走って逃げろ」
   母袋夏生訳 岩波書店刊


「ふたつの名前を持つ少年・オフィシャルサイト」


主人公の美しい少年役は「アンジェイ・トチカ」と「カミル・トチカ」の双子の兄弟が演じている。
激しい演技と叙情的な演技を、分けて受け持ったそうです。

これは実話です。
舞台はポーランド、日本は戦後70年だが、アウシュビッツ収容所開放後70年となる年です。
8歳のユダヤ人少年「スルリック」が、父親の死と引き換えに、
ナチス・ドイツからの逃走を繰り返した3年間の物語。
最後にロシア軍の進軍によって、ナチスドイツの時代は終わる。
しかし、戦争が終わったわけではない。

「ポーランド人孤児ユレク」を名乗り、少年は父との約束を果たした。

「少年の身で、よく生き抜いてくださいました。」と感動しながら、
ふと思う。人間は他者の不幸に感動しているのではないか?
そんな想いが残る。


「ふたつの名前」から、奇妙なことですが「マグヌス」思い出していました。


もう1つ思い出していたのは、映画「ライフ イズ ビューティフル」でした。
この映画のなかでは、父親、母親 小さな息子が共にアウシュビッツに送られますが、
父親は必死で、そこは「遊び場」だと息子に教え、ゲームをするように、
暮らしました。父親は銃殺、幼い息子と母親はナチスドイツの敗戦とともに解放されました。

あの「ナチスドイツ」の時代は、多くの名作を産んだ。
なんと皮肉なことか!!

映画『ベル&セバスチャン』

2015-10-13 22:12:20 | Movie
映画『ベル&セバスチャン』予告編



 ベル&セバスチャン・オフィシャルサイト


テレビアニメの「名犬ジョリー」の原作の映画化と言えばいいのだろうか?

ナチス占領下のフランスの村で、ユダヤ人一家のアルプス越えを助ける村人とドイツ兵との物語である。
その村人にまじって、少年セバスチャンと名犬ベル(美しいという意味)も過酷な雪山越えをする。
クリスマスの夜に。

セバスチャン役のフェリックス・ポシュエのフランス語が耳に心地よい。
名犬ベルは美しく、やさしく、かしこい。


映画「パパが遺した物語」

2015-10-12 22:15:48 | Movie
映画「パパが遺した物語」予告編


パパが遺した物語・オフィシャル・サイト


パパ役のラッセル・クロウがなかなか素敵。
かっこ悪いけれど、必死で生きていた。

3人家族が事故によって、母を失い、父は入院生活7ヶ月という孤独な少女が
必死に求めた、父との幸せな生活。だがそれも父の死によって一人になる。
彼女を引き取る伯母がいても、彼女の孤独は大人になっても癒されることがない。

孤独から救ったものは「恋人の愛」と「パパの遺した物語」だった。
幼なくして両親を失うことの哀しみの深さが痛いほどだった。

夏をゆく人々

2015-09-11 22:36:56 | Movie
『夏をゆく人々』予告編




監督はアリーチェ・ロルヴァケル、32歳の女性である。かなり美人です。

この映画にはロルヴァケル監督の実人生が反映されている。
舞台であるイタリアのトスカーナは、彼女の生まれ故郷であり、
彼女もドイツとイタリアの混血で、異文化の共存には慣れ、家は養蜂を営んでいて、
蜜蜂の扱いは子供の頃から慣れていた。
なるほど。ジェルソミーナが、口から蜂を出して顔を這わせるシーンには驚いたが。


家族の名前がすごい。
父:ヴォルフガング(ドイツ人)
母:アンジェリカ(イタリア人)

長女:ジェルソミーナ
次女:マリネッラ
三女:ルーナ
四女:カテリーナ


イタリア、トスカーナで養蜂を営む一家の物語である。
父は厳しく、強引にジェルソミーナに養蜂を教えこむ。
マスコミが支配する文明社会に立ち遅れている一家が
「ふしぎの国」というテレビ番組に応募する。ジェルソミーナの強い願いから。
その番組の趣旨は、その地に根付くエトルリア文化の紹介であって、
二家族の対抗であったが、負ける。

そこから父と娘との繋がりがほどけてゆく。
父親の養蜂のやり方は時代的にも、衛生面でも遅れていた。
広大な自然のなかで貧しく暮らす一家の変化が始まる。

娘は巣立つだろう。しかしどこへ?広大な夏の風景のなかから。
目的も見えないままに。

ジェルソミーナが幼い頃に、父にねだった駱駝が遅くなって届くのだが、
駱駝への興味はすでになかった。

「父と暮せば」&「黒い雨」  

2015-08-07 21:47:58 | Movie
父と暮せば



『黒い雨』 予告編



TとKの会話から。

被爆者の語り部が、ある中学校での講演中
生徒の一人から「死に損ない!」と罵られた、と語っていました。

それについて、Tはこう言った。
「父と暮らせば」は多くの人々を感動させる力を持っていた。
それは脚本家の筆力によるものだ。
しかし語り部は、熱心に事実を語るが、
人々の心に浸透してゆく伝達の言葉を知らない。
その落差への苛立ちが、生徒の心によぎったのではないか。

Kはそれに応じて言う。
たどたどしさはいけないことか。
言葉の稚拙さは罪か。
被爆を知らない者は被爆経験者に謙虚であるべきだろう。

しかし「死に損ない!」と罵られた語り部は
その言葉を謙虚に受け止めた。

しかし、Kは決して生徒の言葉も、Tの言葉も許さない。

ある歌人は言う。
「私」と「公」が一首のなかでせめぎあっていないと
尖った歌にはなりにくい。
そのジレンマを抱きこんでいる歌を。

名作が残り
語り部の言葉は根付かないのか。

その後「黒い雨」を観ることになった。
「父と暮らせば」のファンタジー性は全く排除された映画であって、
目を覆いたくなるようなシーンが続出する映画であった。

Tは「原作と大分違う。」と一言言っただけだった。

原爆によって、いかに人々が深い苦しみと悲しみにのなかに
生きなければならなかったかがわかる。
観る方も痛いのだ。辛いのだ。激しい怒りもあるのだ。

しかし、KはTに対して語ることをやめた。


映画『世界の果ての通学路』

2015-07-29 16:10:45 | Movie
映画『世界の果ての通学路』予告編




世界の果ての通学路・オフィシャルサイト

監督:パスカル・プリッソン



「私たちは、どんな地球を子供たちに残してやれるだろうかとよく考える。
 だが、私たちは地球にどんな子供たちを残してゆくのだろう。」
   
    ピエール・ラビ(農業従事者 作家 思想家)