斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

東南アジアは日本のミシン技術を必要としている

2011年11月04日 20時15分20秒 | 高専訪問記
大分高専の足踏みミシンボランティアのその後のニュースが新聞で紹介されました。
http://www.47news.jp/localnews/oita/2011/11/post_20111103125304.html

少し現実に戻って、お話します。学生の中にはなぜミシンか?と思う人もいるかも知れません。もちろん、ボランティアで世界に貢献することはよいことです。私は、それ以上に、その経験が大分高専の学生のこれからの職業観にも大きな影響を与える点で高く評価しています。

たとえば次の記事を読んでください。昨年の今頃書かれた記事です。
http://www.47news.jp/CI/201010/CI-20101022-00867.html
「(衣料品の)生産地を東南アジアに広げる動きが加速している。世界からの受注が急増している中国では、委託工場の確保が難しくなっている。」

「A商事は今後5年をめどに、70%を占める中国の生産比率を50%以下に減らす。一方で、ベトナムをはじめ東南アジアの比率を30%から50%以上にし、東南アジアで新たな委託先探しを強化する。」

「H商事は、ベトナムやミャンマーで委託先の開拓に力を注ぐ。中国で上昇する人件費を抑えるのが狙い。」

「J堂は1年後をめどに、中国の比率を75%から55%に下げる。一方で、ベトナムを20%から35%、ミャンマーを5%から10%に高める計画。新たにバングラデシュでの製造も検討する。」

「カジュアル衣料品Fは昨年、バングラデシュでTシャツの縫製を始めた。将来は紡績、機織りを含めた一貫生産を目指す。ベトナムやカンボジア、インドでも既に生産しており今後、数年製品の中国の比率を85%から3分の2に下げる。」

以上の内容から構成されています。要するに、東南アジアではミシンを扱える人の育成が急務で、ミシンに興味を持ってもらうことから始まっています。そしてミシンを修理したり、製造したりする技術者の養成も急務です。東京高専の目の前にある蛇の目ミシン工業もブラザー工業も海外売り上げのほうが圧倒的に高くなっています。

日本のミシン技術を途上国の人たちがほしがっています。日本の技術で欲しいのは、半導体やテレビばかりではありません。そして、われわれは次の「欲しいもの」を提案しなければなりません。

将来が不安だと立ちつくすより、具体的に動くことが大事だね。セイヒンは星の数ほどあるよ。