BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

生きものの仕事

2019年06月01日 | 古本
遅らばせながら読んだ。初版は1974年6月の発行で、2004年6月この新装版が発行された。
400ページもあり字も小さく、重い本を読むのには相当時間がかかった。
石牟礼 道子さんと並んで土本さんと言えば水俣病のドキュメンタリー映画となってしまう。
71年初期から「水俣ー患者さんとその世界」以後、連作として水俣病とかかわり続けている。
映画と共に書き続けた一連をまとめたもの。その深い洞察力と筆力には驚くばかり。映画人はかく
あらねばならないということだろう。
映画は水銀公害発生元のチッソのグロテスクな組織も、分断される患者側人間の弱さも正面から
暴かれる。
水俣病には終わりがない。いまも発症者が続き、裁判闘争も続いている。

70年当時、フィルム映像と音のシンクロには余計な手間がかかる時代、その後同録カメラがでて
きて、その機材費のかかりようと、楽になった喜びが同時に書かれている。
カバーの裏側、写真には重い木製三脚とBOREX16mmカメラが映っている。レンズは10倍の
ズームレンズが1本。基本はこれだけの装備で勝負していたことが窺える。
 「映画は生きものの仕事である」新装版 著者 土本典昭  未來社 定価3500円+税
  ( 2004年6月30日 新装版第1刷発行 )


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