小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

算数の授業で、こんな子がいました

2014-10-12 15:17:48 | 授業中の攻略法
今日は5年生の算数での話です。

単元は「分数」
「分母も分子も違う分数の大きさを比べるにはどうしたらよいだろうか」という課題。
2/3と3/4の大きさ比べです。
子どもたち(少人数編成だから20人)に予想させてみると
2/3が大きい…4人
3/4が大きい…9人
どちらも同じ…7人
というものでした。
人数が分かれ、おもしろいことになりそうだと思いました。
大きさを比べる方法として、子どもたちが考えたのは
・図にして表してみる
・数直線に表してみる
・分数の形を変えてみる
という3つの方法が出てきました。
ある程度、私の予想通りです。
3つの方法から自分なりに選ばせてから、いよいよ問題解決に取り組ませました。
すると、どの方法に取り組んだ子も、そう時間はかからないうちに答えが分かったようでした。
(3/4が大きいね)
もちろん、ここでは通分して大きさ比べができることを学習していく場面なので、授業では最終的にその方法にスポットを当てていき、今日の授業を終えました。
最後に取り組ませた練習問題では、全員の子が「通分」できていたし、私も
「まぁよかったかな」
という印象でした。

授業が終わり、休み時間になったときに、その中の一人の女の子が私のところにかけよってきました。
「先生、こんな風に考えたんですけど」
と、ノートを広げました。
見ると、何やら図やら式やら書いてあります。
それらを指し示しながら、その子が説明を始めました。
「あの時計なんですけど」
「へ?」
教室にある円形の時計を指差して言いました。
「ケーキをあの時計と見たんです」
(ケーキを例えに出していたので)
「あぁそういうこと」
「あの時計の回りの部分をぐーっと引っ張って一直線にして、それを仮に30cmとしたんです。」
「ほぉ」
「それを3つに分けた2つ分と、4つに分けた3つ分では、どっちが大きいか調べたんです」
「すると?」
「すると2/3は20cmになって、3/4は22.5㎝になりました。だから3/4の方が大きいと。これって変ですか?」

私はガツンと頭を殴られた気分でした。
この子の独特な考え方がうれしくもあり、授業の中でこれを取り扱うことができなかった悔しさもあり。
この子は別に際立って賢い子でもなく、いつもコツコツと真面目にがんばるタイプの子です。

立派な数学的な考え方です。
具体量と見立てて、その中で既習方法をなんとか用いて答えを導き出す。
一種の帰納的な考え方として、高く評価できるものです。
「変ですか?」
「とんでもない!!すごいよ。すごい考え方だよ。みんなにもぜひ紹介したいものだよ。次の時間に紹介させてもらっていいかな」
どうもその子は突拍子もない考えだと思っていたらしく、不安そうでしたが、最後には笑顔で帰っていきました。

教師の予想を越える子どもの思考力。
それに触れたとき、教師はまたこの仕事のおもしろさと、奥深さを知ります。
そんな子の考えを生かすも見過ごすも教師次第。
単に声をあげた子だけの考えで授業を進めるのではなく、内に秘めたままの子の考えまで引き出せるようになりたいです。


1 コメント

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初めまして。 (ゆめ)
2014-10-15 12:51:56
初めまして。
いつも楽しみに読ませてもらい、すごいなあ!と思いながら
勉強させてもらっています。

とても素晴らしい実戦力のある先生が、教務主任をされているとは
どんなに働きやすい学校だろう♪と思います。
私も、教務の先生には いろいろな所で助けられています(^_^)
ほんとに身軽で、気軽に相談できる、ユニークな先生です。

今回の算数の授業での女の子のような、自ら声をあけなくても、
素晴らしい考えを見逃さず取り上げ、よりよい授業ができるように
なりたいなあ…と思います。既習内容を生かせる力を、子どもたちに
つけなければいけないですね!
これからも、先生のブログを楽しみにしています♪
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