BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

検証いいんかい!

2018年03月06日 | 古本
これは「本の雑誌」の2005年3月号から2012年5月号に書評として連載されていたものの単行化。
厳選82作とその他5作の1500字。外国翻訳ものから日本の純文学からエンタメ本まで。取り上げたも
のの作品で翻訳本は全部知らない人、日本物は5名しか読んでいない。多少の本好きだと思っていても、や
はりプロには負ける。ていうか、世の中には作家と書物が多すぎないか。アタシはアタシの好きな作家だげ
を読んでいて十分に満足している。橋本治「巡礼」のなか、<ゴミの山のどこかにとても大事な何かがある
と信じているからなのである。><すべてがなくなって、元に戻った時、生きて来た時間もなくなってしま
う。生きて来た時間が「無意味」というものに変質して、消滅してしまう>アタシはここに傍線を引きたい
気分だ。(傍線は引かないけど)博物館の機材は断じてゴミじゃないし(笑)
 「ガタスタ屋の矜持」 著者 豊崎 由美  本の雑誌社 定価1600円+税
  ( 2012年6月20日 初版第1刷発行 )

不肖・宮嶋さん、登別本棚には沢山あるのだが、なんかすぐ読みたくて重買しっちまった。(200円だし)
なんちゅうてもとにかく彼独特の毒文が痛快なのだ。(すぐに語り口が移る)信じられないのは所々に青の
太いボールペンで傍線がひかれていることだった。それも特に特別な内容や表現でもなく、なんちゅことも
ない普通の文章だ。まるで受験生の参考書のごとく。こんな傍線を引くヤツの気が知れんのだが、それを不肖
さんにもし伝えたら「おーたいしてワシの事を分かっているやんけ!」ちゅうに違いない(笑)しかしなんだ、
そんなに傍線を引いて読む程いい本だったら古本に売り飛ばすなちゅうに。
 「不肖・宮嶋 踊る大取材線」 著者 宮嶋 茂樹  新潮社 定価1500円+税
  ( 1999年10月15日発行 )

2011年3月11日、あれからもうまる7年が経つ。石巻市立大川小学校が津波に襲われ、学校にいた児童
76人と教職員13名中10名が犠牲になった。その後事故検証委員会が立ち上がったが、その検証を検証し
たもの。この検証委員の選考や問題意識もなんだが頓珍漢を絵に描いている。そしてそこに文部省からは意外
な人物の名が絡んでいた。あの森友学園問題で交渉対応文章が省内にあると発言した元厚生省官房長(当時)、
後の文部省事務次官 前川 喜平氏だ。しかし氏は若い女性の貧困や苦悩に熱心にその手の場所に通って相談を
受けて調査していたようだが、ことこの大川小の事故検証においては、なおざりで不作為役人の域を出なかっ
たようだ。
市は遺族抜きの第三者検証機関を5700万円で予算化し、2014年1月19日に事故検証委員会が「最終
報告書案」を締めくくった。しかしそれは決して被害者遺族の最も知りたい、地震後津波がくるまでの50分
間に何がどうしたかという肝心な要点が無く、遺族の心情に沿ったものではなかった。
得てしてなりがちな展開と結論、結局あれは震災で誰にも責任は無く、仕方のないことと検証にならない報告
となっている。現場にいてたった一人生き残ったA教員。せめてこのようなことが二度と起こらないよう、あ
らましの真実を話せよ。
 『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』 著者 池上 正樹 / 加藤 順子  ポプラ社
  ( 定価1500円+税 2014年3月7日 第1版発行 )

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