BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

グアンタナモ地獄

2018年03月16日 | 古本
この本が出版された時点では、著者のモハメドゥ・ウルド・スラヒはまだ釈放されておらず、読んでいる途中で
この新聞記事を読み、無事16年10月に釈放されたことを知った。なんしろ15年も獄中生活をおくっていた。
それもなにか懲役作業につくというような単純なことではなく、毎日のように続く長時間の尋問や拷問の日々を
生き抜いた。CIAの秘密施設で用いられていた「強化尋問技術」にたけたその連中の拷問内容は、ここに書く
ことさえ憚れられる。それは「夜と霧」の2倍の本の厚さになり、期間も比べものにならない生き地獄となった。
(拷問内容を読むのには覚悟がいる)
新聞記事は彼を無実の罪から救うべく奮闘した弁護士〔ナンシー・ホランダー〕と協力者たちの強靭な意思があ
ったとある。9・11の容疑だったがゆえ、彼女もアメリカ国内で非難も賛同もよんだらしいが、米国の司法制
度を守る決意はゆるぎなかった。
不思議なことはキューバのグアンタナモ米軍施設内に秘密施設があることだ。オバマは閉鎖を予定したが共和党の
反対で実現しなかった。にしても国交の無かったキューバに長年なぜそんな米軍施設が在ったのか、そこが分からん。
この事件、映画化しないのか。でもスピルバーグやクリントイーストウッドじや出来ない。期待はオリバー・ストーン
だがどうだろう。
447ページ、読むのに時間がかかった。そして伏字の多いこと半端じゃない。4ページまるまる〔のり弁〕もあり、
まるで公開請求されて渋々出したお役人の決済書類なみだ。伏字は主に尋問者の名前や役職名だろうが、話しの流れ
の理解にそう支障はない。
 「クアンタナモ収容所 地獄からの手記」 著者 モハメドゥ・ウルド・スラヒ  編集 ラリー・シームス
  ( 訳・中島 由華 河出書房新社 定価2800円+税 2015年11月30日 初版発行 )
 ※この本、定価2800円なのに、BOOK OFFでは360円だった。まだほぼ新刊なのに。
  

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