物語:愛する妃 その2
大臣たちは、国王に新しい妃を用意すべきかどうか再び協議した。
リン国ではジュクモたち12姉妹が美女を代表していて、もし更に求めるなら、国の外へ行かなくてはならない。
臣下たちは、この件では国王が自ら口にするのを待つ訳にはいかないのを知っていた。
そこで、ある日の朝の政務の場で、使者を選び厚い礼を以て各国に妃を求めに遣わすよう、トトンが上奏した。
ケサルは、これもまた国王としてあるべきことと考え、他の上奏と同じように、規則に従って許可した。
政務が終わり、宮殿に戻ると、ジュクモが垂れ幕の後ろに隠れて涙を流しているのを目にした。
ケサルは、国の外に妃を求めに行くという知らせがすでに宮中に伝わり、そのためジュクモが悲しんでいるとは知らず、なぜ泣いているのかと尋ねた。
ジュクモが砂の粒が目に入ったと答えると、ケサルはそれ以上は尋ねなかった。
その時ジュクモが以前ケサルが尋ねた問を問いかけた。
「国王であるとは、こういうことなのですか」
こう尋ねられて、また心が塞ぎ、ケサルは疲れ果てたように寝台に凭れ、そして、いつの間にか夢の中に入っていった。
瑞雲が立ち込め、不思議な香りが溢れる中、天の母ランマダムが目の前に立っていた。
「息子よ、なぜ何もしないでいるのですか」
「すべきことは臣下の者がすべて執り行いました。そのため私はやるべきことがありません」
「だからといって、一日中遊びに耽っていてはなりません。そのまま時が経てば、あなたの法力は失われます。再び妖魔がはびこった時、どう対処するのですか。何事も天に頼ろうとしているのではないでしょうね」
ケサルは即座に、妃を求めに使者が出発するのを止め、自分は妃たちと離れて古熱神山の洞窟に行き、一人籠って修行する、との思いを伝えた。
天の母は言った。
「それならば、メイサを連れて行きなさい」
「なぜジュクモではないのですか」
「メイサを連れて行けば悪いことは起こらないでしょう。私は天の神々の意志を伝えに来たのです。覚えておきなさい。
修業は必ず三七、二十一日間しなくてはなりません。
ケサルは天の母が訳あって来たのを知らなかった。
元々、北にはヤルカンという魔の国があった。
その魔王ロザンはケサルの12人の妃の美しさを聞いて、雲に載ってやって来て、リンの国を一巡り見て回ったのだった。
その時、魔法にかかったように、リン国の王妃メイサのことが忘れられなくなった。
神は、ロザンが常には自分の地盤を守り、周りに悪事を働くことがないのを見ていたので、思いのままに動き回るに任せていた。
だがこの時は、食べ物も喉を通らないほどに、ただ一目見ただけのメイサで頭がいっぱいになり、今にも事を起こしそうに見えた。
ならば、ランマダムに夢に託してケサルにメイサを連れて洞窟へ修行に行かせ、暫く姿を隠し、魔王のよこしまな想いが収まってから処分を施そう、と考えられたのである。
ロザンは巨体で、超人的な体力を持っている。
そこで神は、ケサルに忿怒大力の法を修行させようとした。
ケサルはこのいきさつを知らなかった。
短い眠りから醒めても、部屋中に不思議な香りが残っていてた。
ジュクモは訳を知らず、ケサルに纏わりついて、香料師が新しい発明をしたのか聞き出そうとした。
ケサルは天の母が夢に託したことには触れず、ただこう言った。
自分はメイサを連れて宮殿を出て、古熱山の洞穴に籠って大力忿怒の法を修行する、と。
ジュクモは不機嫌に言った。
「12姉妹では私が一番上なのに、どうしてメイサが王様の修業のお供をするのですか」
そこでケサルは言った。
「天の母が神の考えを伝えに来たのだ」
そこでジュクモはメイサを訪ねた。
「王様は山に籠って修行されるようよ。あなたを連れて行こうとしているけど、姉妹の中であなたが一番心が細やかでしょう。だから、あなたには残ってメドナズお母様の面倒を見て欲しいの」
メイサはジュクモが言うのも尤もだと思い、頷いて承諾した。
大臣たちは、国王に新しい妃を用意すべきかどうか再び協議した。
リン国ではジュクモたち12姉妹が美女を代表していて、もし更に求めるなら、国の外へ行かなくてはならない。
臣下たちは、この件では国王が自ら口にするのを待つ訳にはいかないのを知っていた。
そこで、ある日の朝の政務の場で、使者を選び厚い礼を以て各国に妃を求めに遣わすよう、トトンが上奏した。
ケサルは、これもまた国王としてあるべきことと考え、他の上奏と同じように、規則に従って許可した。
政務が終わり、宮殿に戻ると、ジュクモが垂れ幕の後ろに隠れて涙を流しているのを目にした。
ケサルは、国の外に妃を求めに行くという知らせがすでに宮中に伝わり、そのためジュクモが悲しんでいるとは知らず、なぜ泣いているのかと尋ねた。
ジュクモが砂の粒が目に入ったと答えると、ケサルはそれ以上は尋ねなかった。
その時ジュクモが以前ケサルが尋ねた問を問いかけた。
「国王であるとは、こういうことなのですか」
こう尋ねられて、また心が塞ぎ、ケサルは疲れ果てたように寝台に凭れ、そして、いつの間にか夢の中に入っていった。
瑞雲が立ち込め、不思議な香りが溢れる中、天の母ランマダムが目の前に立っていた。
「息子よ、なぜ何もしないでいるのですか」
「すべきことは臣下の者がすべて執り行いました。そのため私はやるべきことがありません」
「だからといって、一日中遊びに耽っていてはなりません。そのまま時が経てば、あなたの法力は失われます。再び妖魔がはびこった時、どう対処するのですか。何事も天に頼ろうとしているのではないでしょうね」
ケサルは即座に、妃を求めに使者が出発するのを止め、自分は妃たちと離れて古熱神山の洞窟に行き、一人籠って修行する、との思いを伝えた。
天の母は言った。
「それならば、メイサを連れて行きなさい」
「なぜジュクモではないのですか」
「メイサを連れて行けば悪いことは起こらないでしょう。私は天の神々の意志を伝えに来たのです。覚えておきなさい。
修業は必ず三七、二十一日間しなくてはなりません。
ケサルは天の母が訳あって来たのを知らなかった。
元々、北にはヤルカンという魔の国があった。
その魔王ロザンはケサルの12人の妃の美しさを聞いて、雲に載ってやって来て、リンの国を一巡り見て回ったのだった。
その時、魔法にかかったように、リン国の王妃メイサのことが忘れられなくなった。
神は、ロザンが常には自分の地盤を守り、周りに悪事を働くことがないのを見ていたので、思いのままに動き回るに任せていた。
だがこの時は、食べ物も喉を通らないほどに、ただ一目見ただけのメイサで頭がいっぱいになり、今にも事を起こしそうに見えた。
ならば、ランマダムに夢に託してケサルにメイサを連れて洞窟へ修行に行かせ、暫く姿を隠し、魔王のよこしまな想いが収まってから処分を施そう、と考えられたのである。
ロザンは巨体で、超人的な体力を持っている。
そこで神は、ケサルに忿怒大力の法を修行させようとした。
ケサルはこのいきさつを知らなかった。
短い眠りから醒めても、部屋中に不思議な香りが残っていてた。
ジュクモは訳を知らず、ケサルに纏わりついて、香料師が新しい発明をしたのか聞き出そうとした。
ケサルは天の母が夢に託したことには触れず、ただこう言った。
自分はメイサを連れて宮殿を出て、古熱山の洞穴に籠って大力忿怒の法を修行する、と。
ジュクモは不機嫌に言った。
「12姉妹では私が一番上なのに、どうしてメイサが王様の修業のお供をするのですか」
そこでケサルは言った。
「天の母が神の考えを伝えに来たのだ」
そこでジュクモはメイサを訪ねた。
「王様は山に籠って修行されるようよ。あなたを連れて行こうとしているけど、姉妹の中であなたが一番心が細やかでしょう。だから、あなたには残ってメドナズお母様の面倒を見て欲しいの」
メイサはジュクモが言うのも尤もだと思い、頷いて承諾した。