湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

検針俳句

2023-04-13 19:23:34 | 文学
小笠原学園の俳句レッスンは現在、木曜日午前の俳句入門クラスと午後の句会形式クラスに分かれています。
句会形式クラスでは、4つの兼題の内ひとつを季語ではない単語にしています。
4月の季語ではない兼題「検針員」で選に入った句がこちら。
講師入選 検針の端末の音つくづくし
講師本選 検針票くるりと返る鳥曇

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江の島句碑めぐり

2023-04-12 20:19:43 | 文学
4月5日にご紹介した恵比寿屋の敷地内には、永野泉山の句碑も。泉山は恵比寿楼16代主人で、明治期の江の島俳壇の中心人物です。
住みなれて居てもすずしや島の月

泉山の弟子で、江島神社奉納句会を主催するなどして、江の島俳壇隆盛に寄与した間宮霞軒の句碑が、中津宮にあります。
さし潮の香を抱く島の霞かな

江の島大師の前には、同じく泉山門下の福島漁村の句碑が。漁村は、この場所にあった江の島館という旅館の主人でした。
貝がらも桜の名あり島の春
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潔いの詩パート3

2023-04-10 19:30:19 | オリジナル
共通テーマ「潔い」でAが書いた詩を投稿します。

不揃い

心の裾のフリンジの
とりわけ長く出ている織糸を
引きずって帰ってきた
そんなものは潔く
チョンチョンと切って
捨ててしまいなよ

君のジーンズを洗う
干したままで
切りっぱなしの裾から
長く垂れている糸を
チョンチョンと切る
格好よく揃ったよ
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煙の詩パート2

2023-04-08 23:09:55 | オリジナル
共通テーマ「煙」でAが書いた詩を投稿します。

明後日

架空の用事を思い出す
ごめんと言って立ち去る
くすぶるあなたの頭
から 立ち昇る煙は
明日にはおさまるだろう
でも明後日にはまたくすぶりだす

わたしもうっかりあなたを訪ね
一昨日と同じことを訊き
透明な煙を見て気づく
また 架空の用事を思い出す
そうしないとわたしからも
煙が立ち昇ることになるのだ

脳からガスを漏らし
心きしませて
人は精巧な故障品
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煙の詩パート1

2023-04-07 21:04:54 | オリジナル
共通テーマ「煙」でEが書いた詩を投稿します。



住居の西側 谷筋に二本の煙突
一本はゴミの焼却場
一本は人体の焼却場
高く太い方がそうだったか
細く低い方だったか
いずれにしてもゴミのわけ
燃やされて煙と化せば
空中で混ざり合ってしまう

移転してきた当初
多少は気になって
日々煙の色を比較していた
一方白く 一方は灰色

君はどちらを好むか
そのまゝ地中に埋められる
灰と化して納骨される
正直に言おう
熱いのは嫌だ
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水の詩パート1

2023-04-06 13:34:59 | オリジナル
共通テーマ「水」でEが書いた詩を投稿します。



詩のようなものを書きだした頃
水をテーマにしたことがある
当時多摩川の上流に止宿
休日は堤防の上を散策した
大手のIT起業があって
気の迷いで少々の蓄えを
株式に投下
当然損を出した

詩の良否は判然としない
甲論乙駁 なんとでも言える
投資はその点 黒白明瞭
弁解できる分 詩は
今に続いている
心中の廃水をただ
流し続けているだけだが
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モースの見た江ノ島

2023-04-05 23:33:46 | 三浦半島
江戸初期1615年から続く江ノ島の老舗旅館、恵比寿屋。

その敷地の一角に、大森貝塚発見で知られるエドワード・S・モースの碑が。
モースが最初に来日した際に漁師小屋を改造して作った臨界実験所がここにあったと思われる、ということです。

モースは、シャミセンガイの採集・研究のために訪れた江ノ島で見た日本人を、このように記しています。
いろいろな年齢の子供達が、いたる所にかたまっていた。が、私は最も彼等に近く住んでいたにもかかわらず、滞在中に、只の一度も意地の悪い言葉を耳にしたことがない。赤ン坊は泣くが、母親達はそれに対して笑うだけで、本当に苦しがっている時には、同情深くお腹を撫でてやる。誰もが気持ちのいい微笑で私をむかえた。(「日本その日その日」より)
明治初期に日本を訪れたアメリカ人が、日本人の女子供をこのように好意的に観察し描写するのは、珍しいことではないでしょうか。
「日本その日その日」には、モースにとっての新鮮な驚きを客観的・肯定的に綴った文章とともに、彼のペン画が収められています。
約150年前の江ノ島にこんな1ページがあることを思いながら散策するのも一興ですね。
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詩って一体何だろう

2023-04-03 23:29:16 | 文学
自分の気持ちや感動をそのまま書くだけでは他人に分かってもらえない、と思ったとき、ことばの響きやリズム、イメージの力を借りて表現する作品(飯間浩明「日本語をもっとつかまえろ!」詩って、一体何だろう?)
レトリックを使って遊んでみるということですね。
また、飯間さんはこの本の中で中原中也「春の日の夕暮」を引用してこんなふうに書いています。
詩の意味は分からないのに、作品を読むうちに、なんとなく楽しくなってきます。これが詩の力です。理屈をぬきにして、ことばの響きやイメージを楽しんでほしい。それが作者のねらいでしょう。

春の夕暮  中原中也

塗板がセンベイ食べて
春の日の夕暮は静かです

アンダースロウされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は穏かです

あゝ、案山子はなきか――あるまい
馬嘶くか――嘶きもしまい
たゞたゞ青色の月の光のノメランとするまゝに
従順なのは春の日の夕暮か

ポトホトと臘涙に野の中の伽藍は赤く
荷馬車の車、油を失ひ
私が歴史的現在に物を言へば
嘲る嘲る空と山とが

瓦が一枚はぐれました
春の日の夕暮はこれから無言ながら
前進します
自らの静脈管の中へです
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潔いの詩パート2

2023-04-02 14:00:38 | オリジナル
共通テーマ「潔い」でAが書いた詩を投稿します。

雑誌のしごと

企画を考えては何本も出す
担当を振られた記事の詳細を考える
読者アンケートを集計し分析する
取材先を探しインタビューに行く
カメラマンに写真を撮ってもらう
イラストレーターに絵を描いてもらう
見出しや本文やキャプションの原稿を書く
毎回違う記事 さまざまな作業
やってて飽きない雑誌のしごと 
 
昨日本屋へ行った 
雑誌のコーナーには
モノがきっちり収まった
箱が平積みされていた
かつての仲間たちは
本体の編集に目を回す代わりに
予算にも雑誌型の箱にもうまく収まるモノを
ブランドタイアップで気を引くモノを と
毎号の付録作りに追われている

昔から定期的に雑誌を読まない
文字だけの潔い単行本を読む
イラストとか漫画とか写真とか
次号予告とか広告とか 見たくないのだ
編集者からしてこうなのだ
紙の雑誌のしごとは死ぬよね
まあ わたしも
雑誌作ってて死にそうになったから
おあいこなのである
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人の詩を書き写す

2023-04-01 10:36:55 | 
 茅ヶ崎市開高健記念館
先日池井さんと話をする機会があってそのときに彼が言っていたけど、人の詩を一文字一文字書き写しているとその人の魂が自分のなかに入ってくるんだって。作者がその作品を書いているときの想いがじかにこちらに入りこんでくる。(松下育男「これから詩を読み、書くひとのための 詩の教室」より)
文中の「池井さん」とは池井昌樹さん。「森羅」という手書き版下のさまざま意味ですごい詩誌を発行しています。
これに習ったのではないけれど、湘南文芸では当ブログにアップされた詩を各自が事前に書き写して、例会に持参する約束になっています。
批評を待つ詩を一文字ずつ写した下地があることで、深い鑑賞ができるからです。読むより遅いスピードで写していると、作者が意図せずやっている構文の乱れ、弱い語彙選び、語尾の違和感などに気づくこともあります。
仲間の無名の詩を書き写すのがちょっと馬鹿らしいとか面倒くさいとか、今回は時間がなかったとかいう場合もあるけれど、書き写すと書き写さないでは大違いなのです。
当ブログにアクセスできない環境の方にはTが書き写したものをコピーしてお渡ししています。
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