小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

たった1つの活動で見えた5つもの力

2015-10-15 22:00:42 | 学級生活の攻略法
6年生の算数。
単元「立体の体積」で、「すい体の体積」を考える場面。
これは発展的な内容です。

同じ低面積と高さの「柱体」と「すい体」
「すい体の体積は柱体と比べるとどうなるのだろうか。」
子どもたちの予想は
2分の1(これが一番多かった)
3分の1
3分の2
5分の2

「では調べてみよう」というときに、私はこう問いました。

「どうすれば調べられるでしょうか」
理科の実験方法を問うような感じです。
使える道具としては、

四角柱の模型(中は空っぽ)
四角すいの模型( 〃 )
大量の砂

この3つを準備しました。
「この3つを使って調べます。さあ、どうですか?」
すると、子どもたちは口々に
「四角すいに砂を入れて…」
など、つぶやき出しました。

そこで、指示を加えました。
「では、その方法をノートに書きなさい。」
子どもたちは書き出しました。
書き終わるころに、さらに指示を加えました。
「では、しばらく先生はここで黙っていますので、書けた人から起立して、その方法を読み上げなさい。」
何人かの子が
(えっ)
と、発表することへの抵抗を示す表情をしました。
さらに続けました。
「1回に立てるのは1人だけです。もし誰かとかぶってしまったら、口は開かず、譲り合いまなさい。では、どうぞ」

算数の授業ではほとんどしたことがないような活動に、しばらく子どもたちは神妙な面持ちで、書けた子たちも起立していいものかどうか、躊躇していましたが1人の子がサッと立ち上がり、発表しだしました。
「まず、四角すいに満タンに砂を入れて…」
私は、共感的にうなずいたり、言うことに沿って身振り手振りをしたりしながら、黙って聞いていました。
すると、2人目以降は、次から次に続きました。
そして、本の数分のうちに、全員の子が発表してしまいました。
その間、私は一切口を挟みませんでした。
ちなみに、子どもたちが出したアイディアは

A
四角すいいっぱいに砂を入れて、それを四角柱に移し、それが何回で四角柱いっぱいになるかを調べる。
→これが最も多く、私もこれしか想定していませんでした。

B
四角柱いっぱいに砂を入れ、それを四角すいですくいとり、何回で空っぽにできるか調べる。
→なるほど、Aの逆

C
両方に満タンに砂を入れ。それを同じ形の容器にそれぞれ写しかえ、量を比べる。
→ほお。でも使える道具に制限があるので、残念。

D
両方に満タンに砂を入れ、その重さを図る。
→絶妙。でも道具の問題かな。

これらに加えて
「四角すいを、半分に切って三角すいにして…」
という意見を出した子がいて、私には理解ができなかったのですが、子どもたちの中にはそれが理解できた子もいて、また今度その子にはゆっくり聞き直してみたいと思っています。

以上のいろんなアイディアが出て面白かったのですが、私がこの活動で感心したのは、幾通りもアイディアが出たこと以上に、
「5つの力」
をはっきりと見ることができた点でした。

全員が発表し終えたとき、子どもたちに話しました。
「今、きみたちができたこと

1 調べる方法をちゃんと考えられた

2 それを分かりやすい文章で書けた

3 それを人に声で伝えられた

4 起立のタイミングが重ならないように、友達の様子をよく見て、思いやって、譲り合ってくれたおかげで、混雑することなく、スムーズに発表が続いた

5 友達の発表を、じっくり聴けた

以上、5つものことが、できたんですね。とてもすごいですね。しかも、誰一人欠けず全員ですよ。下学年の子ならできないでしょう」

子どもたちはうれしそうに、誇らしそうにこの話を聞いていました。

私は何もおおげさなことは言っていないと思います。
5つの力は本当のことです。
正直、こういった活動が苦手な学年だったので、それを刺激しようというねらいで、こんな活動を仕掛けたのですが、それがこんなにもうまくできたことに、私はうれしく思いました。

1つの活動で見えた5つの力。

これができるのなら、もっといろんな活動を仕掛けて、もっともっとたくさんの力を見つけ、伸ばすことができるんだろうとも思いました。

うちの6年生、少し見直しました。