BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

忖 度

2018年05月04日 | 古本
残念ながら菅谷利和さんは性格的に自己主張することや、強く出られるとそれに迎合するなどの傾向があった。
一旦やったと自白すると次から次へと取り調べに対し、曖昧な応えをすべて有罪的文章に書き換えられ、同意
調書とされてしまった。途中や裁判において無罪を主張するも、聞き入られるほど日本の司法制度は甘くない。
いわゆる自白偏重主義だ。調書をよく読みこめば矛盾点があるものの、弁護士も裁判官も思い込みで有罪だ。
確率が4分の1の血液型やまだまだ精度の悪いDNA鑑定も、すべて菅谷さんに不利にはたらいた。
そして一人の人間が17年と半年もの時間を牢獄に繋がれた。たとへ無罪となっても菅谷さんの17年半は戻ら
ないし、元の生活を続けるようなことにはならない。
いままでどれほど冤罪事件が起きただろうか。それも周囲のいろんな人の助力や真犯人が名乗り出ることによっ
てようやくの無罪だ。もし周囲がそれと気付かず無念の牢獄生活を強いられたり、吊るされたひとだっているだ
ろう。恐ろしいことだ。
 「冤罪 足利事件」 著者 下野新聞社編集局  下野新聞社 定価1700円+税
  ( 2010年11月30日 第1刷発行 )

本書は、「本の旅人」で2017年2月号から7月号まで連載されたものに加筆修正した本。ゆえに章立てで
6章、6人との対談連作だ。今まで森さんが書いて来た部分と重複はあるが、つい昨年のことゆえ〔忖度〕と
いう最新の言葉さえある。その忖度、過ってのNHKでのETV特集シリーズ「戦争をどう裁くか」の第二夜
「問われる戦時性暴力」放送では、安倍晋三や中川昭一が言ったのは「勘繰れや、お前たち!」で、彼らはま
だ〔忖度しろや!〕などの語彙は知らなかったのだ。(まああの程度の頭だからしょうがない)
日本の、国境なき記者団の報道自由度ランキングは72位という評価。メディアに関しては発展途上国並みだ
という。どうして日本人は自分の意見を言わないのか。アタシはつい言い過ぎて嫌われることもあるが(笑)
 「FAKEな平成史」 著者 森 達也  角川書店 定価1600円+税
  ( 2017年9月22日 初版発行 )

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